文学座付属演劇研究所研修科演出部 自主勉強会『灰から灰へ』

文学座付属演劇研究所研修科演出部 自主勉強会『灰から灰へ』 
in 文学座新モリヤビル第2稽古場(12/4)

作   ハロルド・ピンター
訳   貴志哲雄
演出  的早孝起

デヴリン(沢田冬樹さん)を前にリベッカ(太刀川亜希さん)が語る記憶・・・。
それは彼女が心惹かれたある男性とのつかの間の記憶の物語・・。
今や、収容所に送られようとしてるプラットホームでの出来事。
同じ事を形を変えて語ることにより、少しずつ見えてくる真実があるようです。

互いの関係性が明確に提示されているわけではないので
台詞以外、彼ら二人の会話の節々から伝わってくる口調の優しさだったり
親しみだとか、距離感とかさりげない部分・・ナイーブな情報から
私たちは観ながら彼らの立場を感じ取っていくことになります。

当初、医師と患者のカウンセリング?と思ったり
夫婦?同棲してる恋人?・・でもなんか冷めた目線があるんだなぁ・・・
彼女は過去の酷い経験から心に傷を負っていることは、わかります。
その傷を語らせて、彼は何をしたかったんだろう・・・。
シュールだ(笑)
もしかしたら、もしかしたら、実は彼女の赤ちゃんを奪った人?
彼女が握りこぶしにキスした男性が、過去の男性だったりしちゃって
封印していた記憶がよみがえっちゃったりして・・・きゃー怖いっ

そんな詮索していると
まるで、どっつからか覗き見してるような後ろめたさを感じてしまいます。
それって、普段の生活の中でもありますよね。
帰りの電車の中でだったり、ふと入ったカフェの隣のテーブルに座っている
意味深なカップルの会話とか・・漏れ聞こえる中途半端な会話に聞き耳を立て
到着駅や席を立ったりして唐突に終わる。
とはいえ、そう周りの会話にやたらめっぽう気を取られているわけじゃなくて
会話している人やその声が自分の好みだったり、会話の中の言葉に惹かれたり
自分の中での選りすぐり。
で、何を言いたかったかというと、人を惹きつけることの難しさ。

このお芝居は、舞台と観客の関係と日常の地味で罪の無いささやかな覗き見趣味と
すごく近い感じがしちゃったもんで。
上演時間は、2時間弱と短いのですが、どうその時間まで二人だけで共通項を見出せない
私たちを惹き続けていられるのかが、難しいなぁ~と思いました。

演じられたのは、沢田冬樹さんと太刀川亞希さん。
これがまた、かなり個性的なお二人。
カラムとセフィーの物語』で、カラムが死刑を宣告された時、最後の友となり
得意のブルースハープの音色を聴かせて下さった看守を演じられた沢田さん。
わが町』では、客席から質問を投げかける客席の夫人を演じられた太刀川さん。

どんなに器用な役者でも、二人だけで向き合う芝居は、ほかに共演者がいない分
二人のささいな空気の流れが違っただけで、互いの感情の流れの矛先が
一方通行になっちゃう事があると思うんです。
それをキャッチして戻していくか・・いやぁ大変な作業だったと思いますよ。
これまた本が難しいから・・
とはいえ、この本を選んだ理由を知りたくなりました。
でもねチャレンジは大事大事、あえて難解に挑む姿勢は素晴らしいです。
くだくだなOLの私としては、頭が下がるばかり・・・

さて客席には、演出部の乘峯雅寛さん。
客席案内をしてる研修生に、さくっとアドバイスをされていました。
そしてわたしのお隣には、『殿様と私』にご出演されている寺田路恵さん。
丁度、一時帰京で観に来られたそうです。
他にも外部の仕事で海外公演から帰ってきたばかりの鈴木亜希子さんとか
先輩方にいっぱい観て頂ける機会があるのも劇団ならでは・・
そんな光景を見ると、なんか幸せな気分になります。

12/3(金)~12/5(日) in 文学座新モリヤビル第2稽古場
by berurinrin | 2010-12-14 23:25 | 文学座観劇感想