<エンターテイナーの表現力メソッド ワークショップ>
          in ヒューマンアカデミー新宿校(12/23)

講師は鵜山仁さんと平淑恵さんです。
「講師やインストラクターとしてはもちろん、
ビジネスマンとしても自分自身の考えを「伝える力」が求められる時代。
プロの表現者による「印象深く伝える」「効果的に表現する」など、
多くの方を魅了するプレゼンテーション方法のワークショップ。」
(チラシ参照)
という趣旨の元に、一般会社員をメインとしたワークショップに参加してきました。

聴講生は20名ほど、小さなフロアにマイク無しで約2時間程の講義の始まりです。
このワークショップは、ただ今お稽古真っ盛り中、平淑恵さんの一人芝居
こまつ座『化粧』のテキストを元に行われます。
まずは鵜山さんから作品の概要と自己紹介。
「文学座って知っていますか?
文学座のお芝居をご覧になったことはありますか?」と鵜山さん。
いつもにもまして、優しく畳み掛けるような口調の鵜山さんです。

井上ひさしさんが主催のこまつ座とは、今から23年程前からのお付き合い。
同じ文学座に籍を置かれる平さんとは、鵜山さんより一期先輩の間柄。
『化粧』という作品は、そもそもも地人会の企画で井上ひさしさんが
作られた作品だったそうです。
初演からずっと28年間演じられた渡辺美佐子さんが、昨年で一つの区切りを
つけられ、今回のこまつ座での上演の運びとなったそうです。
こまつ座としては初演となり、
東京公演の後、4/28まで旅公演が入っているそうです。

「文学座の研究所から35年目・・でも、まだまだ新人のつもりです」と
「『化粧』という作品は、演劇人にとっては憧れの作品。
渡辺美佐子さんの代表作。わたしでいいんですか?と、
鵜山さんに思わず聞いてしまった位に光栄な出来事でチャンスを頂いた」と、淑恵さん。
約90分全部一人でやるわけで、
大衆演劇で女剣劇、やくざものの扮装をこしらえながら、羽二重もしてという
楽屋の話で、それだけでも大変なのに、
五月洋子のしょってる人生・・みたいなものを、かもし出さなきゃいけない・・
12/1からお稽古が始まったそうですが、膨大なダメだしの中
毎日あせって稽古をしてる日々を送っているそうです。
今日は、芝居の楽しみ方を垣間見れたらいいなぁ~と、ご挨拶して下さいました。

舞台演出って、どんなお仕事か?って鵜山さん。
「最近は、蜷川さんみたいな仕事をやっている」と
「でも実際灰皿も机も投げてないし、
どういう角度で投げればいいかもわからない(笑)」

どうやって芝居を作っていくか
台本にどうやってアプローチしていくかが一番の問題で
実例としてのテキスト『化粧』の台本の冒頭の数ページのコピーを見ながら
「音を変える」ということ。これに尽きるとおっしゃいます。

じゃあ、どうやって「音を変えるか」ということで
例えば「おはよう」という言葉。
人と出会って会話する時に「音が変わる」とおっしゃいます。
その日の天気やこの会場の5階まで駆け上ってきたり・・
中でも大事なことは、好きな相手、嫌いな相手に出会った時の
「おはよう」大きな声とか、感情がこもっていて
温度、空気、関係とかを一緒クタにして「音」
「稽古場で、音が変わらないって言ってればいいんです(笑)」
「それだけ?」と淑恵さん
「そうなんですよ」と、鵜山さん
「・・どんだけ苦労してるか(笑)こっちは」と淑恵さん。

「もっと簡単にいうと・・」と、鵜山さん。
「音が変わらないと、どうなるか?!・・・退屈するんですよ(笑)」
そもそも退屈するのは、音が変化しないから
音が変わらないというのは、目先が変わらないから。
人生の最終ゴールは死に決まっていて、最終地点によりも
どうやって寄り道していくか・・のほうが、人生にとって大切なのではないか。
音を変えて、人生をどれだけエンターティメントするかが問題で、
それが客席に届けばいいなと、音を変え続けていくことが、むしろ目的なんじゃないか。
「どういう芝居を作りたいですか?」と聞かれることが多々あるそうですが
「とにかく変わっていけばいい」と言うと、節操の無い演出家みたい(笑)と鵜山さん
でもそんなところがあって、俳優に迷惑かけちゃう

テキストの『化粧』の台本の冒頭数ページのコピーを見ながら
まずは、鵜山さんが冒頭のト書きを読んで下さいます。
ちょっと風邪気味で心配ですが、ハスキーで素敵な声です。
うっとり~★

『化粧』・・・この作品は、1982年初演。
「母」というテーマで、5人の作家が5本の一幕劇を書かれたそうで
その一つが『化粧』だそうです。
一人芝居の一幕もの。
一人芝居なので相手役は登場しないものの
ヒロインの五月洋子さん前には登場している。
「いずれにしろ、、目に見えないものを見えるようにするのが芝居の醍醐味」
だと鵜山さん。
例えば「僕は王様です」と言えば、マントも王冠もなくてもそうなってしまう。
(五月洋子さんにしか見えない)周囲に見えない10人もの登場人物を
どうやって目に見える存在にするかが、大変問題で
芝居の根本原理に準じているそうです。

で、先ほど読んで下さったト書きの解説をして下さいました。
例えば、ト書きの中の文章で
「・・観客の活発な想像力・・」→いかに予算を抑えてお客さんの想像力に委ねるか
まさに音を変えて、舞台とお客さんの仲介役を担う。
「彼女自身が信じているところによると、彼女は大衆劇団「五月座」の女座長・・・」
→まさに実は「平淑恵」であったり、「演じると事とは?!」
と、芝居作りのイロハのようなト書き。

これらの細かく書かれているト書きのエスプリは、心がけてはおられるそうですが
必ずしもすべて使うとは限らない・・・そうです(笑)

さて、では、どういう所から芝居作りが、始まるか?
「シュミレーションをしてみましょう」と、鵜山さん。
ここで淑恵さんが『化粧』の台詞の部分を「棒読み」から始められます。
ト書きは鵜山さんが読んで下さいました。
連日のお稽古の日々に「声がガラガラで・・すみません」と、淑恵さん。
初めは棒読み状態で、文字を追うようにテキストに目がいってましたが
違和感を感じて、ふと目線を淑恵さんの方に見上げてみると
淑恵さんが天井の方を見ながら台詞を語っていました。
最後の方には、五月洋子さんの姿が見え隠れしてるような感覚まで・・
女優さんって凄い・・。
「最後は、気が入っちゃっいましたね」と鵜山さん。
「昨日のダメ出しが頭をよぎっちゃって・・」と苦笑される淑恵さん。
照れる姿が、とっても可愛らしい(失礼!)淑恵さんです。

一番最初の「いよいよ客入れ・・」という台詞から始まって
言葉の背景を一つ一つ細かく検証していく過程を説明して下さいます。

五月洋子さんの①実生活)と②座長としての彼女の顔
③劇中劇『いさみの伊三郎』としての姿
と、3つの違う顔が交差していく姿が浮かび上がっていく。

「いよいよ客入れ・・」→
10人の座員との関係(付き合いの長さやどれだけお給料を払っているか?
仲がいいのか?」と、この日の自分の状態。
(空が)「くらい」→五月洋子さんの不安感
(透明座員が、透明茶を持ってきて飲む)「ありがとう」→
お茶を持ってきてくれた透明座員との関係やあしらい方、どう考えているのか?
などなど・・細かく一行一行出し切って、一ヶ月間稽古していくそうです。
「最初の一行からダメだしされて(苦笑)」と淑恵さん。

「もう一度、オーディションみたい(笑)読んでください」と、鵜山さん。
で、「今度は最初から感情を入れてお願いします」
再度、台詞を淑恵さんが読み上げます。
ひざをポンっと叩いて、いなせな感じで流れるように台詞を吐き出す淑恵さん
台本は殆ど見ていません。
読み終わると、会場からは、ため息がもれました・・
今度は、感情たっぷりに台詞を発する淑恵さん。
まさに、出だしから「音が違う」!!すごい

淑恵さんが台詞を読み終わって、まだ余韻が残る中
「演出家というのは、大抵役者崩れが多くて(苦笑)」
そう・・元々俳優を志していた鵜山さんなのでした
彼ら俳優に対して
「憧れているので、僕が出来ない事を、申し訳ないけどやってください」
「声を変えて下さい」
さまざまな音の中にアクション、目線、呼吸、息遣い、温度
雰囲気も・・音の変化を聞きたい。と、おっしゃいます。

と、ここで参加者を前にして鵜山さん
「せっかくだから、皆さんに台詞を読んでもらいましょう参加型だし(笑)
こんだけ人数があれば色んな声の発見があって、平さんにも
起することがあるかもしれない。助けると思って。。」
えーうそぉ~まじすか?まじすか?まじ??
「じゃぁ一列目の人、文章の“。”から“。”まで、読んでみてください」
よかったぁ~2列目ホッ
活字を追いながら皆さんの声を聞いてると、色んな声が出てくる
感情を出して語る人や真っ直ぐ読み上げる人、緊張してちょっと震えた声
大きな声・・小さな声。
「こんだけ音が変われば、演出はいらない」と鵜山さん。
「戯曲に沿ってるかは別にして世界が出来ちゃう」
あ~どんな声でも発する人の感情が入ってる。
感情を出さないように言っても、感情を出さない感情が入ってるし・・
面白いもんですね
「これを一人で実現しなきゃいけないから大変」と鵜山さん。
あ~そうでした。一人芝居って、芝居って大変な作業なんですね。

先ほどの続きの台詞を淑恵さんが読んで下さった後
「この台詞の間には・・」と淑恵さん。
もろ肌を脱いで、鬢付け油をつけて真っ赤な下紅を塗って、おしろいをはたいて
という所作が入ると説明して頂きました。
それも鬢付け油は、手で温めてからムラなくつけるとか、
下紅を塗ってその上におしろいを乗せると、頬がふぁっとピンク色になって
とても綺麗だとか・・
「読み合わせの時には解らなかったけど・・」と鵜山さん
鵜山さんからも、おしろいを肌にパンパンとはたく音とか
新たな音が加わることで、さまざまな変化が起こってくるとおっしゃいます。

芝居の台詞は、TVドラマにしてもそうですが
普段使う言葉で書かれていないことが多いそうで・・・確かに
どうもこのシチュエーションは違うなぁとか
どうしても台本に書いてある台詞をみても、こうは言わないだろう・・とか
でも、こう言うからには、特別な理由があるそうです。

この作品は、大衆演劇の世界なので、独特の台詞があり
所作指導を沢竜二さんにお願いされたそうです。
沢さんという方は、お母様が女剣戟、何代かに渡る大衆演劇の大看板。
で、沢さん主催で浅草で行われた大衆演劇の方々の集う“座長大会”に
鵜山さんも観に行かれたそうなんですが
その時に「頑張りましょう!」みたいに言うと、合言葉のように
誰かが「なんたって将軍さまのお膝元ですからね」と
座長さん達に気合が入るそうです。
その掛け声が、20年以上も前に鵜山さんが『雪やこんこん』という大衆演劇を題材に
した作品の時にも、やはりご覧になった“座長大会”でも同じ掛け合いがあったそうで
「絶対普段使わない(笑)」
でも、いい台詞、気合を入れる いいイントロダクションになっていると鵜山さん。
確かに普段絶対に口に出さない掛け合いですけど
なんか心地よい響きですねっ

次回に続きます
by berurinrin | 2011-01-31 23:58 | イベント

美しきものの伝説』のお稽古見学に行ってまいりました

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アトリエは、ただいま研修科生の卒業公演の真っ盛り中
なので伺った先は、錦糸町にある某スタジオ。
目の前に巨大な東京スカイツリー・・すごーい初めて見た!おっきいですねぇ~
眺めながら歩いていたら、すっかり迷いましてf(^_^;)
相変わらずの方向音痴・・・いや、方向音痴じゃなくて注意力散漫なのでした。
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なんやかんやで、あと7日ほどの稽古期間しかないということで
結構、緊迫感漂う稽古場かと思いましたが
それは若い人たち中心の舞台
白熱しながらも、笑い漂う明るい現場なのでした。

現場では、すでにお稽古が始まっていて、第一場の途中から拝見させて頂きました。
一度その場の全体を通してから、細かく立ち位置や個々のダメ出しがあって
何度も繰り返して、形が整ったら、しばし休憩を取って
次の場面へ
で、一度一つの場面を通して、細かな修正を繰り返して整ってから
休憩して・・と
場面場面の細かなこだわり、まさに俳優同士、俳優と演出家・西川信廣さんのこだわり、
互いに妥協しない、その職人技を拝見させて頂きました。

稽古中、出番を待つ俳優たちの素顔も楽しくて
ブログの写真を隅っこで撮っていたり
はかま姿で、何度も稽古場を迂回する石橋徹郎さんや
「今が苦しみの時」と眉間にしわを寄せる鈴木亜希子さん

高いところから(本番お楽しみの)「あげ、あげでやってやるからっ!!・・・って
自分でハードルあげてどうする(笑)」と
ものすごいテンションUPで、劇中劇トルストイ「復活」のシーンを魅せて下さった鍛冶直人さん。
イギリス留学帰りのスタイリッシュな演技ご注目ですよ(爆)
相手は、美しい歌声を披露して下さる牧野紗也子さん
「2度と文学座で出来ない演技をしてくれ(爆笑)」と西川さんのダメ出し
もう笑いっぱなしのシーンでした。
そんな牧野さんは、お腹にお煎餅を隠して「お腹すいちゃった(笑)」可愛い♪
まー、歌うとお腹空きますからねっ

と、その前後は、演劇論や政治論と台詞の応酬!群像劇ですから
でもこれが聞いていて気持ちがいい!今は使わなくなった日本語の美しさ、
思ったことを言葉にする自己主張の潔さ、若い主張の愛らしいこと。
衣装がとっても似合ってる松角洋平さんの伸びやかな口調も気持ちいい~
チラ見せ監獄体操も楽しそう(笑)
普段お茶目な松角君が、西川さんのダメ出しに食らいつくような姿を見て感動したり
やっと舞台で聞かせてくれる山森大輔さんのとっても素敵な声に癒されたり
なかなか特に本公演では、聞く機会の少ない若い俳優たちの声が稽古場に響き渡ります。
「今が一番しんどい」と星智也さんは、一人出番の前と後に台詞をシャドーボクシングのように語っていて
「実は、アラビアンで使っていた赤ちゃんなんです♪」と、
赤ちゃんをあやしながら側に来てくれたのは松岡依都美さん
隣に座って稽古を一緒に見ていたかと思うと、ぶつぶつ台詞を唱えていました。
そんな依都美ちゃんと荘田由紀さんが対峙するシーンは、イイ女同士のいい場面♪目が釘付けです。
城全能成さんの「俳優」について語る台詞には、おおおっと・・すげー!
遠くから笑顔をみせてくれる佐川和正さん。
わざわざ挨拶にきてくれた高塚慎太郎さん。
ありがとうございます♪

その傍らでは、演出部のスタッフの方々の細かな作業が続いていて
忙しい中でも照明の賀澤礼子さんや西本由香さんに気遣って頂きました
ありがとうございます。

今回は、時間を許す限り稽古場に居させて頂けたので
約3時間強と長時間もの間、現場の空気に触れさせて頂きました。
ありがたい、楽しい貴重な時間でした。
でも、まだまだ居たかった・・・。でもあんまり居てお邪魔になってはいけないと
さてさて観させて頂いたシーンが、どうまた変化していくか・・・
いやぁ本番楽しみ!楽しみ!
初演から43年、再演から40年振りに復活する文学座の『美しきものの伝説』
たくさんの美しいものたちが劇場で私たちを待っていてくれると思います。

公式ブログは→美しきものの伝説公式ブログ
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by berurinrin | 2011-01-30 18:58 | イベント

文学座付属研究所研修科卒業発表会『キル』in 文学座アトリエ(1/28)

作   野田秀樹   
演出 小林勝也

モンゴルの大草原、イマダとトワの間に生まれた子は、若き日のジンギスカン、名前はテムジン。
イマダの血「蒼き狼」が自分に流れてると信じていたテムジンですが、
本当の父親はイマダの敵だと知らされます。
大草原の中に張られたテントの中で一台のミシンを踏みつけ続けるテムジンは、
いつしか天才的なデザイナーになっていきます。
全世界に彼の「制服」を作ること。ある日、彼はファッションモデルのシルクに出会います。

キルは「着る」そして「斬る」でもって「kill」
制服は「制服」そして「征服」
大草原でジンギスカンでファッション界で権力闘争で
因果はめぐり輪廻転生・・盛り沢山の野田ワールドが、アトリエに炸裂していました。

研修科生第48期生の卒業公演。二年間の座組みの解散公演です。
きっともう二度と同じ舞台に立つことのない彼ら・・
芝居に向き合う姿は、純粋で真剣。一人ひとりどちらかというと上手いんだけど
なんか今ひとつ殻から抜け出していないというか
与えられた役に対して、きれいにまとまっちゃう所が未熟なのか、ぶきっちょなのか?!
観るたびに、こんなにもいろいろ発表の場があるのに・・・
「ああっ~」っと、もったいないお化けが現れては「どうしてなんだろう?」と思っていました。

卒公の雰囲気は、いつもの発表会と違って
一種独特の会場からの熱気と客席からの熱い視線が交差して
カーテンコールに至っては、毎回ながら熱いものがこみ上がってきてしまうのですが
今回は、初日でもあり緊張感も多々あったと思いますが
さらりと、まるでモンゴルの乾いた土に吹く風のような爽やかさがありました。
ここに至るまでの稽古場での彼らの喜怒哀楽すべての結果が
カーテンコールの笑顔に集約されていたのだと確信しました。
いい舞台でした。

2004年の卒業公演でも野田秀樹さん『カノン』という作品が上演されました。
演出は、惜しくも亡くなられた戌井市郎さん。
当時配られたパンフを読み返してみると
卒業生に贈る戌井さんのメッセージが
「皆、自由奔放に伸び伸びとやるべし、各々の発想を尊重しよう、
但し、セリフの不明瞭は許さない!」(『カノン』のパンフより抜粋)
今になって涙が出てくる私ですが・・・
そんな今日は、彼らの千秋楽です

1/28(金)~30(日)まで in 文学座アトリエ
by berurinrin | 2011-01-30 11:45 | 文学座観劇感想

美しきものの伝説
<伝説>初演の頃-メンバーに聞く

初演メンバーの加藤武さん、吉野由志子さん、金内喜久夫さん

『美しきものの伝説』のイベントに参加してきました。
43年ぶりの再演ということで
「どうなることやら楽しみながら苦しんでいる」と司会進行は演出される西川信廣さん。
文学座に入る以前に、なんのあてもなく京都に行かれたことがあったそうで・・
と、ある本屋さんで、ふらふらっと手を取ってみたのが宮本研さん著『美しきものの伝説』。
その後、文学座に入って勉強会で初演出されたのは、宮本研さんの『明治の棺』だったそうです。
同じ頃、違うチームでは『美しきものの伝説』が上演され、
また違う機会で木村光一さんの作品もご覧になった
西川さんは、「若者の反乱」・・正直、面白いと思ったそうです。

初演当時38歳の加藤さん。
「38歳ってびっくりだよね」と西川さん。
西川さんが入座された時から、まったく加藤さんはお変わりにならないそうで
それは日々の鍛錬の成果だと思いますが、お元気な加藤さんから
まずは当時を振り返ってお話して下さいました。
「大正時代の大杉栄さんや野枝さんとか、ない交ぜになってワケがわからなかった」と
おっしゃいながらも、作劇の面白さに感心されたそうです。
「語られている内容は難しいけれど、楽しかった」そうです。

今回の再演の座組みの最年長の西川さんは、初演をご覧になっておられないそうで
なので誰も初演を観ていないメンバー。
すると加藤さん「それがいい」とおっしゃいます。
まったく別物が出来上がるので、初演と比べることは出来ない。
今日の話は参考にはならない。芝居とはそういうもの・・
「関わったんだから楽しみ。どうやるかなぁというのが楽しみ」と
加藤さんらしい口調で、客席でお話を聞いている再演の座組のメンバーに
優しいエールを送られていました。

野枝さんを演じられたのは吉野由志子さん。
当時、気力が落ち込んでいた時に、『美は乱調にあり』(瀬戸内 寂聴・著)で
伊藤野枝さんの生き方を読んで、気持ちを奮い立たせていた時に
偶然、客演で出演予定だった渡辺美佐子さんが降板され代役でのキャスティング。
運命的な出会いを感じられたそうです。
野枝さん像を「やると思ったら絶対やる。積極的な女性」。
「素朴で純粋でひたむきであればいい」と演出家から指導されたそうです。

座員2年目で、忘れっぽくって・・と、金内さん。
宮本研さんがとても優しい方だったそうで
よく呑まれたエピソードを語って下さいました。
宮本さんも金内さんも九州出身だそうで、呑みながら金内さんのお話を
宮本さんが、嬉しそうに聞いて下さったそうです。
野枝さんも九州・・九州の女性の話で盛り上がったそうです(笑)
う~ん、九州の女性は美しいと聞きますからねぇ
なんといってもいい台詞が多い・・「いい台詞だなぁ~」と思う。と、お話下さいました。

初演の稽古場の現場の雰囲気は、とても熱っぽかったそうです。
本の内容が左翼的で緊張感があったとおっしゃいます。
当時は進歩的な、テーマを持った芝居を取り扱うことが難しい時代だったそうです。
思想が自由で偏りが無い・・時代の反応を感じる
こういう芝居に共感したのは、当時は故・杉村春子さんが劇団を経済的に支える為に
地方で公演活動される姿をみて、若手で頑張らなきゃいけないという気合があったそうです。

当時は世の中が変動してる時代だったそうで
中日劇場での公演中は、浅間山荘事件の真っ只中
そんなにお客様も入らなかったそうで、皆さんで名古屋を
パレードして動員を図ったそうです。

「客席が2/3寝ても、1/3感動することを視野に入れて頑張れ。
客が寝てもめげるな!と言っている(笑)」と西川さん。
学生と先生の長い台詞の対話があるそうですが
すごくいい場面なんですが、厳しい場面でもあるそうです。
今の文学座の本公演とアトリエ(研究劇)の矛盾点をついた対話で
興行とやりたい芝居・・彼らの悩みを代弁している・・・
ふむ、大切に拝見したい場面です。

20世紀から21世紀の時代は、インターネットや携帯の普及で
急速に世界が繋がっているはずなのに、日本では3万人に及ぶ自殺者がいる。
世界が繋がっているのに生きる支えが切られてる・・そんな気がすると、西川さん。
政治や芸術を熱く語る場が、今の時代にはない。とおっしゃいます。
続けて、人間はこういう面もあるんだよと観客といっしょになって社会と人間とか
混沌とした世の中で、内容はともかく熱く語っている。
時代を映す鏡が演劇・・
時代を書いたんだと思うんだけど、結果、時代が演劇を呼ぶ。
政治の話なんだけど、演劇と置き換えられる
演じる側と観る側・・客が入る芝居なら良いのか?客が入らなくても良い芝居はある。
作る側の熱意が大切。実際、初演の時はお客さんがあまり入らず
新聞でも酷評されたそうです。

金内さんから、「否定するエネルギーを持たなきゃいけない」
文学座の財産ともいえる「女の一生」「欲望という名の列車」を認めたうえで
演劇状態は良くないけれど認めつつ否定していく・・
「美しきものの伝説」は文学座論だと言う評論家もいる・・と、西川さん。
創立のメンバーで、惜しくも先月亡くなられた戌井市郎さんが
生前、体のどこどこが痛いとおっしゃると
「90歳も生きているんだから、仕方ないですよ」とか
フランクに言えちゃうところが文学座の良い所だとおっしゃいます。
そして、戌井さんに場所を与えてもらったおかげで
文学座の演出家がどんどん育ってきたとおっしゃっておられました。

当時の共演者のエピソードで
今は亡き大地喜和子さんに演技指導をされた加藤武さん。
加藤さんの台詞を無邪気に手を叩いて喜んで
「もう一回やって!」とせがまれてたそうで、
「おかしな子だった」と楽しそうに語られました。
また、先日惜しくも亡くなられた細川俊之さんのエピソード・・
細川さんはよくロビーでヴァイオリンを弾いておられたそうで、
役柄で、竹筒に水割りを入れて、くぴくぴ飲んでたら酔っ払っちゃって
台詞が出てこなくて1分間位間があったそうですが、その間が最高だった(笑)と
金内さん。

今回は原作に忠実にノーカット版でいくそうです。

お話が芝居作りのほうに流れて・・
70年代は、欠陥を持っていながらも骨太でおおらかな
時代に真っ向からむかっていく芝居があったとおっしゃいます。
未熟ながらも異をとなえるエネルギーがあったけれども
今は、どっかにもぐっていて不健全さがある・・
先ほど金内さんの言葉を肯定するように
「何かを容認するのではなく、疑ってかかることが大事なんじゃないか」と、西川さん
「最近の作家は対話は上手いけれど、モノローグが書けない」と
別役実さんが以前おっしゃっていたそうで
また、戌井さんも
「役者は、台詞だよ」とおっしゃっていたと金内さん。
こういう良い芝居を、こなしていかなきゃいけない
あえてこういう芝居を上演することで力をつけたいと、西川さんが、まとめられました。
最後に参加されていたご出演者の方々に一言づつということで
トップバッターは、城全能成さん。
お話して下さった先輩たちに
「記憶のうわずみの中から必死に語って下さり、ありがとうございました(笑)」
と、掴みはおっけーのご挨拶(笑)
で「流行の3D映画のめがねなしで、飛び出すように頑張ります!」と
緊張気味ですが野枝さんを演じる荘田由紀さん「美しいものたちの時代、作品を観に足を延ばして下さい」
石橋徹郎さんは「瑞々しさに溢れた芝居をしたい」
江守徹さんが20代で演じた役を演じると、鍛冶直人さん。
清水碧さんは「バニーにもハイレグにもなりませんが(笑)趣向をこらします」
得丸伸二さん「先輩たちの話に感動して、面白いことができるかどうか・・」とプレッシャーを感じられつつ、
戌井さんと重なるところがあったのか・・と「戌井先生を後ろに感じながら頑張ります」
松角洋平さんは「充実しながら稽古している」と、
松角くんは、加藤さんが演じられた役を今回演じられるんですが
監獄(?!)体操というのがあるそうで
「いやぁ~あれはよかった」と金内さん。
「あれは評判よかったんだよ」と加藤さん。
思いっきりプレッシャーをかけられる松角くん(笑)がんばれ!!体操!!
佐川和正さん「さまざまな話に敬意を表しつつ、役と自分を誠実につなげたい」
鈴木亜希子さん「やってやると思いつつ、台本を読んでへこみ・・でも熱さだったら負けずに演じます!」
関輝雄さん「稽古初日は、長台詞でどうなるかと思ったが日々良くなっている
良い作品になるよう頑張ります!わたしも(笑)」
丁度、西川さんが発表会をやっていた頃、別のチームで『美しきものの伝説』を
上演されたときにシブロクを演じられたそうです。
岸槌隆至さん「何で演劇やってるのか?!と打ちの目されます」
牧野紗也子さんは「芸術、政治と、モノローグとか難しい場面の中で、楽しく台詞を発します」と
高塚慎太郎さん「芸術座の座員ということで、ぴんと来る人物が見当たらない
これから見つけられるか・・作っていくのか?!」
木下三枝子さん「大きな劇団に入っているという地で出来る気がする・・」
永尾斎さん「やりやすい役なので熱さをもってやります」
石川ひとみさん「本公演初、緊張感と勉強の日々の中で頑張ってます。
研修科から3人も出す西川さんの挑戦もあると思う。頑張ります」
そう、木下さん、石川さん、永尾さんともに研修科生なのです

そして最後に西川さんから一言。
「連中の芝居を観て下さい」

以上でレポは終了です。
あっ、くれぐれも勝手な解釈でまとめていますのでご注意くださいね
by berurinrin | 2011-01-22 23:29 | イベント

文学座付属研究所研修科卒業発表会『キル』のお知らせ

作   野田秀樹   

演出  小林勝也

日時  1/28(金)19:00   
     1/29(土)14:00/19:00    
     1/30(日)14:00                     *ピンクとブルーとダブルキャスト方式です。

於 文学座アトリエ  

料金  1,000円(全席自由席・予約制) 

問合せ/予約   受付開始1/20(木)
            文学座  TEL.03-3351-7265(11:00~17:00日祝除く)

とうとう研修科48期の最後の公演となってしまいました。
思えば2009年『珍訳聖書』(井上ひさし・作)『衣装』『かくて新年は』(森本薫・作)
『結婚仲介人』(ソーントン・ワイルダー作)『リリオム』(モルナール作)
『二十世紀少年少女唱歌集』(鄭義信・作)「『祭の出来事』(久保田万太郎・作)『十三夜』『大つごもり』
(樋口一葉・原作/久保田万太郎・脚色)『萩家の三姉妹』(永井愛・作)
そして勉強会
『七日目、その日』(鄭尚美・作/滝沢花野・補訂)『棲家』(太田省吾・作)
『小さなエイヨルフ』(イプセン・作)『灰から灰へ』(ハロルド・ピンター作)
思えば、どれも印象的でした。そんな彼らの集大成です。
ぜひアトリエで!!!
by berurinrin | 2011-01-10 18:12 | 文学座公演情報

Ring-Bong第一回公演『櫻の木の上 櫻の木の下』~いくつも時間#2~のお知らせ  

作  山谷典子  

演出 湯澤公敏(ここかしこの風)

舞台監督/美術 乘峯雅寛  

照明 賀澤礼子    

音響 湯澤公敏
    
日時 3/24(木)~3/29(火)(3/24~25プレビュー公演) 

出演 三木敏彦、加納朋之、佐川和正、太刀川亞希、山谷典子(以上、文学座)
    辻輝猛、樋口泰子、松垣陽子

於  サイスタジオコモネAスタジオ 

前売開始予定  2/24(木)
           
入場料 前売3,300円(当日3,500円)(プレビュー公演2,500円

双葉&(株)サイスタジオ事業部  TEL.03-5375-1118(平日11:00~18:00)

すでに公式ブログができていますよ→Ring-Bongのブログ
もしくはリンクさせて頂いてます山谷典子さんのブログIl est quatre heures.
&佐川和正さんのブログアトリエ Sa-Sa
も合わせてどうぞ★
前作『いくつもの時間』と同様に山谷さんが書下ろしをされました。
前回はリーディング方式でしたが、今回はお芝居としての上演となるそうです。
『いくつもの時間』の感動を再び・・・彼女の思い、伝えたいこと
そして私たちと考えたいという気持ち・・そのこだわりをぜひ劇場で感じて観て下さい。
by berurinrin | 2011-01-09 20:57 | 外部出演

文学座有志による自主企画公演『AS・IS今のままの君』のお知らせ
  

作     ウィリアム・M・ホフマン  

訳      沼沢洽治

演出    中野志朗 

舞台美術 乘峯雅寛 

照明    中山美奈

音響効果 望月勲    

日時  3/24(木)~27(日)

出演  麻志那恂子、藤崎あかね、
     藤川三郎、横山祥二、斉藤祐一、上川路啓志、高塚慎太郎

於   文学座新モリヤビル1F 

前売開始予定  3/1(火)
   
入場料 全席自由予約制 2,500円

文学座  TEL.03-3351-7265(10:00~17:30日祝を除く)

企画・制作 アズ・イズ 

協力 文学座企画事業部

すでに公式ブログができていますよ→アズ・イズブログ
1985年トニー賞 劇作・演出・演技3部門ノミネート
ドラマ・ディスク賞&オビー賞 ダブル受賞されたそうです。
by berurinrin | 2011-01-09 19:03 | 文学座公演情報

1月~主な外部出演

★鵜山仁演出、平淑恵『化粧』1/8~16 紀伊國屋ホール(こまつ座03-3862-5941)
★たかお鷹 『日本人のへそ』3/8~27 Bunkamuraシアターコクーン(こまつ座03-3862-5941)
上記2作品公演には文学座支持会・パートナーズ倶楽部会員特別割引があります。
 詳細→こまつ座 TEL 03-3862-5941へお願いいたします

★千田美智子『終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。』1/14~25 アトリエ春風舎(アトリエ春風舎03-3957-5099公演期間中のみ)
★岡本正巳、細貝光司、藤崎あかね『品川湊夫婦心中-〈津国女夫池より〉』1/20~30北品川本通り商店街「楽間」(楽間03-5463-1297)
★早坂直家構成・演出、川辺久造、早坂直家、藤堂陽子、太刀川亞希『で・え・く16』1/21~23 浅草・木馬亭(木馬亭03-3844-9434)
★浅地直樹『クラウド9』1/25~30 青年座劇場(劇団青年座03-5478-8571)
★斉藤祐一『仮面音楽祭』2/3~7 下北沢「劇」小劇場(江古田のガールズ090-8374-0434)
★浅野雅博『く・ち・づ・け』2/4~10 駅前劇場(コマンドエヌ03-5338-6215)
★松山愛佳『たか女爛漫』1/2~26 御園座(御園座052-222-8222)
★高橋広司『愛と青春の宝塚』2/10~27青山劇場、3/3アクトシティ浜松、3/5松本市民芸術劇場、3/9イズミティ21、3/12熊本市民会館、3/19.20梅田芸術劇場、3/23北海道厚生年金会館、3/26.27愛知県芸術文化センター(コマスタジアム03-3202-8111)
★角野卓造『ロング・ロング・フレンド』2/17~3/6本多劇場(アタリ・パフォーマンス03-5572-7571)
★鵜山仁(演出)、塩田朋子『コラボレーション』2/19~27紀伊国屋ホール(加藤健一事務所03-3557-0789)
★渡辺徹『あなたはだあれ?』2/5プラザーホール(山野楽器045-905-0823)
★沢田冬樹、細貝光司、山本郁子『みどりの星のおちる先』2/24、25大田文化の森(日本工学院蒲田キャンパス03-3732-1111)
★原康義、瀬戸口郁、粟野史浩、藤側宏大『わが町』3/3~3/13俳優座劇場(俳優座劇場03-3470-2880)
★小林勝也、今井朋之『国民の映画』3/6,7(プレビュー)3/8~4/3パルコ劇場(パルコ劇場03-3477-5858)4/20~5/1神奈川芸術劇場(神奈川芸術劇場045633-6500)
★仲恭司、八十川真由野『舵 ふりだした雪』3/9~16六行会ホール(六行会ホール03-3471-3200)
★南一恵、大場泰正『わが町 可児』3/12~13可児市文化創造センター(可児市創造文化センター0574-60-3050)
★鵜山仁(演出)、金内喜久夫、神保共子『月にぬれた手』3/17~31(東京芸術劇場03-5985-1707)
★吉野由志子『邦楽ドラマ 浪花女』3/23~26紀尾井ホール(紀尾井ホール03-3237-0061)
★石橋徹郎『光の庭』3/29~4/3赤坂レッドシアター(東京スウィカ事務所03-6304-3906)
★鵜山仁(演出)『炎の人』3/11~3/21サンシャイン劇場(無名塾03-3709-7506)

*お問い合わせは( )までお願いします

あろうことか先月はUPできてなくてすみませんm(_ _)m
なので・・自分でわかっている範囲は乗せることにいたしました
by berurinrin | 2011-01-09 18:33 | 外部出演

井上ひさし追悼・こまつ座第92回公演・紀伊国屋書店提携
『化粧』 in 紀伊国屋ホール(1/8)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁

10日後には取り壊しになるという寂れた感じが漂うこの小屋。
この「五月座」の座長であり看板女優の五月洋子(平淑恵)さんが、
むくりと起き上がり、これから上演される出し物『いさみの伊三郎』の
伊三郎に変身する為のメイクに取りかかります

『化粧』は、木村光一さんが演出で、ご自身が主催されていた地人会が
井上ひさしさんに依頼をして書かれた一人芝居の戯曲です。
1982年の初演からずっと渡辺美佐子さんが演じられ続けられました。
なので、こまつ座としては初演の『化粧』です。
日本のみならず海外でも上演されて大好評だったこの作品
実は未見なのでした(ねーほら、えり好みしちゃうから)
なので今更ながら実在の女剣劇士・不二洋子さんの『夢まぼろし女剣劇』(筑摩書房)を
読みつつ予習のつもりが、復習しておりますf(^_^;)
とはいえ、この公演の前に『化粧』のテキストを使ってのワークショップがありまして
鵜山さんと淑恵さんが講師としてのイベントに参加してきました。
なので作る過程にも、ちょこっと触れた感も~☆彡とっても得がたい体験をしてきました。
そのお話はまたいずれ・・そんなこんななので、観る前から興奮してました。

幕開けは、ちょっと楽屋の隅っこで眠っている洋子さん。
仰向けで眠っていると、歌舞伎?!狂言?!のような、どーん、どん、どん、どん、どんと
という効果音にあわせて、ストップモーションで足を手をバタつかせてむくっと起き上がります。
このシーンがとっても印象的で、私はすっかり魅了されてしまいました。
洋子さんの手が魔法のように次から次へと動かされると、一人の女性から
伊三郎に変貌していき、変貌しつつ座長としてのもう一人の女性がむくむくと浮かび上がり
ほかの座員たちやお付の女性が、まるで泡のように浮かんでは消え、消えては浮かんできます。
時折、洋子さんが「なんでこの芝居に、人がいないの?」と繰り返す台詞が
「えっ!?」って、私たちを現実に戻してくれているようで、
不自然な世界を自然の世界と了解してる私たち観客の滑稽さを指摘されてるようで
思わず苦笑しちゃいます(笑)
自分の生んだ子供やすべてを捨て、芝居に生きた洋子さん・・
そんな彼女に会いに来たのは、その捨てた息子?!
涙の再会があると思いきや、大どんでん返しと伊三郎の世界が重なって
最後の大見せ・・・びっくりのシーン
どこからどこまでいくのやら洋子さんの生き様は・・
演歌の合間には、ブルトーザーやシャベルカーの音がして工事現場のような異音が響き
洋子さんの居るこの楽屋だけが、彼女の世界で絵本の『ちいさないえ』のような感じで
もしかしたら・・・外の世界が現実で、洋子さんは、実はむかしむかしに亡くなっていて
この土地で一人、同じ日常を繰り返すまぼろしの人になっているのかしら・・・なんて
いろんな思いを巡らしちゃいました。

素顔の淑恵さんは、綺麗で気品があって、愛らしい声・・美しい女優さんですが
すべてを捨て、全身全霊を傾けて五月洋子さんに寄り添い、重なり合っていく姿・・
気迫がばんばん伝わってきて、圧倒されっぱなし
一人の女性の喜怒哀楽すべての感情が詰まって吐き出されている
この芝居・・決してきれいな役ではありませんが、演劇人として憧れる芝居という
意味がわかった気がしました。

あっ、そうそう・・このお芝居のガヤの声
文学座の俳優さんがやってらっしゃるんですよ(*^_^*)
石橋徹郎さん、星智也さん、山森大輔さんが参加されていました。
迫力ある彼らの声・・・気が付かれましたか?

さて、幕を開けた『化粧』は、これから4ヶ月もの間旅を続けられます。
五月洋子さんが、国内中を旅から旅へと芝居に明け暮れたように・・・

お芝居初めでございます(*^^)v
思えば去年はカトケンさんの『シャドーランズ』、一昨年は八王子で拝見した、こまつ座『兄おとうと』
その前は北九州で拝見した、『長崎ぶらぶら節』と。
ここ数年、鵜山さんの作品での芝居初めが続いております。嬉しい(*^_^*)
今年もどきどきわくわくの素敵な作品にいっぱい出会えると良いですね。
そして、やっぱし鵜山さんの作品が最高の予感です♪

1/8(土)~1/16(日)まで  in 紀伊国屋ホール 
by berurinrin | 2011-01-09 16:25 | 観劇感想

2010年観劇リスト

あけましておめでとうございます
・・・・やっと言えたf(^_^;)

さて、昨年2010年に拝見した観劇作品をリストUPしてみました

<1月>

加藤健一事務所『シャドーランズ』@本多劇場x2
文学座付属研究所研修科卒業発表会『リリオム』@文学座アトリエ

<2月>

シルバーライニング『招かれた客』@かめありリリオホール
新国立劇場演劇研修所『友達』@新国立劇場
LEMON LIVE『パパは犯罪者!?』@下北沢駅前劇場
シルバーライニング『招かれた客』@県民共済みらいホール

<3月>

彩の国シェイクスピアシリーズ『ヘンリー六世』@さいたま芸術劇場
文学座『女の一生』@俳優座劇場
新国立劇場『象』@新国立劇場
Project Natter『ピロクテーテス』@SPACE雑遊
シルバーライニング『招かれた客』@三越劇場
古川オフィス『ルーベンスタイン・キス』@銀座みゆき館劇場

<4月>

二兎社『かたりの椅子』@世田谷パブリックシアター
清春芸術村30周年花見の会『桜の森の満開の下』@清春芸術村野外ステージ
新国立劇場『夢の裂け目』@新国立劇場
文学座『わが町』@全労済ホール/スペースゼロx2
久保田万太郎の世界『三の酉』『夜長』@文学座新モリヤビル1階
新国立劇場演劇研修所修了生のためのサポートステージ『西埠頭』@新国立劇場x2

<5月>

『モジョミキボー』@下北沢OFFOFFシアターx8
新国立劇場『夢の泪』@新国立劇場
文学座有志による自主企画公演『ピンクの象と五人の紳士』@文学座新モリヤビル1階
イッツフォーリーズ『天切り松 人情闇がたり』@かめありリリオホール
文学座付属研究所研修科発表会『二十世紀少年少女唱歌集』@文学座アトリエ
劇団銅鑼『流星ワゴン』@神奈川県立青少年ホール

<6月>

文学座『麦の穂の揺れる穂先に』@紀伊國屋サザンシアター
新国立劇場『夢の痂』@新国率劇場
文学座有志による自主企画公演『映画に出たい!』@文学座アトリエ
文学座有志による自主企画公演『いくつもの時間』@文学座アトリエ
新国立劇場オペラ『鹿鳴館』@新国立劇場
新国立劇場オペラ『カルメン』@新国立劇場
シーエイティプロデュース『六週間のダンスレッスン』@神奈川県立青少年ホール

<7月>

unks『1960年のメロス』@サイスタジオ
こまつ座『父と暮せば』@杜のホールはしもと
Project Natter『わが友ヒットラー』@ザ・スズナリ
新国立劇場『エネミイ』@新国立劇場x2
こまつ座『黙阿彌オペラ』@紀伊國屋サザンシアター
文学座研究所研修科演出部自主勉強会『七日目、その日』@文学座アトリエ
文学座研究所研修科演出部自主勉強会『棲家』@文学座アトリエ

<8月>

こまつ座『父と暮せば』@あうるすぽっと
劇団M.O.P『さらば八月のうた』@紀伊國屋ホール
こまつ座『父と暮せば』@川西町フレンドリープラザ
劇団銅鑼『二重の不実』@銅鑼アトリエ
ドイツ同時代演劇リーディング『走れゴスポディン』@ドイツ文化センター
『フツーの生活・長崎編』@紀伊國屋サザンシアター
HAPPY HUNTING GROUND『土の中の教師たち』@サイスタジオ
文学座『殿様と私』@前進座劇場(ゲネ)

<9月>

文学座『トロイアの女たち』@文学座アトリエx2
文学座『殿様と私』@神奈川県立青少年ホール
『今は昔、栄養映画館』@代々木パオ
T.Sミュージカルファンデーション『タンビエットの唄』@神奈川県立青少年ホール

<10月>

『フツーの生活・宮崎編』@紀伊國屋サザンシアター
tpt『コレクション』@BankART Studio NYK 2Aギャラリー
無名塾『炎の人』@能登演劇堂
文学座『カラムとセフィーの物語』@文学座アトリエx2
俳優座プロデュース『家族の写真』@俳優座劇場

文学座『ダーヴィンの城』@文学座アトリエx2
演劇集団円『シーンズフロムザビックピクチャー』@紀伊國屋ホール
文学座付属研究所研修科勉強会『小さなエイヨルフ』@文学座新モリヤビル1階

<11月>

シェイクスピアカンパニー『お気に召すまま』@紀伊國屋ホール
文学座『くにこ』@紀伊國屋サザンシアターx3
夫婦印プロデュース『満月』@県民共済みらいホール
舞台芸術学院 ステージアーティスト科2期上演発表『ルーベンスタイン・キス』@舞台芸術学院

<12月>

俳優座プロデュース『家族の写真』@山形市民劇場
だるまちっくシアター『娑婆に脱帽』@アトリエだるま座
社団法人日本劇団協議会『男は男だ』@恵比寿エコー劇場
テアトルサンノーブル『この星にともる光』@サイスタジオx2
文学座研究所研修科演出部自主勉強会『灰から灰へ』@文学座新モリヤビル1階
文学座付属研究所研修科発表会『萩家の三姉妹』@文学座アトリエ

昨年は68作品拝見できました。
ピンクの文字は、鵜山仁さんの演出作品。
鵜山さんてっばマジ忙しいですよ(笑)でも・・これ以外に、講演会やらトークイベントやらワークショップも
ファンとして追っかけ甲斐たっぷり、ホントに楽しい一年でした。
それにしても『モジョミキボー』は、かつてない観劇数ですf(^_^;)
まだ感想UPしてないものもあるし、トークのレポも手直しすれば・・とかもあるんですけど
またゆっくり知らないうちに、こそっとUPしときます(笑)
文学座もすごく充実していましたね。自主企画も沢山ありました。素晴らしいことです
おかげで、文学座と鵜山さんの作品でお腹いっぱい、嬉しい悲鳴をあげてました
ベストやワーストは、あえてやめときます。
しいていうなら、鵜山さんの作品は全てマイベスト1ですYeah~!(*^^)v
今年も素敵な作品との出会い・・・楽しみですねっ
どうぞ皆様、今年も素敵な観劇ライフをお過ごしくださいね!!

そんなこんなで、よわっちしヘタレもんのブログと私ですが
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
by berurinrin | 2011-01-04 18:21 | 日常