文学座公演『女の一生』プレ・イベント

文学座公演『女の一生』プレ・イベント 共催:早稲田大学演劇博物館 
                            in 早稲田大学大隈講堂小講堂(1/14)

第一部
平淑恵による朗読』
第二部
シンポジウム「敗戦70年間の『女の一生』」
パネリスト 大笹吉雄、鵜山仁
司会 児玉竜一

昨年、長岡リリックホールで初日を迎え
現在、地方巡演中の『女の一生』もやっと3月に三越劇場で開幕されます。
その公演に前に行われた無料のイベントに参加してきました。
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第一幕は、主演の布引けいさんを演じられる平淑恵さんとけいさんの初恋相手
・堤栄二さんを演じられる上川路啓志さんとのリーディングで
ト書きを鵜山仁さんが読まれたそうです。
そうです…というのは、残念ながら仕事で第一部が間に合わず、休憩時間に滑り込んだのでした。

第二幕は、シンポジウム。
司会は、早稲田大学教授の児玉竜一さん。演劇評論家の大笹吉雄さん。鵜山さんとの
3人のトークセッションです。
昭和20年初演という『女の一生』。
何バージョンあるかわからないほど改訂されているそうです。
昭和20年初演の台本は、現存されているのは一冊のみ
それは杉村春子さん所有の台本で、現在は早稲田演劇博物館に寄贈されているそうです。
その初演台本の復刻版が、シアターアーツ6月号1996-Ⅲに掲載されています。
杉村さんの台本を起こしての復刻版なので、台本に書かれた杉村さんの書き込みも明記されていて
とても興味深い本です。
この画像がそうなのですが。今でも入手可能なのかしら??
かなり貴重な記録だと思うので、もし目につく機会がありましたら
ぜひ入手をおすすめします。
もし難しかったら、そうだなぁ~当面持ち歩きますので、声を掛けて頂けたら
お見せできると思います(^^♪

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いくつもの改訂版がある『女の一生』今回のバージョンは?と聞かれた鵜山さん。
文学座に入って、研究所の発表会で必ず演じられる『女の一生』のバージョンが
スタンダードとして刷り込まれている感があるので、そのバージョンで行われるそうです。

大笹さんからは、初演時のエピソードが語られました。
まずは台本について
初演時は戦争中。上演台本には検閲が入るという表現の自由がない時代です。
戦中と戦後の改訂版の違いについて、プロローグとエピローグに表れています。
戦中版のプロローグは、昭和17年正月の堤家の居間から始まって、
大正38年の正月の提燈行列の回想シーンに。昭和3年正月に伸太郎さんが亡くなって
エピローグは、昭和17年の正月に戻って幕。
栄二さんは大陸に渡って工作活動なう。
戦後版は、東京大空襲の堤家の焼け跡から始まって、焼け跡で終わる。
伸太郎さんは昭和20年の節分に亡くなって、栄二さんは、中国に渡って
共産党に入って、戦争中は獄中。戦後の堤家の焼け跡でけいさんに再会。

初演時では、演出の戌井市郎さんも職人役としてご出演されたそうです。
若い役者は戦地へ。当時の文学座のギリギリのメンバーで演じられたそうです。
作品の背景にしても、戦争をそのまま引き受けている作品といえると、大笹さん。
演出の戌井さんが亡くなっての初の上演。
そして初めてのこの作品の演出をされる鵜山さん。
文学座にとってとても大きな作品と、大笹さんにとっても『女の一生』に対する思い入れが
伝わってくると共にチクチクと鵜山さんにプレッシャー(笑)

今回の舞台は、プロローグとエピローグ以外は、堤家の居間で同じセットを使われますが
四季折々細やかに変わるのが大変で…今は、昭和はなかりけり(苦笑)と鵜山さん
台本には手を加えないそうです。

10代から60代の女性をみせるこの芝居
リアリズムではないとおっしゃる大笹さん。
作家の森本薫さんは、日本の伝統演劇に詳しい作家で
歌舞伎や新派からのエッセンスを持ってくることによって
新劇だけでは収まり切れないこの作品を成立させる事ができたそうです。

リアリズムについては、色々リアリズムを超越することも多いので
それよりもむしろ日本の四季とか、着物の柄とかが難しいとおっしゃる鵜山さん。
戦争を知らない。そこで日本人の何が変わったかを知らないことが大問題で
そういうことが検証できるのか?と
そんな中でも、児玉さんが、学生さんたちの中で
100人中3人位しか杉村春子さんの存在をしらないけれど
『女の一生』を見せると面白がると(笑)ほぉ~ですね。

文学座に入れば、必ずかかわる作品で、そういう意味でも大きい『女の一生』。
ストーリーはわかりやすいが、登場人物は複雑。
そんな大衆性と芸術性のおかげで、
今の全国演劇鑑賞会、当時の各地の労演から依頼があり回数を重ねて上演できたことにより
劇団の経済的に支えられた作品だったそうです。

この作品は、戦後、国交前の1960年に中国へ。
これは新劇として初の海外上演で、中国向けの改訂版が作られています。
そしてロシアに海外公演されています。
作家として、本来書きたかったものではなく、国策に沿った形としてその指示のもとに
書かれた作品であり、そこに作家・森本薫さんの精神的な意思の強さを感じ取れると大笹さん。
アジアに対する加害者の象徴であるといいます。
貿易相手にである中国によって大きくなった堤家(日本)が、中国はお金で解決するしかないと
言い切るけいさんを近代日本の象徴として描き、焼け野原で終わる…

主人公のけいさんは、大衆が愛する女性ではない。
癖があって、嫌な女だな~と思う女性に惹かれるという大笹さん。
確かに女性から見ても好きか嫌いか言われると微妙ですが
チェーホフの『三人姉妹』のナターシャのように
家を切り盛りする女性の強さにとても惹かれるのです。
スパンが長くて、近代日本を女性で描いた作品であるそうです。

そんな中で、客席で座って参加されていた平淑恵さんが
杉村さんが存命中に引き継いだことで、ファンの方から杉村さん宛の電話が殺到して
とうとう電話線を抜いてしまったというお話や
東京公演の三越劇場ではなく、地方の劇場に見に来られて、
全員にお肉をごちそうして下さったお話とか
杉村春子さんからけいさんを引き継いだ時のエピソードをお話ししてくださいました。

最後に大笹さんが、こういう芝居も上演していかなくてはと
シェイクスピアもいいけれど、着物の芝居もね!みたいにと言われると、
なんと会場からも拍手が(笑)くくくっ
ちょっとたじたじの鵜山さん(笑)
そんな鵜山さんも、『女の一生』の問題は何一つ解決されていないと
現代に置き換えられておっしゃいました。
次の世代に向けても頑張ります!と締めくくられました。

ふぅ~久々のレポでございます。
なんかとっちらかっておりますが、お許しください。
とてもとても貴重なシンポジウムだったのですよ。
なんか、実際は演出をされた鵜山さんが、演出補にこだわる姿勢もとても実感できたし
当時の時代背景を感じながら、3月三越劇場で感じる『女の一生』も
なかなかいいもんなのではないでしょうか?
まさに今の時代にもつながる世界が見えてきそうです。










by berurinrin | 2015-02-08 14:17 | イベント
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