地人会公演『島清、世に敗れたり』

地人会第99回公演『島清、世に敗れたり』 in 紀伊國屋サザンシアター(新宿)10/22

作   松田章一
演出  高瀬久男

島田清次郎さん(上杉祥三さん)は幼い頃に父を亡くし、
母の島田みつさん(倉野章子さん)と金沢の遊郭の一室に身を寄せています。
貧しい暮らしの中、原稿を書き溜め
「地上」を発行し、一躍文壇の世界の脚光浴びます。名声を浴び、贅沢三昧が、一転
女性問題で訴えられ、お金は底をつき周りから見放されて、精神を病んでいく清次郎さん
あわれな男の一生のお話です。

島田清次郎・・・ご存知でしたか?大正時代に生きた実在の人物です。
狂気をはらんだ作家として文壇の歴史の世界からほどんど封印されてしまったそうです。

地人会では珍しく、木村光一さんではなく、今回の演出は去年『モンテクリスト伯』を
演出された高瀬久男さんです。とてもドラマチックな演出をされるので今回もダイナミックで
判りやすいストーリー展開で最後まで楽しく拝見できました。
でも島田清次郎という人物が女の敵のような感じなので、賛否両論かもしれません
残念ながら、客席もはっきりしていました(苦笑)

主演の島田清次郎さんっては、本当にろくでもない男です。浪費家で女癖が悪く
自分の思い通りにならないと癇癪を起してナイフを振り回す。まるでアダルトチルドレン、
だっだっ子のような人間を上杉さんはぎらぎらした目で演じていました。
そんな、アホな息子の母みつ役の倉野章子さん。本当に倉野さんは素敵な女優さんです。
彼女の細やかな手の動き、息子だけを目線の先に見つめる一途な母の姿が
丸くて細い背中の後姿がいとおしい程、愛情を感じさせます。が、終盤一転して
掃除婦役←最高です!今一番気になる女優さんです!!
そして、前半は肥料問屋の若旦那で清次郎さんの友人の橋場忠三郎さんと後半は
凄腕弁護士の大井静雄さんの二役をやられた浅野雅博さん!
この全く違う二役をすぱっと割り切って演じられる浅野さんの表情が見事です。
そしてかっこいい~!!彼の感情を押し殺した演技はわたしはとても好きです。
背中から湯気の出るような彼の演技・・・もっと堪能したいです。
そして、警官と新聞記者役の助川嘉隆さんも地味な役ながらとても丁寧に演じていました。
新聞記者として優しく接しながらもどこか胡散臭さを感じさせる姿が印象的でした。

昼間は某女優の芝居『じゃじゃ馬馴らし』を観てから『島清、世に敗れたり』へ
丁度、リンクしている“えびす組劇場見聞録”のメンバーで友人のコンスタンツェ・アンドウと
偶然同じ日の観劇だったので待ち合わせて劇場へ、どうせ別々の席だからと
開演ぎりぎりまでロビーで話していたら、色々な見知った方々に遭遇しました。
演劇の交流の世界は狭いです。
「で、ところで座席どこ?」
なんと隣同士でびっくり。ロビーで大爆笑したのは、コンちゃんとわたしです。
お騒がせしましたm(_ _)m

~10/26(水)紀伊國屋サザンシアター
by berurinrin | 2005-10-23 10:29 | 観劇感想
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