文学座ファミリーシアター『アラビアンナイト』その3

文学座ファミリーシアター『アラビアンナイト』 in 全労済ホール/スペースゼロ(5/4)

脚色 ドミニク・クック
訳   鴾澤真由子
演出 高瀬久男

<アリ・ババと四十人の盗賊>のお話。

ある日、貧しいアリ・ババ(亀田佳明さん)は、盗賊の宝の洞穴を見つけてしまいます。
盗賊の宝を持ち帰ったアリ・ババは妻(香月弥生さん)にすべてを打ち明けます。
おちょこちょいのアリ・ババの妻の不始末のせいで、アリ・ババの兄のカシム(助川嘉隆さん)
とその妻(山本道子さん)に知られる事になり、カシムは盗賊の宝の洞穴に向かいますが
盗賊の頭(三木敏彦さん)に見つかり、見せしめにバラバラに体を切り刻まれて
殺されてしまいます。。兄カシムの帰りが遅い事を聞いたアリ・ババは、兄を探しに
盗賊の宝の洞穴に向かいますが、そこで見たものは・・・

衣装は白の民族衣装を基本として、その上に布を羽織ったり、巻いたり
役柄に合わせてターバンや小物を活用しています。
シンプルな回り舞台に、最小限のセット。とてもシンプルで美しい世界です。
舞台下手には生のバンドが入り、4人の演奏者が珍しい楽器を手に
この舞台に彩を添えて、時にはメインで美しい音楽を奏でています。
そして、4人の演奏者の中には、文学座の俳優でもある外村史郎さんと
太刀川亞希さんが加わっています♪要チェックです。

「開け~ゴマ」「閉じろ~ゴマ」・・懐かしい言葉ですね。
でも、アリ・ババのその後のお話覚えていますか?
物語に登場する俳優達は、物語の語り部になりつつ演じます。
台詞の切り返しの流れの上手さに、いつの間にかシャハリヤール(早坂直家さん)の
寝室から、お話の世界に溶け込んでしまいます。

剥き卵のようなつるつるおでこの亀田佳明さん演じるアリ・ババは善良そうな小市民。
妻の香月弥生さんと可愛いカップルになっています。その反対のお金持ちで
ちょっぴり欲深な兄のカシムの助川嘉隆さんの登場は、虚勢を張った登場で
特に何をされてるわけもないのに「ぷっ(笑)」としちゃうインパクトがあります。
そしてそのカシムの妻の山本道子さん!かなり可愛いです!ピンクのほっぺに
花飾り・・笑っちゃいけません(笑)キュートです!

その後のアリ・ババのお話はまだまだ続きます。
賢いカシムの召使モルジアーナ(名越志保さん)の機転で、すべてが丸く収まります。
この名越志保さん・・びっくりする位に声の張りの美しさ、ダンスの柔らかさ。。
見る人を夢中にさせるきりっとした眼差し・・素敵です。
ラストはモジリアーニとアリ・ババの息子(木津誠之さん)との結婚式で大円団を迎えます。

さて、シャハラザード(目黒未奈さん)が語り終わると、シャハリヤールは怒り心頭。
即刻、死刑を命じます。が、まだまだ面白くて楽しいお話があるという、シャハラザードの
言葉に死刑を翌朝に延ばします。
そして、夜明けの一時間前にディーナザード(山田里奈さん)は
姉のシャハラザードに声を掛けます。
「お疲れでなかったら、お話を聞かせてください」
シャハラザードは王の承諾を得て言います。
「では、お話しましょう」

次回は<ある乞食の物語>のお話です。

~5/7(日)まで in  全労済ホール/スペースゼロ(新宿)
by berurinrin | 2006-05-05 11:38 | 文学座観劇感想