俳優座プロデュース公演『壊れた風景』

<別役実祭り>
俳優座プロデュース公演『壊れた風景』 in 俳優座劇場(4/14)

作   別役実
演出  山下悟

道があって、中央にはビーチパラソル。
蓄音機からは音楽が流れ、ビーチパラソルの下では、
ピクニックの食材が積まれたまま、何処に行ったのでしょうか?
そこへ女1(山本郁子さん)と母(塩屋洋子さん)が通りかかります。
地図を見ながら場所を確認中の母娘の前に、駅に向う男1(伊東達弘さん)、
マラソン中の男2(佐々木睦さん)、そして女2(津田真澄さん)と
夫の男3(関貴昭さん)がひょんな事から
、ビーチパラソルの下でピクニック?!

初、別役実作品でございます。
こんなに早くお目に掛かるとは思いませんでしたが(笑)
これも一つの出会いかもしれませんね。
別に別役さんを避けていたわけじゃないのですが、観る機会もなかったし
その以前から、ある人に「君には別役作品は、肌に合わないかもね」といわれ
ふーん、そうなんだ。と、逆に興味はふつふつと・・でも機会がなかったんですよぉ
(ウソをつきました。避けてましたm(_ _)m )
だって、暗い暗いって皆んな言うし、不条理ばっかって言うんだもん。
不条理ものは、いくら作品を理解しようと思っても、限界があって
それはもう、作家の感性だから・・と、言われたら、もうぐうの音も無い訳で
知りたがり屋の私としては消化不良になる事が多々あったりするもんです。
けれども、自分の理解の度を越した不条理ものは、大好きなんですけどね。
う~ん。

登場人物たちは、曖昧で優しい日本人です。
親切でメガネをリュックの中から取り出したら壊れていた。
自分が壊したわけじゃないけど、弁償しましょうと、言ったり
主の居ないピクニックの食材を、みんなで平等に少しだけ頂いたり
ありそうで、なさそうな・・微妙な世界感。
で、彼らの言葉に主語がありません。
「ほれ、アレじゃありません」とか「だから、アレってことで・・」
なんとなく責任を押し付けつつ、避けつつ・・押し返しつつ(笑)
だんだんエスカレートする情けない人たち、皆でアレすれば怖くない状態です。
ところが最後に男4(岸槌隆至さん)の登場で、びっくりのラストです。

観終わった後、なんともやるせないこのやり場のない思い。
それは、彼らの言葉や行動を理解できてしまう同じ日本人のDNAを
自分も持っているからなのかもしれません

4/6~15まで in 俳優座劇場
by berurinrin | 2007-04-18 21:01 | 観劇感想