文学座付属演劇研究所研修科卒業公演『リリオム』

文学座付属演劇研究所研修科卒業公演『リリオム』 in 文学座アトリエ(1/30)

作  モルナール
訳  飯島正   
演出 高橋正徳

回転木馬の客引きをしている人気者のリリオムですが、刑事にマークされているならず者。
そんなリリオムと、休日に公園に遊びに来た住込みで女中をしているユリィは出会います。
惹かれあう二人に嫉妬した小屋のおかみさんに解雇されたリリオムは、あっという間に文無し。
そして門限をやぶったユリィも同じ・・・二人は、同棲を始めます。
職が無く、貧困のいらだちからついユリィに暴力を振るってしまうリリオム。
けれどユリィから妊娠を告げられ、子供の為に大金を稼ごうと、ついつい危険な話に乗ってしまいます。

リリオム・・という題名から、すごく可愛いイメージを一見持ちそうな気がしますが
実は、リリオムというのは、ハンガリー語で“ならずもの”という意味なんだそうです。
まさにそのまんまf(^_^;)
「こんな男に引っかかったら最悪!」を絵に書いたような人物です。
無職で乱暴でギャンブル好きで女ったらし・・・そして・・これが憎めないだなぁ(笑)
そんなリリオムとユリィもとってもぶきっちょで、ひねくれもの・・
ユリィは、強情っぱりっていうのか、最後の最後までリリオムを「愛してる」と言わないんですよ。
生まれてくる子供の為に、手っ取り早く大金を手に入れようと、
気取り屋とつるんで強盗を働こうとして失敗するリリオム・・・。そして死。
生きている時のリリオムは、どうしようもない人間でしたが・・長い年月を経て、一日だけ人間の世界に
戻ったリリオムは、ユリィと成長した娘・ルイザの目の前に赤の他人の姿で現れます。
ふとしたことでルイザの手を叩いてしまうリリオムですが
リリオムが去った後、思い切り叩かれたけど痛みを感じなかったと言うルイザに対してユリィも
同じ経験を語り出します。リリオムの思い出を語るユリィと嬉しそうに聞くルイザ・・・
幸せそうで温かい時間が流れます。
純愛物語と一言で括れないお話ですが、生きる事が不器用で、自分の意思を曲げない・・
真っ直ぐな生き方が、どんな薄っぺらい言葉よりも、ぐっと心の中に入っていく沁みる物語でした。
とはいえ、言葉も大事ですが(笑)

入り口では『ゆれる車の音』でスーパーの店員・田畑千代子さんを演じられた太田志津香さんが受付のお手伝い。
アトリエ以外有志の会など受付で、お手伝いされてる太田さんの姿をよく拝見します。
ご自身がお忙しくても快くお手伝いをされちゃうと、めっちゃ優しい太田さんなのでした。
そして会場整理では、植田真介さんと山森大輔さんが大活躍中でした。
さて演出は、大演出家ノリくんです。
丸みを帯びた扇形の舞台の壁面には、回転木馬をモチーフにした鳩や馬・・風船・・可愛らしい
温かい色合いの絵が描かれていました。
この絵たちは、研修科生達の手によるものだそうです。
ノリ君のことだから、きっと舞台を大きく使うんだろうなぁ~と、自由席なので後方の席を選ぶと
これが大正解(笑)客席も使って、彼らの息吹をアトリエ一杯に満たしてくれました。

第47期生の卒業公演です。
思えば、個性の強い彼らだった気がします。そして悩み多かった彼らだったかもしれません。
拝見するたびに、ちょっと奥歯にものが引っかかっているような
なんとも形容しがたい、歯がゆさを感じた彼らではありましたが、その分、愛着も感じていました。
2年間の貴重な研修科時代・・これから先の彼らの進む道・・
まだまだ沢山の可能性がある彼ら・・・いっぱいぶつかって、自分で選んだ道を信じて
逞しく成長して欲しいと、切に切に心からエールをおくります。

1/29(金)から1/31(日)まで  in 文学座アトリエ
by berurinrin | 2010-01-31 16:18 | 文学座観劇感想