文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾『お月さまへようそこ』

文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾『お月さまへようそこ』
                               in サイスタジオ(5/27)

作   ジョン・パトリック・シャンリィ
翻訳 鈴木小百合
演出 森さゆ里
美術 乗峯雅寛

<赤いコート>
パーティーに遅れてきたメアリー(長野海さん)を待っていたのは
ジョン(浅地直樹さん)。二人を照らすように、月の光が注いでいます。

浅地さんといえば、昨年拝見した巣林舎『曾我会稽山』での姑息で意地悪な悪役を
演じておられましたが、この場面では爽やかな恋の病に冒された青年役です。

<どん底>

肺の病に冒された詩人(醍醐貢介さん)を支える恋人(中川雅子さん)
ささやかな持ち物はことごとく人物(村田牧子さん)に奪われますが
たったひとつ残された二人だけのモノ・・・希望はまだ失われてはいません。

支えあう二人の姿に、月の光は温かく見守っているわけではありませんが
しっとりとした短い会話の中川さんと醍醐さんのベテランの技・・重厚さに魅せられます。

<星降る夜に出掛けよう>
なぜか背後霊に囲まれた男(二反田幸平さん)に、一目ぼれ?した女(奥山美代子さん)
一つのカップルが生まれる瞬間とは。。

奥山さんのきーーっ!!!と、怒った表情は、かなりわたし好きなんです。
『ぬけがら』でも、若松泰弘さんの愛人役でその弾けっぷり(笑)最高でした。
唐突にコップのお水を頭からかぼたぼた・・・びっくりしました!!
そしてこの幽霊の扮装・・ユニークでしたね。怖さよりも笑いを誘っていました。

<西部劇>
カウボーイ(愛佳さん)を挟んで少女(佐藤麻衣子さん)と
酒場の女ベッツィ(醍醐貢介さん)の恋の鞘当。
そこへ兄をカウボーイに殺された弟(能島瑞穂さん)がやってきます。
バーテン(山崎美貴さん)の見守る中、決闘が行われることに・・・

佐藤麻衣子さん以外は、男性→女性、女性→男性へと演じ分けられています。
胸を張って流し目を振りまきながら歌う愛佳さん♪堂々とした男っぷりです。
そんなカウボーイを一途に愛する少女は佐藤麻衣子さん・・。
その少女のライバルは、反則技の醍醐ベッツィ嬢(笑)。笑わせようとしてでなく
普通の女性として演じるからこそ、自然に会場から笑みがこぼれます。
決闘に向かうカウボーイに、自分のガーターベルトを脱いで渡すシーン。
醍醐さんの足の白さとその色気にくらっと~(笑)素敵すぎます。
カウボーイを守るために死んでしまう少女の佐藤麻衣子さん。
真っ白いドレスの衣装がとっても可愛くて、愛に殉じるにはまだ幼さが
残るその姿が哀れさを誘っていました。
さてピアノを爪弾きながらのバーテンは粋でカッコいい山崎美貴さんです。
すらっとした姿は宝塚の男装の麗人みたい★でも、肝心な時に役に立ちそうもない
あっら~とした姿・・爆笑でした。

<喜びの孤独な衝動>
ウォルター(田中宏樹さん)は友人のジム(浅地直樹さん)を真夜中の水辺の公園へ
誘います。どうしても会わせたい女性がいるのです。その彼女とは・・・。

ロマンテックなお話しです。恋する青年のウォルターは、今年研修科生から準座員に
昇格された田中宏樹さん。甘いマスクで素敵です♪田中さんを初めて意識したのは
研修科生の発表会『傘とサンダル』のツトム役。殺人を犯す青年ですが、怖かったぁぁ
怒りを秘めてピリピリとした危険な香が漂う青年がぴったりで、その後も注目していました。
卒業公演『アイスクリームマン』のアブナイ教官役も良かったですよね。
ぜひ今後も楽しみな田中宏樹さんです♪

<お月さまへようそこ>
スティーブン(浅地直樹さん)と久々に再会した同級生ヴィニー(二反田幸平さん)は
懐かしさに話が弾みます。そしてスティーブンの片思いの女性シャーリー
田中由美子さん)や自殺未遂を繰り返すロニー(田中宏樹さん)へ話が流れていくと
ロニーが悲痛な表情でやってきます。ロニーの自殺に向かう動機とは・・。

シャーリーを忘れきる事が出来ないスティーブンの純粋さが、可愛いぞお前!
と、ポンと肩を叩きたくなります。ロニーの自殺未遂行動もかなり、間抜けなんですが
この出演者たちは皆んな愛すべきキャラクターです。
芝居の最後を締めくくるにはうってつけの清々しい作品となっていました。

これら月をイメージさせる約10分程度の短編の作品がオムニバスで語られます。
セットはシンプルな階段があるだけなのですが、これがカラクリ階段?!(笑)
椅子になったり、バーカウンターになったり、机になったりと、多機能でびっくり。
常にあるお月さまも、次の作品の題名を映したりして、観客にとても親切です。
おかげで気持ちの切り替えがスムーズでした。
短編の作品は人物描写が、はっきりしないと伝わりにくいので
役者達は普通のお芝居よりも細やかに掘り下げて、演じる難しさがある思いますが
どの作品も見ごたえたっぷりで楽しかったです。

終演後、おちゃめな同期二人組(笑)愛佳ちゃんと麻衣子ちゃん
そしていつも素敵であったかい~醍醐さん♪そしてりりしいけどめちゃめちゃ気さくな
山崎美貴さんにお会いできてとても幸せ(*^_^*)
あ~楽しかった(笑)

5/25(木)~5/31(水) in サイスタジオコモネAスタジオ

このパンフは、山崎美貴さんの力作だそうです。お疲れさまでした!!
出演者の一言コメントも興味深かったですね。大事に観劇記録として保管してます~☆彡
by berurinrin | 2006-06-04 18:11 | 観劇感想