本公演『ぬけがら』その3

『ぬけがら』には、5人のお父さんが登場します。
5人の共通したその名は<鈴木卓二郎>氏。現在は84歳。
ところが・・・

父1。まさに職人芸の熟練した技もたっぷりに認知症のお父さんを
演じられるのは、飯沼慧さん。
飯沼さんが、ご登場になると目が釘付けになってしまいます♪
半分子供に戻ったような無邪気さとかたくな頑固さ・・・
中盤のフラのシーンの、楽器を持ちながらリズムをとってる動きも最高~!!
「あんたじゃわからん」
「酒くれ!」
飯沼さんの茶目っ気たっぷりの台詞の節回し大好きです~☆彡

その飯沼さんから抜け出てきたのは
父2。60歳代の卓二郎さんを演じた、鵜澤秀行さん♪
60代といえば、定年を迎え新たな人生を歩み始める転機となる年代。
とっても元気なお父さんは、卓也さん(若松泰弘さん)にとって
よき相談相手のような頼もしいお父さん。
卓也さんの苦しい現状を何とか打破しようと、人肌脱ぐどころか
これからっという時に、ぬけがらっちゃうんですが(笑)
ハワイアンの場面のノリノリ~♪のシーン本当に素敵でした。
鵜沢さんは前回、アトリエの会では『AWAKE AND SING !』では、ちょっと嫌味っぽい管理人役を演じていらっしゃいましたね。
『ゆれる車の音』では、パンチパーマが目に眩しい(笑)元テキ屋さん♪

鵜澤父から、爽やかに<ぬけがら>ちゃうのは、50歳代のお父さん
父3。関輝雄さん。働き盛りの50代・・でも、若い頃の無茶な生活のしわ寄せからか?
少しずつ体調も崩しがち・・
そんなお父さんと向き合う、卓也さんは小学生の頃でしたね。
お父さんの前で駄々っ子のように、ムキになってる卓也さんを
軽くかわしたり、しかったり・・・傍目には大人の二人に見えるのに
どうして、しっかり過去にタイムスリップしていました。
関さんは『焼けた花園』では、頭を白髪に染めてその存在感にびっくりしました。
関さんが舞台にいるだけで空気が変わる!それも自由自在です♪

マイペースな関父から、抜け出てしまったのは
アロハシャツがめちゃくちゃお似合いの40歳代のお父さん・・父4。
高橋克明さんですYeah~!(*^^)v
卓也さんと同い年代のお父さん(笑)
ちょっぴりナンパで軽い感じのお父さんですが、なかなかどうして女心の繊細な
気持ちを感じ取ってくれる優しいお父さんです。
『AWAKE AND SING !』では戦争の所為で片足が不自由で、言葉ひとつひとつに
感情を殺し、はき捨てるような言い方をする複雑な性格モーを演じておられました。

ナンパな高橋父の<ぬけがら>から出てきたのは、見た目は爽やかな青年(?)でも
軽さもUPした30歳代のお父さん・・父5佐藤淳さんです。
佐藤さんの真っ直ぐな眼差しに弱い私です(笑)
アトリエの公演『中二階な人々』以来のご出演です。
登場シーンも「えっ(絶句)」状態・・・・(><)。軽やかな動きもナンパ度も流石30代の父。
卓也さんも知らない父の側面ですね。
未来を語れる二人には、友情のような新たな関係を見出す事ができます。
なんせ息子の前で、●△*シーンを見られてしまうんですからっ(爆)
わたしは拝見していませんが、ミュージカル『ピーターパン』(演出は、同じく松本祐子さん)では、イケメン海賊の一員さん♪

なんか弾けた佐藤父から、舞台上で抜け出てきたのは
つるつる頭の実直な好青年・・20歳代の父、父6。栁橋朋典さん。
本公演デビューです~☆彡
アトリエ公演『オトコとおとこ』の“ピンク男優”さんに続いての体を張った登場シーン(笑)やら
洗濯機から、顔だけピョ~ンとびっくり箱のような姿まで(笑)
実は、研修科時代から栁橋さんの下半身に重点を置いたような
ちょっと癖のある立ち姿が気になっていたのですが、今回は全然気になりませんでした。
初めて見た丸坊主姿もお似合いでしたね。
卓也さんにとって、戦争を経験した20代のお父さんは弟?!
でもこのお父さんの時代にお母さんとの出会いがあったんですよね♪

この個性豊かなお父さんズに向き合ったお母さんを演じたのは添田園子さん。
赤いムームー姿がとってもお似合いで、冷蔵庫から出てきて「寒っ!!」のリアクション
超可愛かったですね♪
でも見た目は若いお母さんですが、実際は77歳。
卓也さんやお父さんズと話す言葉の表現や見守る眼差に、
とてつもない包容力を感じます。
前回は、上村聡史さん(今回は演出補)演出、自主企画公演『裸足』でかっこいい保母さんを演じられておられました。
でもね、添田さんはH.H.Gではチラシのデザインにも関わっておられます。
演技だけでなく素敵な才能をお持ちなお方です♪
本公演『ぬけがら』その3_c0023954_13293229.jpg

画像については事前に劇団の許可を頂いています。無断転載はなさらないで下さいね★
by berurinrin | 2007-05-16 22:37 | 文学座観劇感想