文学座1月アトリエの会『リア王』その2

文学座1月アトリエの会『リア王』 in  文学座アトリエ(1/10、16)

作 ウィリアム・シェイクスピア
訳 小田島雄志
演出 鵜山仁
美術 島次郎
照明 賀澤礼子

さてブリテン王リアを演じられたのは江守徹さん。
今、現在の江守徹さんという人間のすべてが、このリアに込められ、リアの姿が
江守さんに形作られているのではないかと錯覚してしまいます。

娘達に裏切られ、娘の真実の言葉に耳を傾けられなかった自分を責めて
苦しみ、心の中ではちきれて崩れていく姿は、本当にたまらない。
「風よ吹け!…」と天に向かって叫ぶシーンも等身大。
なんか、同居している体の不自由な八十代の父が、癇癪を起した時を想像しちゃうんですよ
顔を真っ赤にして、すごく怒っているんだけど、言葉に力が出せなくて
あ~、きっとこういう状態なのだろうと…
その怒りが自分の内面を壊していくんだろうなぁ
と、恐ろしい嵐の後、花冠をつけた姿は、少年のように無垢で
穏やかに語る言葉は美しくて切なくて
目が見えなくなったグロスター伯爵(坂口芳貞さん)との再会とそのやり取り
リアの狂気の中のつかの間、穏やかなシーン。わたしの大好きなシーンです。

退位を表明したリア王の娘達は3人。
冒頭、娘たちにどんだけ自分を愛してくれてるのか?
その答えによって豊かな領地を与えようとします。
美しくて気高い長女ゴネリルは郡山冬果さん。父親への深い愛情を語りながらも
その表情は硬く、その目は厳しく、ゴネリルが登場すると、そのシーンがピリッと空気が
固まる感じさえします。
でも、グロスター伯爵の私生児エドマント(木場允視さん)とのシーンでは、
とろけるような乙女の表情が浮かび、追いつめられたラストシーンでのあの表情の美しさ
今までの国王の長女としての生き様
ゴネリルの人生とは何だったんだろうかと考えてしまうのです。
そんな冬果さんは、10年振りの復活ということで、
思えば『パレードを待ちながら』以来(^^)/演出は鵜山仁さんです★きゃっ
そーいえば、初めてお稽古場を見学したのがこの作品。
その時に、鵜山さんを囲んでのランチ会があって、その後に稽古場見学が行われて
手作りのお弁当を持ち込まれるご出演者の皆さんの中で
机の上にどんとカップ麺が置いてあって、がはがは笑っている冬果さんのお姿が(笑)
とっても素敵な冬果さんのエピソードです。

次女は、リーガン。浅海彩子さんが演じられています。
真一文字に閉じられたゴネリルと対照的に笑顔をたやさない美しいリーガン。
その笑顔の下には、じゃじゃ馬的な要素も見え隠れしちゃいますね。
夫・コーンウォール公爵(鍛冶直人さん)とは同志のような強い結びつきを感じました。
より女性らしいのがゴネリルなら、より男性らしい面を持っているのがリーガン。
あの残酷なグロスター伯爵のお目々をぐりぐり~を、きゃははって喜んでるかと思うと
コーンウォール公爵が召使い1(木津誠之さん)に刺されると、
夫の復讐とばかりに剣を取って殺してから、あわわっと自分のした事に慄いたり、
夫が亡くなって日も経っていないのにエドマンド💗かいっ!とツっこみ入れたくなるほど
とっても自由人(笑)
でもなんかこの悪女お姉さま達、憎めないのですよね~
さて、浅海さんといえば『モンテクリスト伯』では
サン・メラン侯爵夫人を可憐に演じられておられました。
「ズボンよズボン(衣装)スカートはきたかったぁ~ふわっとしたやつ」
そうおっしゃる浅海さん。素敵です♪

このお二人の旦那様方(笑)
ゴネリルの旦那様は、オールバニ公爵。演じられたのは高橋広司さん。
お父さん似の癇癪持ち(?!)のゴネリルの怒りにちょっと
おたおた気味ではありますが
さすがに国王の後継者で良識あるりっぱな人物で威厳もありますね。
ゴネリルにはめちゃめちゃ言われていますが、
それでもゴネリルを愛していたのではないかと
思ったりもしたのです。
高橋さんも劇団の公演はおひさしぶりなのですね。
シェイクスピア・リーディング『マクベス』では、妻子を殺され
マクベス(浅野雅博さん)に復讐を誓うマグダフを演じらていました。

リーガンの旦那様は、コーンウォール公爵、鍛冶直人さんが演じらました。
激しい気性で、怒らせるとめちゃこわーいコーンウォール公爵。
リーガンとはラブラブな感じですね。
あのまなざし、あの声の色気にくらくらしちゃいます★
自分を裏切ったと、グロスター伯爵(坂口芳貞さん)の目を
手でえぐって、足でぐしゃ(><)
その手をペロリ~(><)x2うぉお~
召使い1(木津誠之さん)に刺され瀕死の重傷を負っても、がはがは笑ってとっても豪快
根っからの軍人気質という気がします。死しんじゃうけど…
鍛冶さんといえば『信じる機械-The Faith Machine-』ではケニア人の神父パトリックと
同性婚の当日にスピーチのメモを無くしておたおたしちゃう、ちょっと口は悪いけど
優しいローレンスを演じられていました。

リア王の寵愛を一身に受けていた末娘はコーディーリア。
「愛して黙っていよう」これが裏目に出てしまい勘当されてしまいます。
演じられたのは、研修科一年生の岡崎加奈さん。
リア王を諌めるケント伯爵(外山誠二さん)も追放の宣告を受けて
不安そうに父リアとケント伯爵を交互に見つめるコーディーリアの姿はとても小さく
フランス王(駒井健介さん)の手を取り去っていく姿は、心もとなく頼りないものに
感じますが、その後、父を救うために軍を率いて姿を現わしたコーディーリアは
フランス王妃としての威厳を持った大人の夫人としてのオーラが見えて
その変貌ぶりに、きっとケント伯爵やリア王も驚いたのではないかと思ってしまいました。
父親との再会とその父の姿に、ぽろぽろこぼれる涙は、美しく清らかでした。
加奈ちゃんといえば、研修科の発表会『終わりよければすべてよし』で
好きな男性と結ばれる為に頑張るヒロイン・ヘレナをしたたかに可憐に演じていていました。
とても将来が楽しみな可愛い加奈ちゃんです。

リアに勘当されたコーディーリアには二人の競い合う求婚者がいました。
一人は、バーガンディ公爵演じられたのは、押切秀希さん。
リアの前でひざまづく一連の動作さが、とても美しく優雅♪
彼なりにコーディーリアを愛していたことは重々察することはできるのですが
やっぱ持参金大事なのですね。
改めてリア王に懇願する時に、膝を折りながらのツーステップがツボで(笑)
が、コーディーリアに「お金が目当ての人は嫌です」と、はっきり言われて
がっかりする姿が、ちと可哀想。
押切さんは、バーガンディ公爵以外にもコーンウォール公爵の召使いで
ケント伯爵に足枷をはめちゃったり、オールバニ公爵にコーンウォール公爵の死亡と
コーンウォール公爵が行ったグロスター伯爵への蛮行を報告する使いを演じられていました。
押切さんといえば『長崎ぶらぶら節』の地方公演で、幼いサダを長崎に連れてくる判人さんが
とても粋できりっと魅せて頂いたのが印象的でした。

もう一人の求婚者は、フランス王。
立場上、リア王の方からコーディーリアと結婚するのはやめときなさい
と、いわれちゃいますが、コーディーリアの率直な言葉に妻と迎えます。
演じられたのは駒井健介さん。
いやぁ~かっこよかったですねぇフランス王、髪型もきりっと分けて真面目好人物。
出番は短いながらも、その声の美しさ、きりっとした姿にインパクト大。
優しくコーディーリアの手を取る姿にも包容力と愛情が伝わってきて感動的でした。
もう良い役(^^)/
駒井さんのフランス王のほかにコーンウォール公爵の召使いで
ケント伯爵に足枷をはめちゃったり、人質となったコーディーリアとリア王の暗殺を引き受ける
エドマンド(木場允視さん)の部下で隊長を演じられていました。
二枚目(笑)の駒井さん←本人が言うんだもんw
もとい(笑)二枚目の駒井さんといえば、『エゲリア』で、
ヒロイン・かのこさん(吉野実紗さん)の恋人で
同じ作家の道を志す文芸青年・堀沢芳雄さんを細やかに演じられていました。

ここまではリアの家族の方々ですが『リア王』のストーリは、伏線として
グロスター伯爵家の家族のストーリが、絡み合い寄り添いながら進行していきます。

続く

と、リンクを追加させて頂きました。
文学座の二枚目、釆澤靖起さんのブログ。
その名も釆澤(ウネザワ)のブログです。
なかなか複雑な釆澤さんのつぶやきつーか、ボヤキつーか…かなりウケます(笑)

2015.1/6(火)~1/22(木)in 文学座アトリエ










by berurinrin | 2015-01-18 21:26 | 文学座観劇感想