文学座5.6月アトリエの会『NASZA KLASA(ナシャクラサ)私たちは共に学んだ-歴史の授業・全14課』その4

文学座5.6月アトリエの会『NASZA KLASA(ナシャクラサ)私たちは共に学んだ-歴史の授業・全14課』
その4
                                        in 文学座アトリエ(5/18、22)

作  タデウシュ・スウォボジャネク
訳  久山宏一
演出 高瀬久男


ユダヤ人(ユダヤ教徒)
ドラ(牧野沙也子さん)1920-1941
ラヘルカ(山本郁子さん)1920-2002途中でカトリックに改宗してマリアンナ
ヤクプ・カツ(藤側宏大さん)1919-1941
メナヘム(亀田佳明さん)1919-1975
アブラム(采澤靖起さん)1919-2003

ポーランド人(カトリック教徒)
ゾハ(佐古真弓さん)1919-1985
ルィシェク(川辺邦弘さん)1919-1942
ズィグムント(沢田冬樹さん)1918-1977
ヘニェク(中村彰男さん)1919-2001
ヴワデク(清水明彦さん)1919-2001
名前の後ろの数字は、生没の年代が表示されています。

ゾハ(佐古真弓さん)の場合
お針子になりたい!と将来の夢を語ったゾハは、女中をしている母に育てられました。
ユダヤ人のメナヘム(亀田佳明さん)に恋をしているようですが、メナヘムはドラ(牧野沙也子さん)に夢中のようです。
ソ連軍が侵攻し、カトリック系の建物が映画館に変わり館主となったメナヘムに
協力して寸劇を行いルィシェク達に非難されます。メナヘムはドラにプロポーズし
アブラム(采澤靖起さん)から来た手紙にラヘルカ(山本郁子さん)への想いが綴られていた事で
母親から勧められていた歳の離れた農場主と結婚することにしたゾハ。
独ソ開戦により、ポーランドをドイツ軍が占領し、ユダヤ人の迫害が起こります。
ある日、ルィシェク(川辺邦弘さん)、ズィグムント(沢田冬樹さん)、ヘニェク(中村彰男さん)ヴワデク(清水明彦さん)ら
同級生たちに虐殺されるヤクプ・カツ(藤側宏大さん)を目撃したといって
農場に突然現れたメナヘムが、 ゾハに助けを求めてきました。
そしてメナヘムの頼みでドラの様子を見に行きますが、すでに狂信したポーランド人達の壁に囲まれたドラに対して
見殺すしかなかったゾハ。
時に体を張って、ゾハは戦争が終わるまでメナヘムを匿うことになります。
戦争が終わり、メナヘムの助力でアメリカに亡命するゾハ。本当はメナヘムと一緒に出国したかったのに・・
アメリカで、アブラムと再会し、全てを語ります。
メナヘムはいつまでたってもゾハの元には来てくれず、異国アメリカでの生活の不安から悲観した時に
ふと声を掛けてくれたユダヤ人と結婚します。
子供に恵まれ、一時の幸福を手に入れますが、終戦までユダヤ人であるメナヘムを匿った話を
アブラムが良かれと思って公にしたことで、夫婦仲は悪化します。
夫の死後、亡命者の一時帰国で、ポーランドにやってきたゾハ。
同級生ラヘルカ(山本郁子さん)とヴワデク(清水明彦さん)の貧しい暮らしに驚き、
司祭となったヘニェクの案内で同級生達のお墓を巡ります。
アメリカに戻り。最後は老人ホームで、家族すら訪問を拒み自ら命を経ちます。

あまり自分の感情を出さないゾハ。
聡明なゾハに対して、時代が変わろうとも彼女にとって世間は冷たい・・・。
彼女はメナヘムを愛しているのにアブラム(采澤靖起さん)から来た手紙に、
アブラムが幼い頃のラヘルカへ想いを告白したことで
「ああそっかぁ~」って、母親が決めた歳の離れた農場主と結婚しちゃうんですよね。
実は、そこんところがちょっと腑に落ちなくて、失礼ながらも演じられた佐古さんに伺ったところ
家庭環境に恵まれたとは言えない中で育ったゾハは、もしかしたらコンプレックスの塊で
好きなメナヘムからだけではなく、他の同級生の異性から注目を引きたい気持ちがあったのかもしれなくて
それがアブラムの告白で「ああそうなのか」と、
やっぱ自分じゃなくて綺麗なドラやラヘルカなんだ・・と諦めの気持ちが出ちゃったのかも・・と
幼少の頃は、注目してもらいたい、自分を愛してもらいと心の叫びを訴えていたゾハが
老齢に入り、自分の子供たちから離れ、心を閉ざして、淡々と一人静かに命を絶ってしまう
強がりな振る舞いをすればするほど、彼女の人生が本当に哀れに思ってしまいます。
そんなゾハを演じられた佐古真弓さん。
なんとアトリエは、修学旅行の引率の先生を演じられた『エスペラント』以来だそうです。
本公演では『定年ゴジラ』。
定年を迎えた山崎さん(坂口芳貞さん)の次女で
離婚訴訟中の妻子ある会社の上司と恋愛中のOL万里さんを演じられました。

ルィシェク(川辺邦弘さん)
パイロットになりたいと言っていたルィシェク。
野原を無邪気に駆け回るやんちゃな子供時代を過ごしていたと思います。
同級生の可愛くて綺麗なユダヤ人のドラ(牧野沙也子さん)を両思いと知らずに告白しますが
無残にも他の同級生達に見つかって、からかわれ彼は傷つきます。
その後、ドラはメナヘム(亀田佳明さん)と付き合うようになります。
ソ連軍が侵攻し、カトリック系の建物が接取され映画館になります。
カトリック教徒でポーランド人のルィシェクは仲間であるポーランド人の同級生ズィグムント(沢田冬樹さん)、
ヘニェク(中村彰男さん)、ヴワデク(清水明彦さん)と地下組織を作りますが
ソ連兵に捕まります。仲間を守る為に口を割らないルィシェクに対し、
ある日、兵士に連れられたヤクプ・カツ(藤側宏大さん)が、ルィシェクを前にして彼の身元を話してしまいます。
独ソ開戦により、ソ連に変わってドイツ軍が侵攻し
散々暴行されて解放されたルィシェクは、ヤクプ・カツをスパイだと思い込んでいます。
通りの向かいから歩いてきた ヤクプ・カツを、 ズィグムント 、ヘニュク、ヴワデクらと捕まえ、暴行し、
倒れた彼の頭に大きな石を落として息の根をとめたルィシェク。
今度は皆でメナヘムを捕えようと彼の家に行き、留守番をしていたドラを乱暴します。
村のユダヤ人を集め、とある穀物倉庫に押し込めるルィシェク達。
その中にはドラの姿も・・救いを求めるドラを殴るルィシェク。
ユダヤ人の殺戮が終わった後、ヴワデクからラヘルカ(山本郁子さん)が、
カトリックに改宗して彼と結婚すると伝えられ協力します。
その後、 ズィグムント から唯一生き残りのユダヤ人である ラヘルカ =マリアンヌの殺害を依頼され
ヴワデク の留守中にマリアンヌを捕えますが、 それを知ったヴワデク に追いつかれ、射殺されます。

ちょっと、むちゃくちゃな野獣みたいなところもありましたが
子供の頃からの無邪気さは最後まで変わらなかったような気もするのです。
ヤクプ・カツの姿が哀れに思って、楽にさせてあげようと石を彼の頭上に落としたとか
その後のペロンはちと怖いのですが・・。絶対にドラへの暴行は許せないけれど
ドラの最後も、周りの手前どうしようも出来なくて殴ってしまったとか・・
そのドラの死から幻覚に悩まされたり
マリアンヌに対しても結婚や改宗を素直に祝福して、ズィグムントからの殺害指示に対して一旦躊躇したり・・
時代が変わっていたならば、普通の人物になりえたし優しい真面目で素直な人物だったのに・・
ヴワデクに殺された後、生きてる彼らを見守るルィシェクの隣に寄り添うのはドラ。
生きている間に、微笑み合い寄り添う二人の姿を見てみたかったものです。

そんなスイッチが入ると狂犬のような振る舞いをみせるルィシェクを演じられたのは川辺さん。
アトリエの会『ダーウィンの城』では、やはり怖いカタギリヒロシさんを演じられました。
あ~でも普段の川辺さんは、本当に本当に面白くて優しくてとってもとっても素敵な方なんですよぉ~
だからこそ、このギャップに萌え~なのでした(笑)

ズィグムント(沢田冬樹さん)
軍人になりたいと言っていたズィグムント。
子供時代、そんなに目立つ雰囲気はないように思いました。が、
一転するのは、ソ連が侵攻してきた時。
村の人たちが、彼らを歓迎するするためにみんなが赤い旗を掲げた際に
ズィグムントのお父さんはポーランドの旗を掲げた事で連行された事から・・
(当時は、理由もわからず人が連行されたようです)
ユダヤ人たちがソ連軍を歓迎したのと反対に
ルィシェク(川辺邦弘さん)、ヘニェク(中村彰男さん)、ヴワデク(清水明彦さん)らポーランドの若者が
反ソ連に対する地下組織を作りますが、ある日ルィシェクが逮捕されてしまいます。
逮捕された際に連行されたヤクプ・カツ(藤側宏大さん)が、そうとは知らず彼を認めた為に、
彼はヤクプ・カツをスパイだと思い込んでしまいますが、実際はズィグムントが情報を流していたようです。
けれどその代償の父親は戻ってきません。
独ソ開戦により、ソ連に変わってドイツ軍が侵攻してくると例の如くルィシェク、ヘニェク、ヴワデクらと
ヤクプ・カツの殺害とドラ(牧野沙也子さん)への乱暴から穀物倉庫でのユダヤ人の大量殺戮をへて、
ヴワデクと結婚し改宗したマリアンナ(山本郁子さん)の代父となりますが、
村の唯一の生き残りであるユダヤ人マリアンナを恐れたズィグムントは、ルィシェクに指示して殺害を命じますが
失敗しルィシェクは、ヴワデクに銃殺されてしまいます。
戦後、逮捕されたズィグムントは、メナヘムと再会しますが、それは逮捕する側とされた側。
メナヘムから、ドラへ対する一連の事件を告発されますが、一枚上手のズィグムント。
その後、ポーランドの労働党に入党し二人の娘、自慢の一人息子の行く末も幸せに満ちていましたが
息子が旅行先で事故死してから一転、妻は精神病院に入院し、ズィグムントは覇気を無くし
ある日、脳出血で入院し死亡します。

この人は、まじ屈折してる・・・ってか、みえない不思議な人でしたよね。
なんか彼が笑うと怖い・・アブラム(采澤靖起さん)曰く
ズィグムントを含むポーランド人の彼ら四銃士
ルィシェク、ヘニェク、ヴワデクの中では一番の策士でもありましたが
家族の絆を愛する心は人一倍持っていた気がします。もともとお父さんの連行から
父親を取り戻すためのスパイ工作だったし
例えば、ドラを襲う前にドラの赤ちゃんをあやす姿や
自身の家族に対する愛情は図り知れない程・・その反面、ここまで人は冷酷になれるのかと
深い二面性を魅せてくれた気がします。
久々の悪役をみせて頂いた冬樹さんでしたが
『三人姉妹』では穏やかな男爵。そして『殿様と私2011』では、爽やかな車夫の三太郎さんを演じられていました。

先日のワールドカップ予選大会で、ポーランドVSロシア戦が行われ
緊張の高まる両国のサポーターの小競り合いで逮捕者が出たとニュースになっていました。
まだまだ過去を語りには、根深く問題なのだと、痛感しました。
by berurinrin | 2012-06-18 00:56 | 文学座観劇感想