文学座本公演『大空の虹を見ると私の心は躍る』

文学座本公演『大空の虹を見ると私の心は躍る』 
                       in  紀伊国屋サザンシアター(12/6、12)

作  鄭義信
演出 松本祐子
美術 乘峯雅寛
照明 金英秀

繁華街のはずれにある映画館『新星劇場』。都市開発が進み日曜日には廃館となります。
この日も再就職の面接に向かうのはオーナーの安田均さん(清水明彦さん)。
都会に住む息子・映一さん(柳橋朋典さん)も片づけの手伝いに帰省中。
なぜか映一さんのバイトの先輩(?!)の菅原太一さん(木津誠之さん)もお手伝いなう。
そんな中、この映画館の前オーナーで均さんの父・善蔵さん(坂口芳貞さん)が顔を出します。
よもや話で盛り上がっている途中、善蔵さんの口から「映都」という名前が出た途端に
表情が固まる均さんと映一さん。。映都君は、十二年前に自殺した映一さんの弟の名前でした。

今年最後のラインナップです。
なんかいいタイトルですよね、ちと長いけど…一度覚えちゃうとなんか心の中で反芻しちゃう
未来への明るさが込められた素敵なタイトルだと思いました。
この作品のメインは、いじめ…でも、このタイトルのようにラストは、
とてもすがすがしい気持ちにさせられました。
私たちは、目覚めの朝からすでに決断と後悔の間でざわざと
二者選択の分かれ道で悩みもがき、頭を抱えながらしゃがみこんで生活してる気がします。
じぶんではどうしようもなく、悩んでも仕方がなくても後悔するし
それが誰かに責任を転嫁できたら気持ちも楽になるのかな…いやいや
そんなこんな生きてるうちは、やっぱり明日はくるし
できれば今日よりも明日が、スプーン一杯、水の一滴でも楽しい出来事があるといいなぁ~と
思うのです。

映都君は中学生でいじめを苦に自殺してしまいます。
この芝居の登場人物にはいじめっ子は出てきません。
残された遺族たちは、映都君の死と向き合うことができないまま
それぞれの心の中で、ひっそりと映都君と寄り添って生きてきたのだと思うのです。
被害者家族に対して、あまりにも世間は厳しかったのですね。
同時に、この映画館に集う人たちのそれぞれの思いや悩みが、嵐の夜にぐぉーっと溢れ出します
作品は短い時間の中でぎゅっぎゅっと詰まって、こぼれている感じもあるのですが
そのこぼれた部分は、私たち一人一人の心の中に詰まってるエピソードの
リンクする部分としっかり結びついて、自分たちの物語のような新たな展開を感じさせてくれました。
なんか舞台にもう一人の自分の姿を見た気がしちゃいました。
心に沁みました…

二回目拝見した時は、バックステージを見せて頂きました。
この作品の舞台は映画館のロビーです。
どれもこれもが超リアル(*^^*)
もなかアイスにスナック菓子、本当は客席からでは見えないチケット売り場の様子もしっかり
実は、台本がちょっと遅れたそうですが、冒頭部分のト書きが完成していたそうです
それは舞台となる映画館のロビーの様子が克明に描かれていまして
そのまんまほぼ舞台化したと祐子さんが、ト書きを読みつつ、セットの模型を指で差しながら
ちょっとドヤ顔(笑)で説明してくださいました。

やっぱ鄭さんと祐子さんのタッグはいいですねぇ~
今年最後の文学座のラインナップ、いい締めくくりができました。
ありがとうございました
 
12/6(金)~12/15(日)まで in 紀伊國屋サザンシアター




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by berurinrin | 2014-01-03 15:24 | 文学座観劇感想