シリーズ同世代『鳥瞰図』

シリーズ同世代vol.1『鳥瞰図』 in 新国立劇場小劇場(6/14)

作  早船聡
演出 松本祐子

[名](スル)鳥が空から見おろすように、高い所から広い範囲を見おろすこと。また転じて、全体を大きく見渡すこと。俯瞰(ふかん)。「山頂から市街を―する」「日本経済を―する」
ちょうかん‐ず【鳥瞰図】(大辞泉より)
東京湾岸のとある町の釣り船宿「升本」を経営しているのは茂雄さん(浅野和之さん)と
母の佐和子さん(渡辺美佐子さん)。ほとんどが埋め立て地と化したこの湾ですが
昔は渡り鳥の休息地であったそうです。
現在は馴染みの客を中心にほぞぼぞと営業している「升本」に、ある日
事故で亡くなった佐和子さんの娘・波子さんの子ミオさん(野村佑香さん)がやって来ます。

毎週のように通っている新国立劇場でございます(笑)
そして始まったのは新しいシリーズ「シリーズ同世代」3部作。
同じ時代を生きる新しい時代の劇作家と異世代の演出家によるコラボという
斬新な企画の第一弾。そう、わたしにとっても初・早船聡さんのホンでございます。
役者さんというイメージが強かったのですが、こんなに深い思いを優しい言葉に
できる方だったとは・・・。

最近、衛星放送で『WATARIDORI』という映画を拝見しました。
季節が春になると北極に向けて飛び立つ渡り鳥たち。
昼夜ほとんど休むことなく飛び続ける鳥もいれば、昔々からの休憩地点を転々としながら
約束の地へと向う渡り鳥たちのダイナミックな姿に感動~。
が、以前は池だったり、湿地だった鳥たちの休憩地点が
工場に変わり、工場から排出される重油に足を取られへたり込んでしまう
仲間達と一緒に飛べなくなった一羽の渡り鳥の姿の映像が生々しく映し出されていました。
人間の自分勝手な無責任さに怒りやら、なさけないやら・・やるせない気持ちで一杯でした。

でも油に足をとられ身動きが出来なくなった一羽の渡り鳥同様に
海の恩恵を受けて生活の糧としていた人たちも立場は違えど同じ境遇かもしれません。
過去に縛られながらも生きていかなくてはいけない
休息地が無くても未来に向って飛んで行かなくてはいけない私たち・・
そんなうごめく私達を鳥瞰された姿・・・ばたばたわらわらって・・すごく滑稽なんでしょうね。

演出は、今やもう有名な女性演出家といえばこの方・松本祐子さん~☆彡
毎回ながら細かくて繊細な演出をされています。
大きな起伏のあるドラマではないので、言葉のひだというのでしょうか?!
台詞の言葉に見えない繊細で深い部分・・が、小波のように心の周波数に絡み合うといか
あーなんて云えば良いのか、言葉にならない(><)
じんわり胸を熱くする優しさをかみ締められる作品となっていました。

そしてもう一人、趣味と実益を兼ねた役作り(笑)浅野雅博さん。
ほがらかな弟キャラの照之さん。
浅野さんが舞台に登場するとその場が、ぱっと明るくなります。
静かな間のお芝居だけに、そのテンションを崩すことなく保つことは難しいと思いますが
そーいえば以前の浅野さんの笑いの間とは、ちょっと違うような気がしましたが
そごがまた素敵です。そんな嬉しい誤算を感じながら
また再来週も新国立劇場に足を運ぶ私なのでした(笑)

~6/22(日)まで IN 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2008-06-15 13:52 | 観劇感想
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