近代能楽集『綾の鼓』『弱法師』

近代能楽集『綾の鼓』『弱法師』 in 新国立劇場小劇場(9/26)

作   三島由紀夫
演出 前田司郎(『綾の鼓』) 
    深津篤史(『弱法師』)
 
『綾の鼓』
法律事務所で働く岩吉さん(綿引勝彦さん)は、今日も恋文を書いては
加代子さん(内田亜希子さん)に、向かいのビルの洋裁店に通う
華子さん(十朱幸代さん)に届けてもらっています。
ある日、そんな真面目で一途な岩吉さんの手紙を、
華子さんの取り巻き達が読み酷いいたずらを考えます。
それは、音の出ない鼓をそうとは伝えずに岩吉さんに渡し、
岩吉さんが鼓を打ち、その音色が向かいのビルの華子さんの元に届いたら
かれの一途な想いを叶えてくれると・・・。
喜んで鼓を打つ岩吉さんでしたが、音の出ない鼓と気付き。。
華子さんにからかわれたと、絶望し自ら窓の外に身を投げてしまいます。
そして・・。

『弱法師』
5歳の時に大空襲の炎により親とはぐれ失明してしまった俊徳さん(木村了さん)は
川島夫妻(鶴田忍さん、多岐川裕美さん)に引き取られます。
15年後、俊徳さんの実の両親である高安夫妻(国広富之さん、一柳みるさん)
が現れ「俊徳さんを引き取りたい」と言い出します。
舞台は家庭裁判所。調停役の級子さん(十朱幸代さん)は、互いに親権を譲らない
平行線に進む双方の話し合いを嘲っている俊徳さんと二人きりで話をしようとします。
窓から見える夕映えの風景の美しさを話す級子さんに怯えだす俊徳さん。
彼は、自ら体験した・・最後に見た風景、この世の地獄を語りだします。

新国立劇場演劇部門の新シーズンがはじまりましたぁ~
前シーズン精勤賞の自分です(笑)3年連続精勤賞を目指して頑張ります!はい。
それはもちろん鵜山仁さんが芸術監督だからですって!追っかけですから(笑)
さて今シーズン。どんな新しい作品、未知の役者・演出家との出会いを場を設けて
下さるのでしょうか?!とても楽しみです。
新シーズンの幕開きは三島作品。なかなか渋いっす。

「・・来ましたわ。」『綾の鼓』の終幕になってやっと華子さんが口を開きますが
この声音の低さ・・だみ声のような声の荒さに、ぶっとびました。
その飾られた豪華な衣装、美しい容貌とのギャップにぞぞぞぞっと、怖っ!
その荒れた声に華やかな見た目とは異質の彼女の生きてきた
足跡・・歴史が浮かび上がります。
それにしても恋は勝手なもので、特に片思いっていうのは自分もそうですが
自分の世界しか見ていなくてf(^_^;)70過ぎの岩吉さんも
やっぱりそう・・いくつになっても関係ないですね。
彼の場合は、想いを残したまま死んじゃうので
体が滅びても、その想いの強さが生身の華子さんを呼び寄せ、自分は成仏してしまう・・
な・なんてヒドイいんでしょう(笑)
初めは岩吉さんに同情していたのが、最後は置いてきぼりをくった華子さん派になってしまう
短絡人間な私です。

『弱法師』は、TVのイケメンさんのお一人の木村さん。
華もあるし、姿も美しいですね。何よりも目!力ありますね。
初日明け間もないこの日の拝見だったので、
彼の語るこの世の地獄はもうちょっと・・という感じを受けましたが
きっと日を重ねるにつけ、その透き通る声を通して彼の見た地獄を
観客はおののきながら垣間見てしまうことになるんだろうなぁ・・
怖いだろうなぁ・・と思いました。

彼の地獄を受け止めるのは超自然体な級子さん・・・
『綾の鼓』で、華子さんを演じた十朱幸代さんが演じられます。
十朱さんのざ・女優!その姿にホレました(笑)
今回のキャスティングは、どなたも映像を通じて知っている方々ばかり
そんな彼らを崩してしまう若手のお二人の演出もユニークだし、
久々に三島作品の美しくて妖しい言葉の匂いに酔った一時でした。

実はわたし、生意気な高校時代に三島由紀夫さんを読み漁った時期がありまして
「豊饒の海」から読み始めて「鏡子の家」「禁色」「永すぎた春」「潮騒」「熱帯樹」・・
今も本棚の一角をしめています。
とはいえ、読もうと思ったきっかけは、別に本の内容がどうとか・・てワケではなく
新潮文庫の朱色の背表紙の本を全種類本棚に並べたら素敵かも・・
程度で(笑)でも、これが読み始めたら意外と面白かった。
独自の固い文体であるにもかかわらず、文字と文字の間に背表紙の朱色が
ちらちらと見え隠れする女子高生には、ちょっと猥雑で大人な世界だったと思います。
けっこうむさぼって読んでた頃を思い出しました。
読書の秋・・何か三島作品を読み直してみようかなぁ★
ちなみに今読んでいるのは、「出星前夜」(飯嶋和一さん・小学館)
島原の乱以降の元・キリシタン達の苦難の歴史物語です。
読みたい方がいらしたら、お貸ししますよ(笑)かなり厚い本です(笑)

c0023954_085884.jpg


9/25(木)~10/13(月・祝)まで in 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2008-09-28 00:31 | 観劇感想