シェイクスピアリーディング春のシリーズ『タイタス・アンドロニカス』

シェイクスピア祭 リーディング春のシリーズ『タイタス・アンドロニカス』 

                       in 文学座モリヤビル1階(4/20

 

作  W・シェイクスピア

訳  小田島雄志

演出 西本由香

美術 石井強司

照明 坂口美和

照明操作 清水圭吾

主催 シェイクスピア祭実行委員会「タイタス・アンドロニカス」組

 

舞台は古代ローマ帝国。

ゴート族の女王タモーラ(奥山美代子  さん)とその三人の息子達を捕虜として

勝利からの凱旋帰国した武将・タイタス・アンドロニカス(高橋克明  さん)は、戦死した息子たちの死を

弔うためにタモーラの嘆願を無視してタモーラの息子の一人を生贄として捧げます。

ローマの新皇帝・サターナイナス(神野崇 さん)は、タイタスの娘・ラヴィニア(前東美菜子  さん)を妻に

迎えようとしますが、彼女はサターナイナスの弟・バシエーナス(駒井健介  さん)と婚約していました。

それを知っているタイタスの息子達の反対に怒ったタイタスは、末息子を斬り捨ててしまいます。

サターナイナスは、タモーラを妻とし、それ以降タイタスへの態度は怒りに満ちていきます。

そして権力を得たタモーラもまたタイタスへの復讐を開始していきます。

 

リーディング第2弾は『タイタス・アンドロニカス』と『じゃじゃ馬ならし』の2作品連続上演。

まずは、『タイタス』から拝見させて頂きます

そんなこの日は、一日信濃町day(^_-)-

第一弾の『エドワード三世』は、前半は、手に台本を持って演じられるというリーディングスタイルと後半は

手から台本を離して…という芝居スタイル。

今回は、ド・芝居(^^)/

まっ、リーディングといいつつもフリースタイル形式でと監修の鵜山仁  さんがおっしゃっていたので

なんら問題もなく

が、今回はド・芝居であるがゆえに成功したと思いました。

と、いうのは…まぁそれはそれはエグイっす。この作品…想像したくないんだもん

リーディングだと、どうにもこうにも俳優の姿の先の自分だけの世界をみてしまう

なもんで、今回は、違う意味で救われた気がするのです。

 

舞台は、中央にしつらえたテーブル。両側にはハンガーに吊られたキッチン用品。

このキッチン用品のシルバーに光るステンレス製の冷たい温度と反する果物の鮮やかな色彩。

これらが、どう絡んでいくのかと思ったら…

このキッチン用品のお玉とか泡だて器(笑)が、人を刺し貫く剣となり

お鍋が、復讐と血塗られる王冠になったりと、

聞くのも辛い台詞の応酬の最中、もっとも悲惨な状況やおぞましい残酷な場面の中に、

浮かび上がってくる滑稽さ…どーみてもキッチン用品だし(><)

次々行われる殺戮の犠牲者たちは、小さく畳まれたテーブルクロスで使われるリネンの質感のような布地。

「えっ、そうきちゃうのくすっ(笑)」

これはちょっと、完璧に裏切られました(笑)なんか嬉しくなっちゃいました。

まるで夢の中に入り込んじゃった気分。

でもその小道具たちの質感から湿度も体温も感じさせない、つーんとした冷やかさも伝わってきます。

熱いけどちょっと引いた空気感とか

そこんとこの按配がたまりません★つーかかなり好き(#^.^#)

なんか、演出の西本さんこともっつあんと鵜山さんと感じる周波数が近いんでないかい?!

髪型だけじゃなく(爆笑)

と思うほど私の心に引っかかってきたのでした。

 

と、演出も素敵でしたが

キャストも素敵!なんか入場1,000円ですみませんm(__)m

追加料金支払わなくて、本当にイイんでしょうか?!

それも税込で…(><)ありがたい!!関係者の方々は本当に大変だと思います

今更ですけど…

 

タイタスを演じられた克明さんの自信満々の武将の姿から、苦しみさいなむ父親の苦悩の嘆きの表情…

ラストのあの瞳から冷たい火花が確かに浮かんでみえました。

克明さんの涙に溢れるあの表情…確かに心に刻みました。

今、とても克明さんの芝居が熱い気がします。

どんな役柄を演じても克明さんの身体の一部、役の一部分が克明さんの血であり肉を感じさせられます。

克明さんから目が離せなくなっちゃうんですよね。

 

その克明さんと真っ向からぶつかるタモーラをしょっぱなからテンション高く演じられたのは奥山美代子さん。

どんなに過酷な運命からも立ち上がり復讐をエネルギーに変えるしたたかな女王を奥山さんが演じられると

悪女なんだけど、それだけじゃない何か女性としての悲哀も感じさせれちゃうのです。

たぶん冒頭の息子の命の嘆願が聞き入られず殺されてしまった嘆きのシーンが圧巻で、

あの悲しみの姿が、脳裏に焼き付いてしまったからかもしれませんが、毅然とした姿は本当に美しい女王でしたね。

 

そのタモーラの愛人・ムーア人アーロンを沢田冬樹  さん。

以前、某演出家による『タイタス・アンドロニカス』をDVDで拝見した時、印象が余りなかったのですが

今回拝見して、アーロンの人物像が浮き上がってきたというか

極悪非道な人物だけど、それだけじゃない、血の通った人間だという事。

自分の子を愛する感情がある姿に感動してしまいました。

そこまで悪人として生きざる得なくなってしまった彼の生涯を思うと胸が痛みました。

冬樹さんだからこそのアーロンですね。

丁度、この日偶然にもご一緒させて頂いた阿藤智恵さんが

「シェイクスピア作品の中で、大好きなキャラクターがアーロン」っておっしゃっていて

~なるほどと、納得したのでした。実際このリーディングを観ていなかったら引いていたかもです(苦笑)

 

タモーラの夫で、タイタスによって新皇帝となるサターナイナスを神野崇さん。

ちょっと短気でこまったちゃんな皇帝ですが、かっこいいから許しちゃおうみたいな()

タモーラに完璧に支配される感がかなり素敵ですね。

意外な神野さんに限らず意外な配役もリーディングの面白さかも…と思っちゃいます。

 

サターナイナス皇帝の弟は、バシエーナス。演じられたのは駒井健介さん。

お兄さんのサターナイナスとは対照的に毅然とした真っ直ぐな態度の好青年。

バシエーナスを皇帝にしたら起こらなかった悲劇なのかもしれませんね。

あっけなく殺害されてしまって…

そんな駒井さんは、イケメンさんの上に伸びやかないい声をされてます。

彼を見てると役に食らいつくような貪欲さを感じます。

きっともっともっと大きく大きく成長するんだろうなぁ~と楽しみな逸材だと思うのです。

 

悲劇のヒロインは、タイタスの娘で、バシエーナスの妻ラヴィニア。

一瞬の幸せを得た途端に想像する全ての不幸と体験を背負ってしまった女性。

最近、会うたび観るたび美しさを増してくる…そんな前東美菜子さん。

シェイクスピア祭第一弾『お気に召すまま』のヒロイン・ロザリンドで一躍注目を浴びた美菜子さん。

これからも注目の女優さんです

 

タイタスの弟・マーカスとタモーラの息子・カイロンを演じられたのは4月に準座員に昇格された

木場允視  さん。

そしてタイタスの息子・リューシアスとタモーラの息子・ディミートリアスを演じられたのは

同じく4月に準座員に昇格された宮澤和之  さん。

お二人とも堂々と伸び伸びと演じられていましたね。

難しい台詞をなんなくこなして語ってる姿は、とても頼もしく気持ちよく観ていられました。

 

そしてつかず離れず…時に一歩引いたところから怖いもの見たさで覗き見する少年や

幼いタイタスの息子と変幻しながら加わる難しい役どころを藤崎あかね さん。

抑えつつ自分を出して絡んでいく、あかねちゃんのコミカルな一面もみせてもらって

彼女もまた、まだまだ色んな一面があるのかと

舞台の上で魅せたいたずらっぽい表情が忘れられなかったのです。

 

4/19(土)~4/22(火) in  文学座モリヤビル1階












by berurinrin | 2014-05-01 22:09 | 文学座観劇感想