文学座創立70周年記念『シラノ・ド・ベルジュラック』

文学座創立70周年記念 文学座・ひょうご舞台芸術提携
 『シラノ・ド・ベルジュラック』 in 兵庫県立芸術センター(11/3.4)

作   エドモン・ロスタン
訳   辰野隆/鈴木信太郎
演出 鵜山仁

17世紀のフランス。ガスコン青年隊に勤務しているシラノ(江守徹さん)は、詩人であり
理学者で剣客で、才能満ちあふれ正義感に燃える勇士ですが
唯一つの欠点は、顔の中央に醜く大きく突き出した鼻。
この鼻が、彼のコンプレックスで弱点であり
唯一彼が恋する従兄妹のロクサアヌ(高橋礼恵さん)に、その恋心を伝える事が出来ません。
そんな時、ガスコン青年隊に美男子クリスチャン(浅野雅博さん)が、入隊してきます。
ロクサアヌから、クリスチャンへの想いを聞いたシラノは
恋の仲介役を引き受ける事になりました。

私の初めての文学座との出会いの作品が、文学座70周年記念公演の冒頭を
飾る事を知った時、それも鵜山さんの演出で蘇えると知った時
どんなにこの日を待った事か!!!
文学座で公演しなきゃ絶対観ない!と誓った作品でした。
けれどこれまで、幾多の劇団や商業演劇が上演を重ねて、
(その中には鵜山さんの演出もありましたが)
ましてやミュージカル化まで・・・・。

そんなに想いが詰まった作品。
東京公演まで、居ても立っても居られずに兵庫まで追いかけてしまいました。
でも、内心一抹の不安が無かった訳ではありません。
こんなに自分の中で膨らんだ分、もし自分の中で
「何か違う部分を発見しちゃったらどうしよう」という、恐怖にも近い感情を持ちつつ
客席の背もたれに埋もれました。

そして・・・そこに「シラノ」が居ました。めちゃめちゃりりしいクリスチャンも
気高くて美しくて可愛いロクサアヌ・・・。乱暴だけど、気のいいガスコンの青年隊達

文学座のファンになってよかった。
23年前のあの日、あんなに心を揺すぶった俳優達の語る
言葉、言葉、言葉の洪水に酔いながら
全編に漂う「せつなさ」と「潔さ」
わたしを改めて、ファンにさせてくれた文学座に感謝です。

ご好意で終演後、この日東京に帰られる演出の鵜山さんにお会いできました。
休憩時間も終演後も役者にダメ出しをされておられたそうです。
兵庫で魂を揺さぶられたこの『シラノ・ド・ベルジュラック』
もうすぐ、東京公演です。
ぜひお見逃しないように!!そして、ハンカチの用意も忘れずに・・・

11/1(水)~11/4(土) in 兵庫県立芸術文化センター中ホール
11/11(土)~11/19(日) in シアター1010
by berurinrin | 2006-11-05 17:51 | 文学座観劇感想