負味第二回公演『七人ぐらいの侍』

負味第二回公演『七人ぐらいの侍』 in 東演パラータ(10/2)

作・演出 足利政紀

戦乱の世の中。
戦場で敗れた武士達が、行き場を失い野武士となって集団で村へ略奪し放題。
と、ある村の住人達は何とか野武士から村を守ろうと、侍を雇う事にします。
見返りは「腹いっぱい飯を食べさせる」
そして、町に出て侍を探す農民達。
すると、野武士に襲われ身ぐるみ剥がされて、腹が減って動けずに寝ている
侍を発見します。そこへ、赤ん坊を人質にした強盗が納屋に立てこもるという
事件が起こります。

まさに黒澤明さんの代表作『七人の侍』のストーリーです。
侍が6人だったので、題名に「ぐらい」がついたんでしょうかねぇ(笑)
客席は圧倒的に若者が多くて、お姉さんな私にはちょっと・・あはっ
いわゆる新劇好きな私としては、なかなか・・ちょっと・・どうよ
と、思われるかもしれませんが
これが意外に意外とストーリー的に面白かったんですよ。

例えば、主役の勘兵衛さん
本家の『七人の侍』では、戦略家で冷静なリーダーですが
こちらの勘兵衛さんは、ちと違う。
村人からの依頼を断る為に、ある話をします。それは・・
子供の頃、勘兵衛さんは戦場を歩いていると
なぜか??一面にバナナが落ちていたそうです。ひとつ手にとって剥いてみると
「あたり」と書いてありました、そのとたん、光が差してきてバナナがみるみるうちに
大きくなって、等身大位になり刀になった。
そんなバナナを差してる自分が強いわけが無い!と言い切って断る口実。
勘兵衛さんの昔からの仲間の七郎次さん。
本家の『七人の侍』では、影のように付き添って戦ってきた二人ですが
こちらの七郎次さんは、まさに影。幽霊となって地をずるずる徘徊中・・・(笑)
コントコーナーやらハチャメチャシーンもありますが
横道にそれながらも、ちゃんと本筋に戻ってくる(笑)
しっかりちゃんとしているのは、作家の力だと思います。
こういう芝居の作り方もあるんだなあ・・と、感心したり苦笑したりf(^_^;)
最後は、本物の水を使って雨まで舞台に降らせてしまいびっくり・・
ただ床がベニアを張った板張りなので、それでなくても微妙な段差が気になった上
水を含んでべこべこの凹凸になってしまい
役者が怪我したらどうしよう・・と、ひやひや~(汗)
あ、馬が面白かったです。
四つ足になった役者が馬になって、「乗れいっ!」と偉そうに言って
人を乗せるんですが。めちゃめちゃ遅い(笑)辛そうな顔がツボでした。

とは云うものの、きっかけは
今年、文学座研修科所卒業された松垣陽子さんがご出演。
彼女は、その演技力の高さで研修科時代に本公演『戯曲・赤い月』に出演されましたが
なんといっても研修科の発表会『天保十六年のシェイクスピア』での隊長。
もともと男性が演じる隊長を、彼女の持ってる中性的な魅力が相まって
お見事でした。
それにしても舞台にでずっぱりで膨大な台詞の量・・演じきった彼女です。
芝居に入ると、彼女の小さな体から発するエネルギーの熱いこと・・・
今回は、14歳の若侍。男の子です。
淡い恋愛の場面もあったり、コミカルなツッコミもあります。
ぼんぼんで素直で固い勝四郎くんという役柄を、確実に丁寧に演じています。
そして彼女の中にあるエネルギーの温度も変ることはありませんでした。
今は事務所に入り、女優として歩み始めた陽子ちゃん。
さまざまな舞台にチャレンジする姿。これからも見守り続けたいと思います。
がんばれぃ~!!!

この日は丁度、陽子ちゃんの文学座の同期生Fさんがいらしていました。
現在は学業を優先されているとのことで、イニシャルですが・・
彼も研修科時代は『萩家の三姉妹』で、エリート風なパパを演じたり
(ちなみに、その時の奥さん役は陽子ちゃんでした)
『天保十六年のシェイクスピア』では、子悪党の利根の河岸安。
愛嬌タップリな笑顔は魅力的だし、どんな役も自分の中の側面の一つのように
自然に受け入れる演技姿勢は、際立っていました。
いつの日か、彼の芝居が観れるといいなあ・・
そのときは声を掛けて下さいね。
やっぱ、文学座を卒業しても声を掛けて頂けることは、とっても嬉しいです。
これからも出来る限り観にいきたいと思います。

11/2(金)~11/4(日)まで  in 東演パラータ
by berurinrin | 2007-11-02 00:35 | 観劇感想
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