『カエル』

シリーズ“われわれは、どこへいくのか”①『カエル』 in 新国立劇場小劇場(4/7)

作  過士行
翻訳 菱沼彬晁
演出 鵜山仁

と、あるアジア(多分)の海辺の理髪店。
理髪師(千葉哲也さん)と客(有薗芳記さん)が、髪型について話をしています。
そこへ旅人(今井朋彦さん)が、やってきて散髪を頼みますが
彼らは髪型から時勢へと話続け、なかなか順番が回ってきません。
旅人は散髪をあきらめ、旅立って行きます。
そして数年後、理髪店に旅人がやって来ますが、相変わらず理髪師と客が
髪形について話をしていたのです。

いわゆる不条理ものです。
単純に普通でない、ありえない展開の芝居の事を不条理モノと囲っていますが
このストーリーも、なかなか一筋縄ではいかないユニークさが漂いつつも
環境問題や人災、犯罪・・まさに実際起こった事件を題材に
辛らつな現代批判がたっぷりと散りばめられています。
パンフレットに「とき  現代と未来」と、書かれていますが
そこに「過去」と書き加えたらなぁ・・・なんて思いました。
何度と無く台詞の会話がリフレインされて、今はいったいいつなの?と時間軸が
曖昧にずれていく感覚酔いそうにさせますが、そこはやっぱり鵜山さん♪
要所、要所にしっかり釘を打った演出でドラマ性を持った作品に仕上がっています。
そして旅人の今井さん・・・面白いですね。
なかなか散髪をしてもらえずに最後は仙人みたいになってしまいますが
でも、笑えるくらいお似合いでしたって笑っちゃいました♪
(どんな風貌がご覧になりたい方は、新国立のH.Pに写真がUPされています)
真面目に理髪師と客に時勢を語れば語るほど、話がずれてしまう時の間が最高です!
そして狂女なのか普通なのか田植えをする紅一点の女(宮本裕子さん)の存在が
怪しくてとても惹かれました。
そう、忘れちゃいけないのは、このセット!!なかなかインパクトあります。
すごーくユニークでびっくりしましたぁ、すごかった・・

~4/13(木)まで in 新国立劇場小劇場THE PIT 
by berurinrin | 2006-04-08 22:22 | 観劇感想