『署名人』

サイスタジオ公演vol.17
サイスタジオに於ける清水邦夫作品公演1
2組の演出家・出演者による2作品2本立て連続上演 (3/25)

『署名人』

演出 高橋正徳
美術 乗峯雅博
照明 賀澤礼子

明治17年頃、国事犯専用の牢獄の一室。立憲運動に身を捧げた二人の男性
鈴木秋弘さん、神野崇さん)と「署名人」という奇妙な職業をもったおしゃべりで血が嫌いな
男(中村彰男さん)の3人が同室になります。
署名人とは新聞雑誌の署名を大金を受け取って肩代わりする仕事です。
ある時、看守の猫が木に登って降りられないという事件が発端となり、2人の脱獄の計画が
表面化し、名ばかりの政治犯「署名人」の立場がどんどん追い詰められていきます。

とても怖いお話です。
正義のためには人を殺めても仕方が無いと、その正義が自分勝手の
あやふやなものでも(?)お構いなし・・と狂信的な人と、
冷静に物事を語りつつやっぱり正義のためには
人を殺めても仕方が無いと思う人。狭い一室の中で、ぴーんと張り詰めた空気の中
ひたすらしゃべる事で対抗する『署名人』
そんな『署名人』の中村彰男さん。いつもは超かっこよくって、素敵な彰男さんですが
今回は丸刈り頭で、なり振り構わずしゃべりまくる姿にただただ引き込まれます。
鈴木秋弘さんの中村彰男さんに翻弄される度に怒る姿はおっかないしどきどきします。
『アルバートを探せ』では軽い関西弁を操るスリを演じた神野崇さんですが
ストイックで冷静に語る姿に驚きつつも
お互いに相容れる事が出来ない関係の中、しゃべる事を止めた時・・・・
本当にすごい、すごい・・じわじわと追い詰められる攻防戦に飲まれてしまった私です。
そして地味ながらも看守役の斉藤祐一さんと細貝弘二さんの細やかな動きも
目が離せません。

この作品は、わたしにとってかなり難しい作品ですが
時間が経つ事に怖さを感じるすごい作品です。
それにしてもやっぱり高橋正徳さん!貴方はすごい!尊敬の眼差しを送ります~!!
一緒に牢獄に入ってもOK状態の髪型をしつつ(笑)
一見強面そうな姿ですが、実はかなりの陽気な兄ちゃんなのでぜひぜひ
花粉症にも負けずにサイスタジオの前にうろうろしてる(失敬)彼を応援しに
ぜひご覧になってくださいませ♪

同時上演『行きずりの人たちよ』


~4/2(日) サイスタジオコモネBスタジオ(小竹向原)
by berurinrin | 2006-03-26 11:29 | 文学座観劇感想