文学座本公演『風のつめたき櫻かなー久保田万太郎作品集より』2

文学座・紀伊國屋書店提携公演
風のつめたき櫻かなー久保田万太郎作品集より
                     in 紀伊國屋サザンシター(4/31)

作   平田オリザ
演出 戌井市郎

急にまた冷たい雨が続きますね。
晴れると暑くて、雨が降ると寒い・・気温の変化についていくのが大変です。
皆様もどうぞお体・・大事にして下さいね。
と、いうことで紀伊國屋サザンシアターへ再見でございます。

「おおっ2回目?」と、一瞬のコミニューケーションを気遣って下さるのは、
見習いたい・・今日も素敵な目黒未奈さん・・
未奈さんのお洋服ってとても大人チックで可愛いんですよん。
女性らしいお洋服なのに、甘すぎず・・でも可愛い♪着こなしのセンスが良い方です。
“やまとなでしこ”的なイメージができちゃったんじゃないのぉ・・と、松山愛佳さん(笑)
でも、素顔の愛佳ちゃんっていうと・・やっぱ、ぷぷぷっ
次回作のファミリーステージ『トムは真夜中の庭で』をご覧下されば、
一生懸命でお茶目な愛佳ちゃんの素顔が垣間見れるかもしれません・・私も早く観たいっ!
この日は、客席のアナウンスもご担当されていました。
パンフ・書籍販売コーナーには、『長崎ぶらぶら節』で主にアンサンブルで活躍されましたが、
しっとりした中にも個性的な雰囲気がありました太田志津香さん。

開演前に、そっと入ってきてコーヒーを頼みスポーツ新聞に目を通すのは
乾物屋さんの店主・新藤さんを演じられた川辺久造さん。
目の前に出されたコーヒーを嬉しそうに満面の笑顔で迎える冒頭の部分が
たまらなく私の好きなシーンです。
いわゆる(笑)大阪のおばちゃん風・・見事なファッションセンスの新藤さんの妻幸恵さんは
新橋耐子さん。歯切れの良いしゃべりといい、新藤家の力関係は一目瞭然(笑)
二人の間には、何年も音信不通の息子・太一君。演じられたのは岸槌隆至さん。
震災を機に互いの距離がちょっぴり縮まる姿・・「生きていてありがとう」
何よりもどの言葉よりも深い言葉として響きました。

いつも「ライン」でコーヒーを飲んでると奥様が迎えに・・・。
震災で妻を亡くした理髪店を経営し町内会長さんでもある青木さんは、坂部文昭さん。
軽口を叩きながらも、震災で失ったものの重さ・・・聞いていて本当に辛かったです。

文房具屋さんのご隠居さんは、市山さん。加藤武さんです。
すっかり元気を無くしたご様子でしたが、「ライン」の仲間達とたわいのない会話で
元の元気な姿に・・・けれど、文房具屋さんとして、被災された小学生達の話・・
これは聞いていて辛かったです。どうすることも出来ないむなしさに胸が痛みました。
市山さんの奥様みつさんは本山可久子さん。
ご主人のカップにお砂糖を入れたり、目薬の用意をされたり・・かいがいしく自然に
お世話をされてますが、その姿が、私の亡くなった祖父を支えた祖母の姿にそっくり・・
思わず凝視してしまいました。さりげない仕草・・少ない口数・・
でも言葉以上に伝わる何か・・・すごいです。

神戸の震災を体験しておられるのは、金物屋さんの熱田さん(清水幹生さん)。
カバンにアルコールの瓶を取り出しては、ちびりちびり・・・
避難所では、アルコール依存症の人が増えているという会話の中
逆に震災を冷静に語りながらアルコールを手放せない熱田さん・・
もしかしたらこの方が一番、今回心に傷を持っているのかもしれません・・。
「復興節」を唄う歌声・・心に響きました。

本屋さんを営む山口さんは高瀬哲郎さん。奥様の久美子さんは、富沢亜古さん。
「本はインターネット。雑誌はコンビニで買う時代。コンビニで置けないような
(子供に見せられない)本を置かなきゃならない。」辞め時という。。胸に突き刺さる言葉です。
山口さんは、親戚の経営するガソリンスタンドを手伝う為に
この町を出て行くことになります。見送ることしか出来ない辛い別れのシーンです。
久美子さんが、菓子折りを渡すように山口さんの体に、さりげなくお菓子の箱を
「ちょっとこれ皆さんへ」って感じのつんつんするシーン・・
とっても自然で見惚れました。

「何年掛かっても、いつか戻ってきたい」そう言葉を残して、生活の為に関西に
住居を移すのは電気屋さんの森本さんは、大滝寛さん。
1シーンの出番ですが、リサイクルと言いながらも、買い替えに走る今の時代です。
電気屋さんだからこそ、時代の矛盾を指摘される言葉に、痛い所を突かれた気がしました。
新たな仕事を得て、気持ちを切り替えようと・・
奮い立たせるかのような明るい声に切ない気持ちを抱きました。

震災によって子を亡くした親、親を無くした子達・・・
そして学校はって云うと、今は避難所として使われています。
彼らに向き合って生きていく小学校の先先こと、三本杉先生は外山誠二さん。
こんな時の先生の役割りほど幅広く過酷で辛いものはないと思いますが
自分のケアより周りに気を配る先生・・その言葉の口調が頼もしくて、かっこよかったです。
お得意のギターの音色も素敵でした。

ボランティアの学生は、井上由紀さん(山谷典子さん)。
後半の鼻歌・・・あれは・・いったい(笑)。こんなてきぱきさんな山谷さんを拝見したのは
初めてかしらん???ちょっとミステリアスな大人の女性のイメージがあったので
びっくりしました。でも、とてもお似合いでしたね。

パン屋さんの若旦那・和義さんは、細貝弘二さん。
職人さんらしくコスチュームがお似合いで、これまた爽やか好青年でしたね。
影のある役柄も素敵ですが、大人たちに混じってちょっぴりからかわれながらも
みんなの癒しの存在・・・等身大の細貝さんも素敵ですね。

「ライン」でアルバイトしながら専門学校生に通っていた真由美さんは、佐藤麻衣子さん。
和義さんとほのかな恋愛感情を育んでいましたね。
ちらちらと、眼差しを和義さんに送る真由美さんの可愛い事(笑)
こちらが照れてしまいそうでした♪

この場所があってこその皆の憩いの場「ライン」を営業されていうのは
誠一さん(田村勝彦さん)と奥さんの弘子さん(八木昌子さん)。
この二人の素朴で真面目な人柄が、このお店の雰囲気を作り上げてる・・・
まさに本当に「ライン」が実在しそうな、不思議な気分にさせてくれました。

そして、最後は・・なぞの人、桜の精?!蓮田さんは、坂口芳貞さん。
坂口さんのコスプレ姿・・ありがとうございます。最高でした~☆彡
ヘビメタ系のお衣装のジャケットに、なぜか?キューピーさんのワッペンが
妙にキュートで(笑)
でも最後、ご自身を語る時に目の動きと口の動きの微妙な違和感が・・
この世の人でないような・・・不思議な雰囲気が漂っていました。

・・・なんか、久々の長文で(笑)すみません。
こんな豪華で名俳優にこんな私が感想をつけて良いのか?!
でも、さりげなく自然で演じられることのすごさ見事さに、感動しました。
本当に素晴らしい座組みでした。

このお芝居随所に、俳人でもある久保田万太郎さんの俳句が散りばめられて
おられました。ユニークなものから美しい句まで・・・
なんかちょっと感化された私。締めにちょっと浮かんだ句を

「花の精 はらりと落ちて ゆで卵」

あーもう、しつれいしましたm(_ _)m

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桜の精の花びらです♪
by berurinrin | 2008-06-01 22:51 | 文学座観劇感想