『異国の唄ーアンティゴネ』

新国立劇場開場10周年記念
フェスティバル公演
「三つの悲劇」―ギリシャからVol.3
『異国の唄ーアンティゴネ』 IN 新国立劇場中劇場(11/17)

作   土田世紀
演出 鐘下辰男

ある漁村に身を寄せる元旅芸人・淀江宍道さん(すまけいさん)は盲目となり、
不自由となった体の彼の世話をしている姪のアンさん(土屋裕子さん)と
メイさん(純名りささん)。
二人の母は、奇跡の唄を歌い、その歌声は大量の魚を呼び寄せたと言います。
しかし母は死に、宍道さんはその血を引く彼女達に唄を歌うことを禁じています。
ひたすら従順に叔父の世話をするアンさんと対照的に島を出ようするメイさん。
そしてメイさんを歌手デビューさせようとする水上辰さん(小林十三さん)は
父・水上正吾さん(木場勝己さん)とこの島にやってきました。

真っ白い砂が敷き詰められた舞台の中央に高い櫓。
小さな島の漁村の人たちは、よそからやって来た旅芸人の一家を
監視するかのように厳しいその眼差しは暗く、
彼らを見るその目は敵意に満ちているし
何かやりきれない気持ちを観客に向かって爆発させるかのようなダンスは、
怒りのパワー全開だし。。
なんか妖気をも感じられそうな、怖い島です。

ギリシャ神話のアンチィゴネは、読んでいませんが(相変わらずの勉強不足で・・)
以前に劇団四季で公演された『アンチゴーヌ』(アヌイ作)を観たのはいいのですが、
早々に爆睡してしまった過去を持つわたしとしては
今回は自分どうよ?大丈夫かい?と(寝ちゃわないかい?)と
一抹の不安な気持ちを持ちつつ拝見しました。
が、始まっちゃったら・・もう
そんな心配は、芝居が始まったとたん吹き飛んでしまいました。
人が動く度に静かに砂の音が囁きかけ、不可思議な世界感が広がる中に
マッチングしているんだかアンマッチなんだか・・激しい台詞が飛び交い
後半に噴出す、これでもかぁという位に人間を追い詰める鐘下さんのキツイ世界が、
彼らを飲み込み咀嚼して、あの美しい白い砂浜に埋没させてしまうような感覚に
めまいがしそうになりました。
いやぁ~いいっすね。芝居ならではのライブの感覚を味わえさせてもらいました。

ギリシャ悲劇、神話って奥が深いですね。
ちょっと真面目に読んでみたくなりました。
悲劇と構えて読んでみても、実際怖いことばかりの世の中なので
けっこうすんなり読み進められるかもしれませんね。
(それはそれでどうよ。って感じですが・・)
そんな時代だからそこあえて、ギリシャ悲劇を持ってこられたのかなあ?!鵜山さん♪
でもすんなり舞台をギリシャにしないで、あえて日本を舞台にする事で
私たちの他人事感覚に波紋を投げているのであれば・・
まさによその国の遠い昔のお話だけに終わらない
病んだ現代に生きる私たちにマッチするお話しであったと思います。

11/14(水)~12/2(日) in 新国立劇場・中劇場
by berurinrin | 2007-11-27 23:04 | 観劇感想