名取事務所『ベルリンの東』

現代カナダ演劇・最新作連続公演/第25回下北沢演劇祭参加
名取事務所『ベルリンの東』
                            in 下北沢『劇』小劇場(2/10)

作 ハナ・モスコビッチ
翻訳 吉原豊司
演出 小笠原響

第二次世界大戦後、ドイツから南米パラグアイに家族と共に
移住してきたルディ(佐川和正さん)は、何不自由なく暮らしていました。
ある日、幼馴染のヘルマン(西山聖了さん)の何気ない言葉から
自分たちの父親がナチの残党だと知ることとなります
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それもルディの父は、アウシュビッツ強制収容所の軍医として、
ユダヤ人に対し非人道的な行為に関わっていたことがわかります。
父と対立し、ヘルマンを裏切るように家を出てドイツに留学するルディ。
そこで、アウシュビッツに収容されていた母親の記録を探しにニューヨークから
やってきたユダヤ人サラ(森尾舞さん)と出会い二人は恋に落ちます。
けれど両親は事故死したと、サラに何一つ真実を話せないルディ。
そこに幼馴染のヘルマンがルディを訪ねて現れます。

タイトルの「ベルリンの東」いうのは、アウシュビッツ強制収容所の事を指しているそうです。
舞台は、正面に大きなドア。ドアの両側から下手、上手に伸びた有刺鉄線。
中央にテーブル。左右にはそれぞれガラス扉の付いた本棚。

疲れた表情の一人の男性が、震える手で煙草に手を伸ばして
過去を語り始めました。
語り口は、柔らかくて軽い笑いを込めながらも
その声は渇き、未来に向かう道は閉ざされた暗い暗い悲しみの瞳を持つルディ。

果たして親たちの過ちに子供たちはどこまで責任を負わなければならないのでしょうか
親たちの苦しみに子供たちはどこまで寄り添わなくてはいけないのでしょうか
悲しみと苦しみとあきらめの何処に未来への道があるというのか
残酷なことです。
怒り感情を人の心や肉体を傷つけることによって、
数倍になって自分の痛みとなって返ってくる
やりきれなさ
ルディの姿を通して、今の私たちを取り巻くきな臭い社会とその先の起こり得る現実
と重なって見えてしまうのです。
私たちの責任を、マイナスの遺産を、未来の子供たちに押し付けちゃいけない。
彼らは何も知らないのだから…

出ずっぱりの語りっぱなしなのはルディを演じられた佐川和正さん。
上演時間の1時間45分のうち、1時間43分はしゃべっていたんじゃなかろうかと
それもモノローグと会話とスイッチの切り替えをしながら、すごいですね~
思わず、台本何ページ分くらいあるんですか?と聞いちゃったら98Pとか~?みたいな~
くらくらしちゃいます。
冒頭の第一声の風貌と声が佐川さんと一致するまで、しばし?!と
あの表情、あの声の乾き声に愕然とさせられました。
悩み苦しむルディとそのルディを冷静に見てる現在のルディが
交差してリンクして重なる衝撃のラストまで、瞬きするのももどかしく
見つめ続けてしまいました。
ほーんと、佐川さんは毎回違う顔を魅せてくれちゃうんだから(#^.^#)

すごいすごい作品でした。
と、ところが、終演後「あそこに座って居たでしょう。わかったらそっち見れなくて(笑)」
えーーー。
「もう、絶対、こっち見てくれたら視線を外さないように食らいついておこうと思ったのに」
残念(笑)そんだけルディと寄り添っていたかったのでした。


2015、2/6(金)~ 15(日) in 下北沢『劇』小劇場










by berurinrin | 2015-02-11 23:34 | 観劇感想
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