夢の中で首吊り自殺を図る植本潤さんは、舞台の究極の八百屋セットのお話。
太鼓橋風の作りなので、下(舞台前方)に行けば行くほど、
急斜面になって足場が悪く見るからにキツイので、役者は上に上に(緩やかな傾斜)
行きたがるそうで、立場上(年齢的に若い?!)、下で下で演技していたら、
そのまま立つ位置が採用されてしまったそうです。

その反対に上で楽していると笑っておっしゃるのは、いつもかばんを抱えている久保酎吉さん。
「わからないので質問しないで下さい」・・面白いお方です。

背が高くて、いつもドゥッチョ・ドッチャ(久保酎吉さん)を後ろから抱え込んでいる
背の高い細見大輔さん。
劇中に紙切れを高々と見せているのは何だろう??と思っていたら
実は恋人の写真だったそうです。恋人を探してるという設定らしいです。
「何で?(恋人の写真を見せてる)それをやっているか?
と、聞く前にラヴォータンさん帰っちゃった(笑)」
細見さんは、イルセ似の恋人と勝手にイメージして演じているそうです。
植本さんと逆に上の緩やかな斜面にいる事が多い細見さんですが
劇中に不思議な雰囲気をかもし出す人形を担当されているようで
それもアコーデオンを持ってる人形を動かすのが大変で、あのアコーデオンは
中身はとっているものの、本物なのでけっこう重いそうです。
そしてラストのイルセの人形も細見さんが支えていて、
それも後ろから顔(笑)で支えておられるそうで大変だ。と、おっしゃっておられました。

当初参加の予定が無かった田根楽子さん。
「なんで急遽参加されたんですか?」と堀尾さんからの問い掛けに
「いやぁ、麻実さん一人じゃ可哀想かなぁと思って」優しい田根さんです。
私は田根さん演じるズグリーチャがとても好きです。

ここからは質問コーナーになっていきました。
「あらすじには、イルセが狂気と正気の間を行き来している?とありましたが
本当にそうなのか?狂気という感じがしない」
という質問に対して、麻実さんは
「まだら狂気」という言葉で話されました。
今で云う“うつ”状態。詩人の詩によって精神不安定になったのではないか。
身振りでそういう(狂気めいた)仕草を注意して演じておられるそうです。

「(ラストで)イルセを人形にした意図は?」
「今回演出ではなくて、演出補です(笑)」とおっしゃる鵜山仁さんが、
ラヴォーダンさんの代弁をされておられます。
台詞の中に「ぼろぼろの人形・・」とあるので、そこからイメージしたんじゃないかと
鵜山さんご自身、獅子舞が子供の頃とっても怖かったそうで
後ろにちゃんと人間が控えてるからこその怖さもあるのではないか?!と
これって、すごくわかります。
わたしも子供の人形劇が怖くて怖くて・・人形だけだと動かないのが理解できるので平気。
でも後ろに人がいると、突然人形が歯を剥いたり、動き出したりと
想像のつかない動きをしますよね。それも不自然な・・確かに不気味な怖さを感じます。
そのイルセ人形の登場するラストの字幕のシーンは、新国立オリジナル初台バージョン★
なんと稽古の現場で考えられたそうです。
新国立劇場の5階にある情報センターに『山の巨人たち』の台本が閲覧できるように
なっていますが、途中から白紙になっているんです。なんでかな?って
この白紙の部分が字幕の場面・・。初台オリジナルってことなんですね。
終幕の部分は、演出家によってまちまちな演出をされているそうですが
中には、ピランデルロの息子という名の役者が出演するバージョンも上演されたそうです。

「百一天使って?」これは、百一天使といえば、田根楽子さんにとマイクが渡されましたが
「そんなぁ知らない」とおっしゃり爆笑。
鵜山さんが笑いながら「きっと、百で収まらない(多分普通の人でない?型にはまらない?!)
人たちの守護天使だからこうなったんでは?」と・・あ~なるほど(*^_^*)

芝居よりも映画に詳しいお客様が「何かしら『旅芸人の記録』や
ギリシャ悲劇に繋がる感じがする」とおっしゃると
「きっとテオ・アンゲロプロス(『旅芸人の記録』の監督)が、(『山の巨人たち』)
パクったんじゃないか?(笑)」と鵜山さん。
話は映画に移って、ラヴォーダンさんがことあるごとに
よき時代の映画が好きで、フェリーニが好きとおっしゃっておられたそうです。
特にフェリーニのチープさがお好きだそうです。
「メイク・・・怖かったでしょう(笑)」と田根さん。
メイク、髪型とすべて衣装のブリジット・トリブイヨワさんのからの指定があったそうです。

「海外の演出家との違いは?」という質問に対して
「平(幹二朗さん)にいっぱいダメ出しすることかなぁ」
「(ダメ出しで)同じこと僕が言ってもダメ(笑)」鵜山さん
「平さん、すごく素直だったよね」田根さん。
もう、皆さんぽんぽんと、ざっくばらんに話が弾んでいきます。
「偶然、平さんと二人になった時、平さんが「僕、下手かなぁ・・」って」手塚とおるさん。
「ラヴォーダンさんて、すごい神経質だよね。
(他の役者に)ダメ出し中に、音を立てたり、ちょっと話したりすると目線が来る(笑)」田根さん
「それは(田根さんの)声が大きいからだよ(笑)」と鵜山さん。
平さんが欠席でしたが、質問が集中したら答えられない(笑)とおっしゃっていたそうです。

そこで、堀尾さんが
「動きはいいとしても、微妙な台詞まわしとかの演出は?」と
みなさん一斉に「それは鵜山さん(笑)」
ラヴォーダンさんが何日か不在で、その時には鵜山さんが演出をされたそうですが
「これ何とかしなきゃ。と、思う部分は(ラヴォーダンさんと)一緒なんだけど
やり方が180度違って(苦笑)」鵜山さん
「かえって2度手間でした(爆笑)」植本さん

「巨人とは?」という質問に対して
皆さんそれぞれ違う回答で、観客とかコトローネさん達を追い出した人たちとか
この芝居を観に来ない人達とか・・
中でも面白かったのが、田根さん「リーマンブラザーズ(笑)」
「だって、自分たちのわかならい所でなんかやっちゃって世界をひっちゃかめっちゃかに
しちゃったじゃない」
おおおっと、納得してしまいました。

この橋のセットの何で出来ているか?と構造を質問されたお客さまがいて
舞台監督の藤崎遊さんが、材質の説明をして下さったり
次の仕事の為、欠席だった田中美里さんが急遽、お顔を覗かせて下さいました。
田中さんの為に椅子を譲って、つつつっ、と後ろに下がって
橋の欄干の上にちょこんと座った鵜山さん♪かっこいい(*^_^*)
それを見て堀尾さんが「どこに座っているんですか(笑)」

彼らの会話のテンポや鵜山さんへの突っ込みなんかをみていると
すごくいい座組み、プロダクションなんだなぁと感じました。
作品が不可解で不思議なだけに、稽古場ではきっと沢山の時間を使って
素敵なコミュニケーションがとれたのではないでしょうか?!

長々と書いてしまいましたが、楽しんで頂けたら良いのですが・・・
あくまでも勝手な解釈だらけなので斜め読みでお願いしますm(_ _)m
あ~また『山の巨人たち』観たいです。
でも、これから今まで好き勝手にしていた自分の時間が取れなるのが必須。
観劇の量が激減することは確実・・・今は、手持ちのチケットでガマンガマン(><)
by berurinrin | 2008-10-31 23:11 | イベント

この日、『山の巨人たち』終演後にシアタートークが開催されました。
さて今回もメモメモ書き書きで頑張っているのですが・・
今回のアフタートーク、ご出演の皆様とってもノリノリ状態で
話すテンポがめちゃめちゃ速くって付いていけず(><)
嬉しい悲鳴を上げながらのレポなので、話の前後もバラバラだし勝手な解釈&
主観で横道だらけでまとめています。
そして鵜山さん中心で(笑)そんなこんなで雰囲気を感じて頂けたら嬉しいです。
ぜひ斜め読み(笑)でお願いします。

シアタートークの司会といえば、この方(笑)
文学座研究所出身で元・NHKのアナウンサー堀尾正昭さんです。
「如何でしたか?非常に幻想的で夢うつつ・・。
この作品は、3幕の途中まで書かれていて後わかない不思議なお話でしたよね」
演出をされたラヴォーダンさんは、とても多忙な方で
すでにフランスに戻られてしまったそうです。
ここでラヴォーダンさんが61歳って!?いやぁラヴォーダンさんって若々しい
もっとお若いのかと思っていました。(すごく良い意味です)
鵜山仁さんがフランス留学中にラヴォーダンさんの作品を観て、非常に感銘を
受けたということで、今回ラヴォーダンさんにと話があったそうです。
そんな前置きの後に、じゃーん

鵜山さんが登場されました。きゃーきゃーかっこいいです。
薄いブルーのシャツ&黒いパンツにグレーのジャケット姿。
わたしが云うのも何ですが、ちょっと最近うーさまってば、わおっお洒落じゃないですかぁ?!
登場早々の鵜山さんに、話題になった新国立芸術監督問題についてのご質問から・・
直球の質問に、笑顔の鵜山さんは
「まぁ何ていうのかなぁ、色々問題定義があって・・悪いことばかりじゃない。
話題になったことで、色んな人に芸術監督っているんだなぁと、知ってもらえたんじゃないかと」
気になったのは、堀尾さんが「鵜山じんさん」って、ちょっと「じん」さんじゃくて「ひとし」さんですって
名前の間違えに、鵜山さんも苦笑しておられた気が・・・

『山の巨人たち』。まさに新国立劇場でないと成立しない芝居で
そのスケールな大きな芝居、まがまがしさと不思議さに溢れた世界・・
そんなピランデルロの世界が好きとおっしゃる鵜山さん。
この作品を上演するという事は、かなりチャレンジングというか挑戦的な行為らしく
フランス留学中にアヴィニヨン演劇祭で、当時30代のラヴォーダンさんの演出作品を
ご覧になった鵜山さんが、ぜひと声を掛けたら引き受けて下さったそうです。
初日にラヴォーダンさんにギャラを払ったそうですが、円高なので
非常に良いレートで、きっと喜んで帰られたのではと(笑)

実はアヴィニヨン・・・わたしも行った事があるのです。。
えへへっ実はフランスにハマった時期がありまして、
鵜山さんがフランス好きだから・・というわけではないのですが、私もフランス大好き。
アヴィニヨンの旧市街は時間の流れが緩やかで宗教色が残る美しい町でした。
「♪輪になって踊ろ♪」という童謡の舞台になってる
対岸に渡れない。川の途中で切れたアヴィニヨン橋があるんですよ。
今回のセットの様な太鼓橋じゃくて真っ直ぐな橋ですが(笑)
料金を払えば切れた橋の部分まで行けるようになってました。
現在はバチカンにある法王庁ですが、14世紀には法王がアヴィニヨンに住んで
政務を行った時期がありまして、外壁跡に囲まれた旧市街の中心に
法王庁前広場があるんですが、そこでラヴォーダンさんの演出作品が上演されたそうです。
そんな場所で芝居を観る感覚・・・素敵です♪

このセットの橋・・客席に向って切れています。切れた部分の断面図、かなりリアルですよね。
崩れたようにでこぼこしてるし、溶けたようにうねうねしてるし
そんな途中で切れたこの橋のイメージ・・客席からみると川向こうでやってる変な芝居?!
生と死、現実と夢の境目に渡っている橋。
そんなラヴォーダンさんのイメージを形にしたのが、やはりフランスの美術家である
ジャン・ピエール・ヴィルジェさん。
本当は、背景につり橋とかあったらしいのですが、予算の関係で無くなったそうです。
「逆に何も無い分、廃墟のような、不思議な雰囲気が出た気が・・」と鵜山さん。
ひたすら何にも無い闇が広がっているような妖しい空間が見えましたね。

さて、出演者の方々が登場されました。
麻実れいさん、手塚とおるさん、植本潤さん、久保酎吉さん、細見大輔さん、田根楽子さん。
黒のタートルネックのセーターにベージュのスカートで上品な装いで登場された麻実さん。
同じ女性とは思えないほど美しいです。

麻実さんといえば、今年の春に演鑑例会で『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』を
10日間横浜で上演しました。
一応担当演目だったのですが、担当のわりにたいした仕事もせずに
なんとなく終わってしまったと感じた例会公演でしたが
終演後、ロビーを通って帰られるターコさんの、かつんかつんと歩く颯爽としたかっこよさ。
受付で片付けてる私たちに「お疲れ様でした」なんて声を掛けて頂いた日には、
その美しいお声とお姿にくらくらしてました。

麻実さんは「今までに演出家と話し合った事が無いほどラヴォータンさん、
鵜山さんと何度も話し合った」とおっしゃいました。
麻美さんご自身、この『山の巨人たち』の世界観がとてもお好きだとおっしゃり
平幹二朗さん演じられるコトローネの台詞が心地よく感じられるそうです。
ラヴォーダンさんからは、感覚的にバラエティショーの感じでこの空気感を出して欲しいと
云われたそうです。
そういわれると、プロローグから始まりエピローグがあってとショーのように感じられるし
演じるイルセとは、宝塚時代からの女優人生と重ね合わせられる部分があると、
おっしゃいました。

イルセの夫であり伯爵を演じられたのは、手塚とおるさん。
「麻実さんのだんなさん役ですよ(笑)」
お稽古場で、明日は(だんなさんに)なろう。明日はなろうと頑張っておられたそうです。
劇中、伯爵がイルセに触れようとすると「そのぶよぶよした感じが嫌なの」と
拒絶されるシーンがあるのですが、この日は笑いが起こっていました。
「あのシーンで笑いが起こったのは、初めてです。よりぶよぶよ(笑)してたんでしょうね」って
手塚さんの普段の姿を拝見したのは、初めてですが面白い方ですね。
鵜山さんも大きくうなづきながら何度もウケておられます。

さて続きは次回に
by berurinrin | 2008-10-29 23:14 | イベント

東宝『私生活』

東宝『私生活』 in シアタークリエ(10/25)

作   ノエル・カワード
演出 ジョン・ケアード
翻訳 松岡和子

ここは南フランス・ドーヴィル。
とある海辺のホテルにハネムーンでやってきた2組の新婚カップル
エリオット(内野聖陽さん)&シビル(中嶋朋子さん)と
ヴィクター(橋本じゅんさん)&アマンダ(寺島しのぶさん)。
エリオットとアマンダは共に再婚同士。
シビルとヴィクターは、互いの相手の前の結婚相手のことが気になって仕方がないようです。
というのも、このエリオットとアマンダ・・
この結婚にイマイチ乗る気でなかったような??互いの相手が不安になるのも頷けます。
偶然にも隣同士のテラスのエリオットとアマンダがお互いの存在を知った時。
互いに一番会いたくなかった相手。
そう離婚した結婚相手だったのです。
ところが焼けぼっくりに火か付いたというか、気持ちが盛り上がって
シビルとヴィクターを置いて駆け落ちをしてしまいます。

初シアタークリエでございます(笑)
確か「女性に優しい劇場」なんてフレーズがあったような・・
う~ん、一言で云うなら「狭い」・・もう、ロビーが狭くて窮屈で落ち着きません。
この客席のキャパでこの狭さ・・・ビュフェコーナーがありますが
ロビーに座るところがないからでしょうか?!客席で飲食OKでした。
まぁ、次回いつ来るかは全くの未定なので、私的にはどうでもいいのですが
でも、なんだかなぁ・・
無理して売店なんて置かなくても良いのにぃ・・
あ、客席の椅子の座り心地は良かったです。
客席と舞台がとても近く感じました。

客席に座って、何気なく緞帳を見上げたら「PRIVATE LIVES」!?
この公演の為に作った緞帳ですか?!
えーっ、そんな、だったらその分料金設定を下げて欲しかったなぁ
お話は、ドタバタコメディでたいした内容がないだけに、1万円はキツイ。
きっと何度も通うファンの方もおられるだろうに・・パンフも高いし・・。
なんか納得できなかったなぁ

さて、感想・・・。
文学座からは内野聖陽さんがご出演です。
どうしよう・・・内野聖陽さ~ん。決して嫌いじゃないです。
舞台に立ってる姿は、本当にオーラがあるし、かっこいいです。
でも、その芝居の動きは、シアタークリエ規模の劇場には収まらない・・
いつからこうなっちゃったんでしょうか?!
噂の寺島しのぶさんとの喧嘩のシーンは、ダンスシーンをみているように
息の合ったコンビネーションで魅せてくれました。
ジョン・ケアードさんのストプレは、初めてでした。ちょっと私的には、ダメかも・・
みせる芝居をする方なのかなぁ?!
みせるって云うのは、役者を魅せる。う~ん。
短絡的に云ったらファッション的に役者を捉えられてるような気がしました。
もっと細やかに演じる姿を魅せてほしかったです。

舞台を観ながら、内野さんの日本人としての芝居をみせてもらいたいと
思いました。アクションも、歌も、ダンスもない。そんなものを取っ払って
内野さんの心の襞を揺さぶる、その内面を抉るような、静かに苦悩する芝居。
そんな出会いがあるといいなぁと思います。

なんか、本当に文句ばっかりでごめんさい。
この日は、昼間は新国立劇場で『山の巨人たち』を観た後だったから・・
劇場の雰囲気も芝居の内容も全く違う・・・
余計にそのギャップに付いていけなかったかのかなぁ・・

10/3(金)~10/31(金) in シアタークリエ
11/2(日)~11/3(月)  in 中日劇場
11/5(水)~11/9(日) in シアターBRAVA!
by berurinrin | 2008-10-27 23:07 | 観劇感想

新国立劇場『山の巨人たち』 in 新国立劇場中劇場(10/25)

作   ルイジ・ピランデルロ
翻訳 田之倉稔
演出 ジョルジュ・ラヴォータン

伯爵(手塚とおるさん)と看板女優であり伯爵夫人であるイルセ(麻実れいさん)ら
率いる俳優達一行が興行の失敗による失敗で破産し打ちひしがれながら
山間の魔術師コトローネ(平幹二朗さん)と不思議な仲間たちの住む屋敷に到着します。
彼らは、素晴らしい芝居を2年間上演し続けましたが、観客に受ける事がなく
伯爵は破産をしてしまったそうです。
その芝居は、イルセに恋した詩人が彼女の為に書いた
『取り替えられた息子の物語』という戯曲でしたが、書き上げた後に
自分の思いが叶わないことが解ると自殺してしまいました。
この出来事に俳優達はイルセの非道さを非難しながらも
彼女の女優としての才能に惹かれここまで付いて来たのでした。
イルセは、すでに狂気と正気の間を行き来しています。
コトローネは、伯爵一行に一夜の宿を提供し、伯爵達一行は不思議な体験をします。
翌日、コトローネは、自分たちも手を貸すので
「山の巨人たち」と呼ばれる人たちの一組が結婚するので、その式の余興で
『取り替えられた息子の物語』を上演するのはどうか?と提案します。

この作品は、ピランデルロさんが亡くなった為に3幕の途中で筆が終わっているそうです。
その結末は息子・ステファーノさんが父から聞かされた言葉として伝えられています。
上演されるたびに、各演出家によって解釈の違う結末が作られたそうです。
途中で絶筆されたので、『山の巨人たち』は舞台には登場しませんが
「『山の巨人たち』と呼ばれる1組(ウーマ&ロパルド)のカップルの婚姻が行なわれるので
その余興として、芝居を上演しては如何?」というコトローネの申し出があるので
きっと実在するんでしょうね。いや、実在して欲しいなと。

本当に不思議なお話です。
突然に歌い出すかと思うと、踊ったり、人形が動き出したり、アクロバットもあるし
真逆な真面目な伯爵チームVSコトローネの愉快な仲間チームが
全く馴染まない可笑しさが何ともいえません。
私的には、コトローネの仲間であるズグリーチャ(田根楽子さん)の百日天使の話は
大好きで、少女のように語るズグリーチャがとても可愛くって♪可愛くって
とはいえ、コトローネ自身その力によって
「良心が受け入れることを拒む真実を引き出した」・・。知りたくなかった隣人の姿・・
知らなければ普通に過せただろう、他人との共存のベールを剥ぎ取ってしまった
ために村から追い出された身だし。
ズグリーチャにしても、自分はこの世にいないと思っているし、
普通に生きていくことが困難な人たちが肩を寄せ合ってこの館で生きてるってことは、
やはり観客に受け入れてもらえない芝居を上演し続ける伯爵一行と
同じ香りのコロニーを作っている気がします。
ま、でもお互い相容れないグループですけど(笑)

コトローネの館での一夜は、ホントに不思議な出来事が、万華鏡のように
色を変え、品を変えて現れます。果たして、これはいったいと???と
思いながらも、それが実は夢の出来事で
それも、みんながみんな同じ夢の中に生きてるって・・もう不思議すぎて妖しい(笑)
だって夢の中では、なんでもありじゃないですかぁ、それもみんないるんですもん。
だから舞台上もなんでもあり状態・・もう、いちいち考える必要がないのも
頷けます。ただ目の前の華やかな世界と音楽に心を躍らせるだけ・・
あ~でも実際、こんな夢の体験とが出来たら(絶対無理ですか)これって楽しいですよね。

コトローネが語る言葉には、哲学的な難しい言葉が多いのですが
作家のイメージによる登場人物たちの霊魂が人形の体に乗り移るとか
霊魂の力とか・・インチキくさい香りがしながらも、妖しく面白いんです。
「太陽の光ではものが見えない。夜は夢の世界に属しています
ただ曙だけが、人間にはっきりものを見せてくれる・・」
「夜明けは未来に、日暮れは過去に向っているです」とか
私の好きな布袋寅秦さんの「LONERY★WILD」という歌の歌詞に
「生きぬいてやれ昨日と明日の間」という詩があって、なんかぐっとくるんですよね。
夜明けの一瞬の神々しい光が、橋のたもとから現れて、幻も去っていきます。
そして夢はあくまでも夢で、夢が醒めたら現実の世界が待っています。
でも夢が醒める一瞬・・夜と朝の狭間で時間が止まればいいのに・・・って
そう願う時・・ありませんか?いやぁなんか語っちゃいましたf(^_^;)

このお話の現実の部分は、恐ろしい残酷な終幕を迎えます。
コトローネたちも協力して『山の巨人たち』の配下の民衆達の前で
『取り替えられた息子の物語』を上演しようとしますが、失敗してしまいます。
それに怒ったイルセに対し逆に民衆の怒りを買い、イルセは殺されてしまいます。
イルセを助け出そうとしたスピッツィ(植本潤さん)、ディアマンテ(田中美里さん)も
八つ裂きにされてしまうそうです。
人形のイルセが舞台に立ち、麻実れいさんの囁く声が響きます。
救いなく舞台の幕がおります。
大人のためのおとぎ話は残酷です。
もし、ラヴォータンさんでなく鵜山仁さん♪版の『山の巨人たち』だったら
残酷だけど・・・何か明日への救いを残してくれたのでしょうか?!

冒頭、館に向ってやってくる伯爵一行をコトローネがイメージします。
荷車に横たわる裸の女性・・・
実際は、グレーのコートに身を包み颯爽と現れるイルセでしたが・・
そのイメージは、最後にイルセの死体を荷車に乗せて去っていく伯爵一行の末路を
最初からコトローネは知っていたから?!うっ、怖いっ

最後まで現れない『山の巨人たち』・・・。イメージするとしたら
権力かなぁ・・抗うことが出来ない否定的な絶対の支配者とか・・まっ現れたら
コメディになっちゃいそうですね(笑)
決して、日本人登山家がネパールで発見した、足あとの持ち主??
雪男イエティをイメージしたりはしません・・・・ちょっとしましたが(笑)

夢の中で歌って踊って、クローモ(大鷹明良さん)のダンスがすっごオモロです。
あの音楽「♪ちゃらららららら、らら、ちゃっちゃちゃら・・♪」
聞いたことがあるのですが、題名がわからないのです(><)耳に残ります。
不思議な体験をされたい方!ぜひおススメします。
終演後も余韻に浸っていたい方!ぜひおススメします。
わたしは・・も一度体験してきます。
あーだこうだと、ひっちゃかめっちゃかと余韻に浸れるお芝居・・好きなのです(*^_^*)
この感想もひちゃかめっちゃかでしたが・・・f(^_^;)



10/23(木)~11/9(日)まで in 新国立劇場中劇場
by berurinrin | 2008-10-26 01:10 | 観劇感想

気がついたら80,000ヒットしてました。(現在80,107ヒット)
ありがとうございます。
一日平均60~80ヒットがあります。
遊びに来て下さる皆様。ありがとうございます。
どちらかというと、かなり地味でマニアックなブログだと思います。
コメントするのが難しいf(^_^;)とも言われましたが・・・

ある日のアトリエの客席や文学座の本公演の会場で
ふと耳を澄ますと、このブログの事を話題にされた会話が聞こえてきた事がありました。
くすぐったいやら恥かしいやら・・ありがとうございます。
ブログをお休みした時に、数名の方から劇場で声を掛けて頂きました。
お顔を知っている方は勿論の事、見知らぬ方からも・・。
ありがとうございます。

検索ワードランキングを見るにつけ、ご要望に応えることが出来ない
もどかしさがあります。申し訳ありません。
それでも遊びに来て下さる皆様。
ありがとうございます。

これからも長文をモットーに(うそです)
健全に文学座鵜山仁さんの追っかけレポをしていきたいと思いますので
どうかひとつ(笑)今後も温かく長い目で見守ってやって下さいませm(_ _)m
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色っぽい目線ですが、茶りんくんは男子です。
by berurinrin | 2008-10-24 22:52 | 日常

明日が初日というこの日の夕方
新国立劇場『山の巨人たち』の舞台稽古(ゲネプロ)見学に参加してきました。
ゲネプロの前に、演出家のジョルジュ・ラヴォーダンさんと鵜山仁さん♪きゃーきゅあー
が、30分ほど解説をして下さいました。
相変わらずのメモメモ状態&通訳さんを介してだったので言葉が難しくて
自分なりの解釈も多大にあります。あくまでもイメージで受け止めてくださいね。

中劇場のロビー、ビュッフェ前に設けられたスペースには
50名程のお客様と、その前にテーブルがしつらえ
そこに通訳の女性の方とジョルジュ・ラヴォーダンさんと鵜山仁さんが座られました。
鵜山さんは、白いシャツにジャケット姿・・う~爽やかです。
ラヴォーダンさんは、写真で拝見するよりスマートな体形(笑)で、笑顔が愛嬌たっぷりで
優しそうな感じでした。鵜山さんより5.6歳年齢が上のようです。
「歳の話は、まっいいか(笑)」BY鵜山さん♪
最初に鵜山さんからご挨拶と概要の説明がありました。

今年のノーベル文学賞にフランスのルクレジオさんという方が受賞しましたが
それよりも70年ほど前に、ピランデルロさんはノーベル文学賞を受賞され
1936年に亡くなった作家さんだそうです。
鵜山さんご自身、高校一年生の時に、ピランデルロ版『ヘンリー4世』をご覧になって
「こんな事になってしまった」そうです(笑)
芝居なのか?現実なのか?
芝居の醍醐味・・奇妙な面白さ・・いかがわしさ
そんなものが入り乱れたピランデルロの世界。
鵜山さんのおっしゃる世界が、どんな風に自分に伝わるのか?自分自身楽しみです。

演出家のジョルジュ・ラヴォーダンさんは、
パリのオデオン・ヨーロッパ劇場の芸術監督を去年まで11年間勤められたそうです。
と、ここで鵜山さんからラヴォーダンさんへマイクが渡されました。

ラヴォーダンさんは、シェイクスピアなどの沢山の外国の戯曲を手がけたそうですが
ピランデルロの作品は初めてだそうです。
今回の『山の巨人たち』は、ピランデルロ最後の未完の作品ですが
作家自身が、この作品を終わらせたくなかったから未完となったのではないか?と
そしてピランデロの作風と時代背景について語って下さいました。
裕福な家庭に生まれ、彼の若い頃はファシズムに傾倒し
その巨大な(ファシスト)力は、今日において何であるのか?何に変わったのか?
という疑問が彼の作品の中に言葉となって出ているそうです。

次に『山の巨人たち』の人物設定のお話がありましたが
ネタバレしそうなので、そこは置いておいてっと
この芝居には色んな要素が混じっているそうで
ドラマ、パントマイム、夢やイメージ・・夢なのか悪夢なのか・・
とにかく「自分の夢を見ているような体験をしてもらいたい」BYラヴォーダンさん。

鵜山さんは、文学座で2本のピランデルロの作品を演出されていますが
ここで鵜山さんから質問が「ピランデルロを以前に知っていた人は?」
「はーい」と数名の方が手を挙げられました。
わたしも、ものすごく控えめに手を挙げました(笑)だって恥ずかしいもん。
ちなみに鵜山さんが演出されたのは『作者を探す六人の登場人物』(1988年5月)、
『御意にまかす』(1992年11月)の2作品です。

すかさず、ラヴォーダンさんが
ピランデルロが捕り憑かれた強迫観念。
一人の人間が持つ色々な側面・・公的生活と私生活など
一つの真実しかない!という、ことはないという解釈。
それはピランデルロの妻が発狂してしまうという個人的な悲劇によって
自分が(相手の対して)考えた行動とは異なる、彼女の言動をみるにつけ
人の見方は各人各節あるという考えを持ったのではないか?
当時、心理学が発達した時代でもあったそうです。
ピランデルロ自身が、すでに著名な作家という肩書きを持っている公的な生活と
反面シチリア島出身という、島に根付いた風習、伝統とか
カルチャー的な要素が強い私的な生活。またその生活を題材にした
短編を発表しているそうで『山の巨人たち』で、田根楽子さんが語るお話は、
ピランデルロの短編から引用しているそうです。

最後に鵜山さんから、新シリーズの3作品
近代能楽集『綾の鼓』『弱法師(よろぼし)』、『山の巨人たち』、
『舞台は夢イリュージョン・コミック』と「劇場の中の劇場」という隠しテーマがあるそうです。
色んな自分との出会いや戦いや新たな発見・・
そんな出来事が一番不思議なものかもしれません
「色んな種類のお菓子を楽しむ子供のような感覚で楽しんで欲しい」とおっしゃいました。

その後、ゲネプロを拝見しました。休憩無しで約2時間。
他にも関係者の方が沢山ご覧になっていてびっくりです。
今回は、座席番号まで決められていて
演出卓から遙かに前方の席で、鵜山さんのお仕事姿が覗けない(涙)
場所を移動される時に、かっこよく座席を跨ぐワイルドな鵜山さんを発見しましたが(笑)
さて『山の巨人たち』
ストーリーや内容は、改めて拝見した時に書かせて頂きますが
もうー。まずはその装置にびっくり・・・。橋なんですけど・・すごいです。怖い。
たくさんの会話と風景と音楽とダンスに異次元の世界にぽーんと押しやられたような感覚で
めくるめく不可思議な世界に漂ってきました。
そして音・・・。なんだろ???
あーでも、好きだなぁ~こんな感覚★
おおっ、文学座からは大原康裕さんがご出演です。
大原さんのコスプレにあんぐり・・びっくりしました。ちょっとわたしも着てみたいかもぉ
うそです。
そーいえば、チラシを上下さかさまにしてみると
フランスのモン・サン・ミシェルの風景が現れます。
ちょっとびっくりの発見でした。

次回は土曜日に、中劇場の波にぷかぷかと漂ってきます。
by berurinrin | 2008-10-22 23:35 | 観劇感想

巣林舎第6回公演・紀伊國屋書店提携公演
『燦静胎内捃(ふたりしずかたいないさぐり)』 in 紀伊國屋ホール(10/18)

作      近松門左衛門
脚色・演出 鈴木正光
企画・監修 鳥越文藏

平家を滅亡した源頼朝(いわのふ健さん)は、義経(沢田冬樹さん)の謀反を疑り
義経を殺戮しようと土佐坊(高畠雅人さん)を向わせるが、義経が討ってしまいます。
これにより頼朝の敵となった義経と弁慶(城全能成さん)ら主従は、
追討の手から逃れながらの流浪の旅を続けることになります。
義経の愛妾・静(藤崎あかねさん)は、途中で義経と別れて身重の疲れを尼の庵室で
休息を借りている処に、梶原景時ら(青木勇二さん)に襲われ拉致されます。
臨月が近づいた静を連れた梶原は、偶然にも義経を慕う大津二郎(若松泰弘さん)と
妻・凛(金沢映子さん)の営む旅籠に宿泊することになります。
そして産気づいた静とその子を守る為に一計を巡らします。
その頃、義経一行は苦難の末に奥州・平泉への最後の難所・安宅の関所に到着しました。

この難しい題名。近松作品の中でも、一番難しい題名だそうです。
「ふたりしずかたいないさぐり」・・最後に「り」とありますが
これが「る」と解釈することもできるそうで、「り」と「る」とニュアンスが変わってきます
この「ふたり」・・「二人」静御前と同じく臨月を迎えた大津二郎さんの妻・凛さんの
壮絶で残酷な出産にまつわるエピソードが、一つの大きな柱になっています。

めちゃめちゃ憎たらしい(苦笑)感じの梶原氏が、静の生まれた赤ちゃんが
女の子なら無罪放免、男の子ならその場で首を切ると宣言すると
大津二郎の妻・凛は、
「もし静さんの生まれた赤ちゃんが男の子だったら自分のお腹を切り裂いて
赤ちゃんを取り出して欲しい」と夫に頼みます。
「もし女の赤ちゃんだったら、赤子の二人の命は救われ
もし男の赤ちゃんだったら、身代わりに・・」
それは、義経と共に奥州に追従する事が叶わなかった夫。
その上、主君である義経の母を殺戮した盗賊が大津二郎さんの父であり
いままで凛の2度にわたる死産が、義経の母の恨みによるものと解釈した
二、三重の責めを負った夫への妻としての務め。
夫を羽交い絞めにして無理やり酒を飲ませ、勇気を奮い起こさせ毅然とした凛の姿・・・。
そして静が生んだ赤ちゃんは、男の子。
そして命を捨てて凛のお腹から取り出された子も男の子。
最悪の結果を知って息を引き取る凛の無念さ。
自分の子を、静の産んだ子として梶原氏に差し出す大津二郎の地獄のような光景。
でもまだまだストーリーは許してくれません。
あっけなく首を切らた小さな我が子の胴体を抱きしめ血の涙を流しながら
一旦は梶原氏に復讐を誓いますが、恨みの復讐の連鎖は重ねてはならない理。
妻と赤ちゃんの亡骸を抱きしめて自ら命を落とす大津二郎。
大きな命の代償に静と赤ちゃんは逃げ延びていきます。
この若松泰弘さんと金沢映子さんの夫婦の情愛の激しさに
がつんと、がつんと、がつんと、心をぎゅっと・・あまりの痛さぽろぽろ涙が・・・
かわいそうな凛さん・・哀れな赤ちゃん。ふぇ~ん二郎さ~ん
色んなものを背負ってしまった静さんも可哀相で・・・。

と、押し寄せるように場面は、勧進帳。それも近松バージョンということで
一人先に安宅の関所に向う弁慶が、もし捕まったら、ほら貝を1回。
そおしたら自分の事は捨てて、即行京に戻って再興の時を待って欲しい。
成功したら3回鳴らすので追ってくるようにと、言い残し去って行きますが
残念ながら聞こえてくるのは1回のほら貝の音色のみ・・。
けれど彼らは、背を向けることなく弁慶の居る安宅の関所に向います。

そこには、関所を守る富樫左衛門(三木敏彦さん)と捕らえられ縄を掛けられた弁慶。
白紙の巻物をまんまと勧進帳とだまして読み上げた事がばれて捕まったのでした。
目の前にいるのは、大男の弁慶と義経に似た男。
変装がバレないように、弁慶は体当たりで義経を突き飛ばし、蹴り上げて倒します。
その激しく切実な弁慶の姿に打たれた富樫左衛門は、関所を通らせ通行手形を発行し
無事に奥州に入れるように、便宜を図ってくれます。

このシーンもすごくて隣の年配のおじさんが、顔を覆って泣いておられるほど
迫力のある場面でした。わたしももう大変なことになっていましたが・・・
手配書の弁慶の似顔絵は、ちょっと違う気が(笑)
でも、城全さんてこんなに大きくて骨太体型だったかなぁと思うほど
大らかで喜怒哀楽が激しくて、ちょっと、いやかなり口の悪い(笑)でも嫌味にならない
可愛くって男っコト前の弁慶を演じておられました。
いまだかつてこんなにかっこいい弁慶っていないんじゃないかなぁ♪
そして義経を演じた沢田冬樹さんも、かっこいいのは勿論ですが
明るくて人懐っこい・・でも、やる時はやっちゃう・・まさに愛すべきヒーローを
爽やかに演じておられました。
そんな義経に愛される静に藤崎あかねさん。
くったくなく大きな声で笑ったり、怒ったり・・無邪気で可憐な静を素直に演じておられました。
そっと義経に寄り添う姿は、とっても可愛いいです。
年長者だけど、暗くなりがちな流浪な旅の道中になくてはならない
明るいキャラクター温かい人物・梶尾十郎さんに岡本正巳さん。
どっしりとした風格、厳しい眼差しの中に義経主従への哀れみをたたえる富樫左衛門を
演じられた三木敏彦さん。
見ごたえ十分の娯楽大作に仕上がっていました。

実は、私は『炎立つ』(高橋克彦・著/講談社)が大・大・大好きなので
義経主従が奥州・平泉に到着してからのその後を思うと泣けてくるんです。
頼朝なんてだーい嫌いって(笑)
んぎゃ、前回『出世景清』で城全さんが・・確か頼朝役やってましたっけ・・あちゃ(><)

あっ、終演後ロビーで偶然お会いしたのは、頼経明子ちゃん。
最近綺麗になったなぁとつくづく思うヨリちゃんは
次回文学座本公演『口紅ーrouge』ご出演です。
そして、ヨリちゃんの同期のいつも元気な松山愛佳ちゃん。
愛佳ちゃんは外部出演『向日葵の棺』城全能成さんと共にご出演です。
うきゃうきゃ鵜山仁さん♪演出の『長崎ぶらぶら節』で、冒頭の蛍のシーンで小さなサダちゃん(のちの平淑恵さんが演じる愛八さん)を演じた研修科生の寺田ゆいさん。
寺田さんは、来年研修科卒業公演を控えておられます。
3人の頑張り応援していますよん(*^_^*)

一年に一回の公演を続ける巣林舎。地味ですが、毎回ながらダイナミックで面白いです。
次回は2009年9/7~13『世継曽我(よつぎそが)』です。

10/16(木)~10/20(月) in 紀伊國屋ホール
by berurinrin | 2008-10-18 22:23 | 観劇感想

Pal's sharer vol.5『ロミオとジュリエットとジュリエット』 in 阿佐ヶ谷アルシェ(10/11)

作   青木万央
演出  森さゆ里


香さん(白井美香さん)の結婚式の前日、高校の同級生達が
結婚式の余興の稽古の為に、阿佐ヶ谷の某所に集合しました。
彼らは高校最後の文化祭で演じたのは『ロミオとジュリエット』。
当時はジュリエットをWキャストで演じたそうです。
同じキャストで演って欲しい。と言う、香さんの思いに応えようと
彼らは、それぞれ動き始めます。
文化祭から11年。彼らの生活も考え方も大きく変化しています。
当時の思い出に浸りながら、今の置かれている立場とのギャップの違いよる
彼らの考え方のズレから小さな衝突を起こしながらも
少しづつ形が出来上がっていきますが・・・・。

高校時代、実は恥ずかしながらも演劇部に入っていました。
『蟻部隊』という、蟻さん達が登場するヘンな芝居で
わたしの役は、蟻の・・・・女王さま。ハズカシィ~!!
真っ白のドレスに、王冠を被って、顔は・・白塗り。
最後は、敵の蟻さん部隊に襲われて全滅するという、悲劇だったような・・(笑)
顧問の担当の先生から、卒業するまで「女王さん」と言われ続けました。
廊下ですれ違う度に「女王さん」と言われ、顔が真っ赤になった記憶が・・。
その顧問の先生から、卒業の時に頂いた言葉
「気は長く、心は丸く、腹立てず、口慎めば、命ながらえ」

登場人物達と同様に、高校時代あんなに仲が良くって楽しかった仲間達が
卒業後、同窓会で久しぶりに会って、何気なく交わした会話から
もう、あの頃とは違うんだ・・って、
逆に高校時代と同じノリではしゃいでいる友人達を冷めた眼差しで見つめる自分。
そんな事があってから、自然と付き合いも遠のき
気がつくと高校時代の縁をすっぱり切ってしまっていました。
現在は、毎年の年賀状を交わす友人が唯一一人のみ。
学校は、中学・高校と一環教育の女子高だったので、彼らとは環境が違いますが
胸が、きゅんと痛くなるこの気持ち。
きっと彼らのような思いをぶつけ合う仲間との再会は、今後の私には縁の無いものなんだな・・
と、羨ましい思いを抱きました。

文学座からは演出の森さゆ里さん。
単純で平坦になりがちな会話で構成された台本を、役者の動きで変化を感じさせて
くれました。終盤ちょっとまったり感が続きますが・・それは、仕方がないかなぁと・・
でも色んな思い出が蘇える甘酸っぱい作品でした。
3人の子供が居る設定なのは、ヨリちゃんこと頼経明子さん。
主婦ですかぁ・・って、びっくりしましたが、これがまたしっくりしちゃいました(笑)
ちゃんとヨリちゃん演じる理子さんの家庭での背景が浮かんでくるのです。
色んな意味でヨリちゃんにとって大変な作業があったと思いますが、
がむしゃらに苦しみながらも皆を引っ張っている姿が、
理子さんとの接点になっていったのかもしれません。
そんな頑張って前向きに役と取り組むヨリちゃんの姿勢に・・
ぐっときたのでした。

10/10(金)~13(月)まで in 阿佐ヶ谷アルシェ
by berurinrin | 2008-10-13 00:13 | 観劇感想

Pカンパニーオープニング記念公演Vol.1「別役実VS阿藤智恵」
『しあわせな男』  in 西池袋・スタジオP(10/10)

作・演出 阿藤智恵

と、ある場所に買い物カゴを提げた女性1(原佐知子さん)が、現れます。
バタバタと布の袋を持った女性2(磯部万沙子さん)が、やってきます。
女性2は、なんとなーく女性1に声を掛けたそうです。
そこへサングラスをかけた女性3(木村万里さん)が、通り過ぎます。
女性3は、何かを探しているようです。
気がつくと、若い女4(須藤沙耶さん)が、誰かと待ち合わせ中?
ちょっと不機嫌そうに立ち止まっています。
すると、女3が戻ってきます。そして、彼女は「家を探している」と言います。
家の住所も表札の名前もわからないその家ですが、ドアはわかるといいます。
彼女達の表情は、何かにいらだっているようです。
そして、古びたドアを引きずって歩く男(内田龍麿さん)が現れます。

「人間ってすぐに慣れちゃうから・・」
「片付けは、きちんと・・」
女1と女2の会話の一コマ・・。これがイテテッっと胸に刺さりました。
実際、今のわたしの家の中は、普通ではありえない状況のはずで・・(><)
この状況が1週間も続くと慣れちゃうんですよ。不思議と、これが・・。
でもやっぱりおかしい。
おかしな状況を改善させる為に、一番大切なのは、助け合って協力していく事。
単純だけどそう思って、一つ一つ解決していきたいなっと、日々努力です。

さてその事は、登場人物も同じ。
ちょっと屈折してますが・・努力ってねぇみたいな
女性たちの心に潜むいらだちの種は、ふつふつと想像の世界から
現実のものとなり、癒され、消えていく・・・。
それが、たとえ本当の対象ではなくても
人間ってすぐになれちゃうから・・・そして、ひとつずつ片付けていかなくては・・。
そして彼女達は、思い思いに吐き出して、笑って解決するかと思いつつ
うっうっ・・怖っ(笑)、まじ怖い作品です。
阿藤さん、絶対ホラーもいけますからっ
でも・・観終わった後に何故か?!清涼感というか、気持ちがすっきり~しちゃったんです。
やっぱ、人間って不可解な生き物です。

表題に「別役実VS阿藤智恵」と、書かれているだけに
この作品には、別役さんの作風をイメージできる箇所が幾つかあります。
例えば、電信柱やベンチをイメージさせる、舞台中央のドアや
ありえないシチェーションの食事のシーン。。。
連続上演されてる別役作品へのメッセージ・・そう・・
智恵さんからの別役さんに対するラブレターのように受け取れました。
そして、H.H.Gで上演された『死んだ女』に繋がるテーマがあります。
前作では5人の男性が亡くなった一人の女性を巡るお話でしたが
今回は4人の女性が、それぞれの男性に思いを巡らすお話・・
『死んだ女』をご覧になった方は、絶対観た方がいいかも・・です♪

10/8(水)~19(日)まで in 西池袋・スタジオP

詳しい日程は、相互リンクしてます阿藤智恵さんのブログ
阿藤智恵の「気分は缶詰」日記へ!!
by berurinrin | 2008-10-11 23:18 | 観劇感想

金沢市民芸術村発信 文学座ユニット公演
『おーい幾多郎』 in 吉祥寺シアター(10/4)

作  池田むかう
演出 西川信廣

哲学者・西田幾多郎さん(瀬戸口郁さん)が、引っ越してきました。
母・寅三さん(本山可久子さん)を初めとして、と妻・寿美さん(名越志保さん)
子供たち、そして書生達。
新しい住処には姉や弟たちも訪ねてきます。
幾多郎さんは、彼らを守るため今日も奮闘しています。
家長として、家族の為に・・

京都では幾多郎が哲学を思案しながら歩いた散歩道が「哲学の道」と呼ばれています。
会社の隣の席の男性が関西の大学を出ているので
「京都の『哲学の道』ってどうよ」と聞いてみたところ
「いい散歩コースですよ。犬とか連れて普通に散歩させてるし・・」
「デートコースとか?!」
「いや一人でも大丈夫」
「『哲学の道』って、哲学者の西田幾多郎さんが歩いた道だからそう名づけたんだって」
「有名ですよね。西田幾多郎って」
「えっ知ってるんだ・・(ちょっとショック)」
私は知らなかったっす(><)
やっぱ有名なんだ・・・。(実はかなり・・ショック)

この芝居の中での幾多郎さんは、すでに哲学者としては成功されておられるようですが
その裏の素顔に焦点を当てて、家族のさまざまな問題に奮闘されながら
時に怒ったり笑ったり泣いたりと、四季の季節の移り変わりに見守られるように
彼ら家族の絆の強さが浮かび上がります。
一つ屋根の下に暮らすのは、家族だけではなくて、幾多郎さんの弟子である書生たち。
彼らもまた幾多郎さん達家族を支える大事な家族の輪に入っています。
誰もに共通するのは、表現はどうであれ相手を思いやる気持ちの深さ・・
そんな風景と、今の自分の現状と見比べちゃうと
切ない・・・。泣けちゃいます。
誰も悪くないのに、なんでこうなっちゃったんだろ??いやいかん。話を戻してって

瀬戸口さんの演じられる幾多郎さんは、無邪気で変わり者(笑)?!
目的を見つけてしまうと他の事を忘れて飛んでいってしまう少年のようです。
それが瀬戸口さんが演じられるから余計にギャップがあって(笑)
だってどうしても瀬戸口さんなら固いキャラにも演じられそうなイメージじゃないですか(爆)
ところが、朗らかで、わがままで、憎めない幾多郎さんの姿、とっても魅力的でした。

幾多郎さんの奥さまは、名越志保さん演じる寿美さん。
いいなぁ・・。憧れます。まさに理想の女性です。一歩下がりた~い。支えた~い。
こんな女性になりた~い。ただ・・いまさら子沢山は無理ですが・・・あははっ。
まっ冗談はおいて置いて(笑)
名越さんのお声がこれまた包容力があって、幾多郎さんの妻としての懐の大きさを感じます。
・・本当に素敵です。

幾多郎さんの弟さんは、陸軍軍人の憑次郎さん(鍛治直人さん)
体が大きいので軍服姿がとってもりりしいですね。
明るくて、賑やかなムードメーカーな憑次郎さんですが、
人の良さが災いして借金を背負ってトラブルに巻き込まれちゃったり困ってしまいますが
いい大人の幾多郎さんと二人、兄弟けんかをする場面は、
ほのぼのとして観ていて頬が緩みました。

床の間のお花が、ひまわりに変わった時
現れたのは、ひまわりのように明るい幾多郎さんの姪っ子・宇良さん(松山愛佳さん)
宇良さんの笑顔と真っ直ぐな言葉は、西田家の光のように輝いて見えました。

幾多郎さんのお姉さんは、正さん(富沢亜古さん)
その魅力的な姿で書生さんをからかったりしちゃいますが、
一人になった時の正さんの寂しげな表情が忘れられません。
なんでこんなに寂しい気持ちを抱いているのか?逆に正さんの背景を知りたくなりました。
書生さんをからかってもやり場のない気持ち・・・。
そしていつでも母を求める気持ちってわかります。
わたしも老後は母と「面白おかしく生きていこうね」を合言葉に過ごしてますからっ。
って、老後の話かいっ!すみません

書生’Sさんは、岸槌隆至さんと神野崇さんの二人組。
正さんに惹かれる純情青年?な山口さん(岸槌隆至さん)。
正さんと二人のらぶらぶなシーン微笑ましかったですね。
それが嫌味に感じないのは、う~んやっぱり正さんの雰囲気が、
どんなにすれっからしというか、若い男性の山口さんをからかっても
その色気よりも寂しそうな瞬間の正さんの姿が見えてしまうから・・それを山口さんの笑顔が
補っているようで・・可愛い二人でした。
二人がまったくの他人の関係であったら良かったのに・・なーんて・・。

そんな盛り上がりそうな二人に水を差す憎まれ役の中尾(神野崇さん)。
でも、それが二人の為、そして正さんの名誉の為・・言葉はキツいけど
その心の底の彼らを思いやる優しさがじわじわ出ていて素敵な書生さんです。

幾多郎さんのお友達は、石川さん(鈴木弘秋さん)
豪快で頼りがいのある素敵な石川さん。幾多郎さんと性格が対照的で
二人のやりとり・・妙な空気間がとても面白かったです。
そおいえばTVドラマ「ゴンゾウ」刑事さん役でレギュラー出演されていました。

一場面のみのご出演でしたが、岡田さん(林秀樹さん)とても衝撃的な場面でした。
林さんの静かな登場シーンで、一瞬にして空気が変わり、
その長くて細い震える指先が胸を打ちました。すごいです。

そして、みんなのお母さん寅三さんは本山可久子さん。
気丈で、温かくて厳しくて・・可愛い(すみません)女性です。
誰もが寅三さんに頭が上がらないのが、これがまた面白くって(笑)
楽しかった・・。

水面からゆれる照明の美しさや四季を感じられる活けてある花の優しさ
所作の美しさ・・爽やかで寂しい風の流れを感じながら
ほのぼのとしたやわらかな風景・・
ドラマの中に一時の安らぎがありました。
観る事が出来てよかった・・。しみじみそう思いました。

9/26(金)~10/5(日) in 吉祥寺シアター
by berurinrin | 2008-10-08 22:14 | 観劇感想