日本オペラ連盟人材育成公演『ホッペアの戴冠』

日本オペラ連盟人材育成公演『ホッペアの戴冠』 in めぐろパーシモンホール(2/2)

作曲 モンテヴェルディ
指揮 村中大祐
演出 中村敬一

オットーネ(吉川健一さん)が旅から戻ってくると恋人のホッペア(高橋織子さん)は
すでにローマ皇帝ネローネ(高田正人さん)の愛人となっていました。
王妃戴冠を阻止しようと、ネローネの妻・皇后オッタービア(遠藤美由紀さん)は
オットーネと組んでホッペア暗殺を企てますが、愛の神(村田ゆう子さん)に阻まれ失敗。
オットーネとオッタービアはそれぞれ追放。
そしてネローネは、待ちに待ったホッペアの王妃戴冠の日を迎えます。

皇帝ネローネというのは、悪名高きローマ皇帝ネロさんのことです。
皇帝になった当初は、とってもいい人だったらしのですが
権力の拡大と共に、気に入らない人や反感分子達たちをどんどん殺してしまい
そのうち母親や妻・助言者・・挙句の果てはキリスト教を迫害・・
最後は自殺という形で自らの時代の幕を引いた人物です。

今年お初のオペラでございます。
わたしの音楽の指南役のだちょんさんが、極悪非道の皇帝ネローネを演じられる
ということで、オペラグラス片手に2階席最前列どセンターからじっくり拝見させて頂きました。(だちょんさん素晴らしい席をありがとうございます)
確かにネローネさんは、ヒドイ権力者ですが(笑)
この作品では、まだまだ極悪人としては序の口でネローネは、青春真っ盛り?!
不倫といえども、愛するホッペアに直球の愛を捧げる若者らしい情熱的な恋人であり
その王妃戴冠の野望を持ちつつホッペアも可愛いし、ネローネに愛を捧げる姿が可憐♪
とても初々しい恋人達になっているので
理不尽なハッピーエンドでも、なんか結婚できてよかったね!お二人さん♪なーんて
祝福できちゃうんですよ(笑)
ところが実際は、悲惨な人生が待っていますけど(><)怖っ!!

同時にネローネとホッペアのカップルともう一組のカップルも印象的でした。
それは、ホッペアの元カレ・オットーネと彼を慕うドゥルシッラ(武田仁美さん)。
ドゥルシッラさんの衣装を借りて、まんまとホッペアの寝室に入り込み暗殺に
失敗して逃走したオットーネを庇い捕まったドゥルシッラは、
ネローネから拷問の末に死刑の判決を受けますが、
オットーネが自首した為に無罪となります。
けれど彼女が選んだ道は、全て剥奪された上に追放の身のオットーネに付いて行く事。
なんか・・なんか幸せになって欲しい、頑張れ~ドゥルシッラ!って感じでした。

そうだ、一番の被害者は、皇后オッタービアは
このホッペア暗殺事件で、追放処分となりますが
ネローネったら、「小船にのせて、風の流れのまま追放!」「えっ!」って
やっぱ非道の皇帝でした(笑)

若手育成公演といっても、皆さんめちゃめちゃ上手いのに
まだまだ若手なんて、オペラの世界って本当に深いんですね。
今回は、全編バロック音楽。
オーケストラボックスを眺めると、細長ーい、不思議なピアノが2台とオルガン。
打楽器の姿が見当たりません。
バロック音楽って、繊細で温かくとっても心地良くってお腹に優しく響いてきます。
指揮者は、指揮棒を振らずにその両手で、波間を漂うように緩やかに柔らかくて
それに合わせて歌う楽曲も、小刻みに音が変わって難しそう・・
初めて聴く不思議な音律ではありましたが、心にフィットして気持ちよかったです。

2/2(土) in めぐろパーシモンホール
by berurinrin | 2008-02-02 23:41 | オペラ