『屋上庭園』『動員挿話』

『屋上庭園』『動員挿話』 in 新国立劇場小劇場(2/29)

『屋上庭園』

作   岸田國士
演出  宮田慶子

と、あるデパートの屋上で偶然に出会った学生時代の友人二人。
共に夫人を伴った三輪氏(小林隆さん)と並木氏(山路和弘さん)。
社会的にも恵まれた三輪氏とは対照的な貧困生活を強いられている並木氏。
ふたりの会話は自然と滞り、ぎこちなく・・。

『動員挿話』

作   岸田國士
演出  深津篤史

日露戦争が始まり、陸軍少佐・宇治氏(山路和弘さん)の出征が決まります。
それに伴い馬丁の友吉さん(小林隆さん)を一緒に戦地へと誘いますが
友吉さんの妻・数代さん(七瀬なつみさん)の猛烈な反対に押されて
友吉さんは、主人の宇治氏に返事が出来ずに困ってしまいます。

Yeah~!(*^^)v 鵜山仁さんの新国立劇場・演劇芸術監督2008年が幕を開けました。
05年の初演には、話題をさらったこの作品ですが拝見していませんでした。
観れてよかった・・しみじみ。
岸田國士さんといえば、文学座創立のメンバー。そしてムーミンの声で有名な
今は亡き女優の岸田今日子さん!のパパでもあります。

久保田万太郎さん、森本薫さんなど彼らの時代の戯曲というのは
色んな要素を詰め込んで長い上演時間を使う戯曲と違って
一つの場面や少ない登場人物で、短時間の中に
こうも心を揺さぶる熱い言葉を、淡々とさりげなく投げかけてくるんでしょう?!
頭をがつんとやられ、一言「すげー!!!!!」です
2組の俳優達(小林隆さんと七瀬なつみさん&山路和弘さんと神野三鈴さん)が
夫婦ペアとなり、全く異なるこの2つの作品に出演しています。

同じ夫婦という立場なのに、貧富の差のある友人と主人と奉公人の関係・・
お互いをかけがえのない相手と思いながらも
取り巻く環境によって、自分の心情を出せたり、出せなかったり
対極の生き方を運命付けられた2組の夫婦のありようですが
実際には、きっとそんなに珍しい出来事ではなくて
その時代背景の中に生きた当時の普通の人たちの生活のヒトカケラの物語です。

出征する主人に付き添って、戦地に行く夫に縋り付いて
「行っちゃ嫌だ!!」と、ものすごい形相で泣き叫び暴れる妻・・
裕福な友人に頭を下げて、お金を借りようとした夫の苦悩を表したように
くしゃくしゃに顔をゆがめて、おんおん泣く妻・・・
一瞬の稲妻の光と共に、爆発する
その個々に持つ魂の閃光が、観てる私たちの胸を貫くようなめまいを感じる
すごさに慄いてしまう作品です。

2/26(火)~3/9(日) in 新国立劇場小劇場
by berurinrin | 2008-03-02 11:38 | 観劇感想
<< 文学座本公演『長崎ぶらぶら節』その2 こまつ座第84回公演『人間合格』 >>