文学座本公演『長崎ぶらぶら節』

文学座本公演『長崎ぶらぶら節』 in 北九州芸術劇場(1/10)

作   なかにし礼
演出 鵜山仁

長崎には日本三大花街として数えられた丸山に、芸に秀でた愛八さん(平淑恵さん)
という売れっ子芸者が居られました。
そして長崎を調べている著名な歴史学者・古賀十二郎先先(渡辺徹さん)と
ひょんな事から出会い、古賀先先に惹かれていく愛八さん。
ある日、古賀先生から、長崎の古い唄を探す旅に誘われた愛八さん。
同じ頃、丸山に売られた少女・お雪さん(松山愛佳さん)。そんなお雪さんに
自分の姿を重ねる愛八さん・・
そして、愛八さんは、古賀先生と唄を探す旅へと旅立ちます。

ため息が出る程の美しい舞台・・素敵な初日でした。

なかにし礼さんといえば、前作『戯曲・赤い月』に勝るとも劣らない
場面転換の多さですが、今回は大きな4枚の屏風が色々な場面を作り出し
四角い盆が回転する角度により、様々な場面の変化に対応されています。
特に、愛八さんがお雪さんの病気の回復祈願の為に、お百度参りをするシーンが
盆の上で歩く愛八さんと移り変わる季節の背景と溶け合って本当に美しいシーンでした。
作詞家でもある、なかにしさんの手による台詞は
言葉ひとつひとつが詞的できらきら輝いている程に美しく
墨で描かれた山の背景が、愛八さんと古賀先生の二人で探しあぐねた唄を
書きとめた言葉と三味線の節を絵にしたような、
二人の大きな愛情の中で、演じているお芝居にも感じられました。

前半は、華やかな花街に生きる芸者達の芸合戦あり、
ロードムービーのような唄を訪ね歩く旅から
後半は、お雪チさんの病を懸命で救おうとする愛八さんの姿・・
夢があって無邪気で子供っぽくって男らしくて(笑)誰もが好きになって
しまいそうな古賀先生との歯がゆくも深い愛情をかわす二人の関係も素敵で
いつも一生懸命で清々しい愛八さんの生き様に感動して
最後は涙・涙。。。でも、気持ちのいい涙でした。
悲しいシーンもありますが、観終わって爽やかな気持ちになる作品です。
愛八さんって、ほんとうに素敵な女性です♪

お稽古が短期間と伺っていましたが、日本舞踊や三味線、太鼓や唄
他にも見所が沢山あって、出演者の方々の集中力と完成度の高さにびっくり
さすがにプロ集団・・その姿勢がかっこいいです。
これから約2ヶ月間、愛八さんと古賀先生の旅のように
九州を回る『長崎ぶらぶら節』・・東京で出会う時は、どんな変化が
起きているかとても楽しみです。

この初日を、はるばる小倉まで行った甲斐がありました。
1泊2日の旅だったので、観光らしい観光もしていませんが
JR小倉駅から、徒歩5分位にあるリバーウォークという総合娯楽施設のある
大きな建物の6階に北九州芸術劇場が入っていました。
近くには川が流れ、広々とした公園、小倉城を眺められる美しい会場です。
ホテルから劇場までの往復で、穏やかな風景を満喫いたしました。

忘年会の時に、原作を読んでから観るか?観てから読むか?
鵜山さんからは、好きにしなさいと言われましたが(笑)
原作に忠実にドラマが展開していきますので、原作を読まなくても
十分堪能できますが、私のような凡才には方言とか小さなニュアンスとか
ちょっぴり難しい箇所もあったりするので、原作を読んでから作品を観ると
より深く理解できるかなぁと思いました。

1/10~2/29 九州公演
3/4(火)~3/10(月) in 東京芸術劇場中ホール

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劇場の隣には、小倉城でした♪
by berurinrin | 2008-01-12 11:49 | 文学座観劇感想