金沢市民芸術村発信 文学座ユニット公演『おーい幾多郎』

金沢市民芸術村発信 文学座ユニット公演
『おーい幾多郎』 in 吉祥寺シアター(10/4)

作  池田むかう
演出 西川信廣

哲学者・西田幾多郎さん(瀬戸口郁さん)が、引っ越してきました。
母・寅三さん(本山可久子さん)を初めとして、と妻・寿美さん(名越志保さん)
子供たち、そして書生達。
新しい住処には姉や弟たちも訪ねてきます。
幾多郎さんは、彼らを守るため今日も奮闘しています。
家長として、家族の為に・・

京都では幾多郎が哲学を思案しながら歩いた散歩道が「哲学の道」と呼ばれています。
会社の隣の席の男性が関西の大学を出ているので
「京都の『哲学の道』ってどうよ」と聞いてみたところ
「いい散歩コースですよ。犬とか連れて普通に散歩させてるし・・」
「デートコースとか?!」
「いや一人でも大丈夫」
「『哲学の道』って、哲学者の西田幾多郎さんが歩いた道だからそう名づけたんだって」
「有名ですよね。西田幾多郎って」
「えっ知ってるんだ・・(ちょっとショック)」
私は知らなかったっす(><)
やっぱ有名なんだ・・・。(実はかなり・・ショック)

この芝居の中での幾多郎さんは、すでに哲学者としては成功されておられるようですが
その裏の素顔に焦点を当てて、家族のさまざまな問題に奮闘されながら
時に怒ったり笑ったり泣いたりと、四季の季節の移り変わりに見守られるように
彼ら家族の絆の強さが浮かび上がります。
一つ屋根の下に暮らすのは、家族だけではなくて、幾多郎さんの弟子である書生たち。
彼らもまた幾多郎さん達家族を支える大事な家族の輪に入っています。
誰もに共通するのは、表現はどうであれ相手を思いやる気持ちの深さ・・
そんな風景と、今の自分の現状と見比べちゃうと
切ない・・・。泣けちゃいます。
誰も悪くないのに、なんでこうなっちゃったんだろ??いやいかん。話を戻してって

瀬戸口さんの演じられる幾多郎さんは、無邪気で変わり者(笑)?!
目的を見つけてしまうと他の事を忘れて飛んでいってしまう少年のようです。
それが瀬戸口さんが演じられるから余計にギャップがあって(笑)
だってどうしても瀬戸口さんなら固いキャラにも演じられそうなイメージじゃないですか(爆)
ところが、朗らかで、わがままで、憎めない幾多郎さんの姿、とっても魅力的でした。

幾多郎さんの奥さまは、名越志保さん演じる寿美さん。
いいなぁ・・。憧れます。まさに理想の女性です。一歩下がりた~い。支えた~い。
こんな女性になりた~い。ただ・・いまさら子沢山は無理ですが・・・あははっ。
まっ冗談はおいて置いて(笑)
名越さんのお声がこれまた包容力があって、幾多郎さんの妻としての懐の大きさを感じます。
・・本当に素敵です。

幾多郎さんの弟さんは、陸軍軍人の憑次郎さん(鍛治直人さん)
体が大きいので軍服姿がとってもりりしいですね。
明るくて、賑やかなムードメーカーな憑次郎さんですが、
人の良さが災いして借金を背負ってトラブルに巻き込まれちゃったり困ってしまいますが
いい大人の幾多郎さんと二人、兄弟けんかをする場面は、
ほのぼのとして観ていて頬が緩みました。

床の間のお花が、ひまわりに変わった時
現れたのは、ひまわりのように明るい幾多郎さんの姪っ子・宇良さん(松山愛佳さん)
宇良さんの笑顔と真っ直ぐな言葉は、西田家の光のように輝いて見えました。

幾多郎さんのお姉さんは、正さん(富沢亜古さん)
その魅力的な姿で書生さんをからかったりしちゃいますが、
一人になった時の正さんの寂しげな表情が忘れられません。
なんでこんなに寂しい気持ちを抱いているのか?逆に正さんの背景を知りたくなりました。
書生さんをからかってもやり場のない気持ち・・・。
そしていつでも母を求める気持ちってわかります。
わたしも老後は母と「面白おかしく生きていこうね」を合言葉に過ごしてますからっ。
って、老後の話かいっ!すみません

書生’Sさんは、岸槌隆至さんと神野崇さんの二人組。
正さんに惹かれる純情青年?な山口さん(岸槌隆至さん)。
正さんと二人のらぶらぶなシーン微笑ましかったですね。
それが嫌味に感じないのは、う~んやっぱり正さんの雰囲気が、
どんなにすれっからしというか、若い男性の山口さんをからかっても
その色気よりも寂しそうな瞬間の正さんの姿が見えてしまうから・・それを山口さんの笑顔が
補っているようで・・可愛い二人でした。
二人がまったくの他人の関係であったら良かったのに・・なーんて・・。

そんな盛り上がりそうな二人に水を差す憎まれ役の中尾(神野崇さん)。
でも、それが二人の為、そして正さんの名誉の為・・言葉はキツいけど
その心の底の彼らを思いやる優しさがじわじわ出ていて素敵な書生さんです。

幾多郎さんのお友達は、石川さん(鈴木弘秋さん)
豪快で頼りがいのある素敵な石川さん。幾多郎さんと性格が対照的で
二人のやりとり・・妙な空気間がとても面白かったです。
そおいえばTVドラマ「ゴンゾウ」刑事さん役でレギュラー出演されていました。

一場面のみのご出演でしたが、岡田さん(林秀樹さん)とても衝撃的な場面でした。
林さんの静かな登場シーンで、一瞬にして空気が変わり、
その長くて細い震える指先が胸を打ちました。すごいです。

そして、みんなのお母さん寅三さんは本山可久子さん。
気丈で、温かくて厳しくて・・可愛い(すみません)女性です。
誰もが寅三さんに頭が上がらないのが、これがまた面白くって(笑)
楽しかった・・。

水面からゆれる照明の美しさや四季を感じられる活けてある花の優しさ
所作の美しさ・・爽やかで寂しい風の流れを感じながら
ほのぼのとしたやわらかな風景・・
ドラマの中に一時の安らぎがありました。
観る事が出来てよかった・・。しみじみそう思いました。

9/26(金)~10/5(日) in 吉祥寺シアター
by berurinrin | 2008-10-08 22:14 | 観劇感想
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