シンポジウム『別役実ワールドと文学座アトリエ』

シンポジウム『別役実ワールドと文学座アトリエ』 in 文学座アトリエ(4/9)

文学座創立70周年記念のラインナップの中に
アトリエにおいて、別役実さんの作品新・旧書下ろし作品の連続公演が上演されます。
去年の年明けに、アトリエの会公開シンポジウム『現代演劇、その地平に見えるもの・・・』
(現代と演劇、その可能性、その手法について)に続いての第2弾シンポジウムの開催です。
現在、俳優座劇場を舞台に「別役実祭り」と題され、別役さん新作を含めた
3本連続公演中でもあり、その期待度がわかる程の客席はほとんど満員状態でした。

ギリギリでアトリエに到着すると、見た目はちょいワル(笑)もとい激ワル風・・
でも実はとっても優しい高橋克明さん(『ぬけがら』のお父さん最高ですよ!ぜひ♪)に
「どうぞ、どうぞ」と入り口に誘われ、ロビー入ると一面に別役さんの
ポスターチラシが飾られています。受付には山本道子さんがいらして
ノートに筆ペンで記帳をしてから、客席に案内されました。

舞台にはアトリエでの別役作品といえば、電信柱!とイメージされる方がいらっしゃるほど
有名な電信柱に国旗のように、別役作品のチラシがはためき
バックには、ポスターが飾られた別役実さん一色の中
2部構成でのシンポジウムスタートです。
総合司会は田村勝彦さん、富沢亜古さんです。

第一部は別役実さんと演劇評論家の扇田昭彦さんを中心に
別役さんと文学座との出会いから、別役さんの生い立ち
作風や作品の組み立て方。。今までわたしは別役作品にご縁がなかったのです。
実は、避けていましたm(_ _)m だって、不条理とか暗いイメージで(><)
なので、作品を知ろうとする為にも、すごく興味深く拝見させて頂きました。
別役さんは、飄々とした雰囲気ですがぼそっと語る冗談とも本心とも判断できない
言葉が面白くて、偶然お隣に座られておられた角野卓造さんが
肩を震わせて笑っていらっしゃる姿にこちらまで釣られて笑ってしまいました。

別役さんの作品には、その時代の事件や世相を題材にし、生活感や情感に
溢れた和風な不条理劇が持ち味だそうです。
食事のシーンなど生活空間を大切にしている細やかさ。
そして「人間程みじめなものはない」というコンセプトが底辺に流れている
別役さんの作品は、いつの時代も観る人の心に引っかかる何かを
残しているようです。
そんな、別役さんの作品の題材としている事件と今後の作品について
ということで、お話がありました。
最近は大きな事件が多すぎて、かつては大事件といわれたであろうものも
今や出来事として処理されて、ドラマ性も見えてこない事が多い
事件よりも、年間約3万人もの自殺者が出てきている底辺の闇の部分
対人関係の変化を追跡していきたい・・と、これからもバリバリな別役さんでした。
興味深かったのは、作品を書かれるときにまず風景から・・
例えば『壊れた風景』という作品だと
道があって、中央にパラソルを置いて・・・と、情景から入っていくそうです。

第二部は、別役さん、扇田さんに続いて、文学座での別役作品にご出演され
新作『犬が西むきゃ尾は東』にご出演予定の小林勝也さん角野卓造さん、
吉野佳子さん、倉野章子さん。演出の藤原新平さん、高瀬久男さんが
舞台に登場されて、別役作品の思い出やこぼれ話を披露して下さいました。
倉野さんが、舞台でアップにしていた髪がはらりと落ちた瞬間に頭が真っ白になって
台詞を忘れてしまった時のエピソードやその時に一緒だった角野さんの
当時のあわてぶりが、めちゃめちゃ可笑しくて(笑)
今や大女優の倉野さんにもそんな事があったんだぁ~と、驚きでした♪

2時間強のわたしにとっては実り多かった今回のシンポジウム。
でも、知らないんですよね別役作品(><)っと
わたしのように初別役作品の方には嬉しいニュースです。
別役実作品のリーディングが公演されます。
詳細は次回ご連絡いたします。

さて、シンポジウム終了後
椅子を片付けている座員の方に混じって鵜山仁さん発見!きゃー嬉しい
その後も嬉しい出来事があったり(これは内緒♪)
先週に引き続き幸せモンの私でございます。
by berurinrin | 2007-04-10 18:17 | イベント