新国立劇場『テンペスト』               in 新国立劇場中劇場(5/17)

作 ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 松岡和子
演出 白井晃

元ミラノ大公プロスペロー(古谷一行さん)は実弟・アントーニオ(長谷川初範さん)と
敵対していたナポリ国王(田山涼成さん)と謀略にあい娘・ミランダ(高野志穂さん)と共に
この島に流れ着いて12年の歳月が経っていました。ネタバレ注意です!!

孤島の生活の中で、魔術を学んだプロスペローは、妖精エアリエル(碓井将大さん)の力を使って
近づていてきたアントーニオとナポリ国王の乗った船に嵐を送り難破させてしまいます。
難破した彼らはプロスペローの島に漂着します。

大きな大きな舞台です。
新国立劇場の中劇場の主舞台と同じ大きさの奥舞台を使って奥行き深く
壮大な世界が広がるプロスペローの孤島の景色は
倉庫?
大きな段ボールがわらわらと動く崩れる転がる…四方八方からこれでもかという位
これらが難破船になり浮遊物になり岩屋の壁になったりと
すごい迫力です。
ところがどうもピンとこなくて…きっと2F席から見たら壮観なセットだったんだろうなぁ~
ちょっと残念。

古谷プロスペローは、12年も孤島での生活でもやさぐれ感もなく
あくまでも貴族で紳士で、口汚く罵る台詞が似合わない感がします。
なんせ私のプロスペローは、俊寛のような野性を帯びたワイルドな男性のイメージだったのです。
けれど、男手一つでこの環境の中で
娘を美しく育てる為には、想像を絶する忍耐と決意。。自分に課した責任感というか
…いい人なんだろうなぁ~と思うのです。

でもなんか個々の関係というか設定がどうも中途半端感がぬぐいきれないのです。
車いすで拘束されたエアリエルや化けもの呼ばわりされているキャリバン(河内大和さん)
かれらと人間との違いが判らない。
あまりにも人間臭い感じがしちゃって
キャリバンが可哀想で同情までしたくなったちゃう…
突き詰めると、やっぱ、プロスペローが紳士すぎて心の内を私たちにみせてくれないほど
12年という月日の孤独のベールが、幾重にも彼を守っていたなのかもしれません。

さて文学座からはキャリバンにとって、新たなご主人さまとなる
酔っぱらいのステファーノを演じられた櫻井章喜さん♪
舞台が孤島というだけに、薄暗いシーンの中、サクさんが登場すると舞台が華やぎます♪
今や名人芸の領域の酔っぱらい姿(笑)手に飲み物食べ物を持たせたら最高っ!
ちょっととぼけているんだけれど愛嬌っぷりに演じられる姿に超癒されたのでした(#^.^#)

ラスト、すべてが明るみに出て
魔術を捨て、明日から新たで懐かしい環境に帰っていくであろうプロスペローのモノローグの
言葉は、行動とは違って死を意識した孤独の言葉で締めくくられています。
復讐を救済に変えたプロスペローの意志の弱さというか、やっぱ人恋しかったのかなぁと
その自らへの決断へのようにも聞こえたのでした。

5/15(木)~6/1(日)まで in 新国立劇場中劇場



by berurinrin | 2014-05-24 23:01 | 観劇感想

こまつ座第105回公演『兄おとうと』 in  川西町フレンドープラザ(5/11)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁
美術 石井強司

生涯のうちで5回しか枕を並べて寝たことがない、兄の吉野作造さん(辻萬長さん)と
おとうとの吉野信次さん(大鷹明良さん)の生涯の物語。

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父が、借金の返済にと貧しい人達から田畑を奪っていく姿を見て育ち、
贖罪の念から彼ら貧しい人達の立場に立って発言する作造さん。
その姿が時に時代を反して過激だと、右翼からは命を狙われ、
社会から反発の矢面になって身の安全も脅かされる兄とその家族。
その後の父の景気が傾いた姿を見て育ち、出世して社会を動かす側に立場に
身を置いて政治の世界に生きる弟・信次さん。
この兄弟を支える妻たちは、仲の良い実の姉妹。
時は大正。お互い気遣いながらも、会えばついつい喧嘩ばかりの二人、兄おとうと。

さてさて山形公演、井上ひさしさんのホームグラウンドでもある
川西町フレンドリープラザでの初日からのスタート
てなわけで行ってまいりました
米沢★
爽やかな5月の日差しの…てか暑っ!!
前日までは風が強かったりと大変なお天気だったそうですが
まさに初日晴れっ!!
いよっ晴れ女のわたし(^^)/


前回公演から早5年。
帰ってきた『兄おとうと』です。
私はこの作品がとても好きなのです。
この作品は、その時代、その年、その時事の世上の流れをしっかり吸い込み呼吸する
わたしたちの心の動きに近く寄り添って生きている作品だと思うのです。
決して難しいことを言ってるわけじゃないのに
なんで魂が揺さぶられるんだろう
こんなに笑えるのになんで悲しくなっちゃうんだろう
悲しい状況なのに楽しくなっちゃう…
矛盾だらけの感情に吸盤のようにぴったり吸い付いてくるストーリーは
まさに今の政治に対する不安な疑問を紐解いていくようにみえるのです。
願わくば、今の政権の目指している方向が
この劇中に出てくる私たちへの答えと同じであって欲しいと
願いのように祈りのように思うのです。
過去を観て今を考える…ラストの強烈なメッセージをしっかり受け止めないと
作造さんにぐぁ~と↑どなられちゃいそうです。

5年後の『兄おとうと』のキャストはそのまま
本当に素敵な座組での再演★とても嬉しいです。
前回は、二人の兄弟を支える妻の懐の深さとか、夫婦の情愛とか、もうちょっと柔らかなイメージが
あったのですが、今回はガチンコ対決(笑)ドキドキはらはらモード
作造さんと信次さんの言葉の凄味を感じました。
二人とも合わせ鏡のように心の底ではしっかり重なっている
そしてやはり支える作造さんの妻・玉乃さん(剣幸さん)と
玉乃さんの実妹で信次さんの妻・君代さん(高橋紀恵さん)の二人の
穏やかでどっしりとした安定感があればこそ
彼らが生き生きと仕事に満身を注いでいられるという姿が
あ~素敵だなぁと思うのです。

日帰りだったので、終演後はそそくさと家路に向かいましたが
いい子にしてると素敵な奇跡が起こるという…
鵜山さんの素敵な笑顔★きゃっ( *´艸`)
次回、『兄おとうと』に再会できるのは夏!
旅を重ね、再びの出会いの時、私たちの胸にまた新たなメッセージが刻まれることだと思います。


5/11 in 川西町フレンドープラザ






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by berurinrin | 2014-05-17 23:55 | 観劇感想

5月~の主な外部出演

★小林勝也『ビック・フェラー5/206/8世田谷パブリックシアター(世田谷パブリックシアター03-5432-1515

★山本道子『わたしを離さないで』4/29~5/15さいたま芸術劇場(SAFチケットセンター0570-064-939)5/23,24愛知県芸術劇場(メ~テレ事業部052-331-9966)5/30~6/3梅田劇場シアタードラマシティ(梅田劇場シアタードラマシティ06-6377-3888)

★櫻井章喜『テンペスト5/156/1新国立劇場中劇場(新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999)
★藤崎あかね『10978日目の鏡』5/22~25下北沢小劇場楽園(おちないリンゴ090-8421-6661)

★西川信廣(演出)、星智也(Wキャスト)『6週間のダンスレッスン』5/30~6/5、7/8~21博品館劇場(03-3571-1003)
★鹿野真央『フォレスト・ガンプ』5/30~6/22東京グローブ座(東京グローブ座03-3366-4020)6/25~29森ノ宮ピロシティホール(キョードーインフォメーション06-7732-8888)
★中村彰男『カクシン版「夏の夜の夢」』6/4~8新宿SPECE雑遊(J-STAGE-NAVI事務所03-5912-0840)
★奥山美代子、駒井健介『ヴェニスの商人』6/11~15俳優座劇場(シェイクスピア・シアター03-5318-5755)
★中野志朗(演出)『困った綾とり』6/12~15中野テアトルBONBON(劇団セラ・ジャパン090-9290-3300)
★高瀬久男(演出)『請願』6/4~17下北沢本多劇場(加藤健一事務所03-3557-0789)

★鵜山仁(演出)、金内喜久夫、石橋徹郎『日本の面影』5/28~6/2俳優座(ぷれいす03-5468-8113)
★原康義、吉野実紗『ニッポニアニッポン~横浜・長谷川伸・瞼の母』5/30~6/8KAAT神奈川芸術劇場(チケットかながわ0570-015-415)
★川辺邦弘『毒舌と正義』6/6~12赤坂RED/THEATER(ぷれいす03-5468-8113)
★石田圭祐『19歳のジェイコブ』6/11~29新国立劇場小劇場(新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999)
★江守徹『本能寺が燃える』6/21京都劇場(メニコンビジネスアシスト052-938-6232)

★鵜山仁(演出)、早坂直家『鹿鳴館6/1922新国立劇場中劇場(新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
★櫻井章喜『カッコーの巣の上で』7/5~8/3東京芸術劇場(ホリプロチケットセンター03-3490-4949)
★横田栄司『太陽2068』7/7~8/3Bunkamuraシアターコクーン(Bunamuraチケットセンター03-3477-9999)
★木津誠之『君となら』8/9~9/15パルコ劇場、9/17~23シアタードラマシティ9/25~9/28名鉄ホール(パルコ劇場03-3477-5858)
★秋乃桜子(山像かおり)(作)高橋正徳(演出)『BLUE』8/6~10シアターグリーン(劇団昴03-6907-9220)
★鵜山仁(演出)、高橋紀恵『兄おとうと』8/17~8/31紀伊國屋サザンシアター(こまつ座03-3862-5941)
★原康義、廣田高志、後田真欧『ロミオとジュリエット』8/7~24彩の国さいたま芸術劇場(さいたま芸術劇場0570-064-9399)
★西川信廣(演出)、石田圭祐、大場秦正『インポッシブル・マリッジーありえない結婚』9/25~10/5俳優座劇場(俳優座劇場03-3470-2880)
★佐川和正、亀田佳明『三文オペラ』9/10~28新国立劇場中劇場(新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999)
★上村聡史(演出)、中村彰男、栗田桃子『炎アンサンディ』9月~10月シアタートラム(世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515)
★たかお鷹、原康義、廣田高志、横田栄司、星智也『ジュリアスシーザー』10/7~25彩の国さいたま芸術劇場(さいたま芸術劇場0570-064-9399)
 

*お問い合わせは( )までお願いします

シェイクスピア祭開催中です(^◇^)
次回は『ヴェニスの商人』『夏祭恋逝殺』5/23~26文学座

by berurinrin | 2014-05-16 23:54 | 外部出演

シェイクスピア祭 リーディング春のシリーズ『じゃじゃ馬ならし』                        
                                         in 文学座モリヤビル1階(4/20) 
作  W・シェイクスピア 
訳  小田島雄志
演出 中野志郎
美術 石井強司 
照明 坂口美和 
照明操作 清水圭吾  
主催 シェイクスピア祭実行委員会「じゃじゃ馬」組 

じゃじゃ馬で手が付けられないと有名なパプティスタ家のキャタリーナ(目黒未奈 さん)に
求婚したのはペトルーチオ(上川路啓志 さん)強引に日曜日に結婚式を挙げると言います。
父・パプティスタ氏(高瀬哲郎 さん)も大喜び。
そして日曜日。
パプティスタ家の召使いビオンデロ松井工 さん)から、びっくりして花嫁の父親の元に
花婿がとんでもない格好で花嫁を迎えに現れたことを報告します

『タイタス・アンドロニカス』と同時連続上演されたのが、『じゃじゃ馬ならし』です。
『タイタス』が、ド・芝居であるなら、『じゃじゃ馬ならし』は演者が、最後まで台本を持ったままという
シンプルなリーディングのスタイルでした。
進行というかト書きを読むのは、舞台下手側に「演出家」と書かれたテーブルの札の前に座っている中野氏。
そのまんまじゃん的な(笑)
で、前回『エドワード三世』の時に思ったのですが
シェイクスピア作品って、登場人物が多いのですよね。
それを少ないメンバーで、衣装もなく動きもないリーディングの形で複数演じ分けるのは、かなり手ごわいというか
内容が分かっていればいいのですが、なかなか混乱してくると思うのです。
特に関係性がごっちゃまぜになっちゃう。
で、新たなたくらみというか、ユニークな手法で魅せてくれたのが
今回の『じゃじゃ馬ならし』

舞台中央に「キャタリーナ」と「ペトルーチオ」と名前の短冊が掛ったテーブルが2脚。
そして舞台後ろ正面には、登場する役名とその紹介が書かれた短冊が並べて飾ってあって
各短冊にはランプが付いていて、登場すると、その役のキャストが、ボタンを押して演じ
退場するとボタンを消すという、クイズ番組の回答の早押しの趣向な感じでした。
面白いアイデアですね。
その役名の紹介も、なんかクセがあるというか、ひねりがありました。
でも、上演時間が短くテンポが速いので、パンフにも配役を書いて欲しかったなぁ…

さて、圧倒的な勢いがあったのは、キャタリーナを演じられた目黒未奈さん。
そのままの立ち姿も美しいのですが、未奈さんの伸びやかで健康的な美しい声。
アラビアンナイト 』のシャハラザード姫を思い出しちゃいました♪懐かしい~
その声が、下からぐわっ~と、突き上げるように発する台詞の勢いで、動きはなくても
じゃじゃ馬っぷりを発揮されていて迫力満点♪後半、従順な妻となった時の
声音の美しい事といったら…いつかキャタリーナを演じて見せて頂きたいと思いました。

そんなじゃじゃ馬キャタリーナ嬢と結婚するペトルーチオを演じられたのは上川路さん。
未奈さんやほかの皆さんが、真っ直ぐに語っているのと反対に
手の動きがすごく気になったのですが…
でもそのおおらかなで大胆な口調は、気持ちがいいですね。
未奈さんと上川路さん…お二人とも立ち姿がきりっとしているので、
逆に寄り添った姿を見てみたかった気がします。

高瀬哲郎さん、松井工さん、松尾勝久 さん、田中宏樹 さんと
この四人が、キャタリーナの父や二人の召使い、友人と様々な役を演じ分けます。
場合によっては、二つの役を一度に登場させちゃったりと大わらわ
ちょっと贅沢すぎるキャスティングですね(#^.^#)

次回のシェイクスピア祭は、『ヴェニスの商人』5/23.24『夏祭恋逝殺』5/25.26です。
また新たな演劇との出会いが楽しめることと思います★

 4/19(土)~4/22(火) in  文学座モリヤビル1階

by berurinrin | 2014-05-05 01:57 | 文学座観劇感想

文学座付属演劇研究所研修科発表会『天保十二年のシェイクスピア』
                                 in  文学座アトリエ(5/3)

作     井上ひさし
演出    松本祐子
協力    文学座演出部
殺陣    渥美博

天保時代。下総の国。清滝という宿場町を舞台に陰謀と欲望の世界が繰り広げられます。
この宿場を牛耳っていた鰤の十兵衛が隠居を決意します。
この鰤の十兵衛にはお文、お里、お光という三人の娘がおりまして
彼女らに財産を分けようとしますが、お文とお里の美辞麗句に騙され、
何も答える事が出来なかったお光を追い出してしまいます。
そして、お文とお里の強欲権力争いから始まり
醜い姿で周りを混乱させる悪党・佐渡の三世次が現れ大きな騒動へと・・・

研修科生をも巻き込んでのシェイクスピア祭!本当に祭りらしい舞台でした。
なんせシェイクスピア作品の全37作品に登場するさまざまな主人公達が
日本の小さな宿場町に集結しちゃうんですもの
その上、有名なエピソードがちりばめられちゃっているので
そりゃあっちでぶつかりこっちでぶっつかりっと
喧嘩と祭りは切っても切り離せないのは江戸っ子でしたっけ?!
しゅっぱなから若いエネルギーのぶつかり合い、火花を散らす彼らのすさまじいパワーをひたすら放ち
舞台の最後尾で拝見したのですが、彼らが動くと客席がその振動で揺れるという
圧倒されまくりの3時間強の舞台でした。
本来は4時間越えの舞台だそうですが、4時間越えたら、たぶん客席が持たなかったかもしれません
彼らのパワーを受け止めるだけの許容が、果たして自分に持てたかと
そんなそんな熱い舞台でした。
色んな意味で彼らに要求された課題はハードル高く、目の前に映る彼らの姿に至るまでの過程は
非常に過酷なものだったと思います。
祐子さんの演出に食らいつく…厳しかったんだろうなぁ…
でも、なんか吹っ切れたかのようなカーテンコールの彼らの笑顔の美しいこと
ほれぼれと見惚れてしまいました。

それにしても皆さん、歌にしてもダンスにしても立ち回りにしても上手い!
とくに女性は着物の着こなしもこなしていて驚きました。
男性は、ハードなアクションだけに着崩れしちゃうのがちと残念ですが、でもでも大奮闘でした。
本当に皆様お疲れさまでした。
良い舞台をありがとうございます!!

この作品は2006年秋に研修科発表会で上演されています。
当時のキャストから現座員の配役をUpしときますね(A.Bキャスト混在しています)

お里 渋谷はるか
尾瀬の幕兵衛 藤側宏大
真岡の老婆 鈴木亜希子
佐原の老婆/お冬 牧野紗也子
川越の老婆/飯炊きのおこま婆 吉野実紗
八王子の老婆 荘田由紀
ぼろ安/笹川の繁蔵 山森大輔

今回は、フラットな舞台でしたが、前作では両側に桟敷席が設置されて
芝居小屋風なこれまた臨場感たっぷりな舞台でした。


5/2(金)~5/4(日) in  文学座アトリエ

 



by berurinrin | 2014-05-04 21:53 | 文学座観劇感想

劇団スーパー.エキセントリックシアター スタミナやプロデュース第3弾
                        『エキスポ』 in 横浜市泉区民文化センターテアトルフォンテ(4/19)

作   中島淳彦
演出 田上ひろし

1970年大阪では日本万国博覧会(EXPO‘70)の真っ只中。
ここ宮崎県の大場家では、母・ひさ子さんのお通夜が始まろうとしています。
働き者で家の中心であったひさ子さんを亡くし、残された家族は混乱しまくり状態です。
母の訃報を知って家族には面識のない弔問客がぞくぞくと訪れます。
と、弔問客に混ざって旅行会社の金丸さん(杉元秀透さん)がやってきて、
母が数名分のEXPOのツアー予約をしていますが、どうしますか?と

超地元なのに初のテアトルフォンテ!
劇場が家の近くにあるって、なんて幸せ!ドアツードアで30分!
こんな近くにしっかりした劇場があるなんて、嬉しいなぁ~ありがたいありがたい
そんな初めての劇場で、始めましてのユニット・スタミナや★と出会いました。
彼らは、劇団・スーパーエキセントリックシアターの座員からなる5人のメンバーから成っていて
【ス】杉野なつ美さん、【タ】田上ひろしさん、【ミ】三谷悦代さん、【ナ】永田耕一さん
【や】山崎大輔さん
と、ユニット名は、皆さんの名字から一文字づつ取ったネーミングなのでした。
そして彼らのプロデュース作品の第三弾が、この中島敦彦さんの名作『エキスポ』!なのでした。

今回、上演するに当たって
キャストに合わせて、年齢設定を少し上げて、性別や台本を少し変えたそうですが
これが、彼らにとてもはまっていて、
わかりやすくてちょっとリアルな感じで楽しかったです。
今まで数々の『エキスポ』を拝見していますが、一番しっくりした気がします。

舞台装置がこれまた細かくて(笑)
プラスチックの丸みを帯びたハンガーとかトイレ前に吊ってあって、
かしゃかしゃして水が出てくるヤツ(名前がわからない)、障子やお茶のポットや柄のグラス
何から何まで懐かしい昭和の世界~♪

いい大人たちが、一つ一つの出来事にわらわらと右往左往とずっこけながら
彼らにとっての妻であり、母親であり、叔母であり、と
様々な個々の関係が繋がって
ひさ子さんという人物像が浮かび上がってきます。
あ~本当に愛された女性だったんだろうなぁ
つーか、みんなひさ子さんに頼って頼りっぱなしでダメダメじゃん(><)
それでもひさ子さんは、きっと笑顔で家事に仕事に懸命日々を生きていたんだろうなぁ~
ひさ子さんの最後の言葉「人類の進歩と調和」…
壮大な言葉ですが、葬儀の間に不思議と進行形で行われている気がして
それがひさ子さんの最後の言葉であり遺言だったのかしら…そう思うと
めっちゃおかしくて、いっぱい笑った中にほの苦い切なさが浮かんでくるのでした。

この素敵なキャストの中に、文学座からは木津誠之 さんがご出演。
ひさ子さんの娘・千代子さん(丸山優子さん)の別れたご主人・山下さんを演じられていました。
山下さんは東京で作曲家さんだそうで
今回は、ウクレレで弾き語り生歌をご披露★
観ているこちらもド緊張でしたが、これが意外と(ごめんなさい(笑))真っ直ぐな歌声で気持ちがよかったのです。
演奏もそのぎこちなさ(ごめんなさいx2(笑)x2)も、これまた大場家の調和に合っておりまして
とっても素敵なのでした。

終演後、制作の女性の方とお話させて頂きましたが
とても誠実で気持ちのいい対応をして下さいまして、代表の山崎大輔さんをご紹介頂きました
このユニットの姿勢をみせて頂き、木津さんを通じて
また新たな出会いに感動をしたのでありました。

4/19(土) in   横浜市泉区民文化センターテアトルフォンテ








by berurinrin | 2014-05-02 22:44 | 観劇感想

シェイクスピア祭 リーディング春のシリーズ『タイタス・アンドロニカス』 

                       in 文学座モリヤビル1階(4/20

 

作  W・シェイクスピア

訳  小田島雄志

演出 西本由香

美術 石井強司

照明 坂口美和

照明操作 清水圭吾

主催 シェイクスピア祭実行委員会「タイタス・アンドロニカス」組

 

舞台は古代ローマ帝国。

ゴート族の女王タモーラ(奥山美代子  さん)とその三人の息子達を捕虜として

勝利からの凱旋帰国した武将・タイタス・アンドロニカス(高橋克明  さん)は、戦死した息子たちの死を

弔うためにタモーラの嘆願を無視してタモーラの息子の一人を生贄として捧げます。

ローマの新皇帝・サターナイナス(神野崇 さん)は、タイタスの娘・ラヴィニア(前東美菜子  さん)を妻に

迎えようとしますが、彼女はサターナイナスの弟・バシエーナス(駒井健介  さん)と婚約していました。

それを知っているタイタスの息子達の反対に怒ったタイタスは、末息子を斬り捨ててしまいます。

サターナイナスは、タモーラを妻とし、それ以降タイタスへの態度は怒りに満ちていきます。

そして権力を得たタモーラもまたタイタスへの復讐を開始していきます。

 

リーディング第2弾は『タイタス・アンドロニカス』と『じゃじゃ馬ならし』の2作品連続上演。

まずは、『タイタス』から拝見させて頂きます

そんなこの日は、一日信濃町day(^_-)-

第一弾の『エドワード三世』は、前半は、手に台本を持って演じられるというリーディングスタイルと後半は

手から台本を離して…という芝居スタイル。

今回は、ド・芝居(^^)/

まっ、リーディングといいつつもフリースタイル形式でと監修の鵜山仁  さんがおっしゃっていたので

なんら問題もなく

が、今回はド・芝居であるがゆえに成功したと思いました。

と、いうのは…まぁそれはそれはエグイっす。この作品…想像したくないんだもん

リーディングだと、どうにもこうにも俳優の姿の先の自分だけの世界をみてしまう

なもんで、今回は、違う意味で救われた気がするのです。

 

舞台は、中央にしつらえたテーブル。両側にはハンガーに吊られたキッチン用品。

このキッチン用品のシルバーに光るステンレス製の冷たい温度と反する果物の鮮やかな色彩。

これらが、どう絡んでいくのかと思ったら…

このキッチン用品のお玉とか泡だて器(笑)が、人を刺し貫く剣となり

お鍋が、復讐と血塗られる王冠になったりと、

聞くのも辛い台詞の応酬の最中、もっとも悲惨な状況やおぞましい残酷な場面の中に、

浮かび上がってくる滑稽さ…どーみてもキッチン用品だし(><)

次々行われる殺戮の犠牲者たちは、小さく畳まれたテーブルクロスで使われるリネンの質感のような布地。

「えっ、そうきちゃうのくすっ(笑)」

これはちょっと、完璧に裏切られました(笑)なんか嬉しくなっちゃいました。

まるで夢の中に入り込んじゃった気分。

でもその小道具たちの質感から湿度も体温も感じさせない、つーんとした冷やかさも伝わってきます。

熱いけどちょっと引いた空気感とか

そこんとこの按配がたまりません★つーかかなり好き(#^.^#)

なんか、演出の西本さんこともっつあんと鵜山さんと感じる周波数が近いんでないかい?!

髪型だけじゃなく(爆笑)

と思うほど私の心に引っかかってきたのでした。

 

と、演出も素敵でしたが

キャストも素敵!なんか入場1,000円ですみませんm(__)m

追加料金支払わなくて、本当にイイんでしょうか?!

それも税込で…(><)ありがたい!!関係者の方々は本当に大変だと思います

今更ですけど…

 

タイタスを演じられた克明さんの自信満々の武将の姿から、苦しみさいなむ父親の苦悩の嘆きの表情…

ラストのあの瞳から冷たい火花が確かに浮かんでみえました。

克明さんの涙に溢れるあの表情…確かに心に刻みました。

今、とても克明さんの芝居が熱い気がします。

どんな役柄を演じても克明さんの身体の一部、役の一部分が克明さんの血であり肉を感じさせられます。

克明さんから目が離せなくなっちゃうんですよね。

 

その克明さんと真っ向からぶつかるタモーラをしょっぱなからテンション高く演じられたのは奥山美代子さん。

どんなに過酷な運命からも立ち上がり復讐をエネルギーに変えるしたたかな女王を奥山さんが演じられると

悪女なんだけど、それだけじゃない何か女性としての悲哀も感じさせれちゃうのです。

たぶん冒頭の息子の命の嘆願が聞き入られず殺されてしまった嘆きのシーンが圧巻で、

あの悲しみの姿が、脳裏に焼き付いてしまったからかもしれませんが、毅然とした姿は本当に美しい女王でしたね。

 

そのタモーラの愛人・ムーア人アーロンを沢田冬樹  さん。

以前、某演出家による『タイタス・アンドロニカス』をDVDで拝見した時、印象が余りなかったのですが

今回拝見して、アーロンの人物像が浮き上がってきたというか

極悪非道な人物だけど、それだけじゃない、血の通った人間だという事。

自分の子を愛する感情がある姿に感動してしまいました。

そこまで悪人として生きざる得なくなってしまった彼の生涯を思うと胸が痛みました。

冬樹さんだからこそのアーロンですね。

丁度、この日偶然にもご一緒させて頂いた阿藤智恵さんが

「シェイクスピア作品の中で、大好きなキャラクターがアーロン」っておっしゃっていて

~なるほどと、納得したのでした。実際このリーディングを観ていなかったら引いていたかもです(苦笑)

 

タモーラの夫で、タイタスによって新皇帝となるサターナイナスを神野崇さん。

ちょっと短気でこまったちゃんな皇帝ですが、かっこいいから許しちゃおうみたいな()

タモーラに完璧に支配される感がかなり素敵ですね。

意外な神野さんに限らず意外な配役もリーディングの面白さかも…と思っちゃいます。

 

サターナイナス皇帝の弟は、バシエーナス。演じられたのは駒井健介さん。

お兄さんのサターナイナスとは対照的に毅然とした真っ直ぐな態度の好青年。

バシエーナスを皇帝にしたら起こらなかった悲劇なのかもしれませんね。

あっけなく殺害されてしまって…

そんな駒井さんは、イケメンさんの上に伸びやかないい声をされてます。

彼を見てると役に食らいつくような貪欲さを感じます。

きっともっともっと大きく大きく成長するんだろうなぁ~と楽しみな逸材だと思うのです。

 

悲劇のヒロインは、タイタスの娘で、バシエーナスの妻ラヴィニア。

一瞬の幸せを得た途端に想像する全ての不幸と体験を背負ってしまった女性。

最近、会うたび観るたび美しさを増してくる…そんな前東美菜子さん。

シェイクスピア祭第一弾『お気に召すまま』のヒロイン・ロザリンドで一躍注目を浴びた美菜子さん。

これからも注目の女優さんです

 

タイタスの弟・マーカスとタモーラの息子・カイロンを演じられたのは4月に準座員に昇格された

木場允視  さん。

そしてタイタスの息子・リューシアスとタモーラの息子・ディミートリアスを演じられたのは

同じく4月に準座員に昇格された宮澤和之  さん。

お二人とも堂々と伸び伸びと演じられていましたね。

難しい台詞をなんなくこなして語ってる姿は、とても頼もしく気持ちよく観ていられました。

 

そしてつかず離れず…時に一歩引いたところから怖いもの見たさで覗き見する少年や

幼いタイタスの息子と変幻しながら加わる難しい役どころを藤崎あかね さん。

抑えつつ自分を出して絡んでいく、あかねちゃんのコミカルな一面もみせてもらって

彼女もまた、まだまだ色んな一面があるのかと

舞台の上で魅せたいたずらっぽい表情が忘れられなかったのです。

 

4/19(土)~4/22(火) in  文学座モリヤビル1階












by berurinrin | 2014-05-01 22:09 | 文学座観劇感想