『華々しき一族』稽古場見学

めっきり寒くなりましたね。
アトリエの中に入ると、おおっストーブが・・ホント季節は冬です。
今回のアトリエ公演は、2本立♪
従来お稽古は、午後1時から始まるそうですが
スケジュール的な問題で、ちょっぴり早い朝11時からスタートです。

華々しき一族』は、全3幕の作品です。
第一幕の冒頭から、お稽古見学が始まりました。
今年の4月にBSにおいて、杉村春子さんの没後10周年記念特集で
上映された映像を思い出しました。
あの舞台は旅公演を意識された作りだったそうで、通常の舞台の作りとして
いたそうですが、今回は、ちと違う・・その違いも楽しみです。

演出の戌井市郎さん・・本当にお元気で、お稽古中もすくっと立ち上がり、違う場所から
舞台上の演技を拝見されたり、何よりもその足取りの軽やかな事・・
御歳90歳・・・いやいやお若い!
その戌井さんが、この作品についてお話をして下さいました。

この作品は、森本薫さんが23歳の京都大学在学中に書かれた作品で
『かどで』と共に初期の作品であり、その十年後の33歳の時に書かれた『女の一生』が遺作
となって、翌年34歳の若さで亡くなられたそうです。
『華々しき一族』は、23歳の青年が書かれた物とは、思えないほど完成度が高く
非常に面白い作品だそうです。
そしてこの『華々しき一族』は、11年前にアトリエで上演されました。
主演の諏訪さん役には、この作品をとても愛しておられた杉村春子さん。
そしてこの作品が杉村さんの遺作となり、翌年亡くなられました。
文学座創立70周年、杉村さん没後10年、まさに上演するに相応しい時期なのでしょう。

「毎日緊張しながらお稽古をされている」と、おっしゃるのは、
杉村さんから諏訪さん役を引き継いだ稲野和子さん。
さりげなく匂い立つ様な、堂々とした諏訪さんの美しい登場シーン・・素敵ですよぉ
お稽古場でも、うわぁ~と思った位ですから
そして今回は、亡き杉村春子さんが諏訪さんの役で着ておられた着物を
杉村さんから譲り受けたそうで、お披露目も楽しみです。

諏訪さんのだんな様は、前回と同じ配役の鉄風役の飯沼慧さん
「80才を過ぎて、段々(体に)がたがきて・・」と、弱気な発言をされておられましたが
ところが舞台上の姿は、御歳を感じない軽やかさ十分♪
そして私だけでなく飯沼さんの舞台をまだまだ観たいファンの方は、
いっぱいおられますって(笑)

前回と同じ配役をされるもう一人のお方は、須貝さん役の押切英希さん。
彫りの深い色気のある超二枚目さん・・・。かっこいい・・・
そしてものすごく丁寧なお言葉・・そして深い声・・
・・・・モテモテの役にぴったしです。

さて須賀さんを巡る姉妹は
お姉さんの美伃さんを演じる石井麗子さん♪わたしの大好きな女優さんです。
ものすごく美しい女優さんというのは、もちろんですが
日本物がとてもお似合いなしっとりとした雰囲気をお持ちなのに
何か内面の強さを感じさせる・・とっても素敵な女優さん♪
お稽古の最初は着物姿でしたが、途中にお洋服に変身~★
麗子さんの久しぶりの舞台・・楽しみです♪

美伃さんの妹さんの未納さんを演じるのは、高橋礼恵さん♪
「言葉が美しいので、自分のリアルな心情を言葉に乗せるのが難しい」と
おっしゃっていましたが、やんちゃな弾んだ姿がとっても可愛かったです。

そんな美しい妹達のお兄ちゃん昌允さんは、高橋克明さん
なーんか面白いキャラでした(笑)えへへ、もちろんとっても素敵なんですが
胡散臭いというか・・う~ん、いや素敵です。。
ちょっとチョイワルを隠した感じが、またイケてます♪

アトリエは、ちょっと底冷えがする寒さですが
戌井さんを中心に穏やかな雰囲気に包まれて、いつまでも居たいような・・
ほっこりするような柔らかな印象を受けました。
この素敵な雰囲気から、出来上がる“森本薫”さんの世界・・
もう一本の作品『かどで』と共に・・・絶対に素晴らしいものになるに違いないと思いました。
今年最後のアトリエ・・・きっと忘れない作品になりそうです。
by berurinrin | 2007-11-18 21:58 | 稽古場/舞台裏話