新国立劇場『鵺』第三部<水の郷>

新国立劇場『鵺』 in 新国立劇場小劇場(7/2)

作   坂手洋二
演出 鵜山仁

第二部<水の郷>

ある日突然行方不明となった夫・ムラカミさん(たかお鷹さん)を探しに
アジアの国にやって来た妻・女(田中裕子さん)。夫探しのパートナーは、夫と同じ会社の
現地社員・彼(坂東三津五郎さん)



夫探しに何の成果も上げられず、空港で日本に帰る為の飛行機を待っていますが
テロの爆破予告があり、空港が閉鎖されたようです。そこへ日本語が出来る現地の青年(村上淳さん)
と出会い、彼の反対を押し切って妻は、青年と改めて夫の辿った場所を一つ一つ丁寧に
夫の足跡を巡っていきます。

オムニバスのラストの舞台は、東南アジアのとある国。
胡散臭そうな(笑)ムラカミさんが現れて、水が浸みてくる空港の地下に消えていきます。
そして現れる一組の男女・・・。
夫を探す妻の手伝いをしてくれているのか?その邪魔をする気なのか?
つーか、彼女を好きなのね。でも好きっというか、もうちょっと生々しい感じもありますが・・
と、でもそんな妙に馴れ馴れしい彼の仕草や言動に、妻はまんざらでもなさそうで・・
でも、大人の言葉遊びを楽しんでる風もありと、なんか微妙なこの二人です。

一見、純朴そうな青年の心の闇の部分・・先進国が開発した化学兵器をばら撒いた戦争を乗り越え
祖国は先進国の援助を受けながら発展していき、裏では・・
変形したその手を懐に隠しながら、闇の産業に手を染める青年の告白が言葉になる度に
その息遣いは、毒を吐くようで・・ぞっとします。

空港の地下に消えた時点で、水のあるところ自由自在の“鵺”が、ムラカミさんの心の中の
“鵺”を呼び起こし、取り込んでしまったんじゃないかなぁと
後は、彼の住まう水が滴る地下に、ひたすらやってくる体の分身を待てばいい・・
まるで蜘蛛が、蜘蛛の巣に引っかかる昆虫を待つような、ねちっこさf(^_^;)

いやぁ、背中ぞくっ・・まがまがしい怖さがありました。
先進国に住んで、自分とは預かり知らぬ行為としてスルーするには、無責任じゃないかと
私達の心に住んでいる“鵺”が、もしも・・他人の心に住まう“鵺”を呼び寄せる力があったら・・
そして、その逆もあったら・・・うっうっ怖~い
水中パペットショーも、なんかリアルな感じで怖~い。
それでも、怖いながらも・・なんか、底辺に流れるブラックジョークな香りを感じて楽しくなっちゃいました。

それにしても(笑)たかおさん・・・・もう、めちゃめちゃ怪しい!!素敵過ぎました(笑)

7/2(水)~20(月・祝)まで in 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2009-07-12 21:56 | 観劇感想