『解体されゆくアントニン・レーモンド建築旧体育館の話』

シアタートラムネクスト・ジェネレーションvol.7
『解体されゆくアントニン・レーモンド建築旧体育館の話』 in シアタートラム(2/28)

作 オノマリコ
演出 稲葉賀恵

春。と、今年もこの大学に多くの女学生が
様々な思いを抱いて入学してきました。
大学生活の日々の中、お気に入りの旧体育館が解体されることになります。
女子大生の一人、哲学(深谷美歩さん)が、旧体育館の存続を願い
論文を書き上げます。

舞台は、実際のトラムの背景に合わせ感じの中央の崩れかけたブロックが廃墟のよう
ところどころに砂場。砂に埋もれたイス。
上に吊られた一脚のイスの下に積もれたイスたち。

実際に2009年に起こった東京女子大学レーモンド建築旧体育館解体工事に対して
大学の有志の皆さんが守る会を結成して大学側と協議された出来事をもとにして
書かれた戯曲だそうですが、それがすべてじゃなくて
まだ幼さの残る彼女たちの日常の風景のように、溶け込んで通り過ぎていくような感覚。
けれど、彼女たちの大学生活の中で、確実にあった記憶の中にある
あんなこと、こんなこと、悔しかったこと、泣いたこと、感じたこと。
そんな感情の揺さぶりと共に忘れられない背景、空間だったのかな…なんてね

まぁ、それにしても複雑な感情のまじりあった言葉の断片のシャワー。
登場する9名の女性たちの名前というか、沈黙や奔放とか動詞が付けられてなんか不思議。
でも、登場人物たちの名前も一人の女性の持つ感情のようで、一つの体内から
発せられた言葉の感情の対立にも思えるから、
そんだけ複雑な感情に満ちた年頃というのでしょうね
自分に投影するには、とても恥ずかしい時代のど真ん中なので
ちょっと思い出しても、とても恥ずかしくて活字にするのは、
かなり抵抗がありすぎなのであります。
あの頃は、なんでもできると思ってました。
大人と子供の間を行き来きしながら
でも、その目指す目標を見出せなくて…
今だったら、あの頃の自分に少しはアドバイスできたかも…
あ~でも、聞く耳持たなかったかも…やっぱ複雑な年頃ですね。
なので、彼女たちのきゅんきゅんした言葉に、口の中はちょっと酸っぱく感じながら
心にはぐいぐい刺ささるのでした。

演出は稲葉賀恵さん。
若い才能の発掘と育成の為の事業ということで
今回トラムいう、素敵な場所で発表の場を得た賀恵ちゃん。
めっちゃがんばったね(^^)/
元は映像の勉強をされただけあって、一コマ一コマが美しくて
女学生たちの怒りや喜び、言葉で表現しきれない感情の起伏、
躍動感を瑞々しく繊細に魅せてくれました。
砂をまき散らせ走る走る彼女たちの渦に巻き込まれそうになる
感覚を味わいながら大人になっていく姿はとてもとても眩しいものでした。

文学座からは
00さんを演じられたのは、上田桃子さん。
役名が“00”さんなんて面白いですね
私ったらなんか勘違いして“00”さんを“∞”=メビウスの輪だと読んでいました。
でもなんか当たらずも遠からず的な(笑)
勘違いついでに、作家のオノマ リコさんを
オノ マリコさんだとも思ってました(>_<)
時空を旅している永遠の女学生。もしくは旧体育館の妖精みたい
彼女たちの感情のコントロールを委ねられた役どころな感じなのかしら…
そのつかみどころの無さか桃子さんの超魅力的なところですね。
時に彼女たちの一番の年長な顔を魅せるかと思えば、少女のような面影を魅せる
まさに無限大な女優さんです(^_-)-☆

平穏さんを演じられたのは、増岡裕子さん。
00さんとのやり取りは、まるで清水邦夫さんの『楽屋-流されるのはやがてなつかしき』の
楽屋の地縛霊さんのようなコミカルな味わいがあって楽しかったです。
裕子ちゃんは、じわじわとしみてくる三枚目的な側面があって
彼女の持ち前の明るさとその奥底にある陰の部分が、終幕の嘆きの言葉にぶつけられた気がして
これまた生き生きと年齢不詳で時代ごとに名前を変えて、そこに生きる女性なのかと
発散して走る祐子ちゃんの姿、とてもきれいでした。

怒りのオーラを出してるのは、癇癪さんを演じられた前東美菜子さん。
なかなか屈折した役どころではありましたね。
あまのじゃく的な感情表現で、なんかすごく共感してしまう部分がありました。
きりっとして、ポーカーフェース姿の美菜子さんは、かっこいいですね
でも内面は、めっちゃ女性らしい側面が見えた気がして
ほっとしながらも、その危なっかしさにドキドキしっちゃったりしたのでした

終演後にはポストトークが開催されていて
このセットは、トラムのカベに合わせたブロックが、年月と共に崩れて中央の廃墟となり
砂となって朽ちていく…そんな流れがあるそうです。
今回は、同世代中心の若い女性たちで演じられた作品ですが
意外と様々な年齢の女優さんで演じられても
面白いんじゃないかと思ったのでした。

2015.2/26(木)~3/1(日)in シアタートラム










by berurinrin | 2015-03-01 18:03 | 観劇感想
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