劇団民藝『明石原人』(横浜演劇鑑賞協会第216回)

劇団民藝『明石原人ーある夫婦の物語』 in 神奈川県立青少年ホール(1/20)

作   小幡欣治
演出  丹野郁弓

大正時代。
明石の女学校の直良音(日色ともゑさん)先生の元に、昔の教え子である信夫さん
(千葉茂則さん)が尋ねてきます。自力で考古学を勉強する11歳年下の信夫さんと
ひょんな事から結婚した音先生ですが、信夫さんは化石を掘るのに一生懸命。
家計は音先先にまかせっきりです。そんな中、信夫さんは明石の海岸で
人骨を見つけました。旧石器と思われる人骨は「世紀の大発見」!喜びもつかの間
その後の二人には、苦難の日々が待ち構えている事になります。

これは実話を元に作られたお話です。
神武天皇からこの日本が始まったという皇国史観が絶対だった時代に
旧石器時代の人骨が見つかったこと自体、天皇制を屈返す出来事。
まったく肩身の狭い考古学会において、学歴もない信夫さんの発見は
否定するしかない淋しい現実がありました。
考古学の世界ぶつかりあいながらも厳しい現実に
がっくりと肩を落とす信夫さんの姿にひたすら叱咤激励と共に家計を担う音先生の
日色ともゑさんの小さくてか細い姿が痛々しい位に心に迫ります。
終幕、体を壊して入院中の車椅子姿の音先先の元に信夫さんが
寄り添い車椅子を押す姿が熱い感動を呼び起こす温かいドラマです。

私にとって初めての劇団民藝でした。作品自体とても地味ながらも
ベテランの俳優達と若手の役者のバランスがとても良くて
見ごたえのある作品でした。

『明石原人』は2/24まで、神奈川県演劇鑑賞会で上演中です。
by berurinrin | 2006-01-22 17:40 | 観劇感想
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