文学座本公演『戯曲 赤い月』

文学座本公演『戯曲 赤い月』 in 紀伊國屋ホール

作  :なかにし礼
演出 :鵜山仁

満州から日本への引揚船の船底で、波子さん(平淑恵さん)と長女美咲さん(尾崎愛さん)
次男公平君(川口潤くん)の寄り添う姿がありました。波子さんは過去を振り返ります。
12年前に結婚した勇太郎さん(石田圭祐さん)と共に、満州へ渡った事。
ソ連軍が満州を侵略し、夫の留守中に子供達や奉公人らを連れての逃避行の数々。
生き延びる為に波子さんの戦いが始まるのです。

この戯曲は、なかにし礼さんの実母である波子さんの半生を描いたものです。
そして次男の公平君は、なかにし礼さんご自身になります。
約95%真実の物語、ほとんど真実の言葉で描かれているそうです。
戦後60年という事で、戦争を題材にした作品を数多く目にする機会があったのですが
こんなにリアルで、きれい事のかけらも見当たらない作品なのに
言葉にならない切なさと感動で、心の動悸を鎮めることが出来ませんでした。

照明やスライドで年月の経過やスピーディーに替わる場面の数々、
何役も演じる多才な俳優達の胸を打つ悲しいエピソード・・
子供を守るために、強く抱きしめすぎて窒息させてしまった母親。
ソビエト兵に暴力を受ける娘達。。絶望して自害する将校。。などなど
特に今回は短い場面でも何役をやられる方々の俳優達の演技力、集中力に
脱帽です。さぞ、大変な作業だったと思います。

一歩間違うと自分勝手な女になりかねない波子さんの平淑恵さんの
一途な生き方、生への執着心。美しさと愛らしさに酔いまくり、
波子さんを愛しながら敵に向かって
死んでいく大杉さん(大滝寛さん)のかっこよさ。
怪しい魅力たっぷりの氷室さん(長谷川博己さん)の大熱演で息を呑みました。
盛りだくさんのストーリーを判りやすく整理された鵜山仁さんの演出。
素晴らしいの一言です!

休憩を入れて3時間もの大作に仕上がっていますが、
あっという間の3時間でした。なかにし礼さんが客席でご覧になっておられ
終演後、自然と沸き起こった拍手の輪の中にいらっしゃいました。

できることならもう一度観たい~!!

~9/2(金)紀伊國屋ホール

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画像については事前に劇団の許可を頂いています。無断転載はなさらないで下さいね★
p.s次回は『戯曲・赤い月』バックステージの旅にお誘いいたします(^_-)-☆
by berurinrin | 2005-08-27 23:57 | 文学座観劇感想