東京二期会オペラ劇場、オランダ“ネザーランド・オペラ”及び
スウェーデン“エーデポリオペラ”共同制作
『サロメ』劇全1幕原語(ドイツ語)上演 in 東京文化会館(2/23)
原作 オスカー・ワイルド
台本 ヘドゥッヒ・ラッハマン
作曲 リヒャルト・シュトラウス
指揮 シュテファン・ゾルデス
演出 ペーター・コンヴェチュニー
ここは王ヘロデ(片寄純也さん)の宮廷での宴会の最中。
招かれたユダヤ人たちは宗教論争を繰り広げ、皆好き勝手状態
そこへ囚われの預言者ヨカナーン(友清崇さん)の予言の声が響きます。
ヨカナーンの声に惹かれたのは、ヘロデ王の妻ヘロディアス(山下牧子さん)の
娘サロメ(大隅智佳子さん)。
ヨナカーンに興味を惹かれたサロメは、彼女を慕う衛兵隊長ナラボート(大川信之さん)に
頼んでヨナカーンを目の前に連れてこさせます。
今年お初のオペラでございます。
オペラを観るからには、ちょいとおしゃれして
十分時間を取って会場に入り、広々とした開演前のロビーの片隅で
ワイン片手にパンフをぺらぺら・・平日の晴れやかな午後の贅沢う~ん、素敵!
この日、観るのは『サロメ』です。
作曲家は、リヒャルト・シュトラウス・・そう、まさに加藤健一事務所で
上演中で超ラブリーな
鵜山仁さん演出の『コラボレーション』。
シュトラウスを加藤さんが演じられていました。
当時は第二次世界大戦真っ只中、ナチスに翻弄されたドイツの偉大な作曲家。
『コラボレーション』では、ユダヤ人の作家・ツヴァイクと
共作オペラ『無口な女』を巡るお話でした。
そーいえば、劇中にシュトラウスがオペラの台本作家ホフマンスタールの死を
嘆くシーンがありましたが
そのホフマンスタールとの制作したオペラ『ナクソス島のアリアドネ』も
東京二期会で、それも鵜山さん演出♪で拝見させて頂いたのでした。
さて、序曲の余韻もなにも、すーっと幕が上がりお話が始まりました。
どうやら『サロメ』には前奏曲がないのですね。
舞台装置は、無機質な壁に覆われた一室。壊れかけ今にも崩れかけそうな天井。
どうやら核戦争が起こり出口の見えない部屋は、シェルターの内部のようです。
なのでちょっと近未来的で衣装も現代風。
「最後の晩餐」をモチーフにした長いテーブル。
ヘッドホンでノリノリの王ヘロデは、なんとシャ○中毒。
長いテーブルの下でうごめく男女・・、その女性・・
とっかえひっかえ男性を代えていく女性は王妃ヘロディアス。
召使もそれに習うが如く・・
本を読みふけるユダヤ人たちは一見大人しそうですが、
何か事が起これば弱者に群がり、むしゃ、むしゃと
その全てを喰らい尽くすかのような狂気とその先の闇を感じます。
この世で悪と呼ばれるモノが、
この出口の見えない小さな世界で繰り広げられています。
そんな世界で生きるサロメは、彼らの吐き気を催すような宴会の中でも
悠然と体を休めているようで・・
それらが全くもって日常の風景の一コマに感じられているのでしょう。
でも、そんな中、一人袋を被って彼らと隔たれているのは、
囚われた預言者ヨナカーン。袋をはずされ、その素顔を見せたとき・・
サロメは、ヨナカーンに恋をします。
けれどもヨナカーンは、はっきりすっぱりサロメを拒否するのです。
そりゃそーなんですが、「汚らわしい」とサロメに言いつつ
ヨナカーンも清廉潔白な青年とも違う・・
サロメが王様の前で踊る有名な「七つのベール」のダンス
そのご褒美としてヨナカーンの首を欲しがるサロメが
渋るヘロデ王に必死に頼んでいる最中に、母ヘロディアスがヨナカーンを誘惑しちゃって
いやだよ~って避けつつも受け入れるヨナカーン。
このシーンは、かなり衝撃的・・だってヨナカーンが、ひゃ~びっくり仰天ですよ。
「そんなぁぁ~、あたしが一生懸命お父さんに首を頂戴って言ってる間に
ママとヨナカーンが!!不倫なんて、そんなアホなぁ」と、
そりゃあ、恋い焦がれる相手と母親の不倫現場を目撃しちゃうんだから・・
首を切り落とされて、ヨナカーンの首を抱くサロメの側に立っているのは
全てのしがらみから抜け出したかのような復活したヨナカーン。
ここからはちょっと現実からは離れた空間、ヨナカーンとサロメの
二人だけの誰も入ることの出来ない世界のお話。
ヨナカーンとサロメは初めて笑顔を交わして、
二人は軽やかに今まで出口が見えなかった世界から軽々と出て行きました。
このラストのサロメのアリアが本当に感動的で、
今まで見せられた全てのおぞましい場面が
清められるような繊細で美しい愛情深い歌声に、鳥肌が立ちました。
そして最後に二人が消え去る寸前「あの女を殺せ!」と客席から突然男性が叫ぶのです。
これもまたびっくり、私たちは単なる観客ではなく、彼らの立会人。
そう・・同じ劇場という空間の中で、彼らと運命共同体だったなんて・・・。
この日は、終了後に演出家コンヴィチュニー氏のアフタートークがありまして
コンヴィチュニー氏は、オペラで大事なものを順に挙げられました
1番は音楽。2番は歌詞。この二つは変えない。そして3番目はト書き。
100年前に、この作品が上演された時の観客の驚きを
現代の観客が観た時の驚きに置き換えるためにト書きを全部変えたと
おっしゃったコンヴィチュニー氏。
本当に驚きましたf(^_^;)
この作品は、賛否両論思いっきりあるようで・・演劇でもそうですが
芸術の世界は、みんながみんな同じ感想を持つことほど
気持ちの悪いことはないので、逆にいろんな世界を自由に見せてもらえる
そんな幸せを噛み締められた一日でありました。
さて、本当に久々の二期会のオペラ。
もちろんお目当ては、私のオペラ鑑賞の師匠・高田正人さんことだちょんさん!
だちょんさんは、5人のユダヤ人のお一人。
あんな事やこんな事をしちゃって、いや~んのびっくりでございました。
そこんとこやこの感想で興味を持って頂けた方は、ぜひだちょんさんのブログを
訪れてみて下さい。面白いですよぉ~
コンヴィチュニー氏の演出の解釈について、とってもわかりやすく解説して下さっています♪
→
うたうひとDACHONの人生奮闘記だちょんさん今回も色々ありがとうございました。
これは、偶然ご一緒出来たkanoちゃんと近くの喫茶店で
飲んだパンダラテ♪美味しかった~

2/22(火)~26(土)まで in 東京文化会館