新国立劇場『テンペスト』

新国立劇場『テンペスト』               in 新国立劇場中劇場(5/17)

作 ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 松岡和子
演出 白井晃

元ミラノ大公プロスペロー(古谷一行さん)は実弟・アントーニオ(長谷川初範さん)と
敵対していたナポリ国王(田山涼成さん)と謀略にあい娘・ミランダ(高野志穂さん)と共に
この島に流れ着いて12年の歳月が経っていました。ネタバレ注意です!!

孤島の生活の中で、魔術を学んだプロスペローは、妖精エアリエル(碓井将大さん)の力を使って
近づていてきたアントーニオとナポリ国王の乗った船に嵐を送り難破させてしまいます。
難破した彼らはプロスペローの島に漂着します。

大きな大きな舞台です。
新国立劇場の中劇場の主舞台と同じ大きさの奥舞台を使って奥行き深く
壮大な世界が広がるプロスペローの孤島の景色は
倉庫?
大きな段ボールがわらわらと動く崩れる転がる…四方八方からこれでもかという位
これらが難破船になり浮遊物になり岩屋の壁になったりと
すごい迫力です。
ところがどうもピンとこなくて…きっと2F席から見たら壮観なセットだったんだろうなぁ~
ちょっと残念。

古谷プロスペローは、12年も孤島での生活でもやさぐれ感もなく
あくまでも貴族で紳士で、口汚く罵る台詞が似合わない感がします。
なんせ私のプロスペローは、俊寛のような野性を帯びたワイルドな男性のイメージだったのです。
けれど、男手一つでこの環境の中で
娘を美しく育てる為には、想像を絶する忍耐と決意。。自分に課した責任感というか
…いい人なんだろうなぁ~と思うのです。

でもなんか個々の関係というか設定がどうも中途半端感がぬぐいきれないのです。
車いすで拘束されたエアリエルや化けもの呼ばわりされているキャリバン(河内大和さん)
かれらと人間との違いが判らない。
あまりにも人間臭い感じがしちゃって
キャリバンが可哀想で同情までしたくなったちゃう…
突き詰めると、やっぱ、プロスペローが紳士すぎて心の内を私たちにみせてくれないほど
12年という月日の孤独のベールが、幾重にも彼を守っていたなのかもしれません。

さて文学座からはキャリバンにとって、新たなご主人さまとなる
酔っぱらいのステファーノを演じられた櫻井章喜さん♪
舞台が孤島というだけに、薄暗いシーンの中、サクさんが登場すると舞台が華やぎます♪
今や名人芸の領域の酔っぱらい姿(笑)手に飲み物食べ物を持たせたら最高っ!
ちょっととぼけているんだけれど愛嬌っぷりに演じられる姿に超癒されたのでした(#^.^#)

ラスト、すべてが明るみに出て
魔術を捨て、明日から新たで懐かしい環境に帰っていくであろうプロスペローのモノローグの
言葉は、行動とは違って死を意識した孤独の言葉で締めくくられています。
復讐を救済に変えたプロスペローの意志の弱さというか、やっぱ人恋しかったのかなぁと
その自らへの決断へのようにも聞こえたのでした。

5/15(木)~6/1(日)まで in 新国立劇場中劇場



by berurinrin | 2014-05-24 23:01 | 観劇感想
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