『トランス』elder version

『トランス』elder version in 紀伊國屋ホール(11/17)

作・演出 鴻上尚史

精神科医の紅谷礼子さん(松本紀保さん)の前に、高校時代の同級生で現在は
フリーのライター立原雅人さん(みのすけさん)が患者として現れます。
「自分が自分に思えない・・・」不安を抱える雅人さん。同じ頃、偶然入った飲み屋で
トラブルに巻き込まれた雅人を救ったのは、同級生の後藤参三(猪野学さん)でした。
参三さんは“おかま”さんになっていました。
高校時代、それぞれ孤独を抱えた3人はかけがえのない存在でした。
そして雅人さんの心の病をきっかけに、三人の友情の絆はどう変化していくのでしょうか?

この『トランス』は何度も再演を重ねているので、ご存知の方も多いと思いますが
後半部分は一挙に流れが、がーーーっと変化します。
答えを追うと混乱しちゃうかもしれませんが、答えはいいんです。どーでも。なんでも。
変化の度に、自分の周りを固めている鎧が剥がれ・・・
がしゃん、がしゃんと音を立てて崩れて、肩書きもナンにもない、もしかしたら
心の病に冒されてるかもしれない自分。もしかしたら**かもしれない自分でも
ぎゅっと抱きしめてくれる暖かい胸があったら、それが同性でも異性でも・・
こんな弱い自分を認めてくれて、差し出された手のぬくもりが愛しいなら・・
人からどう見られようが、自分をどう見ようが「幸せ」には変わらないって思います。
そんなシンプルな感情を思い出させてくれる『トランス』・・・素敵な作品です。

シンプルなセットで、心の変化に伴い空から雪が舞い落ちてくるシーンは
うっとりするくらい美しいです。でも、それが時にはみぞれに変化したり
とても繊細で細やかな心の動きに反映されています。登場人物は三人のみ。
おかまの参三さんの猪野さん!はじめて芝居をしている猪野さんを拝見しました。
参三さん役は以前、内野聖陽さんが同じ役を演じられていましたが
その時の衣装はぴちぴちTシャツに、ふりふりエプロン♪薄く化粧した顔と
衣装は勘違いの安っぽい水商売系・・でも雅人さんを愛する姿は
一途過ぎる位のまっすぐな可愛いおかまさんでした。
が、猪野さんの参三さんは見た目は好青年。腕力があるような感じもなく
ぼったくりのおかまバーで働いているシュワ子ちゃんにはどうしても見えないのです。
弾け方も優等生・・。猪野さんのもーーっと、かっとんだ参三さんを観たかったなあ・・
お調子モンのあんちゃんのノリなので(あのハイテンションさにはちと凹みました)
雅人さんよりも礼子さんに対する異性への愛情をより強く感じてしまいました。
う~ん残念!見た目のインパクトもかなり重要と思うんですが・・・
猪野さんの事嫌いじゃないんですよ!注目しているだけに、辛口でごめんなさい!!
礼子さん役の松本紀保さんは、礼子さんの葛藤する姿をとても細やかに
演じていらっしゃる姿がとても好感が持てました。
みのすけさんは上手い役者さんですね。「ルル~破滅の微笑み~」で
ルルを愛するあまりに自殺するシュバルツを演じた人とは思えない!
悩める雅人さんを愛しく感じてしまう位、自分と重ねられる共感できる人物に
演じていらっしゃいました。

さて、この『トランス』youht versionの2種類あって、両方観てチケットの半券を
劇場にもって行くとオリジナルファイルがもれなくもらえるそうです。

~11/27(日)まで  in 紀伊國屋ホール(新宿)
by berurinrin | 2005-11-19 01:35 | 観劇感想
<< 文学座本公演『毒の香りー浅草オ... ギョロの自慢 >>