アトリエ60周年記念『ダーウィンの城』その2

思えば、アトリエ60周年記念公演。
第一弾の『トロイアの女たち』が始まったころは、まだ夏の色合いが濃かったのに
すっかり秋・・・早いものですね。
結局まだ衣替えもしてない自分・・もう着る服が無い・・・ヤバイっ
そんな事はさておき、キャストのご紹介を兼ねての感想ですが
ネタばれしちゃうのでご注意下さいね。

壮絶な役柄に挑んだのは、チハルさんを演じた藤崎あかねさん。
もう男性3人から乱暴されるわ、妊娠するわ、殴られるわ、歯が折れるわ、差し歯取れるわ・・
想像するだけで恐ろしいその壮絶な死まで、まじ凄かった本当に凄かった。
女優根性をみせてもらいました。
あかねさんは、楚々とした女の子から芯の強い女性まで幅広く演じられる若い実力派女優さん。
前回はアトリエの会『結婚』で小悪魔的な女性・ワダモモエさんを演じられました。
終演後、「血糊で顔が荒れちゃって(笑)」可憐な笑顔で、がはがはと笑うあかねちゃん。
あなたは偉いっ!

そんなチハルさんに狼藉を働く男たちその一群。
まずは幼馴染の3人組仲良くびっくりのフルヌードまでご披露されてましたっ!!
元はここの地主で、スカイタワーに住まうリーダー格のセガワショウゴさんこと高橋克明さん。
しゃべると怖いし、黙ってるとこれまた怖いっ
チハルさんのお姉さんと付き合っていて
「チハルとの関係がバレ投身自殺した」と言ってましたね。
それはチハルさんのせいで、生きていたら「パパになっていたかも」・・とか
一緒に住んでいる母親に対しても、育て方が悪かったと・・自分している事を
棚にあげて責任転嫁する・・なんとも救いようのないショウゴさん。
ピンポーンとモニターに映る目が超怖かった~。
普段は、優しくて素敵な克明さんだからこそ、冷ややかなショウゴさんの眼差しも
ぐっと受け止められちゃうのです。
『結婚』では、眼差しがクールで、危険な香りぷんぷんのモモエさんの元彼コクボケンジさん
を演じられていました。

「笑ってないからっ」と、ちょっとへらへらして・・殴られてるチハルを庇ったりして
3人の中では、ちょっとの優しさを感じるカネコユウジさんは、ぽっちゃり体型の櫻井章喜さん。
実は、もしかしたら怖い性癖も持っていそうな・・じゃないかもしれないけど・・
「幼稚園児の・・」とか、「怪しげな人」って・・まさかねぇ~う~ん
なんとなく良い人そうだけど裏がある・・そんな怖さを感じさせてくれました。
櫻井さんといえば、やっぱCM放映中『DAKARA』の余分三兄弟の脂肪さん(笑)
崩れたバランス』では、愛してるのに報われない・・ゆえに悲劇を起こす
ゲイのパウルをこれまた体を張って演じられてました。
櫻井さんもこれまた普段は本当に優しいんですよ。
終演後の「笑ってないから」じゃない本物満面の笑顔で癒されます。

冒頭、白いシャツ、サングラス姿でモノローグを語るのは、
カタギリヒロシさんこと、川辺邦弘さん。切れたらマジヤバイ人でした。
あのビン・○ディンのTシャツも怖いし、鋏もってチハルを追いかける姿も怖かった
テンションの高低の激しさに、くらくらしました。
しなやかな動きをされていましたね。ショウゴさんに玄関でスプレーを拭きかけられて
くねくねする姿が、ちょっと可愛かったですぅ(笑)
ランニングマシーンで走りながら、某TV番組の24時間マラソンをするシーン。
「メッチャホリデ~♪言うよねぇ~」と、照れた笑顔がキュートでしたねぇ
今回がアトリエデビューだったそうです。
鵜山仁さん♪きゃぁ(すいません)の演出された新国立劇場公演『ヘンリー六世・三部作』
や『舞台は夢』ではインパクトのあるお芝居をされていました。

ショウゴさんには同居するお母さんセガワヨシエさん。演じられたのは吉野由志子さん。
引きこもりさせられてるお母さん。ショウゴさんに支配されて、お腹が空いて
そこに置いてあったポテチを食べるシーンは、見ていてとても辛かったです。
ショウゴさんと二人で過去にどんな出来事があったのか?!
でもどんな目にあっても母親というか、おびえながらもショウゴさんを見る目は
確かに温かい気がしました。
そんな吉野さんは、『定年ゴジラ』では、定年を迎えた夫・山崎さん(坂口芳貞さん)の素敵な
奥様を演じられていました。

チハルさんと不倫の関係を持っていたのは、ニイミタケノリさん・中村彰男さんが演じられました。
放送作家?!妻のサトミさん(征矢かおるさん)から、彼の留守中に無言電話が掛かってくると言われ
チハルさんの仕業だとして、家に乗り込んで身重のチハルさんに殴る蹴るの乱暴をします。
このシーンはかなりショッキングでした。暴力のシーンのそうですが・・
普段は、理性的に他人と会話できる人物であり
穏やかで優しい夫が、妻に見せない裏の人格が現れる事の恐怖。
妻に浮気がバレて爪先立ちしながら、懸命に言い訳する姿。失った代償は大きなものでした。
そんな彰男さん。
実は、超二枚目さんなんですよぉ~(『ダーヴィンの城』でびっくりされた方の為に(笑))
実は実は色気のある素敵な彰男さんです。
『崩れたバランス』では、白いシルク素材のパジャマを着て不安定な妻(鬼頭典子さん)の言動をいぶかしむ
ベットの中の男性を演じられていました。

そのタケノリさんの妻・サトミさんは、征矢かおるさん。
子供が欲しくてルームランナーを買って適度な運動をしながら夫を誘う妻。
(運動しながら見るDVDが、ミウラサヨコさんの妊婦姿というのも何ともその後の事件を思うと皮肉です)
家では下着姿がセクシーでしたね。それにしても同性からみても素敵なプロポーションでした。
夫の浮気を突然宛名のわからない盗撮されたDVDから知る事になったサトミさんの
狂気にも似た動揺した姿に、いったいどうなっちゃうのかとヒヤヒヤドキドキでした。
高層マンションベランダから自分の下着をポイッと投げ捨てるシーン。思わず「えーーっ」って(笑)
でもサトミさんも潔白人間ではなくて、チハルさんと何やらヤバイ取引をしていたのかなぁ
互いに携帯で写メしながら挑発するシーンは、女同士のガチ勝負!すごかったですねぇ
かおるさんは、山崎美貴さんとのユニット・テアトロサンノーブル第二弾
『この星にともる光』で作・ご出演です。
(演出は今回と同じ高橋正徳さんですよん)
久しぶりの劇団のお芝居にご出演のかおるさん。
パレードを待ちながら』で、戦争に行ってる夫の留守を守る女性達が団結してる中で
孤独なマルタを演じられていました。静かにタバコをくゆらせるシーンがとても好きでした。

スカイタワーに住む若い夫婦の赤ちゃんが誘拐される事件が起こりました。
赤ちゃんのお父さんはミウラトモキさんこと斉藤祐一さん。
スカイタワーの住人とその周辺地域に住む人たちとの共存について
すごい力説を説いていましたねっ。普段は穏やかなのに、急に目を剥いて怒鳴ったり感情の起伏が激しく
トリッキー所もあったりして・・「砂糖!」と叫びだして、スプーンでお砂糖をそのままお口に入れちゃったり
甘党さん?!がんがん紅茶にも砂糖入れてましたねf(^_^;)
始めと最後と着実に変貌していくトモキさん。怖かったですね。
『崩れたバランス』では、櫻井さん演じるパウルに振りまわされた元カノ(カレ?!)&精神科にかかる患者
を演じられていました。

妻・ミウラサヨコさんは、アナウンサー牧野紗也子さんが演じられてます。
赤ちゃんを誘拐した犯人とスカイタワーの安全への疑問を連日マスコミを通じて訴えかけています。
ところが、サヨコさんは、すっかり心身ともに虚弱となり
トモキさんの作る文章をそのまま発しているようです。
けれど、そこは母親。かすかに聞こえる赤ちゃんの泣き声を頼りに
1000人は住むというスカイタワーをベビーカーを押して訪ね歩いたり、
いたずら電話に悩まされながら電話機の前で座り込む姿は、
痛々しいほどの赤ちゃんを救出しようと必死な姿をみせてくれます。
そして家の中で、子守唄を歌いながらベビーカーを押すサングラス下の素顔!ぎゃーでしたねっ
夫からDVを受けていた・・・・ショックでした。複雑なサヨコさん・・紗也子さん、頑張ってましたね!
』では、冒頭のシーンのカフェのシーンで、ウェイトレスさんを演じてました。
すらっとした品のある立ち姿が魅力の紗也子さん。美しい女優さんです。

誘拐してきた赤ちゃんを世話しているのは、スカイタワーの住人タチバナケンスケさんこと石橋徹郎さんと
エンドウタクヤさんこと植田真介さんのゲイのカップル。
ケンスケさんは、初めは赤ちゃんに対して新米パパのような楽しさと気遣いをみせていましたが、
だんだん様子が・・・どうなったんでしょうね?赤ちゃん・・・・。
そんなもしかしたら凶行しちゃったかもしれない石橋さんいやケンスケさんの泣き止まない赤ちゃんに
「睡眠薬とかってないのかなぁ」みたいな発言・・ぞくっとしました。
ミウラ夫妻が、赤ちゃんの行方を尋ねに来た腹いせに、簡単にネットを通じて嫌がらせをする陰湿さも
近くに生活してるだけに、その人の裏の部分が怖いです。
石橋さんといえば浅野雅博さんと共同企画した下北沢OFFOFFシアターでの
『モジョミキボー』のミキボー君!一ヶ月ロングラン公演が大成功でしたぁ~

赤ちゃんの世話はタクヤさん・・・少しずつ慣れない赤ちゃんの世話に育児ノイローゼ気味から
虐待に・・・泣き止まない赤ちゃんに哺乳瓶で殴ろうとして必死に自分を抑える姿が、心に痛かったですね。
それでも初めは、いい親になろうと頑張ってる姿も垣間見て複雑な心境でした。
ケンスケさんを大好きオーラが出ていて可愛かったタクヤさん。
タンクトップ姿で筋肉質な体型と違って、可憐でつぶらなおメメ(笑)
女優さんからビューラーを借りて、まつげをくるりん♪してたそうですよっ
そんな植田さんは、『わが町』での野球少年ジョージ。
ジョージの少年時代から幼馴染のエミリー(栗田桃子さん)との結婚から
早すぎた妻エミリーの死とその成長の過程を客席から見守りましたね

元教え子のチハルさんの年の離れた夫は、シンドウヤスヒロさん・大原康裕さん。
金魚を飼っていて、教師をしていて社会的にも地位があるヤスヒロさんの裏の顔は
嫉妬深くて盗撮趣味?!自分が留守の時にビデオを仕込んでいてチハルさんの行動を監視して
チハルさんがショウゴさん、ユウジさん、ヒロシさんに乱暴を受けてる映像や
タケノリさんに暴力を受けてる映像をDVDに焼き増しして相手の自宅に郵便受けに入れちゃって・・
やな人ですね・・それが、最後にチハルさんを追い詰める結果になるんですよね。
冒頭のTVシーンで、オ○ムの3人のうちの一人で、超舌で囁くように語る姿も怖かったですねぇ~
そんな大原さんはキッコーマンの焼肉のたれ「わが家は焼き肉屋さん~♪」で上戸彩さんのお父さん(笑)
花咲くチェリー』では、チェリー(渡辺徹さん)の同僚ギルバート・グラース氏を演じておられました。

カネコユウジさんのお父さんはアキオさん・金内喜久夫さん。
地主のアキオさんは、悠々自適の暮らしの中で、町の犯罪防止に苦慮しているようです。
町とスカイタワーの住人達の関係をより良くする為に、
この劇中に登場するスカイタワーの住人全員とコンタクトを取ってる人物というのが面白いですよね。
競馬が好き(笑)というのは、まさにアテガキですかねぇ(笑)
唯一アキオさんの登場シーンは、気持ちが切り替えられるというか緊張感が続くだけに、
ほっこりするシーンが多かったですね。
特にユウジさんとアキオさんの親子が並ぶと、なんか面白かったです。
全てが終わって、幼馴染のヨシエさんを労わりながら語らうシーン・・本当にいい場面でしたね。
でもエピローグの制服姿・・・・ぞぞぞっとしたのは私だけでしょうか?
麦の穂の揺れる穂先に』では、江守徹さん扮する高柳誠二さんの義兄・中島健一さん。
高柳邸に来るたびに健康器具をいじってましたね★
by berurinrin | 2010-11-06 16:23 | 文学座観劇感想