JAM SESSION.7『億万長者夫人故郷ニ帰ル』

JAM SESSION.7『億万長者夫人故郷ニ帰ル』 in 下北沢「劇」小劇場(4/18)

作 フリードリッヒ・デュレンマット
構成:演出 西沢英治

鈍行列車しか止まらない町ギュレン。
会社は倒産し、工場は停止、町には失業者が溢れ崩壊寸前のこの町に
一人の女性クレーレ(斉藤範子さん)が戻ってきます。
彼女は巨額の富を持ち世界一の億万長者となって・・・
その財産を目当てに大歓迎をする市民達。
彼らの中に昔彼女を手酷く捨てたイル(亀田真二郎さん)の姿もありました。
クレーレは、多額の金額を寄付する用意があるといいます。

正義と引き換えに寄付をすると言うクレール。
彼女の正義とは、市民に恋人だったイルを殺させる事。
自分を裏切って、無実の罪を着せ町を追い出させ、違う娘と結婚した恋人への
復讐だったのです。
自分たちの手を血で汚してまで、お金は要らない!と、市民達は言い放ちますが
手を伸ばせはお金を手に入れられる距離の現実に
今まで自分たちに手が届かなかったわずかな贅沢な夢を見始めます。
つけで、靴を買ったり、洋服を新調したり、タバコを外国産にしてみたり・・
だんだん買い物がエスカレートしていく彼ら。
そんな市民達の様子を命の危険と共に不安げに見守るイル。

人間って、本当に意思の弱い、誘惑に弱い情けない生き物だと思い知らされます。
クレールに対してイルが行なった過去の過ちは、謝って済む問題ではありませんが
その出来事によってクレールが悪魔のようになってしまう気持ちも十分理解できるから
ま、女性に恨みを持たれることの恐怖を、世の男性達はもっと知るべきです!
・・・なーんちゃって(笑)

なんにもない舞台ですが、まるでクレールの手の上でうごめく小市民達の滑稽な
悲喜劇がユーモラスでとても新鮮な体験をしました。
白塗り真っ赤なドレス、義手に義足といういでたちに、表情たっぷりに演じる
クレールを演じる斉藤さん・・ものすごい怪演振りに驚きです。
満席の客席と舞台の熱気がぶつかり合って見事な融合が生まれていました。
いい舞台でした。

先日拝見した『止むに止まれず。』にご出演されていた松垣陽子さんの同期で
文学座研修科卒業された藤井悠平さんが、今回ご出演でした。
思えば、藤井さんの舞台を拝見するのは、卒公『萩家の三姉妹』以来です。
お姉さん泣かせの可愛い~笑顔(失礼)が印象的な藤井さん・・
イルの息子のカール。
親思いの優しい息子が、物欲に目覚める能天気振りを爽やかに演じておられました。
実は、勉強家の藤井さんとは色んな劇場で出会いがありました。
普段はとっても真面目?!~な藤井さん。
普段は絶対お目に掛かれない弾けた姿を舞台上でこれからも見ていきたいと思いました。
ゆっくん♪ぜひまた声を掛けて下さいね~☆彡

4/15(火)~4/20(日)まで in 下北沢「劇」小劇場
by berurinrin | 2008-04-20 09:58 | 観劇感想
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