文学座1月アトリエの会『リア王』その4

文学座1月アトリエの会『リア王』 in  文学座アトリエ(1/17)

作 ウィリアム・シェイクスピア
訳 小田島雄志
演出 鵜山仁
美術 島次郎
照明 賀澤礼子

コーディーリア(岡崎加奈さん)を勘当したブリテン王リア(江守徹さん)に苦言を呈した
ケント伯爵(外山誠二さん)は、リア王の怒りから国内追放となってしまいますが
その身を隠し、扮装して、そうとわからないようにリア王の従者としてリア王を守り、
今やフランス王(駒井健介さん)の后となったコーディーリアにリア王の窮地を報告したりと
献身的に使える家臣。
穏やかな振る舞いの宮廷人と、豪快で快活な変装した従者と、その振り幅の大きさ
ケント伯爵が舞台に登場すると、深く響き渡るその声にわくわくしちゃいました。
長いセリフ回しの流れるような語り口調の心地よさ、リア王とコーディーリアを思う慕うひたむきな
気持ち…ケント伯爵の人となりが、外山さんの懐深い芝居からも伝わってきました。
外山さんといえば、シェイクスピア・リーディング『新ハムレット』のハムレット(藤川三郎さん)の
義理の父となる人の好さそうなクローヂヤスを演じられていました。
この『新ハムレット』は原作は太宰治氏。登場人物の皆さんすべてがなんかへんてこで面白かったのです。
で、原作を読んだらやっぱり面白い。へんてこな感じは、
謙虚で日本人臭さが充満してるような異国の空気感かなぁ
ぜひよかったらおススメの一冊です。

長女ゴネリル(郡山冬果さん)の執事・オズワルドは、藤川三郎さん。
ほっぺをくるむような面白いひげを生やしていましたね♪
主人であるゴリネルの言葉には、必ず服従する。
そんな彼にゴネリルは、絶対的な信頼を持ってましたね。
そうでなければ、妹・リーガン(浅海彩子さん)への手紙を書かせたり出来なかったはず。
でも(笑)強気なくせに、勝負となるとポンコツで(笑)
ケント伯爵しかりエドガー(浅野雅博さん)との場面では、まったく勝ち目なく(><)
それでも愛すべき人物な気がしてならない(^^♪
それは、主人(ゴネリル)への忠勤ぶりが、無邪気で微笑ましく思えるほど伝わってくる気が…
見方によっては面白い人物ですよね。
そんな藤川さんは、シェイクスピア・リーディング『新ハムレット』の和装のハムレット。
机に正座して頭を抱えながら悩むハムレット…その姿は太宰治さん?!を演じられておられました。

エドガー(浅野雅博さん)が、次に父親グロスター伯爵(坂口芳貞さん)に再会した時は
コーンウォール公爵(鍛冶直人さん)に両目をえぐられ、その上、領地を追われ
老人(高瀬哲郎さん)に手を引かれた見るも無残で痛ましい姿でした。
老人を演じられたのは高瀬哲郎さん。
ヨチヨチトコトコトコっと、腰をかがめ歩く姿は、もう~高瀬さん年齢不詳です(笑)
グロスター伯爵とエドガーのやり取りの中で、ちゃっかり金貨をつまんじゃう姿は、くすくすしちゃいます。
その後、すたこら逃げる(ヨチヨチですが)バージョンと、
グロスター伯爵の祈りを顔を上げて聞いた後に、
手の金貨を見て去っていく(それでもヨチヨチで)バージョンを観ちゃって
鵜山さんに「演出変わってましたね」「その時の状態で変えちゃうんだよね」って
かるーく仰ってました♪わたしは、どちらのバージョンも、それぞれ後味がよくて気持ちよかったです。
短い場面ですが、好きな場面でした。その他にも高瀬さんは、宮廷の場面ではリア王の傍で地図を
広げてる廷臣、リア王に付き添う騎士、フランス軍の陣営の紳士を演じられておられました。
そんな高瀬さんは、シェイクスピア・リーディング『じゃじゃ馬馴らし』。
ヒロインのキャタリーナ(目黒未奈 さん)の父・パプティスタ氏を演じられいました。

冒頭、リア王が登場するまえに、すくっと真っ直ぐに歩いて、王の登場をしらしめす従者。
エドマント(木場允視さん)に、コーンウォール公爵の到着を知らせる
ちょっと怪しげでダークな香り漂う廷臣・カラン。
コーディーリアに付き添いリア王を治療する医師を演じ分けられたのは木津誠之さん。
木津さんの声は、かなり特徴的だと思うのですが、もしかしたら三役とも全くの別人に見えたの
ではないかと思われる程、その立ち振る舞い、声、姿が重ならない。
本当に役の色の違いを強調して見せてもらった気がします。
軽妙な役から重厚な役柄まで、さまざまに見せて頂きました。
とはいえ、やっぱ、コーディーリアを温かいまなざしで励ます医師役が好きだなぁ~
そんな木津さんは、『大空を見ると私の心は躍る』
実家に帰った恋人の映一さん(柳橋朋典さん)を追ってくるキュートな菅原太一さん♪
一途なくせにひねくれていて可愛いかったです。

扮装したケント伯爵が、信頼したのは、リア王に付き添う一人の紳士。
高塚慎太郎さんが演じられました。
嵐の中でのリア王と道化(金内喜久夫さん)の姿を語る時の痛ましさを叫びのような
今まで聞いたことのない声音で伝えてくれました。かと思うと、楽しそうに笑う朗らかな笑顔
ケント伯爵の使いとしてコーディーリアに面談した時の状況を伝える時の明瞭とした語り口。
高塚さんを媒体として、輝きを放った人物だと思いました。
だって、地味な役名もそのまんま「紳士」
けれども確かに印象的で、新鮮で魅力的な人物として記憶に残りました。
絶対、役名を付けたらよかったのぃ~と、作家に言いたい(笑)
そんな高塚さんは、シェイクスピアリーディング『ヘンリー五世』でのタイトルロール
ヘンリー五世を演じられました。これが、とても楽しくて成長するヘンリー王と高塚さんが重なって
眩しく見えたのでした。また『天鼓』では、笑いながらしゃべるというクセのある警察官シンを
怪しげに演じられていました。

「飯はまだかぁ~」壁どんどんっと、リア王の騎士とエドマンドの告発者を名乗らせるために
告発文を読み上げ、ラッパの音に「もう一度!」「もう一度!」と
伝令使いを演じられたのは、去年、準座員に昇格された萩原亮介さん。
彼の芝居は一見地味な感じがするのですが、今回改めて彼を拝見して思ったのは
とてもとても細やかな繊細さ。しなやかな動き、邪魔にならず、そこに生きてる人物を
キャッチして共に生存してる確かな存在感を感じるのです。
研修科時代『血は立ったまま眠ってる』のヒリヒリするようなテロリスト良さんを演じられていたのが
すごく印象的でした。なんか怖かったなぁ~、拝見した日の夜、悪夢を見たっけ…(^^ゞ

…と、だらだらは相変わらず、脈絡なく書いてしましましたが
各自、どの配役でも見どころがあってポイントがあって、そんな面白さが
なんで今まで気にならなかったのか?!
今回は、より新鮮に作品を楽しむことができた気がします。
アトリエという場所の素晴らしさも!
そーそー人物のアナザーストーリーを想像するだけでも面白そうですよね
そんなこんなで『シェイクスピア祭』とうとう終了ですね。
ほーーーーんとに楽しい一年間、シェイクスピアを堪能する事が出来ました。
今更ながら、感謝と共に感想を終わらせて頂きますぅ(#^.^#)

2015.1/6(火)~1/22(木)in 文学座アトリエ



by berurinrin | 2015-01-24 23:59 | 文学座観劇感想