新国立劇場『ヘンリー六世』三部作 第二部<敗北と混乱> in 新国立劇場中劇場(10/31、11/3)

作   ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 小田島雄志
演出 鵜山仁

ヘンリー王(浦井健治さん)の后となり、イングランド王妃マーガレット(中嶋朋子さん)と
なりましたが、国民の圧倒的な人気を誇る摂政グロスター公(中嶋しゅうさん)の存在が
目障りのようです。貴族達も互いに牽制しあいヨーク公(渡辺徹さん)とサマセット公(水野龍司さん)
の確執も表面に現れ始めます。

冒頭は、ヘンリー王の元にサフォーク伯(村井国夫さん)に伴われイングランドに輿入れされた
マーガレットが到着する場面からドラマは進展していきます。

第二部は、静(対話というか会話の応酬というかf(^_^;))と動(戦い)が交差しながら
小さな火種がぽつぽつと音を立てて現れ、第三部に繋がる大きなうねりの序曲のような
心拍数がドキドキ高鳴る展開でした。
わたし二部が一番好きだなぁ~。
人間のエゴが一番表現されていて、誰もがオレオレ状態(笑)
こんな状態じゃ、ヘンリー王じゃなくたって国の統制が乱れるのも無理はないと思いませんか?
美しいマーガレットは、ヘンリーとは真逆の野心家サフォーク伯と不倫中。
摂政グロスター公の妻エリナー・コバム(久野綾希子さん)は、野心を持って自滅し
サフォーク伯の放った刺客によりグロスター公の殺害するも、露見して国外追放。
海賊に殺されてしまいます。そしてグロスター公を憎んでたウィンチェスター司教(勝部演之さん)が
狂死したりと・・露骨に色んな所で、いつもの人間関係の細い絆が断ち切られ崩壊されていきます。

そんな彼ら貴族達にいい様に虐げられた民衆達は、反乱をおこして世の中を引っくり返そうとします。
中でも乱暴で無茶振り(笑)のジャックケード(立川三貴さん)。
子供の頃見ていたアニメ『小さなバイキングビッケ』のお父さんみたい・・あはっ
漫談のようにしゃべるまくるジャックケード・・ですが、彼もヨーク公から上手く乗せられてしまった
貴族間の争いの捨て駒・・・哀れな市民の代表でした。

第二部の終幕近くでは、とうとうヨーク公が立ち上がり、正統な王位継承者であると宣言をします。
血で血を洗う薔薇戦争の火蓋があけられました。
白いバラのヨーク公方の巨大な布と赤いバラのヘンリー王方の巨大な布が舞乱れ
胸に赤・白のそれぞれのバラを身につけた貴族達が、戦い始めます。
大きな舞台を走り回り、その戦況に合わせて2色それぞれの布が入り乱れる様は、とても美しいです。
布以外にも水!!
グロスター公を殺害したかどで、国外追放になったサフォーク伯が、海賊に捕まり
殺害されるシーンで、艦隊長(石橋徹郎さん)に足で蹴られ池の中に落とされてバシャバシャっと
びっくりしました。あんまりびっくりして当初ハプニング(笑)かと思った位でした。
その上、首がぴゅーんと飛んじゃうし、サフォーク伯の最後は超悲惨!
そんなサフォーク伯の首を抱きしめて嘆くマーガレットもすごい!

第一部と同じセットですが、池には二本の橋げたと赤と白の花が浮かんでいます。
薔薇戦争の予感を感じさせる・・なんとも意味深な光景です。
今回は、池がいろんな姿を魅せて舞台の魅力をよりバージョンUP!
池に向って、ぱんぱんぱんと手を叩くとまるで鯉が餌をもらいに現れような水面がうねったり
ごぼごぼごぼっと噴水になったり・・
水場が池になったり海になったり、噴水になったり・・・目新しい仕掛けがいっぱい★

第一部の冒頭は、王座がぽつんと置かれていました。
ぱたんと倒れた玉座に白いカーテンが掛けられ、
王冠が載った亡きヘンリー五世の棺になった葬儀の場面・・流れるような荘厳で美しい場面でしね。。
第二部では、王座の隣には新しく輿入れされたお妃様の為の場所も用意されていました。
喜ばしい光景が、必ずしも明るい将来が約束されている雰囲気とはちと程遠い
なにか裏を秘めた・・そんな光と影を感じさせる照明の輝きが、彼らを包み込んでいました。

第二部では、いっぱい人が死ぬんですよ!死体がいっぱい出てきます。
あっ、でも死体がリアルじゃなくて、銅像のようなグレー。
あんま怖いものが好きじゃないわたしでもへーき(笑)血も・・と、思ったら
サマセット公を殺害するリチャード(岡本健一さん)に血がびゅーと
その血を顔面に濡らして、剣を手にして赤いカーテンの真ん中を切り裂きながら走り去る姿が
野獣のようで、凄まじくもその迫力に息を呑んでしまいました。
第二部の最後は、ヨーク方の勝利。ヘンリー王たちは敗走します。
明るい照明をバックに白い布が上からどーんと落ちて、
その上から黄色い花がパラパラ落ちてくるラストシーン
これまた美しい一つの絵のようでした。


10/27(火)~11/23(火・祝)まで in 新国立劇場中劇場
by berurinrin | 2009-11-15 22:39 | 観劇感想

文学座本公演『定年ゴジラ』 in 紀伊國屋サザンシアター(11/8)  

原作 重松清   
脚色 杉浦久幸   
演出 西川信廣

冒頭のシーンは、定年を迎えて会社の仲間達に最後のご挨拶をされる坂口芳貞さん演じられる
山崎さんの場面でした。
客席に向って挨拶される姿に、思わず客席からも温かい拍手が起こり
そのまま私達もお芝居の世界にすっと溶け込んでいったような気がしませんか?
次の場面では、お家でだらっとした姿(笑)の山崎さん・・そのギャップが可笑しかったですね。
俳優以外坂口さんは『花咲くチェリー』では、演出をされておられました。
細やかな演出をされる坂口さんです。
立ってるだけで、ほのぼのとした雰囲気をかもし出して下さる坂口さん。
周りの人たちに影響を受けながら、自分歩く道を探す姿・・・清々しい背中でした。
風のつめたき櫻かな』の櫻の精も素敵でしたよね★

ビートルズのBGM以外で、唯一掛かった曲は『テネシーワルツ』
その曲を歌い繋いだのは川辺久造さん演じられる江藤さん。
自身の失言に謝る山崎さんに「だめ。謝っちゃダメ」って、無邪気な声が、めちゃ可愛くて(失礼!)
後半寂しい気持ちになっちゃいますが・・とっても愛嬌のある江藤さんでした。
川辺さんといえば『』!最後は緑のサイになってしまいました衝撃でした。

町内会長さんは、加藤武さん。
強面ながら、面倒見が良くって人が良くって・・二世帯住宅に建替えしたのは良いけれど
息子夫婦とどうも折り合いが・・・。恰幅の良い加藤さんが、しゅんとした姿は
切なくも可笑しくて・・そんな加藤さんは『殿様と私』の家老・雛田源飢右衛門さん★
来年、横浜演劇鑑賞協会の例会に登場しま~す!ちなみに私、担当します!
そのほかライナップも充実しています。ぜひいつでもご入会できますので、ご検討くださいませ。
ちょっと宣伝しちゃいましたm(_ _)m

現役時代は、単身赴任で西日本を転々とされたのは野村さんこと坂部文昭さん。
ニュータウンに家を構えたものの、当人は長い単身赴任生活。定年を迎え帰ってきたのは良いけれど
浦島太郎状態・・・辛いですね。まさに企業戦士。
そんな恨みつらみが、常に赴任先で覚えた方言を使いまくる・・・でも、これが笑っちゃう(笑)。
グレンギャリー・グレン ロス』では、気の弱そうなセールスマン・アーロナウを演じられました。

新天地を見つけ旅立って行かれるのは、現役時代に、このニュータウンの開発に携わった藤田さん。
自分が開発した所から離れていく感情が、ゆるやかに表現されていくさまは
かなり切なくなってしまいます。
無邪気に当時のジオラマを、ゴジラの真似をしながら踏みつけていく姿・・目に焼き付けつけられます。
可笑しいんだけど切ない・・・関輝雄さんが演じられました。
関さんといえば、『ぬけがら
胃がしくしく痛む50代のお父さんでしたね♪

定年と同時に奥様から離婚されてしまった永田さん。
昼も夜も庭で、声を張り上げながらサンドバックに向ってボクシングをされる永田さん。
その姿に周りの住民は、ちょっと警戒しているようで
サンドバックには、奥様の洋服とか詰められてるとか(笑)怪しげなウワサ話も・・
そんな永田さんは、林秀樹さん・・・いやぁ、素敵なキャラクターでしたね。
サンドバックに向かうボーズが、いかにも我流という感じがツボでした。
後姿が寂しげなところが、また悲哀を感じてしまいました。
林さんといえば、アトリエの会『AWAKE AND SING !』の孫のよき理解者。
自分の宇宙の中で生きるおじいちゃん!素敵でしたね★

さて、山崎さん(坂口芳貞さん)の奥様は、吉野由志子さん。
たくましくて温かい奥さんです。
奥さんがいたからこそ、現役時代は十分に仕事に打ち込んでこられた・・
そんな懐の大きさ強さを感じる奥さんでした。
吉野さんといえば、やっぱアトリエの会『ミセス・サヴェッジ』タイトルロールのお茶目なサヴェッジ夫人でした。

山崎さんには娘が2人。
お姉さんは、すでにお嫁に行ってお子さんも居るしっかり者の千穂さん。
お母さんとは、女同士親友の様です。
そんな千穂さんを演じられたのは、石井麗子さん。
なんか麗子さんは、観るたびにイメージを裏切られるというか、毎回ながら想像外のキャラクターを
演じられるんですよ(笑)まっ、それが楽しいのですが
今回は、小学生姿ですよ(笑)私はイスからずり落ちそうになりました(爆)でも可愛かった♪
素顔は、お会いする度に気遣って下さる優しい麗子さんです。
実は、麗子さんとの出会いというか、麗子さんから「一番前の客席でご覧になっていましたね」と
声を掛けて頂いたのが最初で、それ以降、麗子さんのお芝居を拝見するときは
特に特にちゃんときちんとマナーを大切に拝見するように心掛けております。はい(笑)
そんな、麗子さんはアトリエの会『華々しき一族』で
楚々とした美伃さん。着物姿立ち振る舞いがめっちゃ綺麗でしたね~★

恋に仕事にと一生懸命に毎日を過す妹・万里さん。
妻子ある男性と結婚を前提に交際している事を、お父さんに言い出しかねていました。
まっバレちゃいますがf(^_^;)感情が真っ直ぐな万里さんと演じる佐古真弓さんがとても
リンクできて、不倫をするには、真っ直ぐな姿勢とか潔癖さが気持ちよかったですね。
それにしてもお姉さんも美しいですが、佐古さんも本当に綺麗ですね。
絶対に奥さん似(笑)ですよね。あははっ
さて、佐古さんといえばアトリエの会『エスペラント』修学旅行の引率の恋愛中の先生を演じられました。

万里さんと恋愛中なのは、万里さんと同じ会社の上司・須藤康彦さん。
仕事はバリバリこなしますが、家族とは結婚当初から溝があり離婚を申請中で
万里さんとの結婚に向けて山崎さんとも顔を合わせることになります。
ばしっとスーツを着こなした須藤さんは、やっぱりかっこいいのですが
どうもすでに万里さんに主導権を握られてるような・・(笑)けれど、包容力を感じされる
優しさが漂っていました。
演じられたのは、加納朋之さん。アトリエの会『オトコとおとこ』では、
どこにでもいるサラリーマン然とした雰囲気を匂わせながら何かやってくれちゃう
柔らかな光を放つ素敵な存在感を持っておられるです。

ニュータウンの研究をされておられ、雑誌にその各地ニュータウンのランクを発表してる
大学の助教授の宮田さんは、名越志保さん。
まるで、宮田教授の授業を受けてるような場面がありました。
ばしっ、ばしっと畳み掛ける講義は、ちょっと怖かったですね。
指されたらどうしようか?とドキドキしました(笑)
でも、山崎さんと一緒にくぬぎ台を見回りながら交わす会話は、ほのぼのしていて
見た目怖い(笑)宮田先生の優しい心情がじんわりと伝わってきました。
そんな名越さんは『花咲くチェリー』では、夫を捨てて家を出る妻を演じておられました。

宮田助教授のアシスタントを勤める学生のモリナガ君。
常に青年のような、いつでも爽やかな雰囲気をお持ちの佐川和正さんが演じられました。
出番は少ないながらも、佐川さんが登場すると癒しの風が吹くというか
宮田先生の完璧なアシスタントに徹する好青年でした。
佐川さんといえば、俳優座プロデュース公演『東京原子核クラブ』!
今年の春に例会公演で、横浜に来て下さいました。
その声の語り口は優しく包み込むような温かさがあります。
色んな意味で不器用な青年を演じられましたが、人間味があってとても素敵でした。

今回ロビーのお手伝いで座員方の姿が?!と思いきや
チラシを下さったのは、相互リンクしてる研修科一年生の滝沢花野さん★
他にも研修科生や学生さんだったそうですが、頑張ってる姿が新鮮でした(*^_^*)
たっきーちゃんとのこんなびっくりの出会いも嬉しいサプライズです。
研修科生の次回の公演は、もう卒業公演!う~ん早いものですね。
by berurinrin | 2009-11-15 21:59 | 文学座観劇感想