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アトリエ60周年記念公演のお知らせ

アトリエ60周年記念公演のお知らせです

『トロイアの女たち』9月7日(火)~20日(月)

作   エウリピデス

翻訳 山形治江

演出 松本祐子

出演 倉野章子、藤堂陽子、山本道子、つかもと景子、塩田朋子、奥山美代子、 佐藤麻衣子、
    頼経明子、松岡依都美、吉野実紗/増岡裕子、木下三枝子
    坂口芳貞、石田圭祐、細貝光司、清水圭吾

『カラムとセフィーの物語』
10月1日(金)~14日(木)

原作 マロリー・ブラックマン
 
脚色 ドミニク・クック
 
演出 髙瀬久男

出演 山本郁子、山崎美貴、鬼頭典子、添田園子、渋谷はるか、鈴木亜希子、下池沙知、千田美智子
    大滝寛、押切英希、沢田冬樹、鈴木弘秋、林田一高、亀田佳明、上川路啓志、
    柳橋朋典、藤側宏大

『ダーウィンの城』

10月25日(月)~11月7日(日)

作   鐘下辰男

演出  高橋正徳

出演 吉野由志子、征矢かおる、荘田由紀、牧野紗也子
    金内喜久夫、中村彰男、大原康裕、高橋克明、櫻井章喜、石橋徹郎、
    植田真介、川辺邦弘、斉藤祐一

アトリエ創立60周年の記念公演が始まります!
すでに前売チケット発売中です。
お得なチケット情報やイベントスケジュールも見逃せませんよ~☆彡
詳しくは、専用ページ文学座アトリエ60文学座NEWS BLOG

伝説のH.H.Gが蘇えるっ!!詳しい内容は→こちらへ
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by berurinrin | 2010-07-25 18:14 | 文学座公演情報

新国立劇場『エネミイ』

新国立劇場『エネミイ』 in 新国立劇場小劇場【THE PIT】 (7/3,18)

作   蓬莱竜太
演出 鈴木裕美

ごく平凡な直木家に、大量の有機野菜を抱えた成木正巳さん(嵯川哲朗さん)と
瀬川龍彦さん(林隆三さん)が、父・幸一郎さん(高橋長英さん)を訪ねてきました。
家には、フリーターでネットゲームに熱中している長男・礼司さん(高橋一生さん)と
婚活中の姉の紗江さん(高橋由美子さん)。
彼らは、当時、同士だった父との40年前の再会の約束を果たす為に現れたのでした。

「戦い」って、私たちは意外と日常の日々の中で何度も何かと戦っているんじゃないか・・
なんて、思えば当たり前のような事が、ふと改めて浮かんだわけで
それは、あの冒頭の当時の成田闘争のスライドの画像が目にぱーんと入ってきて
この人たちは全員同じ気持で戦っているのかなぁと
中には「早く帰りたい」とか「本当は参加したくなかったんだけど、友達の付き合いで」とか
「とりあえず参加する方向で・・みたいな」って・・ちょっとマイナス思考ですけど
それぞれ温度差があって当たり前で、みんな同じ温度で同じ憤りを持って
ヘルメットを被って、木の棒みたいのを持っているとは、どうしても考えられないのです。
それでも、一人一人何かに向かって戦っていたはず・・・その象徴が
画面に映った姿なのかもしれません。
でも、それが青春時代の思い出のど真ん中と重なると
もしかしたら、とてつもない甘いかぐわしい青春の一ページであって
振り返ると、当時の裏腹で邪な思いを消し去ってしまう程の効力があるかもしれません。
すごいポジティブ思考ですけど・・
で、何を言いたいかっていうと・・よくわからないんですけど
『三里塚』。
今もなお活動中ってすごいですね。
その持続するパワーの源は何なんだろう?
わたしはこの作品に触れなかったら
きっとこの事件をあえて知ることはなかったと思います。
昔、演劇は一つの情報手段だったと言われていました。
今はメディア等で瞬時のニュースを手に入れる事ができますが、
過去の出来事は、自分から手に入れようと思わなければ、その更新の早さに
記憶の彼方に追いやられてしまいます。
この作品は、わたしにとってきっかけであり、礼司さん同様に調べて
自分の中で問いかける作品でした。
きっと作者の蓬莱さんも同じように疑問を持ちながら作られたのかなぁ~と
勝手に推測しちゃうんですが、それだけにとても素直に向き合える作品でした。
なんか、爽やかちゅーか、池にぽたんと落ちた小石の波紋が広がるように
じんわりと胸に焼きつきました。

ふぅ~ため息。
終わりました。
いい千秋楽でした。

この作品を最後に8月末、鵜山仁さんは芸術監督としての任期を終えられます。
長かったような短かったような・・・複雑なんですけどね。
千秋楽の翌日には、エンディングパーティーがオペラパレスで行われまして
ご挨拶された鵜山さんが
「控えめに発言したつもりがサスペンスを撒き散らしちゃって(笑)」
なんて事をおっしゃっておられました。
壇上で、お話される鵜山さんのお姿を眺めて、あ~本当にこれで任期を全うされたんだなぁ~
と思うと結構胸がいっぱいになってしまいました。
そんなかなり気持がぐっと来てる時に鵜山さんから「まともなかっこしてる」と言われ
売り言葉に買い言葉のように「鵜山さんだってネクタイ姿じゃないですか(笑)」
まーねまーね。そりゃ、新国立主催のパーティーですからっ
一応、淑女らしい楚々としたイメージ(* ̄m ̄)プッ!で参加させて頂きました。

それにしても良く通った劇場でした。
居心地の良い劇場でした。広いし、ちょっと調べたい事やメモをまとめたい時は
早めに到着して、まずは5Fの情報センターでゆっくり時間を過ごし、屋上庭園で休憩したり
1Fの待ち合わせコーナーではシアタートークの後にふらっと立ち寄って
レポしたノートの言葉の穴埋め作業やクールダウンしたりと活用させて頂きました。
スタッフの方々の対応も素晴らしいし、警備の方には顔を覚えて頂いたり
本当に皆さんとても丁寧だし気持ちのよい素敵な劇場です。
鵜山さんが、よくおっしゃっていた「ここはみんなの劇場」
わたしが次回来る日は全くの未定ですが、機会がありましたら
どうぞ、あっちゃこっちゃと観劇だけでなく、自分にとって居心地の良い場所探しを
してみるのも楽しいですよ。だって広いんですもん♪

7/1(木)~7/18(日)まで in 新国立劇場小劇場【THE PIT】


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by berurinrin | 2010-07-25 17:33 | 観劇感想

文学座付属演劇研究所研修科発表会『祭の出来事』『十三夜』『大つごもり』のお知らせ

文学座付属演劇研究所研修科発表会『祭の出来事』『十三夜』『大つごもり』のお知らせ

『祭の出来事』
作  久保田万太郎

『十三夜』『大つごもり』
原作 樋口一葉
脚色 久保田万太郎

演出 成井市郎   

日時 7/23(金) 18時30分
24(土) 13時30分、18時30分
25(日) 14時

於   文学座アトリエ  

全席無料・予約制 文学座  TEL.03-3351-7265(11:00~17:00日祝除く)

すみません。すでに千秋楽の日にお知らせなんて・・・
なんかずっと落ち着いてパソコンの前にいる事がなかなか叶わず・・
一応記録としてUPしました。
『祭りの出来事』は、3年前の研修科の発表会で拝見しました。
豊蔵さんを高塚慎太郎さんが演じられていました。


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by berurinrin | 2010-07-25 17:02 | 文学座公演情報

Project Natter Vol3『わが友ヒットラー』

Project Natter Vol3『わが友ヒットラー』 in ザ・スズナリ(7/15)

作   三島由紀夫
演出 ペーター・ゲスナー

着々と地盤を固めるアドルフ・ヒットラー(笠木誠さん)は、同じ志を持つ同士であり友でもある
「突撃隊」を率いる軍人エルンスト・レーム(浅野雅博さん)と昔語りを楽しみながらも
彼の率いる「突撃隊」の乱暴な振る舞いをいさめています。
いつ失脚してもおかしくない・・・ヒットラーにとって「突撃隊」の存在は目の上のタンコブのようです。
そんな中、今は隠居中のグレゴール・シュトラッサー(下総源太朗さん)が、
レームの前に現れ、ヒットラーが自分達の暗殺を企てていると告白します。
一笑するレームでしたが・・・。

オペラ『鹿鳴館』(鵜山仁さん演出ですよぉ~)に続き『わが友ヒットラー』三島由紀夫さんの作品。
私が初めて三島さんの作品を拝見したのはベニサンピットでのtpt『サド侯爵夫人』でした。
坂東玉三郎さんがコルネイユ夫人で麻実れいさんがルネ。
三島作品は、高校生の頃から結構持っているんですよ実は・・とはいえ
あの新潮文庫の朱色の背表紙目当てで買い集めたというミーハー野郎ですが
それゆえ、活字の世界でしか知らなかった三島さんの言葉。
出演者の美しさ以上に人の体内から言葉として出てくるその優雅さ美しさに感動しました。
そんな『サド公爵夫人』は、女性ばかり6人の対話劇。
そして対をなすのが男性4人で構成される『わが友ヒットラー』

当時のドイツでは、国家元首である大統領と首相という国のトップとナンバー2がいたようで
このお芝居の最中では、ナンバー2でナチス党を率いるヒットラーが、
大統領の承認を経てヒットラー内閣を立上げ、次期大統領のポストを狙いべく
虎視眈々とその準備に明け暮れています。
(その後、ヒットラーが大統領と首相を合体させてしまいます)
そんなヒットラーの目の上のタンコブが、
生粋の兵士・体育系男子エルンスト・レームを演じられた浅野雅博さん。
浅野さん演じられるレームが、ちょっとナルシストな雰囲気を感じて
この人物を調べてみたら、同性愛の傾向があったそうであ~と、納得。
色気がありましたよね~(笑)

『鹿鳴館』の時に、三島由紀夫さんの言葉は一語一句変えちゃいけないと、厳しいお話を伺い
上演台本をお書きになった鵜山さんが、オペラ上演の為に戯曲を1/5程に縮められた作業を
「好きな言葉をアンソロジーしただけ」と楽しそうに軽くおっしゃっていましたが・・
この作品もものすごい台詞の量!冒頭のヒットラーの演説なんて数ページありますからっ
で、浅野さんの台詞もものすごい!
一つ一つの言葉が深みがあって情景を持ってとてつもなく美しいです。
モーレツに想像力をかき立てられます。
そんな美しい言葉の中でも、笑いの種は絶対見落とさないのは浅野さん。
2幕で、ヒットラーがコーヒーの中に、お砂糖をたっぷり入れ「もう、入れないで(懇願)」
一口飲んで「うぎゃ~甘いぃ~」だったら飲まなきゃいいのに、
親友から入れられたんだから「美味しく飲むよ・・・でも、あま~っ」と
そんな台詞は全くありませんが(笑)
演じられていましたねぇ、よっさすが!!小技を利かせた浅野さんでした。
そんなほのぼのとした時間があったればこそ、その後の展開にびっくりも愕然としちゃうんですが・・

『モジョミキボー』の上演中に、この作品のお稽古が始まったそうで
「鬼でしょう!」と、いやいやいや・・・確実にMです。
おかげでお顔が引き締まって軍服がお似合いで、浅野ファンの皆様や
その姿を観て、ぐっときた方もたくさんおられた事だと思います。

でも切ないお話ですよね。切なくて怖くて悲しい・・・。
人の心の中には、絶対の信頼というものは存在しないのかなぁ~と
その後のヒットラーの人生を知れば知るほど恐ろしくなります。

7/4(水)~19(祝・月) in ザ・スズナリ

ニュースです!伝説のH.H.Gが帰ってきます!
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by berurinrin | 2010-07-23 23:24 | 観劇感想

『エネミイ』シアタートーク

『エネミイ』の終演後、シアタートークに参加してきました。
司会は、中井美穂さん。
出演者は、芸術監督の鵜山仁さんと『エネミイ』を演出された鈴木裕美さんです。
中井さんと鵜山さんは、スリッパ姿。
セットそのままなので、まるで直木さんのお宅に訪問されたみたいです(笑)
ちょっとトークの為に用意された椅子の配置の間隔が広いということで
動かす鵜山さん。
「芸術監督ってなんでもやられるんですねぇ」と中井さん。
以前、文学座のアトリエでイベントがあったときも、
鵜山さんは、椅子を片付けたりしてましたっけ・・・懐かしいなぁ~


今シーズンは「戦い」をテーマに、シェイクスピア『ヘンリー六世・三部作』、別役実さん『象』、
井上ひさしさん『東京裁判・三部作』そして最後は、蓬莱竜太さんと
鵜山さんの新国立劇場演劇芸術監督としてこれが最後の作品となります。
「最後は若者で締めくくったのはなぜ?」と聞かれた鵜山さんは
バトンタッチというか、裕美さんを含めて若い世代の人たちに
次に繋げる人に世界を作ってもらいたいと思われたそうです。
「何かが終わるというよりも、続くという思い」
ぜひ蓬莱さんに新作を・・というお気持だったそうです。
鈴木裕美さんは、蓬莱さんとは3回目のお仕事だったそうで
このお話を聞かれた時に
「気の毒なりぃ~蓬莱さん大変だろうなぁ~」と思われたそうです。
「鵜山さんからは“いじめ”というお題だったし(笑)」
「いや、“戦い”“戦い”!」と、たじたじの鵜山さん。
執筆に関しては、ほんとうに大変だったようで、鵜山さんに自覚はあるんですか?と
突っ込む裕美さん
「“なぜ人は戦うのか?”というのもあって、その上なにより1968、9年を書いて
くれって、えっーて思ったし、33歳の蓬莱さんも相当苦しまれた」
「くどくど細かい事を言う方じゃないと思うんですけど・・」と鵜山さん
当時、高校生だった鵜山さん。ど真ん中世代というよりもちょっと後方側?!
「後追い経験していたような気がする」とおっしゃいます。
なので、表現するには、言葉が足りないという思いがあって、
後の世代の人からみてどう総括してくれるのか?
別の角度から照明を当ててくれるのか?
鵜山さんご自身が68.9年がどういう年だったのか?
どういうポジションにいたのかを改めて蓬莱さんや裕美さんに教えてもらいたい
「・・いじめって・・というより、そういう感覚で頼んじゃった」
結果、こういう物語が出来たのは、蓬莱さんのオリジナリティだそうです。

すごく大変で、かなりギリギリな状態で書き上げられた脚本・・
「11稿位書いてるんじゃないか」と裕美さん。オファーは約一年半前。
第一稿が仕上がったのが数ヶ月前。エンドマークが出ていない状態で
鈴木さんと制作の方と蓬莱さんと三人で、合宿のような長い長い打ち合わせをされたそうです。
それは前日から始まって朝8時解散で、13時集合みたいな(爆)
なかなか方向性が決めかねた・・というか、落とし所が見つからなくて
蓬莱さんが、すごく真面目な方で、作家によっては題目を無視しちゃう方もいると思うのですが、
「誠実に答えようとしたあまりに悩んでしまった・・」と、鈴木さん。
主にそれは68.9年の学生運動に対して言う権利があるのか?とか、
言うべき言葉があるのか?とか、そのオファーに登場人物達が、どういう言葉で発するか・・
それらを見つけるまでに時間が掛かったそうです。
こんな風に考えちゃえばいいんじゃない?と鈴木さんがアドバイスしても
当の鈴木さんご自身も、
「聞いたことはあるけれど、なんとなく見たことがある程度。
実際に体験した鵜山さんとは違う」とおっしゃいます。
とはいえ鵜山さんも「実際にやってましたと言いつつも・・・」
TVで観たような事を高校でやっていただけ・・とおっしゃいました。
バリケード封鎖があって、卒業式がなかったり、学校の機能が麻痺して・・でも、それが運動なのか?
学生運動してましたって、何をやっていたのか定義が難しい・・

また鈴木さんや蓬莱さんとも違う高橋一生さんの台詞
「角材(かくざい)↑」「角材(かくざい)↓」の読み方は、そのまんま生まれたそうです。
また「三里塚ってどういう字?」という台詞も、そのまま蓬莱さんの言葉だったそうです。
また、逆もあるということで、ゲームのシーンで「ログイン」という言葉など・・
携帯を持たない方など、あらゆる世代の方がいらっしゃる。

で、ここで、ほぼ同世代の高橋長英さん、林隆三さん、瑳川哲朗さんが参加されました。。
「僕が一番若い!」BY林さん(笑)
この作品は、闘争自体がテーマでなくて、それに係わった人間が40年経過し、
その40年の中で色々経てきた人間のお話。
たまたまある年齢に達した時に安保があって、これ自体を描こうとした芝居でない・・
と、瑳川さんが解説をして下さいました。
「ネットゲーム・・やったことありません(笑)」
高橋さんが稽古場に持ってこられて、みんなでやってみたそうです。
そんな芝居そのものが新鮮で初体験だったそうで、
「我々はもっと自信を持って良いんだ」とおっしゃったのは瑳川さん。
こんなベテランの俳優さんでも不安な時があるのかなぁ~とびっくりしました。
「なかなかこう難しい役で、先は長いなぁ~と思っていますが、なるべく早く
初日を出したい」BY林さん
「蓬莱さんも裕美さんも初めて」と、長英さん。
こういう作品になるとは思っていなかったそうで、もっとふぁ~とした感じになると
思った(ヘンな意味じゃなく)と思われたそうです。
「最近になって面白い本だなぁ~」と
ブレヒトを例にとって、演じる悲劇の場面の前を通行人が現れて舌を出してぶち壊す
みたいな構造になっていて面白い。世代間の違いもあるしギャップもあるし
それを生かされていて新鮮だとおっしゃいました。

「ゴキブリ~!」って、カルチャーショックだったと瑳川さん
芝居とか戯曲の観念が全く違っていてびっくりされてそうです。
今までは、文学性が高く、センテンスの長い台詞が多く日常的な世界が
なかったそうで、日常にもドラマが潜んでいて、それが展開して
ちゃんと人がかかわっている「今まで何を見てきたんだろう(苦笑)」

冒頭、暗くなって戦いの音と映像が流れて『エネミイ』のタイトルが出ますが
これらは脚本にはなかったそうで、稽古の途中で決まったそうです。
そんなに早い段階で学生運動について語っていないので
世代によっては、台詞の匂わす言葉で理解できる人もいると思うけれど
映像を流すことによって、ドラマの裏側にはありますよって
あの映像で、ヘルメットや角材を持ってタオル姿の絵を見たら・・20代でも
理解できる方が多いかなぁと思われたそうです。

「なんでもないような男の子が、ぐっとこさせる演出が良かった」と中井さん。
「高橋さんのような若い方とかが、男の子から瞬間に大人の男を垣間見える」
「そういう男の子が好き」と裕美さん。
キッチンの換気扇の下で、煙草を吸うシーン。
「お三方も男の子に見えるといいな」
背中を丸めて煙草を吸うシーン可愛かったですね。
男の子に見えましたよ♪

ここで鈴木裕美さんが、次のお芝居のお稽古に行かれるという事で早退されました。
で、しばし静かだった鵜山さん。
「さっき“お三方”って言った時、“おっさんがた”って聞こえた」
ちょっと得意げで嬉しそう・・だじゃれお好きですから鵜山さん♪
で、残られたのは、司会の中井美穂さん、芸術監督の鵜山仁さん。
そして“おっさん方”高橋長英さん、林隆三さん、瑳川さん。
(ちなみに鵜山さんは“おっさん方”には入りませんからっ!!)

「若い頃からギャップのある役が多かった」と、おっしゃったのは林さん。
お若い頃から極端な役が多かったそうで、今回の瀬川さんの役作りについては
60年安保に関する本を読んだりされたそうです。
長英さんとは同期だそうで、当時のアンダーグランドの自由劇場で
ベトナム反戦やベトロックとかやってると、角材を持って乗り込んできた
あの頃のは芝居的演劇的な熱さがあったそうです。
そんな林さんの学生時代はノンポリで、運動とは遠いところに居られたそうです。
とはいえ、林さんのおっしゃっている事がよくわからず・・・
なんとなくイメージで浮き上がってきたのは、昔TVで観た
『シーザス・クライスト・スーパースター』というミュージカル映画。
繋がりがあるのかあるのか?ないのか?判らないんですけど・・・むむむ。

「台詞の数は多くないし「...」が多い」と、ゆっくり語って下さるのは長英さん。
何で会話がないのかなぁ?と、当初思われたそうです。
どんな芝居でもそうかもしれませんが・・とサッカーに例えて
コミュニケーションっていうのは、パスを出して、また出して・・・と、芝居もそう
「・・・」で「あ~」とか「う~」とか、パスをもらって、たとえ会話が無くても良い。
このお芝居の独白は楽だったそうで、でも一人じゃ難しいとおっしゃいました。
一人じゃ覚えられないけど・・相手がいて、リアクションによって覚えられたそうです。
「うまくパスを出したとき、受けた時の快感は楽しい
これからもいいパスを受けられるように頑張ります」
この家庭について、りっぱな家だけど内容がズレてる・・そうおっしゃいました。

「このポスターを決めたのは鵜山さん?」と司会の中井美穂さん。
「決めたっていうか“はい”と言った(笑)」
なかなか刺激的なポスターでしたよね。
おめめ(笑)だげが、風船をじっとみてる・・そんな構図。
「やっぱバランスがおかしい・・(目が)凝視しているものが風船だったり
ものをどの方向から見るのか?自分のものの見方も
なんか片寄ってるのかなぁ~と思って“はい”と言っちゃった」
凝視している目を映画『アンダルシアの犬』の映画の冒頭のシーンを例えておっしゃっていました。
あの女の人の眼球をぱーっと切っちゃう、びっくりしちゃうシーン。
わたしには理解不能でちょっと受け入れられない映画でした・・・
「目の前にある風船がいつ爆発するかわからない
そういう焦燥感とか恐怖とか不安感とかあらわしている」と長英さん。
すると鵜山さん
「長英さん、(『エネミイ』を)逆に読んだら「意味ねー」って(笑)」
「台本が出てこないから意地悪をいったんですよ」BY長英さん。
瑳川さんからは、作品の出来る工程がかなり楽しかったそうで
と、いうのは・・芸術監督からテーマを出され
一つの芝居が出来る流れが興味深かったと話されます。
テーマを出して、セレクトして・・という手法があまりないそうで
大抵が劇場が企画して、それに乗っかっていく事が多いそうです。
鵜山さんの場合は、完全に自分の意思を出して本を作らせる。
これらが、本来の芝居作りの形なのではないか?!
でも実際は上手くいかない。
これが上手く行ったら、鵜山さんの思いのエネミイの世界じゃないかと思う。
ご自身をアナログ世代とおっしゃる瑳川さん。
今の時代を否定するつもりはないとおっしゃりながらも
本来持ってる値打ち、あるいは生産すること・・人間の根本的な
考えに共感できるし、より値打ちがあると思う世代。
芝居もアナログで「...」は難しい。喋っている方が楽。
これだけ間が多いとどうするんだ?!演技で俳優が生きることは
大変な問題でどう客に伝わるのか最後の仕事。
「鵜山さん、えらいの提示してくれたね(笑)
鵜山さんへの仕上げみたいになっていくので力を合わせていきたい」
すかざす林さん「まとまりました」

ここからが質問タイムです。
「自分はこういう役は出来ない役ってあるのですか?また女性らしいなと思う演出だと思いましたが・」
お三方だから聞ける質問ですね。
で、オペラ『鹿鳴館』をご覧になったそうで、鵜山さんを天才と褒めて下さった素敵なお客さまです。

長英さんは「この年になると、寂しいことにとんでもない役はこない」
オールマイティの部分は、基本的に役者としての幅を持っていたいので
色んな注文をもらいたい。とおっしゃいます。
林さんは「楽しい役しかやったことがない」
極端な役柄が多いそうで、ギャップを埋めるのが楽しいそうです。
瑳川さんは「やった事のない役が出来るのは楽しい」
劇中にディズニーランドから帰って来たシーンで、ミニーちゃんの耳を
付けて登場されましたが、ご自分はなんでもできると思っちゃうそうです。

鵜山さんから
「女性の演出は多少気を許してみられる許容できる人間なので
男性の演出は、どうも反発したりけちを付けたくなる(笑)
自分が企画しても女性の演出は、どうも気が許せて
ここはどういう意味なのかなぁとか、どういう感覚なのかなぁとかなり親切に観てる(笑)」
はーそういうもんですかねぇ~
で、『鹿鳴館』については、三島作品の独特の文体と付き合う機会が
とても楽しかったと感想をおっしゃっておられました。

で、最後に一言つづ
長英さん「今回の芝居は、年齢層が高くて、若い芝居。
稽古場で若い人たちと交流したことが刺激になった」
長英さんが苦労することを楽々とクリアしちゃう若い人たちの感覚を
まぶしそうに語って下さいました。
林さんも、若い人たちとやるのは刺激になるそうです
「3年ぶりの芝居で、それじゃあだめだと思った。積極的に芝居をしたい」
瑳川さんからは、TVが人の考えやものの見方を変えた。
「物心ついた時からTVを観てドラマを見ている彼ら若い人たちの芝居は
なんてナチュラルに出来るんだろう?!」
ご自分を振り返って、
「活字からイマジネーションを作って形にして自分で何かを作り出すことの不安もあるが、
アナログ世代の良さを感じる芝居作りを続けて行きたい」

最後に鵜山さんから
「世代間のギャップについての芝居を違う世代でやってる
語り合ってる経験ってつぶさになくて多分、僕が梅沢さんと同じ世代に間に入ってかならんだと思う。
芝居を始めた頃はうるさくて仕方のない兄さん世代でしょう、テント世代って脅威ですよ。
今や若い人たちのテンポを考えさせるコミュニケーションが下手。これはなんとかしなきゃならない。
どう言葉にするかトライしてるわけで、コミュニケーションをとる為にしみじみ考えますし、
企画というのはバランスが大切。
リスクテーキング、チームで思い描くような瞬間演目、そういうサスペンスを共有することはいいこと。
今後とも宮田慶子さんによろしくお付き合いください」

さて、以上でレポは終了です。
お付き合いありがとうございました。
いっぱい私見も解釈も入っておりますが、お許しください。
これで鵜山さんが芸術監督としてのシアタートークも最後となりました。
ちょっと寂しい気持ちもしますが、生の声を聴いて思いを語って下さる貴重な時間。
この三年間、あっという間。楽しい時間を過ごせて本当に本当に嬉しかったです。
by berurinrin | 2010-07-20 23:48 | イベント

こまつ座第90回公演『父と暮せば』

政令指定都市移行記念・井上ひさし氏追悼
こまつ座第90回公演『父と暮せば』 in 杜のホールはしもと(7/10)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁

広島に原爆が落ちて3年後。今にも崩れそうなこの家に一人で住んでいるのは
美津江さん(栗田桃子さん)です。
図書館に勤める美津江さんは、ある日恋をします。
けれど原爆によって愛する人たちを尽く失った美津江さんにとって
生き残ってしまったという罪悪感から、恋心も疎ましくその心を固く閉ざしがちです。
そこへ亡き父・竹造さん(辻萬長さん)が現れます。
娘のために、娘の恋の成就のために・・・

杜のホールはしもと・・・相模原市でございます。
政令都市になって、住所に“区”がついたんですねぇ~すごいですねぇ
相模原といえば、あれですよ“はやぶさ君”ですよ!JAXA相模原キャンパスもあったり
“はやぶさ君”の模型が展示されたりしてるんですよね・・・行きたい・・いやいや
目的は観劇です!『父と暮せば』です!

井上さんが亡くなって、早3ヶ月・・・特集番組を拝見する度に
故人の偉大さと、その失った代償の大きさに愕然とするばかりです。
『箱根強羅ホテル』を拝見して以来、どうも井上さんの新作に心惹かれる事が少なくて、
足を遠のいてしまいがち・・
『ロマンス』『組曲虐殺』も『ムサシ』も拝見してないし、タイアップと云うだけで『きらめく星座』も未見。
今更ながら後悔しています。でも仕方ない。これも運命ですから・・

最寄り駅はJR橋本駅。
ローカルな横浜線の車内で、演出助手の西本由香さんにばったり(笑)
初のこまつ座に参加された西本さん、すごーく刺激的な現場だったそうです。
目的地は、橋本駅のすぐ目の前のお洒落なビルの中6.7階にあるホールです。
直接、劇場に向う西本さんとお別れして、私はしばしビルの中を散策しながら劇場へ

会場に着くと入り口では、「前売り・当日チケットは完売」と紙が貼ってありました。
丁度、同じ週にNHK『ズームアップ現代』で井上さん特集が放送されていましたし
鵜山さんもスタジオゲストで参加されていましたね。
放送では、ちょっと最後はアクシデントちゅーか、生放送ゆえの出来事がありましたがf(^_^;)
鵜山さんも残念がっておられました。まぁ私はお姿を見れて最高に幸せでしたが・・えへへっ

何度も拝見して、もう耳に馴染んだ軽やかな音楽が始まってゴロゴロ~と
「おとったん、こわーい!」この第一声で涙が・・・。
いやいやいやっ~もう、超感動しました!
もう、なんて表現したらいいんだろう・・・わたしは桃子さんの演じる美津江さんが
たまらなく大好きなんですよ。
もう、ぶきっちょそうじゃないですか(笑)あやういし、頑なだし、はかなげだし・・
こんな娘を残して逝ってしまうおとったん・・・そりぁあ、もう蘇えっちゃうでしょう・・(笑)
2年前の美津江さんの体内から発する言葉にならない叫びと、おとったんの懸命な説得
に大きな大きな感動を受けました。
辻さんと桃子さんの相性が見事に絡み合ってとっても素敵でした。

今回も前回以上に、本当に素晴らしくて
おとったんが原爆で亡くなって美津江さんの前に現れるまでの3年間の空白時間を
どんな思いで日々過していたのか?桃子さん演じる美津江さんの表情や言葉から発せられて
それを思うと切なくて切なくて・・・今まで感じた事の無い感動でした。
そこまで感動させる桃子さん、役の深みが増しましたね・・。
よかった・・・・よかった・・・。よかったよぉ桃子さぁ~ん。
終演後、真っ先に行った洗面所で自分の顔に愕然(笑)マスカラが・・・アイラインが・・・ない(笑)
そそくさと化粧を直してっと
おっと、お会いできたのは、やっぱかっこいい~鵜山さんです!ひゅーひゅー!
一言「変わってなかったでしょう」と(笑)
まぁ、確かに大きな変化はないようでしたが、それでも深みが違う・・どの言葉も深いし
その深い言葉を何度も発することによって、言葉から生まれる熱いモノが体を通じて
どこか体の違う所から放出されてくるような、観てる私達がすっぽりと包まれる・・温かいぬくもり
そして大きな感動と救済・・・そして安らぎ・・最後に流れる涙は、その先に感じる幸福の輝きです。

プロンプさんだったのは、可愛いみしゃ★吉野実紗さん!
そんな可愛いみしゃを指差して「スパイ!」と言って笑って去って行かれた鵜山さん(笑)
「??」な私
実は、とあるお稽古場での出来事を、みしゃがわたしに教えてくれて
あんまり面白かったので、鵜山さんに伝えちゃったのでした。
で、鵜山さんが、みしゃに私に言ったでしょう!みたいな事だったんですが
二人芝居でかなり密度の濃い稽古場で、内容が内容だけにピリピリしてるのかなぁ~と思いきや
楽しい現場の風景が伝わってきて、嬉しくなったのでした。
稽古場が楽しいという事は、全てが上手くいってるってぇことですからねっ(*^_^*)
くっくっくっ(笑)

まだ涙と興奮が冷めやまない・・そんな雰囲気だったのは美津江さんを演じた栗田桃子さん。
もうねぇ感動した!と、言うしか言葉が見つからなかったです。
「稽古場では、意地悪なんだよ鵜山さんは・・」って(笑)
前回は、本当に意地悪だったそうです(爆)でも、結果あれですよ!
朝日舞台芸術賞寺山修司賞受賞されましたからっ!!

ただ今、地方巡演中の『父と暮せば』!様々な地で深い感動をお伝えしてることだと思います。
来月、東京でまた拝見できる幸せを心待ちにしています~!!!

7/10(土) in 杜のホールはしもと

8/10(火)~12(木) in あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術文化センター) 
8/15(日)    in 川西町フレンドリープラザ

三年振りに蘇えったのは、おとったんだけじゃない(笑)
伝説のH.H.Gが蘇えるっ!!詳しい内容は→こちらへ
by berurinrin | 2010-07-17 23:00 | 観劇感想

『夢の痂』シアタートーク

『夢の痂』シアタートークに参加してきました。

司会は、アナウンサーの中井美穂さん。
最初に登場されたのは、もちろん芸術監督の鵜山仁さんです
きゃーきゃーめっちゃ素敵です!
初演時には、一観客として舞台をご覧になっておられた鵜山さん。
その時の感想を聞かれる度に「なぞが多かった」とお答えになっておられました。
『夢の裂け目』『夢の泪』『夢の痂』と三部続いた『東京裁判・三部作』を
ご覧になって、改めて感想を聞かれた鵜山さん。
当初、誰が誰を裁いているのか?とおっしゃっておられましたが
鵜山さんは、ご自身の解釈です・・と、繋ぎながら
「死にぞこなった男たちの生き恥の話」とまとめておられました。
必ずしも天皇の戦争責任の話じゃないのかなぁって
生き恥を女性がどういう風に埋め合わせてるか?ということで集まってきて
男たちの決断力の無さを女性達がどう始末をつけるのか?
初演当時では、戦争責任があるんだ。と、
ひとつの見方をしていてよくわからなかったとおっしゃいます。
でも、今回埋め合わせ・・と、思って納得してしまった。
誰が誰をって、お互いに裁かれあっている関係で
舞台の上でもお互いに裁かれ合っていた気がする。

三部作で、二つ重なって出演されてる方が居て、
(三作にご出演というのは実質不可能だったそうです)
台詞も膨大だったし、無理をお願いしちゃった感もあるんですけど
企画って云うのはリスクだから、こちらも成功するのがわかっちゃてるのは
やってて面白くない、みんなくたびれてるんですけど、
だからこそお客さん共々盛り上げ合って、やっと三部まで行き着けました。
と、会場からは大きな拍手(*^_^*)

『夢の痂』考えてみたら、男性が矢面に立って15才。女性達は色んな苦労を・・
その後の後始末を一身に背負わなきゃならない・・そういう時代だった。
前線に行って、死んでいった男たちの思いを、しみったれた思いを
女性がイニシアティブを持つような思いで世界が作られていくのかなぁと、
妄想しながら観ていたと鵜山さん。
「『夢』って言葉が、なんでタイトルについてくるんだろう」と中井さんから
どこかに8/15(終戦記念日)に青空って、
無限の自由とか無限の平和とか、トンネルの向こうに青空って、ピュアな夢というか
一つに提示された青空だった。
目の前に現れた青空だったけれども、色んな雲が出たり、裂け目が出たり
雨が降ったりして、かさぶたで被ったり、修復したり
それによっていびつになったり、そこんところに夢があったり
遠くの方に夢が控えていたり・・そういうような事が、井上さんの言葉にあった。と、鵜山さん。

と、出演者の方々がご登場されました。
角野卓造さん、辻萬長さん、三田和代さんが登場されました。
『夢の避け目』では、紙芝居屋さんを演じられた角野さん。
『黙阿弥オペラ』『円生と志ん生』そして今回の『東京裁判・三部作』と
計5本の井上作品にご出演されています。
井上さんの大ファンだとおっしゃる角野さん。たくさんの作品をご覧になっていたそうです。
「もっと多くの作品にご出演されていた感じがされる」と、中井さん。
「井上さんの世界に生きずいている」とおっしゃいました。
角野さんからは、
やっぱり当てて書いて下さってるのではなかろうか
今回と初演の時の違いは?と聞かれ
前回よりは、少し稽古する時間があった(笑)
初演は勢いがあって、わっと毎日、一枚、二枚と台本が届いて夢中で覚える・・
考える余裕がなくて・・・今思えば、幸せだったかもしれない。

三田さんから、
『夢の痂』で、まさか最後に角野さんにプロポーズするのにびっくり(笑)
衣装さんがタイトスカートを用意されていたそうですが、急遽フレアースカートに直されたそうです。
先が見えないので、来る台本を覚えて覚えて・・それで精一杯何も考えられなかったそうです。
『夢の裂け目』では、主役の女優さんが急病のため、代役をされた三田さん。
本番9日目で参加されたそうですが、まだ本が完成していなかったので(笑)入れた。

台本ができていない時の俳優の状態とか、稽古場の雰囲気を聞かれたのは、
場数を踏んでいる(笑)辻さん。
最初の作業は、台本をとにかく覚える。覚えて肉体化しなきゃ始まらない。
ただひたすら来た台本を覚えて、「さわるな~!」と、さわるとこぼれる(笑)
台詞を覚えて肉体化して出す。
台詞だけじゃ会話はできない。肉体化して初めて会話が成り立つ・・。

「後半の本が出来てくると、初めの頃が抜けていく・・」本が忘れていくのが怖かったと三田さん。
「そんな恐怖を初演で味わったので、皆んな仲がいいですよ」

「冒頭の場面で角野さんが飛び降りてびっくりした」と、中井さん。
角野さんからは、奈落に白いバツ印と貼ってあるマットレスが敷かれてあるそうです。
とても狭いので、真っ直ぐ落ちないとどっかにぶつかって怪我する危険があるので
毎日、本番前に3回位は、練習されておられたそうです。

「死にぞこなってしまった男たちの生き恥を女が繕うみたいな芝居」と鵜山さんの感想に対して
「初演時は、そんな大変な事は考えずに台詞を覚えた。」と三田さん。
「今回は、逆に台本があるので緊張で、公演しながら次の作品の稽古をしていた」と
『夢の泪』を上演しながら『夢の痂』の稽古をされていたそうです。
いやぁ~たまに頭がぼーとなったと三田さん・・・お疲れ様でした。

逆に「本番と稽古と2本やっていても、ごちゃごちゃにならない」と辻さん。
出演者も違うし、話も違うのでごちゃごちゃにはならないそうで
『夢の痂』の最中に『夢の泪』の台詞が出てくることはない。
本番第一と思っても、稽古大事で、両方とも一生懸命やっちゃうので声に出ちゃう
声がどうしても弱ってきちゃう。
「自分が思うような声が出ないと俳優は嫌なんです。」と、辻さん。

すると鵜山さん
「とにかく萬長さんは、りっぱな声だから・・」いやぁ~あまりフォローになってない気が(笑)
三作・・鵜山さんも演出したかった。と、言いつつ、
僕、自分じゃ出来ないから栗ちゃん(栗山民也さん)なら出来るだろうと
初演ありで発展的に再演できるだろうって、やって頂きたかったと苦労させてしまった。
「鵜山さんは長いのが好き(笑)」と角野さん。
とここで、角野さんがネタ晴らし(笑)
今回の企画で『ヘンリー六世・三部作』やりましたから、日替わりでやりませんか?とか
土曜日は3本連続上演のお話があったそうです。
「面白いけれども役者の体をどう考えているのかと(笑)」角野さん。
順番で一日やるのも大変。スタッフも大変。スタッフの方は、3部とも連続で付いておられるそうです。
「プランは皆さんと一緒に共犯関係なんですけど・・」と、鵜山さん(笑)

この『東京裁判・三部作』の部分は、ステップ・バイ・ステップというか
舞台稽古と本番がぜんぜん違う。井上さんがおっしゃっておられたそうですが
劇場やお客さんから教えられることが多いとおっしゃいます。
つまり、お客さん一人一人が色んな気分で観てるのが、そこはか感じられる。
一つの言葉を受け止めるにしても、一つの役の背景を感じるにしても、それぞれ計算つかない
そんな乱反射して、一つの場所の中で起こっている。そんな結果、計算なんてできない。
共犯でしかない。と、鵜山さん

この『夢の痂』に出てくるのは山形弁?とくには方言の指定していないそうです。
井上さんは、独自に東北4県の方言の辞書を作っておられたそうで
それを引用したそうで、台本どおりに言うそうです。
ちゃんと標準語の意味も書いてあると、三田さん。
ものすごく細かいそうで
「...なのです」「...なんです」
文法の話のときは「..なのです」になる。と、三田さんから
井上さんのこだわりがあるとおっしゃいます。

辻さんは「20年近く、井上作品を演らない年は無かった」とおっしゃいました。
「幸せだ」とおっしゃいます。

井上さんとそのほかの劇作家との違いについて聞かれた角野さん。
まずテーマやストーリーが違う以前に「言葉が全く違う」とおっしゃいました。
その上で「僕達は、もっと前は、長く本読みをやった気がする。」
10日間位は、座って“テーブル稽古”=本読みをして
体を動かす前に、言葉を徹底的に話し合われたそうです。
本の内容だとか、その時の感情だとか、相手の台詞だとか・・
最近では本読みを一回やって次は立ち稽古に入る・・得意じゃないと
「僕は上手く出来ない。
本読み10日間やって体に沁み込んだ言葉は忘れない。
沁みこんでお腹に入った言葉によって肉体を動かしていく。。。劇団でこういう芝居を作ってきた」
なかなかチクリとさしつつ深い言葉です。

角野さんの言葉を笑顔で聞いてる鵜山さん・・
「・・でも、タイツ履いたり、髪を染める芝居も好きじゃない」と角野さん(笑)
だんだん角野さんのリップサービスもノッてきまして
日本の芝居をしたい・・と言いつつ
かつての名作よりも今の時代の息吹を感じる作品をやりたいとおっしゃいます。
井上さんの作品のすごいところは
井上さんの芝居は元の元を書いている。とおっしゃいます。

三田さんから
井上ワールドに飛び込むのにエネルギーを使うそうで
それも普段の芝居の3.4倍ものエネルギーを使っている気がするそうです。
リアリティを持っていないと言葉が回転するだけで、伝わらない。
極限までエネルギーが入ってないとダメで、でも顔はすっとしてなきゃだめ。

お客さんに支えられてるなぁと思ったのは『夢の泪』のトラブルが起こって
舞台の照明が消えて、休憩をとって20分経っても直らなかったそうです。
するとお客さんから、このまま続けてと言われ
生明かりの中で(この位の明るさ)最後まで演じてしまったそうです。
「舞台は思いがけないことが起こります。」と、三田さん。
「相棒ソング3回歌っちゃった。」と辻さん(笑)

で、トラブルのお話で辻さんから振られた、角野さんが

過去の思い出話をしてくださいました。
東横劇場で上演された文学座公演『結婚披露宴』の時に、
(演出は、木村光一さん。ちなみに鵜山さんは演出助手だったそうです)イギリスの芝居なのに
桜の木の張物が上から落ちてきて、置いてあった木の折りたたみ椅子が真っ二つになった。
ほかに、回り舞台が途中で止まって、人力で回したり、袖幕に火がついたり
今回のトラブルの時に、丁度稽古に来られていた角野さん。
心配で廊下でうろうろしていたそうです。

質疑応答コーナーで
「苦しいとかつらいとか言いながらも井上作品に出演することによって得られるものは?」

「俳優をやっているのは、私生活では、言葉が下手なので
井上さんの台詞は、生きているうちに言えないすばらしい言葉ばかり
どんなに台本が遅れようと、この言葉を言いたいと思ってやっている。」と辻さん

「作る時は、すごく大変なんですが、結果、お客さんに喜ばれる充実感。
井上さんの本は読んでも楽しいし、またやりたくなちゃう」と三田さん。

「すごく幸せでした。5本。ものすごく大変だったけれど
楽に出来るよりもみんなで助け合って・・大変だからこそ幸せだった。
それは切迫しているけれど、やればやるほど世界に向き合う姿勢がわかる。
この仕事の中で一番大きい仕事だった。
もっとやりたかったけど・・やればやるほど新しい世界が見えてくる。」と角野さん。

「芸術監督の仕事は面白いですか?引き受けて後悔された事はありませんか?」
率直な質問(笑)に対して鵜山さん

「いたって身勝手な人間なので、公共心なんて口にしたくもない(笑)
なので文学座の中心にいた時は、自分の事しか考えてなかった人間ですが・・新国立に来て
そんな私でも、いささか“公”というか髭←(公の字の八の事をヒゲとおっしゃってます)が、
生えてきちゃった感覚と
その感覚と『東京裁判・三部作』を観ている感覚が全く同じで
どこまでが“私”でどこまでが“公”なのか行き来をどうしたらいいのか?
戦争責任だけじゃなくて切実な問題で
自分が“私”と“公”とダイナミックに行き来出来たのは面白かった。
大体後悔したくないので、芸術監督になって後悔したことはない。
後悔させたことで後悔した事はありますけど(笑)しったこちゃない(爆)
できるだけ沢山の演劇人がこういう立場になって、“私”と“公”を行き来できる
機会があればといいなぁと
また、謙虚深い東京裁判みたいに繋がるんじゃないかな」

今後の展望を聞かれた鵜山さん。

「今後は、内側の事は多少わかったので、外から散々言ってやろうと思ってます。
みんなの劇場、国立の劇場が自分たちのものにするという、一人一人のものにする。
そんな、うねりを少しでも広げられたらいいなと思います」
会場からは大きな拍手が起こりました。

最後に
角野さん
「芝居を観て頂いて、同じ時間を共有できることが幸せです。芝居を観続けてこれからも頂きたい」
三田さんは
「感謝しかありません。お芝居は楽しみものだけど、特に若い人たち抜け落ちてる歴史を考えてほしい」
辻さんから
「芝居って、難しい言葉があって、でも、それでも又観たくなる・・・難しい言葉があるのが良い芝居。
で、よかったらぜひお勧めして欲しい。良い芝居は難しい、でも観たくなるもの」

鵜山さん
「ちょっと毛色の違った劇場が一つあるのは大事で、それを支えるのは私たちすべて
一見、みんなが敵だと思ったり、味方だと思うときがある。紆余曲折含めてサポートして欲しい。」

以上で、シアタートークのレポは終了です。
ニュアンスの違いとか、勝手な解釈でUPしていますので、そこんとこよろしくお願いいたします
by berurinrin | 2010-07-17 15:56 | イベント

文学座付属演劇研究所研修科演出部自主勉強会『棲家』

文学座付属演劇研究所研修科演出部自主勉強会『棲家』 in 文学座アトリエ(7/4)

作    太田省吾
演出   稲葉賀恵

深夜、ある廃墟に男(千葉哲茂さん)が一人。
ここは彼が長く人生を過した住居があったようです。男は、独り言を語るうちに
現実と夢の世界の区別がなくなっていくようで、気がつくと
そこに死んだはずの妻(福田絵里さん)が
現れます。二人は過去を語りながらもどこか食い違いがあるようです。
妻はトイレに行くといって去り、入れ違いに娘(小西葉月さん)が父を探しに現れます。

昼間『七日目、その日』を観て、しばしのインターバルの後アトリエに戻って『棲家』。
しーんと静まった薄暗闇の中、浮かび上がるのは、朽ち果てそうな柱。
静かに男が語り始めます。
今は見る影を失った元の家?廃墟・・どんな出来事によってこの状況になってしまったのか
わかりませんが、男は、失った妻との出来事を思い出して行くうちに
まるで、ここに住んでいるかのようなパジャマ姿の妻が現れます。
全く違和感なく語り始める夫婦の会話。
でも妻はすでにこの世の人でなく。それは男にもわかっているようです。

面白い作品を題材に使われたなぁと思ったのが、第一の感想です。
それにすごい長台詞!!びっくりです。
5分位いやもっと?!一人で語っていましたね。
いやぁすごいプレッシャーだったと思いますよ。ホントすごい!がんばった、がんばった!!
でも、どうも男の年齢設定がちょっとあやふやになってしまって
若いんだか年を取っているのやら・・ちょっと判断できなくて
まぁ実年齢がお若いのは仕方が無いとしても、ちょっと読めず
冒頭と妻との絡みと最後の娘との絡みの3つの間の男が、ちょっとふわふわしちゃったかなぁ・・
でもがんばった!まじ、かんばった!!
妻が現れて消えていく姿は、最後の最後までまるで空を歩いているような
不思議な雰囲気だったし、あのあくび・・・怖かったですよね。
まるで何か口からべろべろべろぉ~と、出てきちゃいそうなホラーな感覚もあったし
きっと演出の稲賀さん。遊び心がある人なんでしょうね!

丸一日、信濃町界隈に出没して研修科の勉強会を拝見しましたが
二作品とも不思議な色合いで、見ごたえも十分面白く拝見いたしました。
それにしても若い人たちの頑張り!本当に素敵ですね。
彼らの前向きでしっかりした姿が、今の文学座の勢いなんだろうなぁ~なんて思います。
ちょっと文句も書いちゃったけどf(^_^;)
きらきら輝く彼らの姿、本当に美しくて眩しいもんです。
この日は千秋楽、色んな意味でほっとした彼らの笑顔は本物です。
これからもいっぱい、いっぱいやっちゃって下さい!!
もちろん見守らせて頂きます(^^)/

7/2(金)~4(日)  in 文学座アトリエ
by berurinrin | 2010-07-11 22:11 | 文学座観劇感想

文学座付属演劇研究所研修科演出部自主勉強会『七日目、その日』 

文学座付属演劇研究所研修科
演出部自主勉強会『七日目、その日』 in 文学座アトリエ(7/4)

作・演出 鄭尚美
補訂   滝沢花野

レイプ被害を受けたと警察に連絡が入りました。
被害者はカン・ヘジョンさん(滝沢花野さん)。
彼女は、足に障害を持ち車椅子での生活を送っています。
加害者は、ソ・ジンクさん(川杉朗さん)。ソ・ジンクさんの両親は、敬虔なキリスト教徒。
そしてカン・ヘジョンさんの姉・カン・ヘヨンさん(白玉麻規子さん)は結婚間近。
出来るだけ穏便に済ませたい両者の間で、カン・ヘジョンさんは
妥協せず責任追及を求め自分の意思を貫き通します。

はっきり言うと難しかったです。
と、いうのもわたしの韓国文化に対する認知度があまりに低い為に、感情の起伏の激しさに
ついていけなかったという・・・韓流も全く興味が無いし、韓国ドラマも見たことないので
これは自分まずいぞ・・という不安が付きまとっちゃったんですが
その上、韓国を舞台にした芝居も初めてって気がついて・・・わっわっ
なので、逆にその無知さを逆手に取りまして素直に受け止めましょうと開き直った次第です。

出演者全員舞台にでっずっぱり、出番の無い時は、舞台正面奥に椅子が用意されていて
その舞台を観客の反対側から眺めることになります。
唯一立って傍観者のように眺めているのは、被害者の姉と記者を演じる白玉麻規子さん。
題材は、なかなかナイーブな出来事を取り上げています。
とはいえ事件自体を描くわけではなく、事件を取り巻く被害者、加害者双方家族の
人間模様を細かく描いていました。

この題材については、私自身ちょっと辛い過去の出来事がありまして
それは暴力というか、当時は最寄の駅から家まで約20分程歩いて通っていたのですが
帰宅中に反対側から歩いてきた作業服姿の男性にすれ違い様に突き飛ばされて
乱暴されそうになりまして・・・足から血をだらだら出しながら泣いて家に帰って
びっくりした両親が警察を呼びまして、パトカー2台に白バイが来て
現場検証やら初めて調書やら・・・と、初めてづくしの大事件でした。
朝、その道に自分の被害にあった立ち居位置のチョークの丸印を見るにつけ
泣きそうになったもんです。
翌日、会社の総務に「事故報告」のメールをしたら「事件報告」と書き直すように言われ
最寄の駅からより家に近いバス停を使うように、バスの定期代が支給されるようになり
怪我は労災。自分の自己申請までの残業禁止やメンタルケアを受けさせられたりと
かなり会社の速やかなケアで立ち直りも早かったと思います。一月位かなぁ
けれどもあれから4年程経過しても、夜道で人とすれ違うのが怖いし
一人で夜道を歩いていると、空いてる手が自然に握りこぶしを作って手の内側には
爪の跡がつくほど、ついついきつく握ってしまうんです。
音楽を聴きながら夜道を歩くなんて、今でも絶対無理です。
あんまり書きたくないんですけど・・こうして書ける位に冷静になってるって事ですね。
でも面白かったのは、調書の時に対応して下さった警察官の方が、何度か電話を下さって
「おまわりさんですが(笑)お元気ですか?」って、ご自分の名前を“おまわりさん”って
おっしゃるのが可笑くて、その言い方に笑えるようになってから電話もなくなった気がします。

そんなこんなで、ちょっと冷静に主人公の気持ちを受け入れられない自分もいて
主人公が劣等感の塊ので、周りの言葉に耳を貸さず頑なに自分の意思を曲げずに
生きていこうとする態度や加害者が被害者を愛そうと思うから結婚するというし
それを被害者の両親は、社会的な立場の側面を重視し受け入れようとして
逆に加害者の両親は反対する。
記者は、女性の人権を守るといいながら、雑誌が売れるように彼女の言葉を脚色しようとする。
そして演目の題名とキリストの復活が掛けているのならば
ちょっと短絡的な気が・・・。短い時間の中でちょっと盛り込み過ぎかなぁ・・
もうちょっと両者の家族内の言葉を聞きたかった気がします。

それでも出演者の精神的な負荷と緊張感の強さが客席に伝わってきて
本当に大変な状況に自分を追い込んで頑張ってきた彼ら
そんな今の姿を感じる事ができました。
それらを感じられた事が、何よりも嬉しい発見です。
これからもがむしゃらに貴重な日々を過していただきたいなと思うのでありました。

7/2(金)~4(日)  in 文学座アトリエ
by berurinrin | 2010-07-10 23:21 | 文学座観劇感想

新国立劇場オペラ『鹿鳴館』

新国立劇場創作委託作品・世界初演『鹿鳴館』 in 新国立劇場中劇場(6/24)

原作         三島由紀夫
作曲         池辺晋一郎
上演台本/演出  鵜山仁

影山悠敏伯爵(黒田博さん)の妻・朝子さん(大倉由紀枝さん)の元に、
親しく交際してる大徳寺侯爵夫人・季子さん(永田直美さん)が娘・顕子さん(幸田浩子さん)と、
反政府派のリーダー清原永之輔さん(大島幾雄さん)の息子・久雄さん(経種廉彦さん)が
身分違いの恋愛していると告白されます。季子さんは、自分が叶わなかった生きかたを
顕子さんに託し、娘の恋愛を助けて欲しいと願います。
実は、朝子さんは、影山伯爵と結婚前に深く愛し合い、子供までもうけていた男性がいました。
その男性が清原永之輔さんであり、実の子供は久雄さん。
そして今もなお永之輔さんに対し想いを残していた朝子さんでした。
ところが、久雄さんさんが今宵の鹿鳴館での夜会で朝子さんの夫・影山伯爵の暗殺を企てていると
聞いて・・・

このお話は、11/3天長節(天皇誕生日)の一日のお話です。
いやぁ~世界初演ですよ。それも初日。で前売チケットが完売!
それも鵜山さんの上演台本ですよ!演出も!注目の舞台です。
あ~チケット買えてよかったぁ
以前に、この上演台本のお話を鵜山さんに伺ったときに
「縮めただけだから」って、両手を前に出して距離を縮めるようなポーズで、きゅっとして
さらっとあっさりおっしゃっていましたが
『鹿鳴館』のオペラトークで、三島作品は、勝手に言葉を付け加えちゃいかん・・そうで
本当は、ものすごく大変な作業だと思うんですけど。。
やっぱ、「好きな言葉をアンソロジーしちゃっただけ」と、あっさりおっしゃってましたねf(^_^;)
そんなトコが素敵なんですけど・・・

舞台は、シックなモノトーンの色調。
中央の回り舞台の上で、彼らのたくらみやら愛やら憎しみが、くるくる回りながら
その秘めた思いがふつふつと溢れ、どろどろと零れ落ちていく・・そんなドラマ。
誰もが誰かを愛しているのに、その思いは、一方通行。
朝子さんのご主人と元彼は、政治の面で仇敵同士。
幸せを願って別れた息子は、不幸の影を背負い・・もう散々なお話です。
そんなどろどろのお話ですが、三島さんならではの詩的で美しい言葉が
美しい音楽に乗せてキラキラと天空から降り注ぐように落ちてきます。
日本語ってこんなに美しいんだ・・・と、改めて感動。
言葉も聞き取れるし、難しい言葉は字幕の力を借りてと・・とても親切です。

第一幕は、妻である朝子さんの秘密を探る為、影山伯爵が
朝子さん付きの女中・草乃さんを抱きしめるシーンがすごく印象的でした。
これが艶めかしくてドキドキもんでしたわ。
二人が重なって、コロスのようなヴォーカリーズに絡め取られ、
地の底に落とされていくかのように消えていきました。
それに祝砲!美しい歌声やオーケストラの音色に慣れた耳には、
効果音は、とても異音に感じます。
オペラの世界では、効果音もあまり快く思われない方が多いと、トークで伺いましたが
でも逆に異音のリアルさによる臨場感がすごく伝わってきて、びくんどきん(笑)としました。

第二幕は、鹿鳴館の夜会のシーン。
冒頭のシャンデリアが浮かぶシーンや幻想のシーンも美しいのですが
精一杯背伸びをして西洋の慣れないダンスを踊ってる。どうも舞の形が・・そんな違和感と
滑稽さと気恥ずかしさが、お面を被るそのお面の絵の表情にも現れてみれて
観てるこっちも恥かしい・・そんなシーンもあり
それぞれの思惑が哀しい結末へ流れていく悲劇的な場面は、オペラという形態を
一瞬忘れてしまいそうなほどサスペンスで芝居的な色調があって、ぐいぐい吸い込まれていきました。
ラスト全てが終わって暗闇に吸い込まれそうな影山伯爵と朝子さんの二人のダンスシーンの崇高さ
もう、最高の舞台でした!

文学座からは、影山伯爵の影の存在・飛田天骨さんを演じられた早坂直家さん。
無言でしたねぇ~でも始終深く頭をたれ自らの存在を見せないようにしながらも
存在感ばっちし、そして左右の足の出し方まで計算してるかのようなふわっとした歩き方。
カーテンコールで、最後に客席に向ってやっと顔を上げて、早坂さんの顔が少し穏やかな笑みを
浮かべて下さるまで、本当に怖い刺客さんでした。
あっ、ホントの早坂さんは、とっても穏やかで面白いし優しい方ですよん(笑)
それに素敵な声の持ち主さんです!

さて、この日は初日!
鳴り止まないカーテンコールの何度目かに鵜山さんも登場!
わぉ~初めてのネクタイ姿!かっこいい~い(感涙)、めっちゃお似合いです!
そのお姿を見たいがゆえに、会社を半休して初日にチケットを取った不届きモノです(笑)
惚れ惚れするお姿の鵜山さんは、早坂さんと手を繋いで大拍手に応えられました。
そして最後の舞台に登場したのは、故・若杉弘さんの在りし日のお姿でした。
若杉さんの意思を、しっかり受取って引き継いで皆さんが形にした舞台です。
最後のシーズンの締めに華を添えるにふさわしい作品だと本当に思いました。

6/24(火)~27(日)  in 新国立劇場中劇場
*主要のキャストはWキャストでした(早坂さんは全日です)
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by berurinrin | 2010-07-09 23:58 | オペラ