9月アトリエの会『Mrs.Savage(ミセス・サヴェッジ)』

9月アトリエの会『Mrs.Savage(ミセス・サヴェッジ)』 in 吉祥寺シアター(9/13)

作    ジョン・パトリック
翻訳  安達紫帆
演出  上村聡史

ここは超高級療養施設「クロイスターズ」。
サヴェッジ夫人(吉野由志子さん)が、3人の子供たちに伴われて
この施設に入所されてきます。
引き継いだ亡きサヴェッジ氏の遺産を基金にして
過去に叶えられなかった人たちの夢の実現を図ろうとする夫人と
その遺産を自分たちのものにしようとする子供たちと意見が合わずに
クロイスターズに入所させられたのです。
サヴァッジ家の長男タイタス氏(斎藤志郎さん)は上院議員、
サミュエル氏(中村彰男さん)は判事、そして美しいリリー・ベル(山崎美貴さん)は
結婚、離婚を繰り返す自由奔放な女性。
亡きサヴェッジ氏の遺産を巡り、母vs子供たちの戦いが幕を開けます。

「クロイスターズ」は精神を病んだ人たちが入所している施設です。
けれど豪華な居間には、そんな特別な雰囲気はありません。
ただ、開かない窓と扉には鍵が掛けられているだけ・・
入居者は、ジョン・トーマスというはしかにかかった男の子の
ぬいぐるみを愛おしそうに抱いているフローレンス(太刀川亞希さん)
ヴァイオリンを聞かせてくれる元・統計学者ハンニバル(粟野史浩さん)
無邪気なフェアリー・メイ(藤﨑あかねさん)
人と会話をすることを辞めてしまったミセス・パディ(藤堂陽子さん)
頬に傷を持っていると信じ込んでいるジェフリー(ジェフ)(助川嘉隆さん)。
彼らは、自分の世界だけに自分を閉じ込め、他者の存在を認めることは
できませんが、彼らの言葉は、物事の本質を見事に突いています。
子供のように、心が清らかな彼らの素直な言葉は
可笑しくも胸にぐっとくるものばかりです。
そんな彼らに囲まれたサヴァッジ夫人の姿もまた素敵です。
穏やかで優しく輝いて、なんて美しい笑顔なんでしょう!!

個性的彼ら・・一人一人マイペースでテンポが違うので
そのペースに巻き込まれないように、でーんと構えている
みんなのパパのような存在は、「クロイスターズ」の医師ドクター・エメット(大滝寛さん)
と、彼らの世話をされるのは、母親のようなしっかりした女性ちょっと秘密を持った
ミス・ウィラミーニャ(ミス・ウィリー)(松岡依都美さん)。

このお話は、予備知識を持たず
進行する展開にわくわくしながら、時に爆笑して
心にちくちくとくる痛みを自分の中に感じながら、前に向って前進するサヴァッジ夫人
の生き方にエールと勇気をもらって
明日という日を元気に過せそうな気分になります。
しゃんと背中を伸ばして劇場を後にしている自分が居ます(笑)
どうぞ、舞台から伝わるメッセージを受け止めてみて下さいませ★

9/11(木)~9/22(日)まで in 吉祥寺シアター

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画像については事前に劇団の許可を頂いています。無断転載はなさらないで下さいね★
by berurinrin | 2008-09-13 23:03 | 文学座観劇感想