『アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ』

新国立劇場開場10周年記念
フェスティバル公演
「三つの悲劇」―ギリシャからVol.1
『アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ』 IN 新国立劇場中劇場(9/22.27) 

作   川村 毅
演出 鵜山 仁

劇作家の島岡さん(中村彰男さん)は、ギリシャ悲劇を題材にした斬新な現代劇を書こうと
していますが筆が進まず、壁にぶつかっているようです。演出家からは矢の催促・・
酒を飲み町をふらついていると
かの偉大な悲劇作家エウリピデスさん(小林勝也さん)と出会います。
島岡さんは、エウリピデスさんに書きかけの原稿を見てもらうことにしました。
そして二人は、島岡さんの書きかけの作品の中に入って行きます。
エウリピデスさんに誘われながら、島岡さんの悲劇が作られていきます。

鵜山さんの新国立劇場芸術監督就任作品の幕が上がりましたぁ
この作品について、鵜山さんが「やっかいな作品」とコメントされていましたが
なんて、はちゃめちゃな作品なんだろう(笑)
せっかくの機会なのでこれからも・・いっぱい冒険しちゃって下さい。
これからもきゃっほらんらん♪付いていきます!

「運命 宿命 星回りぃ~♪」
もう耳に残っていますよ。冒頭のミュージカルのシーン(爆)
う~ん、確かにギリシャ悲劇にミュージカルは似合わない・・納得です。
しょっぱなから、パンチを浴びた感じですが
テンポのいい芝居運びの中で、混乱しそうになると
ぐいっと軸に戻してくれる・・・

ギリシャ悲劇といえば、血みどろの惨劇・・と、なりますが
今の時代では、どうでしょうか?
最近では、自分の子供を橋の下に落として殺したり
両親、兄妹を殺したり・・・ギリシャ悲劇さながらの大事件が毎日のように
新聞やニュースをにぎわし、事件ではなく出来事のように過ぎています。
そんな殺伐とした世の中の悲劇ってなんでしょうね。
今回は一滴も血は流れることなく、アルゴス家の殺戮を大の大人達が真剣に
「な~んちゃって」ごっこで表現する滑稽さ。
殺戮の悲劇だけでなく、現代の家族の崩壊もしかりです。
そして・・それでも神にすがろうとする哀れな私たち・・・
なんだかなぁ・・なんだかなぁ・・・笑いながらも身につまされてしまいます。
でもこうなったら、笑うっきゃないでしょうね。

途中、トロイアの戦争の悲劇の場面で、おおきな赤いカーテンが天井でゆらゆら動き
舞台中央奥から戦士がゆっくり現れるシーン
心臓がドキドキしました。
かと、思うとラストの白い家の母と娘の姿に彩を与えるお花畑の美しさ・・
その前の、佐久間良子さんが大きな釜で、シチューを混ぜ混ぜのシーンでは
彼らの祖父の仕業を思い出して、背筋がぞゎぞゎ~
こんな事も、あんな事もできちゃう・・新国立劇場の舞台装置にも驚かされたり
色んな意味で盛りだくさんで、とっても楽しい作品でした。

それにしても小林勝也さんにはリアカーと日本酒がお似合いですね(笑)

丁度、新国立劇場開場10周年ということで、ロビーには
過去の作品の写真のパネルや舞台のミニチュアや衣装をはじめ
トロフィーや表彰状が展示してありました。
そんな華やかなロビーに定番(笑)Tシャツ&ジーンズスタイルの鵜山さんを
はっけーんYeah~!(*^^)v
お客さまと談笑中だったのですが、気がついて下さって優しい笑顔を
いっぱい見せて下さいました。
もう・・かっこいい、かっこいいっす。きゃーぁ


2007年9月20日(木)~10月7日(日) IN 新国立劇場中劇場 
by berurinrin | 2007-10-02 18:25 | 観劇感想