『コぺンハーゲン』

『コぺンハーゲン』 in 新国立劇場小劇場[THE PIT](3/1)

作   マイケル・フレイン
翻訳 平川大作
演出 鵜山仁

1941年のある日。かつては師弟であったユダヤ人物理学者ボーア氏(村井国夫さん)の
もとにドイツ人物理学者ハイゼルベルク氏(今井朋彦さん)が訪ねてきました。
折しも第二次世界対戦中。身の危険も顧みず、なぜハイゼルベルク氏は
自宅にはドイツ当局の盗聴器が仕掛けられ、自由の利かない身のボーア氏を訪ねたの
でしょうか?ボーア氏の妻マルグレーテ(新井純さん)の問い掛けに
今では死者となった彼らは、当日の検証を始めていきます。

円形の舞台の周りを、縁のように取り囲むのは、輪・・無機質な宇宙空間のようなセット。
と、思いきや・・・円形の舞台の床は木目調で、温かみがあって、そう・・・
ノスタルジックな雰囲気を感じさせます。

実は、もう・・・よくわかりません。だって、言葉が難しいですもん(笑)
よくもまあこれだけ年号や専門用語を並べ立てた膨大な量の台詞を流暢に語る
3人の俳優達・・・・凄過ぎます!!!!

ところが、いいですか。
冒頭一番、マルグレーテが夫ボーア氏に問いかけます。
「・・・・で、どういうこと?(こんな感じで)」
思わず、心の中で「え?え?何が?」
そのまんま、マルグレーテの言葉に引っ張られた状態で最後まで
ぐいぐいと、引き込まれてしまいました。
3人の登場人物の内、3人が会話したり。
2人が会話してる姿を1人が、冷静に第3者の立場として、
彼らを観察してその様子を、二人の会話の間にツッコミのように説明したり、と
常に気を抜けず彼らの小難しい暗号のような会話に、耳を傾けていく内に
なんか、なんか、すごく話が、するっとお腹の中に収まってきたんです。
・・・実は単純なお話なのではないかしらんと
難しい原子の理論なんかの言葉のオブラートに包んでハイゼルベルク氏は
師匠であり、恩師であり、父のように尊敬していたボーア氏に会いにいくのです。
危険を顧みず、プライバシーさえ監視されているボーア氏の家の中に招き入れられて
・・・お互いにしか判り得ない、頭の中の先に見え隠れしている恐ろしいもの・・
なぜ二人は会う事になったのでしょうか?
ハイゼルベルク氏にとっては、ボーア氏に会うことがすべてであって、
理由なんてなかったのかも(どうでもよかったかも?!)しれません。
その後の二人の人生は、死者となった今語られています。
それにしても、この二人を丸ごと理解しようとするマルグレーテの探究心というか
頭のいい女性ですよね・・・凡才のわたしとしては、二人の会話を
理解できる妻のすごさに敬服です。

・・・と、お腹の中にふつふつと沸いてる言葉を文章にするのが難しいです。
これは、再見して勉強させて頂かないと(笑)

~3/18(日)まで in 新国立劇場小劇場[THE PIT]


 
by berurinrin | 2007-03-05 20:37 | 観劇感想