俳優座プロデュースNo.83『兵器のある風景』

俳優座プロデュースNo.83『兵器のある風景』 in 俳優座劇場(3/26)

作   ジョー・ペンホール
訳   常田景子
演出  坂手洋二

イギリス人の航空力学の研究者ネッド(大西孝洋さん)は、ある機密プログラムの開発中。
そのプログラムを実現化の為、度重なる試作実験を米国政府の協力の元に行っていたようです。
訪ねてきたネッドの兄・ダン(中嶋しゅうさん)に、つい機密の内容を話してしまいます。
ネッドが開発したのは、無人化の飛行誘導プログラム。
民間人の誤爆を防ぎ、確実に標的を殺戮すると・・これは平和利用だと
まるで正義を語るように話すネッドに対し、ダンは、軍需産業に利用され、
ゆくゆくは大量破壊兵器となるだろうと諭し、ネッドは悩みます。

ミツバチや渡り鳥のフォーメーションをアイデアに得て、誘導型無人化飛行プログラムを
開発したネッド。ところが、このプログラムの実現化に向けては莫大な費用が掛かっていて
そのアイデアを企業に提供し、米国政府の援助を受け製品化の道が開けた途端。
契約書のカラクリから全てを失ってしまうネッド。
科学者というものは、どうにもこうにも極めてしまわないと気がすまないものなんでしょうかね。
第二次世界大戦を背景にして原子爆弾製造を扱った『コぺンハーゲン』(鵜山仁さん演出ですね★)
しかり、日本でも製造実験しようと『東京原子核クラブ』もそう・・
彼らも始めっから兵器として開発しようとしていたんですかしょうかね。
たまたま時代の流れが、戦争に向ってしまっただけで、彼らは居合わせてしまったに過ぎない
彼らは科学者であり、極めたくなるのも自然の摂理ですよね。ただその先に地獄の門が開いていても・・
プログラムが完成し、兄ダンに鼻高々に自慢する子供のようなネッドに
兄は、普通に疑問を投げかけます。ダンの疑問は、わたしたち一般の人々の問いかけです。
「そりゃぁヤバくない?!」みたいなf(^_^;)
ダンの言葉に、目からウロコのネッド・・・でも、もう彼のプログラムは、彼だけのものではなくなってる。

人の心を自分の思い通りにさせる為には、本当にたくさんの言葉と気持ちを費やさなくては
いけないんだなぁ~と、その経過を丁寧に細かく、時にサスペンス調に魅せてくれました。
長い時間を使って、ネッドとダンの互いの手の内を見せ合うまでの工程を
ひたすら会話で応酬し合う姿は、すごく見ごたえがあって
もう瞬きするのがもったいない位に魅入ってしまいました。
その後、ネッドのプログラムのコーディネーターの営業担当のロス(荻野目慶子さん)の
ちょっと女性を意識したクレバーな態度もすごい!!つーか、怖かった(笑)

そんなすごい方々と引けを取らずに関わるのが、情報部員のブルックスを演じられた
浅野雅博さん・・契約書のサインを拒むネッドを無機質な部屋に呼び寄して
突然ボールを投げてキャッチボールをさせちゃったり、机を指先でとん、とん、とーんと
クールに相手を追い詰めていく浅野さん・・・わっわっ、またまた新しい一面を観てしまいました。
また口調が、優しいんだか厳しいんだか、声音がね。なんか・・うがっってくるんです
なんて表現すればいいんだろ??でも、素敵でしたよぉ~
浅野さんの出番まで、かなり時間がかかるので
このテンションまで気持ちをキープするのは大変なんだろうなぁ~と、思ったら
やっぱり、すごく大変なようです。そりゃそーですよね★

観終わって、集中しちゃった所為か、神経がぐたぐたになりましたが
細やかに計算されたスタイリッシュな演出とレベルの高い俳優達の密度の濃い芝居を拝見出来て、
大満足でした♪

クールな魅力を振り撒いた浅野さんの次の芝居は、モジョですよぉ★
そんな着々と準備をしてるモジョとミキボーさて今日のご機嫌は?
情報ブログはこちら→モジョ/ミキボーのブログ
by berurinrin | 2010-03-21 23:25 | 観劇感想