文学座付属演劇研究所研修科卒業発表会『三人姉妹』

文学座付属演劇研究所2014年度研修科卒業発表会『三人姉妹』
                    in 文学座アトリエ(1/30)
作 アントン・チェーホフ
訳 小田島雄志
演出 高橋正徳

将軍であった父親の赴任地であるこの地に住み着いて11年。
去年、その父親も亡くなりプローゾロフ家の三姉妹オリガ、マーシャ、イリーナは
単調な田舎暮らしに限界を感じ、生まれ故郷でもある都会のモスクワでの生活を懐かしみます。
そんな折、三姉妹達の上の兄・アンドレイが結婚し、ナターシャが嫁いできたことにより
それでも平和で静かだったプローゾロフ家の暮らしに変化が起こります。

舞台は、アトリエの会『リア王』のセットを利用した形の白をベースに
両側に客席。楕円のような膨らんだ舞台。正面奥には大きなテーブル。
テーブルを見上げるようにいくつもの置時計が並べられて、静かに時計の音が聞こえます。

『三人姉妹』の私のイメージは、もやもやの感情(笑)
気持ちが先行して、行動が追い付かないという、ほんと、自分のよう
やんなっちゃう
あれもしたい、これもしたい、頭の中で考えて、結局なにもできない(やらない)
結果、ほっぽっちゃう…ふぅ(溜息)とマイナス系なのですが
今回は、等身大の彼らが演じることで、その悩めるもやもやが、マイナスだけじゃなく
前に進むための第一歩、前向きなもやもやだってあるんだと
リアルに伝わってきました。
何とかして現状を打破したい気持ちが、冒頭からうねりのように痛切に胸を直撃して
しょっぱなからこんな状態で、自分大丈夫か?と心配するほど
彼らの身体を通して、彼らの感情と役柄の感情が溶け合い絡み合い吐き出されていく
生きた言葉を私たちの前で見せてくれました。

研修科52期生の卒業発表会でした。
今までの研修科生の中でも、
各自のそのレベル、演技の質はかなり高いと思います。
それも今年は、井上ひさしさん作『天保12年のシェイクスピア』(松本祐子さん演出)
宮本研さん作『美しきものの伝説』(鵜澤秀行さん演出)、
シェイクスピア作『終わりよければすべてよし』(高瀬久男さん演出)と
また、シェイクスピア祭シェイクスピア・リーディングで座員の先輩方とまじり
出演を果たしたりと、言葉言葉に溢れんばかりの貴重な時間を過ごされた事だと思います。
そんな彼らの集大成を高橋正徳さんの演出で迎えられたことは
とても得難い時間だったと思うのです。
彼らの感性により近い形で寄り添うノリ君の描く世界観に触れ
まさに研修科生の彼らの生きる今の『三人姉妹』。
あらめて作品の強さと普遍性を感じながら
すでにもう始まっている彼らの『三人姉妹』第二章の人生が
素晴らしいものであるように願うばかりです。

2015年1/30(金)~2/1(日) in 文学座アトリエ



by berurinrin | 2015-02-06 23:07 | 文学座観劇感想
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