らくだ工務店第16回公演『日曜日の使者』

らくだ工務店第16回公演『日曜日の使者』 in 下北沢OFF・OFFシアター(4/18)

作・演出 石曽根有也

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日曜日の幼稚園のとある年長さんのクラス。
子供達に見せる、楽しい思い出作りの為の出し物の打ち合わせに
父母達が集まってきます。
バンドや影絵、劇・・と、色んなアイデアが浮かんでは消え
その間にも大人の事情で、ことある毎に衝突が起こります。
卒園と共に結婚退職される安西みどり先生(瓜田尚美さん)も、毎回起きる父兄の
揉め事に疲れているようです。
長い話し合いの末、子供達に見せる出し物は劇に決まりました。
そこで、過去に父兄の方が書いたオリジナルの台本を皆で読み合わせることになります。

壁一面に貼られた可愛い絵たちに囲まれた幼稚園の教室が舞台です。
私の二人の甥っ子の弟のほうが、5歳になって幼稚園の年長さんになりました。
年少さんの時の幼稚園の運動会。
「よーいどん!」の合図に、先頭に並んだ子供たちが走り出したと同時に
後ろの列の子たちもいっせいに走り出して、これはリレーじゃなくて追いかけっこ??と
ひゃーと、目が点になったけ。うふふっ
そんなルールも何もあったもんじゃない年少さんから年長さんに変わるにつけて
成長した甥っ子は、かなりのモテ男らしく・・教室では、女の子が甥っ子を挟んで恋の火花を
散らしているらしい・・そんな意外と自由恋愛を楽しんでる幼稚園生のリアルな感じが
父兄たちが語る会話から伝わってきて、いまどきの子供同士や親同士の関係
そして、親と子の関係へと静かに波紋が広がっていきました。

子供というのは、本当に繊細でワレモノのような存在だと、最近つくづく思うのです。
そして親を含めて周りの人を、ものすごく見ています。
一度も甥っ子達を叱った事がない私に彼らは、すごく甘えたり、時にわがままを言ったりしますが
彼らの周りに一人でもそんなの能天気な大人が居ても良いんじゃないかと(笑)
しつけだからと、子供に自分を押し付けないように、でも周りに迷惑を掛けないように
本当に子育てって、一人の人間の性格形成に影響すると思うと、責任重大です。

作・演出の石曽根さんは、人間の弱さとか闇の部分を静かに引き出して
それは胸を締め付ける程に辛い行為ですが、公にさらして浄化してくれる慈悲にも似た優しさがあります。
ラストは、爽やかなそよ風のような余韻に包まれます。
人は誰でも弱く影の部分を持っているけれど、それでも生きてるし生かされてる・・・。
ドラマの中には、笑いどころも一杯あるのですが、わたしは笑えずに逆に納得しちゃったりして。
出演してない子供達に、たくさんの事を学んだような気がします。

古川悦史さんは、一見穏やかなパパな顔ですが、その裏では
もう一人の闇の自分と子供との関係、もしくは彼の幼児体験が自分の子供との関係に
溝を作ってしまっているような因果な影を背負ったお父さんでした。
紙芝居のラストの恐ろしい情景を読みながら震わせる肩が、たまらなく切なかったです。

終演後、古川さんから石曽根さんをご紹介して頂きました。
みどり先生のフィアンセ役で、ご出演もされてる石曽根さん(笑)かっこいいですよね。
潤んだ瞳がキラキラしています。くらっとしそうです・・
いやいや・・・わたしは一途な女ですから(笑)
公演期間が短いのですが、石曽根さんの作品はついつい自然に
自分の事と色々重ね合わせて考えてしまう事が多いのです。
辛い時もあるけど、自分を見つめ直す行為が、心地良かったりして・・
きっと共感する部分が多いのでしょうね。
ぜひ一度ご覧になって感じて頂きたい劇団です。

そおいえば、以前「いつまで、こうやって手を繋いで歩けるのかな」と言ったら
「いつまでもだよ」って言ってくれたお兄ちゃんの甥っ子は、今や小学校3年生。
会うとハグハグしてくれるけど、気が付くと手を繋いで歩く機会はなくなっちゃたかも・・
寂しい・・・。子供の時代はあっという間に過ぎちゃうから、大事に過ごしたいですね。
とはいえ、実は私、子供が苦手なのです(笑)

4/16日(木)~21日(火)まで in 下北沢OFF・OFFシアター

画像については事前に劇団の許可を頂いています。無断転載はなさらないで下さいね★
by berurinrin | 2009-04-20 22:58 | 観劇感想