12月アトリエの会『AWAKE AND SING !』交流会

12/10(日)のこの日『AWAKE AND SING !!』公演後、交流会が行われました。

終演後にもかかわらず、全体の2/3程埋まった客席と舞台の間に
並べられた椅子に出演者、演出家、翻訳家の黒田絵美子さん、そしてユダヤ人の
マーク・N・ザイオン氏を招いての約1時間ほどの交流会のスタートです。

司会は、この作品を担当されているお肌すべすべ(笑)の制作のTさん。
Tさんの進行で自己紹介から始まりました。

中村彰男さん(サム)
「アメリカ語を上手にしゃべれません、という役です。今日はお天気が良くて、
いつにもましてみなさまお集まり下さいましてありがとうございます。
短い時間ですがよろしくお願いいたします。」

田村勝彦さん(モーティ)
「モーティという、この一家の長男ですけど、飛び出してビジネスに成功したという
そういう役でした。何か色々お聞かせください。今日はありがとうございます。」

田中宏樹さん(ラルフ)
「はじめまして、いろいろ思い悩んでいる少年?ラルフを演じさせて頂きました、田中宏樹です。
文学座の公演に役者として参加するのも、こういう長い間芝居をするのも
初めてなんですけれども、今のところ厳しいお言葉温かいお言葉を頂きながら
楽しんでいます。これからもよろしくお願いいたします」

林秀樹さん(ジェイコブ)
「今日はありがとうございます。ジェイコブ・・おじいちゃん役をやりました、林です。
頭はもう少し黒いんですけど、これ、染めてます(笑)。
これからもまた、よろしくお願いいたします。」

寺田路恵さん(ベッシー)
「どうも今日は師走のお忙しい所ありがとうございました。
いやぁ、ホンと云ってこんなに大勢の方が残って下さっていて、びっくりしています。
それも若い人もたくさんいて、各世代の人がいらっしゃるかなあっていう感じで
どんな難しい質問が出るかなあって、楽しみにしております。
あのラルフ、息子は初舞台でさっき温かい言葉厳しい言葉を頂いてると、
言っておりましたけれども、何十年やっていてても
やはり温かい言葉と厳しい言葉は、返ってまいります。
あのどうぞ残りの公演に参考にしたいので、たくさんご意見、ご感想お聞かせください。」

塾一久さん(マイロン)
「父親マイロン役を演りました。この役の為に、毛を抜きました(爆笑)
どうも今日はありがとうございます。まあ、色々お話聞かせください。
私生活の父親と舞台の父親はどうなんでしょう?ご想像にお任せします。」

松岡衣都美さん(へニー)
「本日はありがとうございました。子供を捨てて、男と出て行く
へニーを演じました。アトリエ公演は7月の『オトコとおとこ』に続き2回目で、今回も素晴らしい方たちとご一緒させて頂いて勉強をさせて頂いています。
今日はよろしくお願いいたします」

高橋克明さん(モー)
「あの、高橋克明です。(「声小さいね」と言われ)あ、うん。
モーアクセルロッドという、・・引退したっていうか・・、あ、まあ(苦笑)
今日はありがとうございます(笑)」

鵜澤秀行さん(管理人)
「ちょっと、今日風邪をひきましてですね。他の人に移すとあれなので
ございますので、マスクで失礼させていただきます。」

翻訳家、黒田絵美子さん
「お稽古を何回か拝見して、初日とずっと飛んで今日と・・、もめてる家族らしいのですが、
大分良い家族になってきたなあ(笑)という気がします。ユダヤ語は難しいので、
生のユダヤ人のマーク・N・ザイオンさんに色々教えていただきました。」

演出家上村聡史さん
「本日はありがとうございました。演出を担当しました上村です。
去年の作品に引き続き、現代古典と言われる作品に取り組んだんですけれども1935年の
アメリカという事で皆さんも判らない事もあるかと思うので、また後程質問等ありましたら
お願いいたします。本日はありがとうございました。」

ここから質疑応答ですが、ユダヤ一家のお話しという事で
民族の違いというか?理解が出来ないことに対する質問が多かった気がします。
今回、ユダヤ人の生活スタイルや1930年代のアメリカの生活や歴史の手引きが書かれた
チラシを開演前に頂けたので、一読することにより作品を楽しめましたが、
でもちょっとした違いとか、興味深いお話しがありました。

一幕ではバーガー家に出入りしていたモーが
二幕でへニーがサムと結婚して、家を出た後にモーが下宿人になっています。
1935年当時に移民としてアメリカに渡ったユダヤ人の家族の家計のやりくりの為に
貴重な収入源として、普通に行われていた風景であったそうです。

芝居の中のユダヤ人的要素とは

①家を出るへニーを前にりんごを剥くお父さん
“りんご”には、新たな旅立ちを祝う意味があるそうです。
いつもベッシーママの後ろにいるパパ・・でもパパなりのへニーに対する愛情が表現されてる
場面になっていたんですね。
②お金に対する執着心
大恐慌の時代とい事もあるのですが、シェークスピアの『ベニスの商人』のシャーロック以降
お金に対する執着心が凄くユダヤ人らしい
③おじいちゃんの迫害の歴史の断片が語られるシーン
第二次世界大戦前ではありますが、ヨーロッパではユダヤ人の迫害が行われていると
ドイツやポーランドを見てみろ・・と
④サム・ファインシュライバーのお父さんの話。
コサックにお父さんが髭を切られ、悲しみのあまり死んでしまったという話。

冒頭の食事の場面の賑やかというか、がんがん言い合うシーンが他にも多々あるのですが、
ユダヤの人たちは、喧嘩の一歩手前まで言い合って、
最後に「いい時間を過ごせた」と言えるそうです。
遠慮がちな、日本人にはちょっと理解できないですね(苦笑)

おじいちゃんのような一日本を読んでいるインテリの人がレベルが上に見られて
ベッシーのように一日立ち仕事をしている人や管理人さんのように肉体を使って
仕事をしている人が一段下に見られたりするのがユダヤ人の階級らしいそうです。
なので、お金がないのに働かず、家で何にもしていないおじいちゃんは当り前。
でも大恐慌時代そしてアメリカ・・・ベッシーのイライラの種はここにもありそうです。

三幕でおじいちゃんが亡くなって、一週間後のバーク家で
鏡に布でカバーをされていますが
これもユダヤの風習で、それは、魂がまたふらふらしているから、
その魂が鏡をみてびっくりしないようにカバーするそうです。
また、三幕で箪笥の上にある蝋燭立ては、ザイオンさんからお借りしているものだそうです。

翻訳についての質問です。
リストラや勝ち組とか負け組とか今の言葉を使っていますがとの質問に対して
一時期「負け組」を「負け犬」と言っていたそうですが、今の言葉のニュアンスの膨らみを
汲んでみたそうです。

また、ラルフ君のその後の人生はどうなっていますか?と
ちょっと難しい質問があったり(笑)

作家オーデッツについて、素晴らしい脚本家でありながら
最後はハリウッドで映画を・・といことで、裏切り者扱いされいたそうです。
実際映画『女優フランシス』という作品に、お金に目が眩んだ裏切り者扱いで
オーデッツが描かれているそうです。

この作品は、70年前に新協劇団(劇団民藝の前身)でラルフ役は宇野重吉さんが演じられた
そうです。

初めて文学座にこられたお客さまから、アトリエについて温かい歴史ある空間との感想で・・

劇場は新しいのが良いというわけでは、紀伊國屋ホールもそうなんですけど
なんとなく居心地の良い場所、舞台と客席が一体感が出来やすい場所というのは
なかなか作ろうと思っても出来るもんじゃないので、
お客さんが入って年月が重なって、こういうぬくもりが自然に出来てくるだと思います。
ここ(アトリエ)も古くて大変なんですけれども、地震で倒れちゃうんじゃないかとおもって
検査してもらったら、大丈夫らしいので、もうちょっと芝居をやっていこうと(笑)(田村勝彦さん)

大好きな一番好きな空間です(寺田路恵さん)

実際、耐震調査をしてもらったら、照明をたいているので
木が乾燥して、逆に丈夫になっていて、歴史の割に保つそうです(Tさん)

なんて、ちょっとまとまりないレポートになってしまいましたが
アトリエの交流会は大抵アトリエ公演開始後、第一日曜日に開催される事が多いです。
(初日が土曜日だと、第2日曜日に開催する場合があります)
昼間の公演終了後約1時間程です。
入場無料、事前予約なしで、当日の芝居を観れなくても参加できます。
普段お目に掛かる機会の少ない演出家や出演者の素顔や
作品の裏話や演出プランとか・・とても興味深い話が盛り沢山です。
ぜひ次回は、ご一緒に楽しみませんか?

この日、公演終了後、交流会の始まる前に
舞台の上で掃除機でお掃除していたのは、のびくん(笑)そう、西岡野人さんです。
うふふっ、判りましたか?!
そして側でセットのチェックをされていたのは演出部の所奏さんでした。

交流会が終わって客席を後にしようとした時に、おもむろにザイオンさんが
「よろしくお願いま~す」と日本語で声を掛けて下さり、手を差し伸べられて握手を(笑)
大きな温かい手・・背が高くてお髭が素敵なおじさまでした。
お友達から「(ザイオンさんの事を)お知り合い?」
いえいえ、と・とんでもありません。でも、光栄でございます。

アトリエから出ると、のびくんに会えたし、客席では色んなお友達にもお会いできて
お腹一杯(笑)有意義で楽しい時間を過ごせました!
by berurinrin | 2006-12-17 11:31 | 稽古場/舞台裏話