カテゴリ:観劇感想( 333 )

こまつ座第105回公演『兄おとうと』

こまつ座第105回公演『兄おとうと』 in  川西町フレンドープラザ(5/11)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁
美術 石井強司

生涯のうちで5回しか枕を並べて寝たことがない、兄の吉野作造さん(辻萬長さん)と
おとうとの吉野信次さん(大鷹明良さん)の生涯の物語。

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父が、借金の返済にと貧しい人達から田畑を奪っていく姿を見て育ち、
贖罪の念から彼ら貧しい人達の立場に立って発言する作造さん。
その姿が時に時代を反して過激だと、右翼からは命を狙われ、
社会から反発の矢面になって身の安全も脅かされる兄とその家族。
その後の父の景気が傾いた姿を見て育ち、出世して社会を動かす側に立場に
身を置いて政治の世界に生きる弟・信次さん。
この兄弟を支える妻たちは、仲の良い実の姉妹。
時は大正。お互い気遣いながらも、会えばついつい喧嘩ばかりの二人、兄おとうと。

さてさて山形公演、井上ひさしさんのホームグラウンドでもある
川西町フレンドリープラザでの初日からのスタート
てなわけで行ってまいりました
米沢★
爽やかな5月の日差しの…てか暑っ!!
前日までは風が強かったりと大変なお天気だったそうですが
まさに初日晴れっ!!
いよっ晴れ女のわたし(^^)/


前回公演から早5年。
帰ってきた『兄おとうと』です。
私はこの作品がとても好きなのです。
この作品は、その時代、その年、その時事の世上の流れをしっかり吸い込み呼吸する
わたしたちの心の動きに近く寄り添って生きている作品だと思うのです。
決して難しいことを言ってるわけじゃないのに
なんで魂が揺さぶられるんだろう
こんなに笑えるのになんで悲しくなっちゃうんだろう
悲しい状況なのに楽しくなっちゃう…
矛盾だらけの感情に吸盤のようにぴったり吸い付いてくるストーリーは
まさに今の政治に対する不安な疑問を紐解いていくようにみえるのです。
願わくば、今の政権の目指している方向が
この劇中に出てくる私たちへの答えと同じであって欲しいと
願いのように祈りのように思うのです。
過去を観て今を考える…ラストの強烈なメッセージをしっかり受け止めないと
作造さんにぐぁ~と↑どなられちゃいそうです。

5年後の『兄おとうと』のキャストはそのまま
本当に素敵な座組での再演★とても嬉しいです。
前回は、二人の兄弟を支える妻の懐の深さとか、夫婦の情愛とか、もうちょっと柔らかなイメージが
あったのですが、今回はガチンコ対決(笑)ドキドキはらはらモード
作造さんと信次さんの言葉の凄味を感じました。
二人とも合わせ鏡のように心の底ではしっかり重なっている
そしてやはり支える作造さんの妻・玉乃さん(剣幸さん)と
玉乃さんの実妹で信次さんの妻・君代さん(高橋紀恵さん)の二人の
穏やかでどっしりとした安定感があればこそ
彼らが生き生きと仕事に満身を注いでいられるという姿が
あ~素敵だなぁと思うのです。

日帰りだったので、終演後はそそくさと家路に向かいましたが
いい子にしてると素敵な奇跡が起こるという…
鵜山さんの素敵な笑顔★きゃっ( *´艸`)
次回、『兄おとうと』に再会できるのは夏!
旅を重ね、再びの出会いの時、私たちの胸にまた新たなメッセージが刻まれることだと思います。


5/11 in 川西町フレンドープラザ






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by berurinrin | 2014-05-17 23:55 | 観劇感想

劇団スーパーエキセントリックシアター スタミナやプロデュース第3弾『エキスポ』

劇団スーパー.エキセントリックシアター スタミナやプロデュース第3弾
                        『エキスポ』 in 横浜市泉区民文化センターテアトルフォンテ(4/19)

作   中島淳彦
演出 田上ひろし

1970年大阪では日本万国博覧会(EXPO‘70)の真っ只中。
ここ宮崎県の大場家では、母・ひさ子さんのお通夜が始まろうとしています。
働き者で家の中心であったひさ子さんを亡くし、残された家族は混乱しまくり状態です。
母の訃報を知って家族には面識のない弔問客がぞくぞくと訪れます。
と、弔問客に混ざって旅行会社の金丸さん(杉元秀透さん)がやってきて、
母が数名分のEXPOのツアー予約をしていますが、どうしますか?と

超地元なのに初のテアトルフォンテ!
劇場が家の近くにあるって、なんて幸せ!ドアツードアで30分!
こんな近くにしっかりした劇場があるなんて、嬉しいなぁ~ありがたいありがたい
そんな初めての劇場で、始めましてのユニット・スタミナや★と出会いました。
彼らは、劇団・スーパーエキセントリックシアターの座員からなる5人のメンバーから成っていて
【ス】杉野なつ美さん、【タ】田上ひろしさん、【ミ】三谷悦代さん、【ナ】永田耕一さん
【や】山崎大輔さん
と、ユニット名は、皆さんの名字から一文字づつ取ったネーミングなのでした。
そして彼らのプロデュース作品の第三弾が、この中島敦彦さんの名作『エキスポ』!なのでした。

今回、上演するに当たって
キャストに合わせて、年齢設定を少し上げて、性別や台本を少し変えたそうですが
これが、彼らにとてもはまっていて、
わかりやすくてちょっとリアルな感じで楽しかったです。
今まで数々の『エキスポ』を拝見していますが、一番しっくりした気がします。

舞台装置がこれまた細かくて(笑)
プラスチックの丸みを帯びたハンガーとかトイレ前に吊ってあって、
かしゃかしゃして水が出てくるヤツ(名前がわからない)、障子やお茶のポットや柄のグラス
何から何まで懐かしい昭和の世界~♪

いい大人たちが、一つ一つの出来事にわらわらと右往左往とずっこけながら
彼らにとっての妻であり、母親であり、叔母であり、と
様々な個々の関係が繋がって
ひさ子さんという人物像が浮かび上がってきます。
あ~本当に愛された女性だったんだろうなぁ
つーか、みんなひさ子さんに頼って頼りっぱなしでダメダメじゃん(><)
それでもひさ子さんは、きっと笑顔で家事に仕事に懸命日々を生きていたんだろうなぁ~
ひさ子さんの最後の言葉「人類の進歩と調和」…
壮大な言葉ですが、葬儀の間に不思議と進行形で行われている気がして
それがひさ子さんの最後の言葉であり遺言だったのかしら…そう思うと
めっちゃおかしくて、いっぱい笑った中にほの苦い切なさが浮かんでくるのでした。

この素敵なキャストの中に、文学座からは木津誠之 さんがご出演。
ひさ子さんの娘・千代子さん(丸山優子さん)の別れたご主人・山下さんを演じられていました。
山下さんは東京で作曲家さんだそうで
今回は、ウクレレで弾き語り生歌をご披露★
観ているこちらもド緊張でしたが、これが意外と(ごめんなさい(笑))真っ直ぐな歌声で気持ちがよかったのです。
演奏もそのぎこちなさ(ごめんなさいx2(笑)x2)も、これまた大場家の調和に合っておりまして
とっても素敵なのでした。

終演後、制作の女性の方とお話させて頂きましたが
とても誠実で気持ちのいい対応をして下さいまして、代表の山崎大輔さんをご紹介頂きました
このユニットの姿勢をみせて頂き、木津さんを通じて
また新たな出会いに感動をしたのでありました。

4/19(土) in   横浜市泉区民文化センターテアトルフォンテ








by berurinrin | 2014-05-02 22:44 | 観劇感想

日本の30代『十二夜』

日本の30代『十二夜』  in 下北沢駅前劇場(4/18、4/24)

作  ウィリアム・シェイクスピア
訳  小田島雄志
演出 鵜山仁
美術 乘峯雅寛

瓜二つの双子の兄妹セバスチャン(富川一人さん)とヴァイオラ(平岩紙さん)の乗った船が嵐のために難破し、
ヴァイオラはイリリアの海岸に打ち上げられる。彼女は兄を死んだと思い、
この地を統治しているオーシーノ公爵(井澤崇行さん)の小姓として
男装しシザーリオと名乗り仕えることにします。

オーシーノ公爵はオリヴィア(延増静美さん)に恋をしていますが、
オリヴィアは、逆に使者としてやって来たシザーリオに心を奪われてしまう。
けれどヴァイオラは、いつしかオーシーノに恋焦がれて…

そんな折、双子の兄セバスチャンは、彼を助けてくれたアントーニオ(羽鳥名美子さん)
と共にイリリアの地に現れます。

私が、たぶんきっとまともに接したシェイクピア作品が、
NHKで放送されていた英BBCによる『十二夜』だったと思うのです。
(あっ、その前に『リア王』が教科書に載ってたっけ(>_<))
これがとても面白かったのです。そんな記憶があって、今、手元にある同じ映像のDVDが見れないのですが…
その次は、やっぱTV中継での野田秀樹さんの演出された『十二夜』。
これは大地真央さんがヴァイオラとセバスチャンを二役演じて、オリヴィアは桜田淳子さん。
マルヴォーリオは橋爪功さんで、これがまた面白かったのです
(たぶんどっかにビデオテープが残ってるはず…)
そんな記憶を持ちつつ、初めてライブで観た『十二夜』は
サンシャイン劇場で上演された鵜山さん演出の『女たちの十二夜』。
男性俳優は二人のみ、あとは個性豊かな女優さんが演じられていました。
これが爆笑ものの面白さだったのです。その後は、ミュージカル『十二夜』これも鵜山さんの手によるもの♪
そしてここ半年は、しんゆりシアター『十二夜~おすきなように~』、研修科卒業公演…そして今回と
…飽きた?いえいえ、まったく(笑)観るたびに新鮮な作品なのです。
ということは、それだけこの作品の魅力が強く、作る手にとって貪欲にアタックできる作品であり
手ごわい作品なのかもしれませんね。

鵜山さんは、今回含んで6本『十二夜』を演出されてるそうです。
そのうち3本しか観れていないのですぅ~( ´艸`)
鵜山さんからは「『女たちの十二夜』に近くない?」と言われたんですが、そうかなぁ~
う~ん、確かに似ていて非なるもの的かもしれません。

で、今回は新たに生まれたユニット“日本の30代”と鵜山さんのコラボ。
それにしてもユニークなネーミングですね。
彼らは、2012年のシアターコクーンと大人計画の提携公演で集まったそうで
大人計画の平岩紙さんが代表という、その中に鵜山さんが加わったら…とても楽しみにしていました。

舞台は、赤と白を基調としたサーカス団の興行のような趣があって、舞台の最前列はベンチ席(^^♪
さしずめ演者はピエロのような、シェイクスピアの時代の役者たちを彷彿させる…
そんな、ちょっと不思議でアンダーグラウンド的なド派手なメイクでのご登場。
でも不思議とあんなにびっくりしたメイクも気にならなくなるもんですね。
シェイクスピアの台詞は、改めて難しいと思うし
特に文学座の俳優たちの声に慣れてしまうと、本当に残念と思うのですが
それを上回る彼らの個性豊かな存在感とノンストップで繰り広げられる展開のスピード感と
なによりもその面白さ!

作品の力と彼らの魅力に溢れた新たな『十二夜』を魅せて頂きました。
平岩さんの両性具有のような不思議な魅力をもったシザーリオや
ライオンがるるぅ~♪肉食系なオリヴィアを演じられた延増さんのキャラには
びっくりさせられたし、マルヴォーリオを演じられた町田水城さんの雰囲気のある存在感もユニーク
アントーニオの羽鳥名美子さんのセバスチャンに寄せる不思議な感情の表現も
ほんと皆さんすごい!つーか強烈(爆)皆さんの名前難しくて読めないし…あ~楽しかった。
いやぁ~鵜山さんお稽古めっちゃ大変だったんじゃないかしらん♪
そしてそんな状況をめっちゃ楽しまれたのでは(笑)と想像してしまうのでした。

4/18(金)~28(月) in 下北沢駅前劇場







by berurinrin | 2014-04-29 17:30 | 観劇感想

劇団銅鑼公演NO.45『女三人のシベリア鉄道』

劇団銅鑼公演NO.45『女三人のシベリア鉄道』 in 俳優座劇場(3/16)

脚本 森まゆみ
演出 野崎美子
美術 佐藤朋有子
照明 鷲崎淳一郎

作家・森まゆみさん(馬淵真希さん)は、友人のアリョーナ(タチアーナ・モクリェツォークさん)を伴って
シベリア鉄道に乗り込んでいます。
森さんは明治から昭和にかけて日本を代表する三人の女性作家、
与謝野晶子さん(長谷川由里さん)、中條百合子さん(中村真由美さん)、林芙美子さん(佐藤響子さん)が
シベリア鉄道に乗って旅をした姿を追っていたのでした。
深夜、一人になった森さんの前に7人の子供を置いて夫のいるパリに向かうという与謝野晶子さんが
現れます。この出来事を機に
森さんは彼女たちと不思議な時間を過ごすことになります。

いやぁ~原作読んどきゃよかった
だって、三人の人物まともに知らない無知な自分。
作家の森さんもわたしにとって未知な人だったのです。
なので、シベリア鉄道の終着地パリまで
ロードムービーを観てるかのような感覚で拝見してしまいました。
本当はきっと深いはずなんですけど…完璧勉強不足ですm(__)m
そんなスキマを一緒に観劇した鑑賞会の旅好きな先輩たちのお話で救いが…
始まる前に紗幕にロシアの地図が映し出されておりまして
その地図を観ながら、ロシアに行った話をして下さいました。
「スチュワーデスさんが、すごい体格でね~まいっちゃったよ」とか
社会主義が崩壊するコルバチョフさんの時代だったそうで
テーブルの下でホテルに備蓄してあったキャビアの取引をした話とか(これたぶんアウト話ですよね)
ほとんど芝居とは関係なかったけど、空気感とかなんか伝わってきてニンマリ(笑)

夜な夜なまゆみさんの前に現れる亡霊たち。
やっぱ自分たちを呼ばれてると感じるのでしょうか
それにしても昔の日本の女性はしたたかで強いものなのですね。
「子供が~」とか「一人で海外なんて~」「言葉が~」なんて意味をなしてない
好きなタイプの男性が目の前にいたら、自分からぐんぐん行っちゃったりして
素晴らしい…まわりにさんざん迷惑をかけてる感もなくはないけど…
とはいえ、自伝小説を自分で戯曲に直して、それも初戯曲…これは厳しい
作家が戯曲を書くと、場面転換が多すぎて
いったい何を伝えたいのかわからなくなってしまう事がよくあるんですよね。
悲しいかな今回も
次から次へと亡霊が現れてまゆみさんと自分たちの過去を話して、原発問題から
将来まで討論する場面では
話が大きすぎてついていけなくなってしまいました。
過去を検証して未来につなぐ役目は、きっとまゆみさんにゆだねられてるはずだと思ったんですが
でもでも…と結論がでないことを前提にしても、言葉が複雑すぎた気がします。
まぁまぁ自分の勉強不足が悪いんですけど
その中でもいたるところに現れて印象的に演じ動くストーリーテラー的な
存在を演じた三田直門さんには救われた感じがしました。
それに紗幕を使ったシンプルなセットで、素早い場面転換を有効にしていたと思います。

さて、終演後はいつもように
呑みダチ(笑)のなおちゃんこと三田直門さんと制作のHさん、そして鑑賞会の先輩と
併設されているパブでハッピーアワー♪
ロシアに滞在されていたという演出の野崎さんも加わって
ロシア話で盛り上がりました(#^.^#)
でへっ
そだ、野崎さんが、このシベリア鉄道に乗って旅をした三人の女性たちの中で
中條百合子さんの波乱に満ちた人生に興味があると言っておられました。
確かにウィキぺディアをさらっとみてもすごい…



3/12(水)~18(火)まで 俳優座劇場







by berurinrin | 2014-03-23 14:28 | 観劇感想

舞台芸術学院ステージアーティスト科5期卒業公演『決定版十一ぴきのネコ』

舞台芸術学院ステージアーティスト科5期卒業公演『決定版十一ぴきのネコ』
                            in 舞台芸術学院内シアターTAC(3/21)

作・作詞 井上ひさし
音楽   宇野誠一郎
演出   鵜山仁
美術   乘峯雅寛

都会のお腹を空かせたノラ猫たち。にゃん作老人がもっていた地図を頼りに
大きな湖に住んでいるという、途方もなく大きな魚を捕まえるために冒険の旅に出ます。

この日は、昼間は紀伊國屋ホールで、こまつ座公演『化粧』の千秋楽を拝見して
夜は、池袋に移動しての舞台芸術学院の卒業公演を拝見させて頂きました。
どちらも井上作品、どちらも鵜山さん演出♪なのでございます。

井上ひさし全芝居という戯曲集の中に『十一ぴきのネコ』と『決定版十一ぴきのネコ』と収録されて
いて、どれどれと読んでみたら、ラストが全然違うのですね。
『十一ぴきのネコ』の方は、子供とその付き添いのためのミュージカルとうたっていて
ラストは十年後の彼らの姿。猫の楽園は大都会になり、十一ぴきはそれぞれ出世したものの
派閥争いで負けたにゃん太郎さんが、撲殺されるというシニカルな感じ
『決定版十一ぴきのネコ』の方は、大きな魚を食べたのはいいのですが、湖が毒で汚染されていて
そこに住んでいた大きな魚も汚染されていて、その魚の毒素がネコたちを苦しめて…
まぁ、どちらもラストは衝撃ですね
死生観が強烈に描かれていて、生きることは厳しいけれど、厳しいがゆえに生きることに対する
執着と賛歌がどーんどーんと拒否られないほど熱く強く訴えかけていました。

舞芸の発表会は、鵜山さんが演出されたご縁で過去に何度か拝見させて頂いていたのですが
卒業公演は初めてです。
生徒さんたちが立ち上げられたブログやTwitterで、その過程を遠くから見守らせて頂き
拝見できるこの日をとてもとても楽しみにしていました。
でもなんか一抹のさみしさも…
ダブルキャストだったのですが、ほかの日が満席で、一つのチームしか観れないのが本当に残念。

舞芸に到着すると、職員室?!に鵜山さん(^^)/いやいや、ここでは鵜山先生ですね。
パンフレットを丁寧に読んでおられました。
そんな姿をのぞき見しながら会場へ
コンパクトながらも立派な劇場を持つ学校なのです。

舞台は、段ボールを素材として、都会の風景が描かれていました。
背景もそうですが、小道具も段ボールで細やかに作り手の気持ちが詰まった温かいものばかり
ネコたちが、失敗を繰り返し、友情を深め困難を乗り越え冒険していく姿は
今まさに卒業し、夢への冒険の旅に向かう彼らの姿そのもの。
精一杯の力を出して歌って踊って芝居して、躍動感みなぎる彼らの姿は
可愛らしくて美しくて胸を打たれてしまいました。
休憩入れて三時間弱。
素敵な時間をありがとうございました!!

終演後、鵜山さんと話しながらも泣きそうになってしまって
そそくさとその場から離れてしまいましたが、電車の中でもぐっとこみあげてきて
「ハードコンタクトなんですぅ~ゴミが目に~(泣)」
みたいなクサい一人芝居状態だったのは、内緒です(笑)

ちなみに舞芸の先生でもあり先輩でもある鵜山さんの卒公は
ロルカの『血の婚礼』だったそうです
観たかった~!!!

頂いた今回のパンフレット…
タイトル文字は、鵜山さんの手によるものだそうです。
皆さんの思いが詰まった中身も素敵なパンフでした。

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3/20(木)~3/23(日)まで in  舞台芸術学院内シアターTAC(3/21)






by berurinrin | 2014-03-22 22:05 | 観劇感想

ワンツーワークス#12『流れゆく庭ーあるいは方舟ー』

ワンツーワークス#12『流れゆく庭ーあるいは方舟ー』
                         in 赤坂REDTHEATER(3/8)

作・演出 古城十忍
美術   礒田ヒロシ
照明   磯野眞也

異常豪雨が続く某地方都市の市役所内にある市民課。
市民からの不安や問い合わせの電話に追われる職員たち。
不安は、町を流れる三之宮川の河川敷の水位がどんどん上昇傾向にあること。
そうこうするうちに住宅地に水が流れ込み、浸水被害が広がってきます。
なんとか市民の安全を思い避難指示を発令しよう山本課長(佐川和正さん)が
上に掛け合いにいこうとしますが、すでに遅し…

あの3.11が起こってから3年になろうとしています。
あの自然の脅威の中で、人の力がいかに無力であったかを
いやというほど強烈に心に頭に刻みつけたにも関わらず、
月日は残酷で、少しずつ忘れつつある…と思いきや、ふとしたことで
心の頭の深いところから、わぁ~とよみがえってくることを
この作品を観ながら思い出しました。

実はご案内を頂きつつも、日程的に難しい…と、思いでも興味があって
チラシを常に携帯しておりましたら
昨日、こまつ座の『化粧』を拝見した時にイケメンマネージャーのMさんにお目にかかって
最近、面白かった作品はありましたか?なーんてお話ししていたら
この作品の話になって、あれれっ私も気になっていたのですと(笑)
これでしょう!ってチラシをほれほれ。やっぱ観たし!!と
なんとか時間をやりくりして拝見できることになりました。
ミテヨカッタです。
Mさん!あざーす(^^)/

この作品は2008年に前身である劇団一跡二跳で初演が行われたそうです。
元は新聞記者だったという異色の古城さんが書かれたの戯曲ということだけに
災害に対する報道のとらえ方もリアルに引っかかってきます。
そう思うと普段私たちが目にする新聞やメディアの情報の作り手の側の一片を垣間見た気がします。
大きな事件や事故が起こってから私たちは学ぶことが多く
予防や予測に対しては、私たちは無防備であり、起きてしまうことより起こってしまったことに
関心を寄せてしまう。
3.11で大きな代償を払って、不測の事態に備えることの重大さを理解していたのに…
自分、なんでだろう

なかでも、山本課長は苦悩なう。
豪雨は激しさを増し、ますます水位が上がって、最悪の状態が間近に迫ってきます。
が、まさに会社の中間管理職。部下からは突き上げられ、上司からは押さえつけられる。
とはいえ山本課長をはじめ部下達の家族も危険な状態なのです。
そうこうしていくうちに市民に対して避難の指示の有無の判断は遅れていきます。

舞台は、市役所の市民課兼記者クラブと思いきや
市民課と記者クラブは、別の部屋に存在しながらも
私たちの目の前で同時進行していたのでした。
そして不釣り合いな一本の大木、開演前からチカチカと蛍光灯が点滅し、
なんとなく漠然とした不安感に包まれています。
また、この木を中心に取材陣、様子を見に行く市の職員たちが
現状を電話で報告する場面があるのですが
次の場面では、その電話の受け側である本部や記者クラブが、
まさに前の場面の電話の応対中。
舞台が二重三重にも重なった立体的で作りで本当にユニークです。
役者側から見たら台詞がもつれた糸のようで大変そうですが…
そしてラストの衝撃ったるやびっくりの展開でした。
そこんとこはぜひ劇場へ

私たちは風化しても忘れちゃいけない事がある。
改めて考える時なのかもしれません。

文学座からは佐川和正さんがご出演です。
最近の佐川和正さんの演じられる役柄の幅がぐーんと広がってきたように思えます。
以前は本人はうそだぁ~♪と照れていらしてましたが、その端正な姿から王子様的な
品のよさそうな少年や青年キャラなイメージでしたが
今やなんでもおっけー的な幅広さと包容力を感じさせる素敵な俳優さんに成長されたと思います。
次回はどんな役柄を魅せてくれるんだろう(*^^*)
そんな好奇心を満たせてくれる佐川さんなのです。

3/6(木)~12(水) in 赤坂RED/THEATER








by berurinrin | 2014-03-10 22:49 | 観劇感想

こまつ座第103回公演『化粧』

こまつ座第103回公演・紀伊国屋書店提携・紀伊國屋ホール開場50年
『化粧』                               in 紀伊國屋ホール(3/7)

作   井上ひさし
演出 鵜山仁
美術 堀尾幸男
照明 中川隆一

10日後には取り壊しになるという寂れた感じが漂うこの小屋。
この「五月座」の座長であり看板女優の五月洋子(平淑恵)さんが、
むくりと起き上がり、これから上演される出し物『いさみの伊三郎』の
伊三郎に変身する為のメイクに取りかかります

わぁ~紀伊国屋ホール開場50年!おめでとうございます!!
紀伊國屋ホールの座席って、小さいし、座席と座席の間が狭くて通り辛いのですが
座り心地がいいのですよ。あの背もたれの角度も好きなんですよ。
クラシカルな雰囲気で居心地の良さを感じさせるホール。
無駄がなく、ざっくばらんなロビーに
わんさかあるチラシ棚♪演劇情報の発信基地ですね
10年後も20年後も、ずーっといつまでもこの空気感を保ち続けて欲しいです。

さて2011年1月に初演された『化粧』。三年振りの再演です。
『化粧』といえばやっぱ渡辺美佐子さん…と、渡辺さんの大代表作品だそうですが
と、いうのも私は未見なので『化粧』といえば平淑恵さんなのです。
そんな『化粧』が再演の初日を迎えたのは1/13…それから約2か月間
旅を回るように、地方公演を重ねて紀伊國屋ホールにやってきた大衆演劇「五月座」ご一同様。
本当は、初日の川西町に行きたかったのですが、ちょっとワイハにバカンス行っちゃった( *´艸`)
(スミマセンめっちゃ楽しんできました。)
ということで、私にとっては長崎の大千秋楽以来の『化粧』なのでした。

客席を鏡に見立てて、化粧を始める洋子さん。
第一声は、淑恵さんの普段少女のような軽やかな丸みを帯びた声とは思えない
酒や煙草にやられたかすれ声・・ぞくっと鳥肌が立ちました。
大胆に化粧をしていく洋子さんの姿は、
今から戦いに向かう戦士の如く戦闘態勢へのスイッチが
ぱちんと入って、客席に対し挑発的にみえます。
男気入った洋子さんのほれぼれする肢体から、
逆にほのかに匂うような色気がふあっと伝わってくる気がします。
伊三郎に扮した華奢な体が、まるで小さな巨人と化して舞台に向かう洋子さん。

そして後半
伊三郎を演じて、楽屋に戻ってきた洋子さんの目の前に現れた人物との対面から
場面が現実なのか幻なのかと、二重にも三重にもみえる不思議な世界が広がっていきます。
まるで観ている自分さえ現実なのか錯覚なのか・・
そうなるとこの芝居小屋さえあやふやかと思うと
工事現場のガヤな音があやふやなのかと
でも、互いに足りないものを補い合って、真実ではないかもしれないけれど
確かなものが生まれてくる。
そんな誤解のような錯覚のような不思議な満足感。
満たされた思いに包まれた時間を満喫できる幸せな空間にほくほく(^^)/

終演後、ロビーをきょろきょろと愛する♡きゃっ鵜山さんを探してみたけど
残念ながらお姿が見られず・・と、思ったら『くにこ』の甲府公演に行かれておられたそうで
『くにこ』の1月から始まった今年前半のツアーも終盤。
来週の平塚公演が千秋楽なのでした。
と、外に出たら雪?!新宿は雪!!うわぁ~
『化粧』の不思議な世界観がまた続いてる感じです。

そだっ!初演に引き続き
そうそう・・このお芝居のガヤの声
文学座の俳優さんがやってらっしゃるんですよ(*^_^*)
石橋徹郎さん、星智也さん、山森大輔さんが参加されていました。
素敵で迫力ある彼らの声も楽しめますよぉ~



3/7(金)~21(金)まで in 紀伊國屋ホール



シェイクスピア祭開催中です(^◇^)
次回は『エドワード三世』3/16~17文学座新モリヤビル第1稽古場にて



by berurinrin | 2014-03-07 22:01 | 観劇感想

劇団Tokyo Festival! vol.14『幸福な職場』

劇団Tokyo Festival vol.14『幸福な職場』 in 下北沢駅前劇場(2/7)

作・演出 きたむらけんじ

昭和34年。小さな町工場、蒲田理工学工業では
おもに黒板で使うチョークを作っています。
常務(岡田達也さん)を訪ねて、卒業を目前に控えた生徒の就職口を確保する為、
一人の女性教師・ササキ先生(土屋史子さん)が再三にわたって訪問してきます。
人手不足と言いながらも申し出を受けられないのは、その卒業生たちが、知的障害者だったからです。
ところがササキ先生の熱意に負け、
2週間限定の社会体験という名目で一人の女性の受入れを承諾することに…

川崎市にある実在の会社。
黒板に使うチョークではㇳップメーカー・日本理化学工業をモデルにした作品だそうです
現在も全社員のうち7割が知的障害者という、障害者雇用を積極的に進めている企業として
知られているそうです(公演チラシより)
それにしても知的障害者の第一号が、この昭和34年なんて…つい最近のお話なのですね。
それだけ知的障害者に対する偏見や差別が大きかったのでしょう。
ということは、知的障害者を雇用する事のリスクも高かった事だと思います。
今では、知的障害者の未知への能力の高さとかだいぶ知られ始めていると思いますが
自分が果たして職場の仲間として一緒に働けるのか?きれいごとでなく考えてしまいます。
けれど、蒲田理工学工業の壁に「誠実」「丁寧」「感謝の心」と掲げられた額が飾ってありました。
きっと彼らの根本にこの言葉が根付いていたのかもしれません。

はたして彼らの前に現れた二週間限定としてやってきた実習生・さとみちゃん(桑江咲菜さん)。
始めは、従業員たちの言葉に慣れず失敗を重ねながらも、食事の時間さえいとわず
ひたむきに単純作業にうちこむ姿に周りの従業員の姿勢が変わってきます。
そして二週間の実習の後、会社が出した結論は、さとみちゃんを正社員として迎えるということでした。
少し見方を変える、視線を変えることにより
人と付き合う意味を考えさせられた作品でした。

この会社によく出入りするお寺の住職(朝倉伸二さん)の言葉に
人は、褒められる、頼られる、信頼される、任されることに喜びを感じるというような台詞があって
その中でも「褒められる」以外の言葉は、仕事に結びついている
だから仕事をするということは、人間にとって喜びを与えられる…な、ことをおっしゃっていて
あ~いい言葉だなぁ~と感銘を受けました。

劇団Tokyo Festival!は前作『泡』に続いて二回目。
横浜演劇鑑賞協会の事務局に朝倉さんときたむらさんがPRにいらして下さったのを機会に
拝見させていただきました。
『泡』は、震災後の福島の風俗店を舞台にしたお話でしたが、イマイチ心に響かなかったのですが
なんかこの劇団の方向性というか、現代社会の問題提起の仕方というか、導入の仕方が
上手いなぁ~と、今後も気になる劇団です。

2/5(水)~12(水)まで in 下北沢駅前劇場



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by berurinrin | 2014-02-17 01:33 | 観劇感想

Happy Hunting Ground vol.13『893鴉たちの行方』公開舞台稽古

 Happy Hunting Ground vol.13『893鴉たちの行方』公開舞台稽古 
                          in サイスタジオ(2/5)

作: 加納朋之

暴力団が、組の看板を下ろし会社経営?!
今日から「消費者ローン ポロミス・キャッシング」の支店を任された
梶原組長(加納朋之さん)は、今日から支店長。同じように役職を与えられて
社会に貢献?!していく身となった彼ら4人組。
その前になんと演劇のワークショップという一週間の研修を受ける事になります。

昨年の夏公演で上演されたこの作品が、佐野で再演されることになり
その公開舞台稽古に参加させて頂きました。
作家は『リビング・ウィル尊厳死の宣言書』に続いての2作目、加納さんの書下ろしです。
加納さんの本のファンになりましたですよ。
なんかニクイんですよ。一杯調べて書かれたと思うんですが
その情報の寸止め感(笑)とか、人物の描き方があったかい。
きっと加納さんって、人間が大好きなんだろうなぁ~って
加納さんの普段の優しい雰囲気が、ふぁっと戯曲を包んでいるみたいなのです。
いーなぁ佐野公演!
でも佐野公演があったからまた観れたので、感謝感謝です。

さて公開ゲネといえど客席は満席状態♪顔見知りの方も多くて
なんか和気藹々な雰囲気満載のサイスタジオです。
さて前口上は、山崎美喜さん。
公開ゲネなので照明関係が本番と違いますので、どうぞよろしくお願いします
ちょっぴり照れながらの前口上が初々しいぞぉ~きゃわいい美喜さんであります。

暴力団排除条例や暴対法の施行で、肩身の狭いやくざさんたちが
どうにかして社会の中で自分の身の置き所を守ろうとしつつも、極道の美学を貫き通す姿を
コミカルにかつ哀愁漂いつつ描かれています。
徹底した上下関係のやくざな世界。
たとえ演劇のワークショップでのシアターゲームでもおんなじ。
なかなかやりずらい雰囲気の中で、指導者のまりかさん(山谷典子さん)と幸太さん(駒井健介さん)
は大格闘中。
ところが劇団の主催者・あつこさん(山崎美喜さん)と進藤さん(井上倫宏さん)が幼馴染だったという
事から、とポロミス社員の皆さん(^◇^)との関係が徐々に深まり、
研修の成果はシェイスクピアの『ヴェニスの商人』のリーディングへ

と、やくざさんたちだけのお話ではなく、その伏線には
ゆがんだ社会状況も描かれています。
あつこさんには奨学金で大学に通っていた息子さんがいて、その息子さんを事故で亡くし
その奨学金の支払いをあつこさんが肩代わり…その支払いと劇団の経営なんで闇金に手を出してしまう…
奨学金のあり方についても考えさせられてしまいます。
奨学金って何のためにあるのだろうか?
また、まりかさんに至っては、彼氏のために大金を借りちゃおっかなぁ的な
気軽さに、誰もが陥りそうなワープへの警笛があったりと
なかなか問題意識をしっかり提示されています。

ラスト『ヴェニスの商人』でインスパイアされた彼らは、シャイロックと自分たちを重ね合わせ
正義と仁義について彼らの示す道を見つけ出します。
それは幼馴染のマドンナ・あつこさんの借金した闇金へ話をつけようと、彼らなりの仁義。
その闇金は陰では、彼らと因縁のある大きなやくざ組織だったのでした。
去って行く彼らの後ろ姿が、ちょっとおまぬけで哀愁があって優しくて
かっこよくって愛しい感じが、まじたまらない
すてきな作品でした。

夏のH.H.G公演とはキャストとちょこっと台本や衣装が変わったりして
また新たな作品となっていました。
ちなみにキャスト変更は
副支店長(若頭)遠藤健一さん役(ケンチン) 高橋克明さん → 井上倫宏さん
お客様係り(兄貴分)清田潔さん役(キヨキヨ)沢田冬樹さん → 本城憲さん
部長(構成員)大城勇人さん役(ユウチャン) 南拓哉さん → 長谷川敦央さん

終演後は、軽い飲み会が行われ
佐野公演の成功を祈ったのでした。

2/5(水)、2/6(木) in サイスタジオ

あっそだタイトルの893(やくざ)は、花札のどうしようもない手札のことを示すそうです。
でも一つ引くと最高の手札になる…自分を足すんじゃなくて、引いて生きていくと
最高の人間になる…そんな素敵な言葉を残して去った男たちのお話でした。



 
by berurinrin | 2014-02-16 15:09 | 観劇感想

劇団わらく公演『壁あまた、砂男』

劇団わらく公演『壁あまた、砂男』 
                     in SPACE雑遊(1/31)

作 佃典彦
演出 勝俣美秋

土の民と呼ばれる人たちが住むこの町では、軍事練習がいまや始まろうとしています。
彼らが住む先に長く伸びる壁が広がり、その壁の向こうから彼らを襲ってくるらしいのです。
そんな彼らが住み町に、二組の旅人たちが現れます。
バケツをたたいて歌う女性とその姉妹。そして風の民と呼ばれる男性二人。
姉妹たちは『つきもの』を探して、旅をしているのでした。

すごくすごーく気になっていた劇団です。
おととしの秋に西岡野人さんが客演した作品ZOOLI LA PONTONCO vol.8「Gift」というのを
拝見したのですが、これがめちゃめちゃ面白かったのです。
コンポラリィダンスというか、男性3人と女性たちで
女性たちはクラッシックも踊れちゃう見事な人たちと相反するメンズ達(苦笑)
銭湯をテーマにしたいくつものオリジナルのシチュエーションからなる作品でした。
作品も面白かったのですが、衣装と小物使いがこれまたユニークで、そのハイセンスさに
とても気になっていたのです。

で、今回の作品。
作家の佃さんといえば文学座公演『ぬけがら』と『タネも仕掛けも』を書かれたお方です。
ちょっと不思議な作風でほのかに香るきゅんとしたお話かと思えば
いやぁ~ずんと落ちる、絶望的な厳しいオトキバナシでありました。

グレーのパーカーを着た男女が思い思いに舞台に上がって、雑談しています。
いったい何人登場するの?と思うほど、気が付くと狭い舞台にわらわらとした人の輪が出来上がりました。
すると静かな前説が流れてきます。
「…と、いうこと」と、妙に耳障りな観客への呼びかけ…

一つの家族が焦点になります。
母親(井内ミワクさん)は圧倒的な力を持ち。夫(勝俣美秋さん)も妻には逆らえません。
母親に反抗する息子(救仁郷将志さん)を砂に埋めて反省を促します。
次女(大迫綾乃さん)も母の言うなり・・
反政府運動に走った長女(長橋佳奈さん)とは全く問題外。
お金やステータスのために、夫と息子を軍隊に入れようとしています。
嫌がる夫は、人間であることを拒否し犬になろうとします。

元は自分たちの国を持っていた風の民と呼ばれた二人の男性。
いつしか隣国に土地を奪われ放浪する身に…。この二人の関係かなりゆがんでいます。

反政府運動に身を投じる長女も、信頼すべき仲間たちを信頼できずに
仲間たちとの間にいざこざが…

目が不自由な次女の背中に乗る、足が不自由な姉は、話すことができず
バケツを叩いて唯一歌を唄う三女に首輪を付けて歩く姿…
不幸を売りにする彼女たち

そんな風に、見た目ににも相反する感情がぶつかりあう姿は、意外と陰湿でなく
コミカルな様相で、これまた観ていて相反する感情が生まれていくのですが
人を信じられなくなって生きていくことに、その先に幸せな感情が生まれるのかと
祈るように思っても、人を疑って生きていくということは
自分否定にも繋がっていくことになりえるという静かな恐怖が、じんわりと伝わってきて
ぞくぞくと絶望的な気持ちになっていきました。

始めの『…ということ』は、劇中の放送で「幸福」を全否定するシュプレキコールの語尾。
舞台の中に砂男は出てきません。
母親の中での砂男=希望という表現をしていました。
それが、みんなにとって希望なのか、絶望なのか
全編を通して、俳優たちは舞台を囲み、自分の出番が終わるとパーカーのフードをかぶり
作業を続けます。
山のように積まれた軍手を一枚一枚、丁寧に同じ向きに広げ
乱れると直し、ひたすら黙々と並べていきます。
その手は、壁に向かって戦う手なのか守る手なのか
でもいえるのは、その先に希望の光が見えないという…
悲しい未来のおとぎ話でした。

軍手にしても思った通り小道具の使い方が、とてもユニークで
バケツには「火の用心」って書いてあったり、砂に埋められた長男の姿を俳優たちの身体
を使って砂を表現したり、また個性的な俳優たちが揃っていて
とても楽しいユニットで今後も観続けたい劇団になりました。

1/31(金)~2/7(火)まで in SPACE雑遊 








 
by berurinrin | 2014-02-09 21:58 | 観劇感想